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8.新天地にて
しおりを挟む「ここか、王立演習場ってのは」
太陽がてっぺんに登り、街も人で賑やかになってきた頃、俺はとある場所にいた。
昨日貰った紙に書かれていた場所だ。
「街の少し外れにこんな施設があったなんてな……」
王立演習場。
名前の通り、冒険者たちが訓練をするために作られた施設だ。
国が資金をかけて建立させたのもあって、かなり充実した施設になっており、内部は沢山の冒険者で賑わっていた。
ちなみにここに来るのは初めてである。
というかこんな施設があるなんてこそすら、知らなかった。
そもそも俺は戦闘員じゃないしな。
武器生成の訓練は家で出来るし。
「ここの3rdフロアだったな……えーっと」
案内板を見ながら、目的地を探す。
すると。
「あれ、キミは昨日の……」
ちょうど目が合う一人の人物。
その美しき銀髪は一度見れば忘れない。
すぐに昨日の銀髪美少女だと分かった。
「あっ、リアナさん。こんにちは」
「こんにちは。えーっと……エレンくんだっけ?」
「アレンです」
「あ、そうだったそうだった! ごめんね、わたし人の名前を覚えるのが苦手で……」
「いえ……」
昨日も思ったけど、少し天然入っているよなこの人。
「ここに来たってことは、決意が固まったということかな?」
「ええ、まぁ……」
「じゃあ、早速案内するよ! ちょうどこの上でいつも練習しているから」
「お願いします」
と、いうわけで。
俺はリアナさんの後についていくことに。
「みんな、例のクリエイターくんが来たよ!」
目的地の三階演習場に着くなり、リアナさんは手を振りながら大きな声で呼びかける。
いたのは数人の男女。
その中には昨日会った金髪美少女の姿もあった。
「お、君がパーティーの新メンバー候補!? めっちゃ若い子じゃないっすか!」
「予想外。もっと渋いおじさまが来るのかと思ってた」
どうやら皆さん、俺の若さに驚いているようで。
確かにクリエイターは若い人よりも少し脂ののった中年者が多いけど。
でもまさかそこまで驚かれるとは……
「昨日ぶりですね、アレンさん」
「あ、どうも。えーっと……カスパールさんで合ってますよね?」
「はい。あと、私のことはカスパールと呼び捨てで結構ですので。口調も崩してもらって構いません」
「え、そう? じゃあそうさせてもらおうかな。宜しく、カスパール」
「はい、こちらこそ宜しくお願いします。アレンくん」
なんかいきなり金髪ちゃんと進展した。
するとその背後でニヤニヤする人物が。
「お、何か今日のカッスちゃんはやけに積極的っすね。やっぱリアナちゃんの話は――」
「黙っていただけますか、ガイルさん。あとその呼び方は止めてください。不愉快です」
「うほっ! こりゃまた辛辣なお言葉……」
「でも今日のカスパールは活き活きしてる。なんか嬉しそう」
「そうですか? 至って普通だと思いますが……」
「ふふっ、そういうのは自分では分からないものよ」
「はぁ……」
盛り上がる会話。
とにかくこの人たちの仲がとても良いということはよく分かった。
「あ、ごめんね。勝手に盛り上がっちゃって。俺はガイル、役職はガーディアン! みんなを守る壁役をやってるっす! よろしくっす!」
「私はシオン。ヒーラーをやってる。宜しくね」
「アレンです。こちらこそ宜しくお願いします」
シオンさんにガイルさんか。
二人とも良い人そうだ。
前のパーティーで人選びがどれだけ大切かよく分かったからな。
誘われたとはいえ、実際どういう感じなのかと思っていたが、心配無用だったみたい。
「ちなみに他にもあと二人メンバーがいるんだけど、今日は来れないらしいからまた後日紹介するね」
「あ、はい」
あと二人もいるのか。
ということは俺が加入することになると7人パーティーになるわけか。
パーティーとしては大人数になるな。
「あの……ところで、リアナさん。俺がここに呼ばれた理由って……」
わざわざこんな場所を選んだのには理由があるはずだ。
普通にメンバーに紹介するだけなら酒場とかでいいし。
まぁでも理由があったとしたら、大体の予想はつくけど……
「あっ、そういえばまだ具体的なことを話してなかったね。実はケレンくんをここに呼んだのはすこーしばかりテストをしたいなと思ってね。まぁ騎士団風に言うなら入団テスト的な感じ?」
「やっぱりですか。あと、一応言っておきますけど名前はアレンです」
そこんとこよろしく。
でも俺の予想通りだった。
どうやらこれから、俺は試されるらしい。
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