~のあと男子高校生達の物語~

恋桜

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#2 しっかり者?

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「と、いうことなんだ...!」
「......へぇ?はるにぃは、記憶がなくて誰だかわからない男を怪我をしているからという理由だけで、入れたと?」
「おっしゃる通りです…。」
俯いて体を小さくする俺をみて美空は溜息をついて立ち上がった。
「のあ…って言ったっけ?あんた、アレルギーとかは覚えてるの?」
「「え?」」
「だーかーらー!今から夕飯作るからアレルギーとかあったらやばいでしょ?だから、覚えてるのか聞いてんの。」
「え…!それって…!」
「勘違いしないでよ。記憶が戻るまで、だからね。」
仁王立ちでこちらを見下ろす美空が今の俺には女神様に見えた。
「「は、はい!」」
のあと俺が返事をしたのを見ると少し微笑み、のあの前で屈んだ。
「で?のあ、アレルギー覚えてる?」
「…覚えてない……」
のあはそう言い、申し訳なさそうに顔を俯かせる。
「…そっか。覚えてないなら、仕方ないね。ちょっと立てる?」
「?」
のあは美空の言葉に不思議そうにしながらも、必死に動く左足で立とうとする。
「あぁ!無理に立とうとしたら駄目だよ、のあ!俺が…」
「ちょっと待って、はるにぃ。」
のあを抱えあげようとする俺に美空は制止の言葉をかける。
怪訝そうな顔をする俺に美空は、
「もし、はるにぃがずっとのあを抱えて、のあが自分自身で歩こうとしなくなったらどうなる?」
「え?ど、どうなるのか?」
美空の突然の問いかけに戸惑う俺を見た美空は何度目かの溜息をつき言った。
「はぁ…のあがもし記憶が戻って家に帰るとする。その家にはるにぃはいないでしょ?」
「あ…」
「つまりはそういう事。ちゃんと自分で行動できるようになるまで私達は見守ってあげる。冷たいと思うかもしれないけど、これはのあの為だから。」
「うん…」
俺と美空の会話を静かに見ていたのあの方を見て俺は言った。
「のあ、これからは俺はのあを抱えあげたりしない。支えるくらいなら良いと思うけど、頑張って自分で立てるようにするんだ。……出来るか?」
俺の言葉にのあは力強く頷いた。
「そうと決まれば、のあ。私と一緒にキッチンまで来てくれる?」
「なんでキッチンにのあを連れていくんだ?」
「のあの苦手なものとか、私が作ってる時になんか思い出したりするかな?って思ってね。」
「な、なるほど…でももしのあが火傷したりしたらどうするんだ…!?」
のあを心配する俺の言葉に美空とのあは顔を見あわせて笑った。
「ふっ…はるにぃ心配しすぎ(笑)」
「そう…しんぱい、しすぎ……」
「で、でも…」
「はるにぃは私が料理するって言った時心配なんてしなかった癖に。」
「それは!美空はしっかり者だって分かってたから!」
そう言う俺を見て、目を見開き頬を赤らめる美空。
「…よいしょ…!」
「「あー!」」
「美空…!のあが…!」
「はるにぃ…!のあが…!」
驚いて慌てふためく二人をみてのあは、
「おれも…しっかりもの…?」
「え?」
「みそらと、おなじ、しっかり……?」
「あ……」
「のあはしっかり者ね。はるにぃより断然のあの方がしっかりしてる。」
美空の厳しい言葉に傷つきながらも、得意気に微笑むのあを見て心配しすぎだったのかも、と思い直す。
「じゃあ立てたことだし、キッチンに行こっか。」
「うん……」

「にゃにゃーん!」
「「「!?」」」
俺とのあと美空の3人は声がした方を振り返った。

- - - - - - - - - -
今回はここまでとさせていただきます!
最後まで読んでいただきありがとうございます。
みなさん、久しぶりです。昨日ぶりですね(笑)

※ここからネタバレ(あとがきから見ているひとは本編へ!)

美空はのあを受け入れてくれましたね!この展開に「やっぱりね!」と鼻を高くする人や、「良かったぁ…」と安堵する人と様々ではないのでしょうか?
さて!最後に「にゃにゃーん!」と勢いよく飛び出してきた人物は誰なのでしょうか?
次の話で紹介するので、楽しみにしていてくださいね。(勿論、とても個性的です。)

ー少し人物紹介ー
前田晴人 十六歳 五月十二日生まれ
性格は心配性でおせっかい。頭脳は中の下で、運動は得意な方ではないが頼まれると断れないタイプなので、よく力仕事を押し付けられて体だけは大きい。

のあ 年齢不詳 九月二十六日に拾われる
命の恩人の晴人のことがとても気に入っている。その他不明。

前田美空 十五歳 七月二十九日生まれ
性格は一見冷たいが、兄と似ておせっかい。頭脳明晰だが、運動は人並み程度。高校は頭のいい学校を勧められているが、晴人と同じ学校に入りたいと密かに思っている。無自覚のブラコン。

恋桜 十四歳 十二月十一日生まれ
性格は熱しやすく冷めやすい。飽きっぽいがたまに深くハマって出られなくなる。頭脳は下の下で、運動音痴。特に目立った特技はないが何故かいつも楽しそう。

では最後に、小説を書く時間をくれたお父様。最後まで読んでいただいた読者様みなさんに私からの最大級の感謝を捧げます。

では、また!
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