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第23話:生徒会
しおりを挟む「いきなり呼び出してしまって申し訳ありません」
「いえ、それは大丈夫ですけど……」
唐突な呼び出し。しかも名指しときた。
その指名せし者はこのホルン王立魔術学園の生徒会副会長のソリダス・ジィーラ・アヴァランチという男。
学園内では生徒会長に次ぐ支持率を誇り、生徒のみならず学園に関係する者全てにおいて厚き人望を持つカリスマの塊のような人物だ。
リリンの情報によればそのカリスマ性のみならず知力や魔術師としての能力も非常に長けており、王国軍直属の一等魔術師団にもその能力を高く評価されているとのことだ。
そんな人間が一生徒である俺に何用なのか……
(まさか正体がバレたわけじゃないよな……)
だが念には念をだ。一応調べてみることにする。
(……天魔の黄昏【情報開示】)
これは相手の心情、そして目論見を発動者のみに露見させることができる魔王スキルの一角。
読み取れるものは発動者にとって負となる情報のみという条件付きではあるが潜入においては非常に重宝する魔術だ。
で、彼を調べたところ正体はバレてはいない模様。策謀的なものも感じ取れなかった。
何か別に要件があると見える。
「学園生活はもう慣れましたか?」
「え? ま、まぁまだ分からない所だらけですが楽しくやっています」
「そうですか、それは良かったです。分からない所は徐々に慣れていけばいいのでそこまで気にする必要はないですよ」
丁寧な返答だ。学年で言えば俺の方が下だというのに敬語を絶やさない。
言葉一つ一つに繊細さが感じられ、話していて非常に心地よい感覚を覚える。
そして学園内を歩くこと数分……
「着きました。ここが我ら生徒会の活動拠点、イヴの間です」
「お、おぉ……」
連れていかれたのは学園の昇降口を出てすぐの所にある大きな建物。
どうやらその施設は生徒会に入る者のみが扱える特別な施設らしく、一般生徒は決して入ることの出来ない領域であるとのこと。
(絶対的な権力を行使しない代わりにこういう所で一般人との差別化をする……なるほどな)
非常に興味深い統治方法だ。
支配者、それは誰よりも高みの場所に立つ者を指し周りの者を平服させることを認められた絶対的存在だ。魔王である俺も力による支配を軸にして魔界の発展へと尽力してきた。それしか方法を知らなかったからだ。
この生徒会とやらの組織だって自分たちの利益のために学園生を無理矢理服従させ、学園内の絶対的支配者として君臨することも可能なはず。
だが現実では身分の高い者も低い者も互いに励まし合い、協力しながら学園生活を送っている。
(おかしな話だ……)
俺はその権力者として威厳のある装飾で彩られた扉の前でそう思う。
「イブリス殿、では中へ」
「は、はい」
重々しい扉を開け中に入るとそこは金銀白銀でコーティングされた豪勢なインテリアに翡翠で出来た巨大テーブルが大部屋の真ん中に豪快に置いてある。
(執務室といったところか)
「ではイブリス殿、そちらにおかけになってお待ちください。すぐにお飲み物をご用意させますので」
そういうとソリダスはテーブルの上に置いてあった小さなベルを鳴らし、使用人が部屋の中へと次々に入って来る。
「ソリダス様、ただいま参りました」
「ありがとう、この方にお飲み物を出してはくれないか?」
「かしこまりました」
そのメイド長と思わしき使用人は一礼をすると他のメイドを引き連れ、静かに去っていく。
(学園内にメイドか……どこかの貴族の館みたいだな)
メイド集団はすぐに部屋へと戻り、俺とソリダスの前に一杯の紅茶をそっと置く。
ソリダスはカップを手に取り、紅茶を一口含むと話を切り出してくる。
「ではそろそろ本題に移りましょう」
「は、はい……」
ゴクリ。
何を言われるのか見当がつかないため少し不安になり唾を飲む。
謎の緊張感がこの広い部屋一体に広がり、額からは汗がにじみ出てくる。
(さぁ何を言うんだ。何を求めて……)
「イブリス殿、私は貴殿を生徒会役員としてスカウトしたいと思っております」
「……はい?」
「生徒会役員として学園を共により良い学び舎として発展させてはいきませんか? これは誰に頼まれたわけでもありません。私個人の勝手な願いです」
いやいやいや、話の筋道が分からないんだけど!?
なぜ俺が生徒会に、どういう理由で?
そんなことを心中で思いつい表情に出てしまう。
すると彼はすぐさま、
「理由を述べてほしい……そうおっしゃりたいのですね?」
ソリダスには俺の言いたいことが分かるようだった。
まぁ、露骨にそんな表情をしてしまったら分かるよな……
俺は「はい」と一言発し、コクリと頷いて理由を求める。
その時だ。
「大変ですお兄様……! ってお客……様?」
いきなり扉がバタンと盛大な音を立てて開扉し、一人に美女が部屋の中へと滑り込んでくる。
そしてその美女は俺の顔を見るなり指を指し、
「あ、あなたは入学式の時に……」
「め、メイア……生徒会長?」
彼女の奥ゆかしさのあるその瞳はただ俺をじっと見つめるばかりであった。
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