元英雄でSSSSS級おっさんキャスターは引きこもりニート生活をしたい~生きる道を選んだため学園の魔術講師として駆り出されました~

詩葉 豊庸(旧名:堅茹でパスタ)

文字の大きさ
70 / 127
第4章 おっさん、祭りに参加する

第69話 負の前兆

 ―――時は少し遡り学園長室

「なんだと。それはどういうことだスカーレット」
「そのまんまやで。今神魔団の関係者が捜査に出ている」
「フィーネはこのことを知っていたのか?」
「さっき聞いたばかりよ。正直私も驚いているわ」

 俺はスカーレットに呼ばれ学園長室へと出向いていた。
 そしてそこで彼女の口からとんでもない事を聞くことになった。

「まさかこんな早い時期に魔王が復活しそう……だなんてね」
「せや。ここ最近全世界で魔獣の群れやら魔竜やらの出現が頻繁に起きていた。ここら辺は比較的安全地帯っぽいがなぁ」

 そのとんでもないこととは十数年前に俺が討伐した魔王の復活についてだった。それも今回の魔王の力は前回とは比べ物にならないほどだと言う。

「だがスカーレット。なぜそのような結論が出た? 何か根拠でもあるのか?」
「根拠はある。カシラはレザードが封印の魔剣を探してはることを存じているか?」
「ああ。前に本人から聞いた」
「その魔剣が見つかったんや。もちろん見つけたのはレザードやけどな」

 封印の魔剣とは魔王を封じ込める力を持つ伝説の剣。1000年前、魔王を封印するべくかつての勇者たちが使ったとされるものだ。そして前回の魔王討伐の際もその魔剣に魔王を封じることできた。
 だが肝心なのはその魔剣の在処だった。魔王を倒すと自動的に魔剣の能力が働き、封印の力が作動するということまでは調査済みだったがそれがどこにあるか神魔団の人間でさえ把握していなかったのだ。
 そしてそれを長年探していたのが我が神魔団メンバーの一人、レザード・アルフォート。
 彼は魔剣使いということもあってか魔剣については団の中では同じ魔剣使いの姉、セントレア同様に一番詳しかった。
 
 そしてその長らく探していた伝説の魔剣が遂に見つかったわけだ。

「で、魔剣が見つかったとこで何で魔王復活ということになるんだ?」
「ああ。そこからが本題なんや。実はその魔剣が回収された後、こんなもんも一緒に見つかった。

 そういうとスカーレットは何やら紫色に発光する石を取り出し、テーブルの上に置く。

「こ、これは……」
「魔生石……」

 不気味に輝くその石ころはどこかで見覚えのあるものだった。
 かつて魔族が世を牛耳っていた頃、魔王が持っていた魔道具の一つ。それが魔生石。
 これを使うと一度死んだはずの魔獣を再度蘇生することができるという厄介なものだ。なので俺たち神魔団は魔生石を持つ者は積極的に討伐し、破壊するということに重点をおいて魔王軍と戦争をしていた。
 だがその石がなぜか封印の魔剣の隣にあったそうなのだ。

「隠し持っていた……というのか?」
「恐らくそうやな。魔王はカシラに討伐される際にその隠し持っていた魔生石に自身のオーラを取り組み、自らを封印した。そして長い年月をかけ魔生石の中で魔力を蓄え、復活の兆しを狙っている、ということやろな」
「だが……なんで封印の魔剣の近くにあったんだ? それも奴の計算済みってことか?」
「せや、恐らくそうだろう。完全復活するには魔生石に含まれる魔力と自分の魔力だけでは不十分や。だからこその封印の魔剣。世に存在する魔剣で最も魔力を溜め込んでいるそれから力を吸収すれば復活するには事足りる。奴はそれを狙っていたのかもしれんわ」

 封印の魔剣の魔力は絶大なものだ。一度力を発動させれば誰であろうと抗うことはできない。もちろんその相手が俺であってもだ。魔王はその逸脱した力を逆利用し、復活の切り札にしたということだ。

「止める方法はあるの?」
「まだ分からへん。今神魔団の連中が必死になって復活を防ぐ方法を探している。だが、見つかった時期が遅すぎたな」
「もう復活に必要な魔力が集まったってことか?」
「いや、まだ復活するには魔力が足りん。だが止める方法が見つからない限り復活も時間の問題や」
「ちっ……厄介なことになったな」
「ほんまや。それに今の神魔団は昔と比べてだいぶ質が落ちた。あんときのようにバリバリ戦うことはまず厳しいやろな」

 スカーレットの言う通りだ。今の神魔団は昔に比べて機能していない。それに他の大規模ギルドや王国軍含め平和が続いていたせいか、ひと昔前よりだいぶ人の質が落ちている。いわゆる平和ボケってやつだ。
 このままもし魔王がさらに力を得て復活をしてみろ。確実に世界は奴の手に渡ることになるだろう。
 だが俺としてはそんなことはどうでもいいのだ。
 
 肝心なのは……ひきこもりニート生活ができなくなる。これがどういう意味を成しえているかというと今まで必死に働いてきたことが水の泡になるということ。しのぎを削ってまで働く俺の努力が無駄になるのだ。

(それだけは……それだけは避けねばならない!)

 俺は引きこもりニート生活に命を懸けていると言っても過言ではない。
 なぜか? そんなの決まっている。
 アーク・シュテルクストという英雄が消え十数年、俺はずっと人のすねをかじってひきこもり生活をしてきた。その時の快楽と言ったらもうとんでもないものだ。しかも当時に関しては使用人というおまけもついてきた。
 毎日ゴロゴロしていても何も言われない、飯は時間になれば勝手に出てくる、働かず好き勝手し放題。
 こんな生活を続けていればこの極限の快楽という呪縛に囚われ、抜け出すことは容易ではない。
 高級な飯を一度食べてしまったら安い飯が食えなくなるのと同じことだ。
 こんな自由奔放な生活を一度知ってしまうとそれから逃れることを身体が拒絶する。

 もはや一種のいけないドラッグと同じような作用だ。
 そして俺は今、その呪縛に縛られている。
 心が楽なほうへと誘引されていくのだ。

 だからこそ今回のこの一件、俺は断じて許すわけにはいかなかった。

「なぁスカーレット。その調査、俺も参加させて……」

 ―――バンッ!

「……!?」

 俺がスカーレットに話している最中、学園長室の扉が凄まじい音を立て開いた。
 そこで中へ入ってきたのは……

「れ、レーナ!」
「見つけましたよ、先生」

 俺を見つめるそのまなこはいつものような煌めきはなく、闇に沈んだような……そんな目をしていた。
感想 29

あなたにおすすめの小説

どうしよう私、弟にお腹を大きくさせられちゃった!~弟大好きお姉ちゃんの秘密の悩み~

さいとう みさき
恋愛
「ま、まさか!?」 あたし三鷹優美(みたかゆうみ)高校一年生。 弟の晴仁(はると)が大好きな普通のお姉ちゃん。 弟とは凄く仲が良いの! それはそれはものすごく‥‥‥ 「あん、晴仁いきなりそんなのお口に入らないよぉ~♡」 そんな関係のあたしたち。 でもある日トイレであたしはアレが来そうなのになかなか来ないのも気にもせずスカートのファスナーを上げると‥‥‥ 「うそっ! お腹が出て来てる!?」 お姉ちゃんの秘密の悩みです。

最低のEランクと追放されたけど、実はEXランクの無限増殖で最強でした。

MP
ファンタジー
高校2年の夏。 高木華音【男】は夏休みに入る前日のホームルーム中にクラスメイトと共に異世界にある帝国【ゼロムス】に魔王討伐の為に集団転移させれた。 地球人が異世界転移すると必ずDランクからAランクの固有スキルという世界に1人しか持てないレアスキルを授かるのだが、華音だけはEランク・【ムゲン】という存在しない最低ランクの固有スキルを授かったと、帝国により死の森へ捨てられる。 しかし、華音の授かった固有スキルはEXランクの無限増殖という最強のスキルだったが、本人は弱いと思い込み、死の森を生き抜く為に無双する。

アルフレッドは平穏に過ごしたい 〜追放されたけど謎のスキル【合成】で生き抜く〜

芍薬甘草湯
ファンタジー
アルフレッドは貴族の令息であったが天から与えられたスキルと家風の違いで追放される。平民となり冒険者となったが、生活するために竜騎士隊でアルバイトをすることに。 ふとした事でスキルが発動。  使えないスキルではない事に気付いたアルフレッドは様々なものを合成しながら密かに活躍していく。 ⭐︎注意⭐︎ 女性が多く出てくるため、ハーレム要素がほんの少しあります。特に苦手な方はご遠慮ください。

異世界召喚でクラスの勇者達よりも強い俺は無能として追放処刑されたので自由に旅をします

Dakurai
ファンタジー
クラスで授業していた不動無限は突如と教室が光に包み込まれ気がつくと異世界に召喚されてしまった。神による儀式でとある神によってのスキルを得たがスキルが強すぎてスキル無しと勘違いされ更にはクラスメイトと王女による思惑で追放処刑に会ってしまうしかし最強スキルと聖獣のカワウソによって難を逃れと思ったらクラスの女子中野蒼花がついてきた。 相棒のカワウソとクラスの中野蒼花そして異世界の仲間と共にこの世界を自由に旅をします。 現在、第四章フェレスト王国ドワーフ編

最強スライムはぺットであって従魔ではない。ご主人様に仇なす奴は万死に値する。

棚から現ナマ
ファンタジー
スーはペットとして飼われているレベル2のスライムだ。この世界のスライムはレベル2までしか存在しない。それなのにスーは偶然にもワイバーンを食べてレベルアップをしてしまう。スーはこの世界で唯一のレベル2を超えた存在となり、スライムではあり得ない能力を身に付けてしまう。体力や攻撃力は勿論、知能も高くなった。だから自我やプライドも出てきたのだが、自分がペットだということを嫌がるどころか誇りとしている。なんならご主人様LOVEが加速してしまった。そんなスーを飼っているティナは、ひょんなことから王立魔法学園に入学することになってしまう。『違いますっ。私は学園に入学するために来たんじゃありません。下働きとして働くために来たんです!』『はぁ? 俺が従魔だってぇ、馬鹿にするなっ! 俺はご主人様に愛されているペットなんだっ。そこいらの野良と一緒にするんじゃねぇ!』最高レベルのテイマーだと勘違いされてしまうティナと、自分の持てる全ての能力をもって、大好きなご主人様のために頑張る最強スライムスーの物語。他サイトにも投稿しています。

役立たずと言われダンジョンで殺されかけたが、実は最強で万能スキルでした !

本条蒼依
ファンタジー
地球とは違う異世界シンアースでの物語。  主人公マルクは神聖の儀で何にも反応しないスキルを貰い、絶望の淵へと叩き込まれる。 その役に立たないスキルで冒険者になるが、役立たずと言われダンジョンで殺されかけるが、そのスキルは唯一無二の万能スキルだった。  そのスキルで成り上がり、ダンジョンで裏切った人間は落ちぶれざまあ展開。 主人公マルクは、そのスキルで色んなことを解決し幸せになる。  ハーレム要素はしばらくありません。

S級クラフトスキルを盗られた上にパーティから追放されたけど、実はスキルがなくても生産力最強なので追放仲間の美少女たちと工房やります

内田ヨシキ
ファンタジー
[第5回ドラゴンノベルス小説コンテスト 最終選考作品] 冒険者シオンは、なんでも作れる【クラフト】スキルを奪われた上に、S級パーティから追放された。しかしシオンには【クラフト】のために培った知識や技術がまだ残されていた! 物作りを通して、新たな仲間を得た彼は、世界初の技術の開発へ着手していく。 職人ギルドから追放された美少女ソフィア。 逃亡中の魔法使いノエル。 騎士職を剥奪された没落貴族のアリシア。 彼女らもまた、一度は奪われ、失ったものを、物作りを通して取り戻していく。 カクヨムにて完結済み。 ( https://kakuyomu.jp/works/16817330656544103806 )

ポーション必要ですか?作るので10時間待てますか?

chocopoppo
ファンタジー
【毎日12:10更新!】 松本(35)は会社でうたた寝をした瞬間に異世界転移してしまった。 特別な才能を持っているわけでも、与えられたわけでもない彼は当然戦うことなど出来ないが、彼には持ち前の『単調作業適性』と『社会人適性』のスキル(?)があった。 第二の『社会人』人生を送るため、超資格重視社会で手に職付けようと奮闘する、自称『どこにでもいる』社会人のお話。