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しおりを挟む「エヴァ––」
アイゼイアに声を掛けられ、エヴァリーはビクッと体を震わせる。
相変わらずの豪華絢爛な校舎を背景にして、光り輝く様な容貌のアイゼイアはエヴァリーの前に現れた。
「受付まで来てくれれば良いのに」
そうアイゼイアは言うが、ズカズカと1人で校舎を歩き回るのも気まずいので、門で待ち合わせをした。
きっとオースティンは練習場に居るんだろうな…––とエヴァリーが何気なく視線を大きな練習場のある施設に向ける。
「友達、気になる?リリアンだっけ?…あと、オースティン」
隣だって歩きながら、アイゼイアが首を微かに傾けてエヴァリーにそう尋ねる。
「お互い忙しくて最近ゆっくり会えないので、少し寂しいですね」
リリアンとは寝る前に少し話したりする時間はあった。
だが練習も充実しているようで、リリアンはすぐに寝落ちしてしまう。
リリアンが部活に行ってる間、オースティンと一緒に出掛けたり時間を過ごすことが多かったが、最近はめっきりそんな時間も無い。
「オースティンはどんな子?」
不意にそんな事を聞かれて、エヴァリーもアイゼイアを見上げる。
「無愛想だしぶっきらぼうだけど、優しいですよ。誘えば何処へでも付き合ってくれますし、前は放課後と言えばずっとオースティンと一緒に過ごしてたので…––なんだか不思議です」
エヴァリーがそう答えると、そう…––とだけアイゼイアは答えた。
暫くアイゼイアに続いて歩くと、木製の彫りが美しい明るい茶色の扉が見えた。 そこだけ扉が開け放たれ、ガヤガヤと人の声が漏れている。
アイゼイアがその部屋へ入ると、皆一様に注目した。
「副会長、その子ですか?」
アイゼイアが他の生徒からそう声を掛けられる。
副会長……–––だったんだ…とエヴァリーは驚くが、できるだけ平静を装った。
「うん、会長は?」
「奥に居ます」
エヴァリーは、ただアイゼイアの背に続く。
「ハーク会長、戻りました」
アイゼイアが声を掛けた相手が振り返る。
「ああ、おかえり、アイゼイア」
少しウェーブのかかった艶やかな黒髪に、大きな黒い瞳を持ったえらく大人っぽい綺麗な女生徒が机の前に立っている。
「あなたがエヴァリー?こんにちは、ユリア・ハークです」
ユリアは颯爽とエヴァリーに向かって歩いてくると、手を差し出した。
「…ッエヴァリー・ベイルです。よろしくお願いします」
エヴァリーはおずおずと自己紹介をして、ユリアの手を両手で包む。
エヴァリーは息をするのを忘れる程、ユリアの容姿や雰囲気に圧倒されていた。
「綺麗な子だね。アイゼイアがちょっかいを掛けたくなるのも分かるな」
ユリアがそう言ってイタズラっぽい目つきでアイゼイアを見ると、アイゼイアは目を細める。
「会長、やめてください。初対面ですよ…–––」
いや、でもアイゼイアと初めて会った時も大概……––とエヴァリーはアイゼイアを見る。
しかも、この人は私を脅して顎で使ってるんですっ––!と告発したくなる気持ちをユリアの麗しさに免じてエヴァリーはグッと堪える。
「ごめんごめん。エヴァリー、いろいろ細かな雑用を任せちゃってごめんね。アイゼイアは気が利くし、よく気づくんだけど人遣いが荒いんだ。でも私達も凄く助かってる。初めての事だから、分からない事もお互い多いと思うけど、良いダンスパーティーにしよう」
ユリアがそう言って、エヴァリーに笑いかけるとまるで花が咲いたようだった。
この感じ、前もあった…––リリアンの笑顔を初めて見た時と一緒だ、とエヴァリーは思い出す。
「会長、そう言えば……––」
とアイゼイアがユリアと何か話を始めた。エヴァリーには勿論聞いていても分からない関係の無い話だ。
……もう帰っても良いですか––?と聞きたいが、雰囲気的にそれは許されない。
すると、エヴァリーの横に小柄でメガネを掛けた女の子が現れて、何やら目配せをする。
小さく指さされた先に、繊細な手描きの美しいカップに入れた紅茶とお菓子が見えた。
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