49 / 160
49.作戦
しおりを挟む
「ほ、本当にこの方法でモンスターが寄って来るのでしょうか?」
「さぁ……どうだろうな」
「失敗して一気に襲い掛かってくるなんてことないよね?」
とある森林地帯にて。
俺たち三人はとあるモンスターを誘き寄せるべく、草むらに息を潜めていた。
「リベルさん、大丈夫でしょうか……」
「あの人は俺よりも冒険者歴は長いみたいだからな。それにA級冒険者として経験もある。その辺は大丈夫だと思うぞ」
「だといいんだけどねぇ~」
今、俺たちがこうしてコソコソとしているわけ。
それは数十分前の作戦会議へと遡る。
♦
「この鈴でモンスターを誘き寄せる……?」
「そう。今回討伐するモンスターの名はシャドウ・ビースト。名前の通り、影の如く素早い動きを得意とするモンスターで別名『幻影獣』とも呼ばれている」
「幻影獣……」
このモンスターは初耳だ。
俺は一度も戦ったことがない。
「聞いたことのないモンスターね。ランスは知ってるの?」
「いや、俺も知らない。初耳だ」
「それはそうさ。これは元々3人以上のパーティーを組む冒険者しか受注できない特殊なパーティークエストだからね。一応B級指定にはなっているけど、一人で立ち向かえばたとえS級冒険者でも手を焼くほどの厄介者さ」
なるほど、道理で知らないわけだ。
「でも、3人以上ならB級冒険者でも受注できるということは何か討伐のためのカラクリがあるという感じですか?」
「お、流石はランスくん。鋭いね。その通りだよ」
リベルはさっきの鈴を皆に見せながら、事細かな説明を話し始めた。
「そのシャドウ・ビーストというモンスターは幻影獣と呼ばれているだけあって姿を捉えるのが非常に難しい。その上、彼らは自分の外皮を透明化させる能力を持っていてね。その類稀なる隠密性から魔術師の探知魔法にも引っかからないんだ」
「ということは、奇襲がかなり得意なモンスター……ということでしょうか?」
「その通りです、ソフィア殿下」
「じゃあ、もしかしてこの鈴を渡したのはそのモンスターが音にまつわる何らかの弱点があるから……なのでしょうか?」
「おお、まさにその通りだよイリアさん! シャドウ・ビーストは音、特にこの鈴の音に敏感に反応するんだ」
続々と正解を導き出す俺たち三人。
でもこれで自分たちがこれから何をやるべきかが段々と見えてきた。
「ここまで分かっているなら、もう説明は不要だね。つまり、この鈴を使って一気に彼らを誘き寄せて、集まった瞬間に一斉攻撃するというのが今回の作戦なんだ」
最後に結論を述べ、締めるリベル。
だがここで一つ疑問が出てくる。
「あの、一つ質問良いですか?」
「なんだい?」
「その、誘き寄せるだけに使うならわざわざ全員鈴をつけなくてもいいのでは? 一人囮役として前線に出て、他の者はどこかに隠れて潜伏。集まってきたところを一気に叩くという方法の方がバラバラで戦うよりは確実だと思います」
「囮作戦……か。なるほど、確かにそっちの方が効率が良さそうだね」
「すみません、仕切る立場じゃないのに偉そうなことを……」
「いや、いいんだ。むしろ僕は積極的に意見を言ってほしいと思っている。それがパーティーを組むという利点でもあるからね」
意見交換。
連携。
これがソロとパーティーとの違いだとリベルは言う。
確かに一人だと意見交換はできないし、己の力のみを信じるしかない。
仲間という存在が出来て、頼れる者たちと協力できるからこその経験と言えよう。
「じゃあ、今日はランスくんが提案してくれた作戦で行きたいと思う。異論等があるものはここで手をあげてほしい」
リベルは皆を見渡しながら最終確認。
誰も手を上げないことを確認すると、
「異論はなし……かな。よし、じゃあこの作戦で行こう!」
こうして作戦内容が決まった。
「後は囮を誰がやるかだけど……」
「俺が行きましょうか? そもそもこの作戦を考案したのは俺ですし……」
「いや、ここは僕が行こう。ランスくんは実力的に攻撃の方に回ってほしい」
「い、いいんですか? 囮だなんて……」
「構わないさ。それに僕は物理職だ。自衛手段に関しては魔法職よりも多く持っている。問題はないよ」
「わ、分かりました……」
そんなわけで囮役はリベルということに。
こうして、大まかな作戦内容は決定した。
「よし、後は実戦あるのみだ。何かあったらすぐに大声か、この鈴を鳴らしてほしい。無理だけはしないでくれよ?」
「「「「「はい!」」」」」
とまぁこんな感じで俺たちはモンスター討伐に向かったのだった。
♦
そして話は今に至る。
今ちょうどリベルが鈴を持ち、モンスターたちを誘き寄せようとしているところだった。
「あの鈴を鳴らしてモンスターが出てきた瞬間に叩けばいいのよね?」
「作戦ではそうなっているよ」
一応こちらが奇襲に失敗しても反対側にはボルさんとルナさんがいる。
無理だと思ったら下がってほしいとのことだ。
「な、なんか緊張します……」
「リラックスだ、ソフィア。大丈夫、何かあったら俺が絶対に守るから」
「ら、ランス……」
謎に見つめ合う俺たち。
それをじーっと背後で見る者が一人。
目を細め、呆れ顔で俺たちを見てくる。
「まったく……こんな時にイチャイチャしないでよ」
「べ、別にイチャイチャだなんて……!」
「そ、そうですよ! そもそもわたしたちは――!」
――チリンチリン
と、そんな会話をしている中、鈴の音が森全体に響き渡った。
「さぁ……どうだろうな」
「失敗して一気に襲い掛かってくるなんてことないよね?」
とある森林地帯にて。
俺たち三人はとあるモンスターを誘き寄せるべく、草むらに息を潜めていた。
「リベルさん、大丈夫でしょうか……」
「あの人は俺よりも冒険者歴は長いみたいだからな。それにA級冒険者として経験もある。その辺は大丈夫だと思うぞ」
「だといいんだけどねぇ~」
今、俺たちがこうしてコソコソとしているわけ。
それは数十分前の作戦会議へと遡る。
♦
「この鈴でモンスターを誘き寄せる……?」
「そう。今回討伐するモンスターの名はシャドウ・ビースト。名前の通り、影の如く素早い動きを得意とするモンスターで別名『幻影獣』とも呼ばれている」
「幻影獣……」
このモンスターは初耳だ。
俺は一度も戦ったことがない。
「聞いたことのないモンスターね。ランスは知ってるの?」
「いや、俺も知らない。初耳だ」
「それはそうさ。これは元々3人以上のパーティーを組む冒険者しか受注できない特殊なパーティークエストだからね。一応B級指定にはなっているけど、一人で立ち向かえばたとえS級冒険者でも手を焼くほどの厄介者さ」
なるほど、道理で知らないわけだ。
「でも、3人以上ならB級冒険者でも受注できるということは何か討伐のためのカラクリがあるという感じですか?」
「お、流石はランスくん。鋭いね。その通りだよ」
リベルはさっきの鈴を皆に見せながら、事細かな説明を話し始めた。
「そのシャドウ・ビーストというモンスターは幻影獣と呼ばれているだけあって姿を捉えるのが非常に難しい。その上、彼らは自分の外皮を透明化させる能力を持っていてね。その類稀なる隠密性から魔術師の探知魔法にも引っかからないんだ」
「ということは、奇襲がかなり得意なモンスター……ということでしょうか?」
「その通りです、ソフィア殿下」
「じゃあ、もしかしてこの鈴を渡したのはそのモンスターが音にまつわる何らかの弱点があるから……なのでしょうか?」
「おお、まさにその通りだよイリアさん! シャドウ・ビーストは音、特にこの鈴の音に敏感に反応するんだ」
続々と正解を導き出す俺たち三人。
でもこれで自分たちがこれから何をやるべきかが段々と見えてきた。
「ここまで分かっているなら、もう説明は不要だね。つまり、この鈴を使って一気に彼らを誘き寄せて、集まった瞬間に一斉攻撃するというのが今回の作戦なんだ」
最後に結論を述べ、締めるリベル。
だがここで一つ疑問が出てくる。
「あの、一つ質問良いですか?」
「なんだい?」
「その、誘き寄せるだけに使うならわざわざ全員鈴をつけなくてもいいのでは? 一人囮役として前線に出て、他の者はどこかに隠れて潜伏。集まってきたところを一気に叩くという方法の方がバラバラで戦うよりは確実だと思います」
「囮作戦……か。なるほど、確かにそっちの方が効率が良さそうだね」
「すみません、仕切る立場じゃないのに偉そうなことを……」
「いや、いいんだ。むしろ僕は積極的に意見を言ってほしいと思っている。それがパーティーを組むという利点でもあるからね」
意見交換。
連携。
これがソロとパーティーとの違いだとリベルは言う。
確かに一人だと意見交換はできないし、己の力のみを信じるしかない。
仲間という存在が出来て、頼れる者たちと協力できるからこその経験と言えよう。
「じゃあ、今日はランスくんが提案してくれた作戦で行きたいと思う。異論等があるものはここで手をあげてほしい」
リベルは皆を見渡しながら最終確認。
誰も手を上げないことを確認すると、
「異論はなし……かな。よし、じゃあこの作戦で行こう!」
こうして作戦内容が決まった。
「後は囮を誰がやるかだけど……」
「俺が行きましょうか? そもそもこの作戦を考案したのは俺ですし……」
「いや、ここは僕が行こう。ランスくんは実力的に攻撃の方に回ってほしい」
「い、いいんですか? 囮だなんて……」
「構わないさ。それに僕は物理職だ。自衛手段に関しては魔法職よりも多く持っている。問題はないよ」
「わ、分かりました……」
そんなわけで囮役はリベルということに。
こうして、大まかな作戦内容は決定した。
「よし、後は実戦あるのみだ。何かあったらすぐに大声か、この鈴を鳴らしてほしい。無理だけはしないでくれよ?」
「「「「「はい!」」」」」
とまぁこんな感じで俺たちはモンスター討伐に向かったのだった。
♦
そして話は今に至る。
今ちょうどリベルが鈴を持ち、モンスターたちを誘き寄せようとしているところだった。
「あの鈴を鳴らしてモンスターが出てきた瞬間に叩けばいいのよね?」
「作戦ではそうなっているよ」
一応こちらが奇襲に失敗しても反対側にはボルさんとルナさんがいる。
無理だと思ったら下がってほしいとのことだ。
「な、なんか緊張します……」
「リラックスだ、ソフィア。大丈夫、何かあったら俺が絶対に守るから」
「ら、ランス……」
謎に見つめ合う俺たち。
それをじーっと背後で見る者が一人。
目を細め、呆れ顔で俺たちを見てくる。
「まったく……こんな時にイチャイチャしないでよ」
「べ、別にイチャイチャだなんて……!」
「そ、そうですよ! そもそもわたしたちは――!」
――チリンチリン
と、そんな会話をしている中、鈴の音が森全体に響き渡った。
14
あなたにおすすめの小説
えっ、能力なしでパーティ追放された俺が全属性魔法使い!? ~最強のオールラウンダー目指して謙虚に頑張ります~
たかたちひろ【令嬢節約ごはん23日発売】
ファンタジー
コミカライズ10/19(水)開始!
2024/2/21小説本編完結!
旧題:えっ能力なしでパーティー追放された俺が全属性能力者!? 最強のオールラウンダーに成り上がりますが、本人は至って謙虚です
※ 書籍化に伴い、一部範囲のみの公開に切り替えられています。
※ 書籍化に伴う変更点については、近況ボードを確認ください。
生まれつき、一人一人に魔法属性が付与され、一定の年齢になると使うことができるようになる世界。
伝説の冒険者の息子、タイラー・ソリス(17歳)は、なぜか無属性。
勤勉で真面目な彼はなぜか報われておらず、魔法を使用することができなかった。
代わりに、父親から教わった戦術や、体術を駆使して、パーティーの中でも重要な役割を担っていたが…………。
リーダーからは無能だと疎まれ、パーティーを追放されてしまう。
ダンジョンの中、モンスターを前にして見捨てられたタイラー。ピンチに陥る中で、その血に流れる伝説の冒険者の能力がついに覚醒する。
タイラーは、全属性の魔法をつかいこなせる最強のオールラウンダーだったのだ! その能力のあまりの高さから、あらわれるのが、人より少し遅いだけだった。
タイラーは、その圧倒的な力で、危機を回避。
そこから敵を次々になぎ倒し、最強の冒険者への道を、駆け足で登り出す。
なにせ、初の強モンスターを倒した時点では、まだレベル1だったのだ。
レベルが上がれば最強無双することは約束されていた。
いつか彼は血をも超えていくーー。
さらには、天下一の美女たちに、これでもかと愛されまくることになり、モフモフにゃんにゃんの桃色デイズ。
一方、タイラーを追放したパーティーメンバーはというと。
彼を失ったことにより、チームは瓦解。元々大した力もないのに、タイラーのおかげで過大評価されていたパーティーリーダーは、どんどんと落ちぶれていく。
コメントやお気に入りなど、大変励みになっています。お気軽にお寄せくださいませ!
・12/27〜29 HOTランキング 2位 記録、維持
・12/28 ハイファンランキング 3位
最難関ダンジョンをクリアした成功報酬は勇者パーティーの裏切りでした
新緑あらた
ファンタジー
最難関であるS級ダンジョン最深部の隠し部屋。金銀財宝を前に告げられた言葉は労いでも喜びでもなく、解雇通告だった。
「もうオマエはいらん」
勇者アレクサンダー、癒し手エリーゼ、赤魔道士フェルノに、自身の黒髪黒目を忌避しないことから期待していた俺は大きなショックを受ける。
ヤツらは俺の外見を受け入れていたわけじゃない。ただ仲間と思っていなかっただけ、眼中になかっただけなのだ。
転生者は曾祖父だけどチートは隔世遺伝した「俺」にも受け継がれています。
勇者達は大富豪スタートで貧民窟の住人がゴールです(笑)
無能扱いされ、パーティーを追放されたおっさん、実はチートスキル持ちでした。戻ってきてくれ、と言ってももう遅い。田舎でゆったりスローライフ。
さくら
ファンタジー
かつて勇者パーティーに所属していたジル。
だが「無能」と嘲られ、役立たずと追放されてしまう。
行くあてもなく田舎の村へ流れ着いた彼は、鍬を振るい畑を耕し、のんびり暮らすつもりだった。
――だが、誰も知らなかった。
ジルには“世界を覆すほどのチートスキル”が隠されていたのだ。
襲いかかる魔物を一撃で粉砕し、村を脅かす街の圧力をはねのけ、いつしか彼は「英雄」と呼ばれる存在に。
「戻ってきてくれ」と泣きつく元仲間? もう遅い。
俺はこの村で、仲間と共に、気ままにスローライフを楽しむ――そう決めたんだ。
無能扱いされたおっさんが、実は最強チートで世界を揺るがす!?
のんびり田舎暮らし×無双ファンタジー、ここに開幕!
元おっさんの俺、公爵家嫡男に転生~普通にしてるだけなのに、次々と問題が降りかかってくる~
おとら@ 書籍発売中
ファンタジー
アルカディア王国の公爵家嫡男であるアレク(十六歳)はある日突然、前触れもなく前世の記憶を蘇らせる。
どうやら、それまでの自分はグータラ生活を送っていて、ろくでもない評判のようだ。
そんな中、アラフォー社畜だった前世の記憶が蘇り混乱しつつも、今の生活に慣れようとするが……。
その行動は以前とは違く見え、色々と勘違いをされる羽目に。
その結果、様々な女性に迫られることになる。
元婚約者にしてツンデレ王女、専属メイドのお調子者エルフ、決闘を仕掛けてくるクーデレ竜人姫、世話をすることなったドジっ子犬耳娘など……。
「ハーレムは嫌だァァァァ! どうしてこうなった!?」
今日も、そんな彼の悲鳴が響き渡る。
【コミカライズ決定】勇者学園の西園寺オスカー~実力を隠して勇者学園を満喫する俺、美人生徒会長に目をつけられたので最強ムーブをかましたい~
エース皇命
ファンタジー
【HOTランキング2位獲得作品】
【第5回一二三書房Web小説大賞コミカライズ賞】
~ポルカコミックスでの漫画化(コミカライズ)決定!~
ゼルトル勇者学園に通う少年、西園寺オスカーはかなり変わっている。
学園で、教師をも上回るほどの実力を持っておきながらも、その実力を隠し、他の生徒と同様の、平均的な目立たない存在として振る舞うのだ。
何か実力を隠す特別な理由があるのか。
いや、彼はただ、「かっこよさそう」だから実力を隠す。
そんな中、隣の席の美少女セレナや、生徒会長のアリア、剣術教師であるレイヴンなどは、「西園寺オスカーは何かを隠している」というような疑念を抱き始めるのだった。
貴族出身の傲慢なクラスメイトに、彼と対峙することを選ぶ生徒会〈ガーディアンズ・オブ・ゼルトル〉、さらには魔王まで、西園寺オスカーの前に立ちはだかる。
オスカーはどうやって最強の力を手にしたのか。授業や試験ではどんなムーブをかますのか。彼の実力を知る者は現れるのか。
世界を揺るがす、最強中二病主人公の爆誕を見逃すな!
※小説家になろう、カクヨム、pixivにも投稿中。
「お前の戦い方は地味すぎる」とギルドをクビになったおっさん、その正体は大陸を震撼させた伝説の暗殺者。
夏見ナイ
ファンタジー
「地味すぎる」とギルドをクビになったおっさん冒険者アラン(40)。彼はこれを機に、血塗られた過去を捨てて辺境の村で静かに暮らすことを決意する。その正体は、10年前に姿を消した伝説の暗殺者“神の影”。
もう戦いはこりごりなのだが、体に染みついた暗殺術が無意識に発動。気配だけでチンピラを黙らせ、小石で魔物を一撃で仕留める姿が「神業」だと勘違いされ、噂が噂を呼ぶ。
純粋な少女には師匠と慕われ、元騎士には神と崇められ、挙句の果てには王女や諸国の密偵まで押しかけてくる始末。本人は畑仕事に精を出したいだけなのに、彼の周りでは勝手に伝説が更新されていく!
最強の元暗殺者による、勘違いスローライフファンタジー、開幕!
自分が作ったSSSランクパーティから追放されたおっさんは、自分の幸せを求めて彷徨い歩く。〜十数年酷使した体は最強になっていたようです〜
ねっとり
ファンタジー
世界一強いと言われているSSSランクの冒険者パーティ。
その一員であるケイド。
スーパーサブとしてずっと同行していたが、パーティメンバーからはただのパシリとして使われていた。
戦闘は役立たず。荷物持ちにしかならないお荷物だと。
それでも彼はこのパーティでやって来ていた。
彼がスカウトしたメンバーと一緒に冒険をしたかったからだ。
ある日仲間のミスをケイドのせいにされ、そのままパーティを追い出される。
途方にくれ、なんの目的も持たずにふらふらする日々。
だが、彼自身が気付いていない能力があった。
ずっと荷物持ちやパシリをして来たケイドは、筋力も敏捷も凄まじく成長していた。
その事実をとあるきっかけで知り、喜んだ。
自分は戦闘もできる。
もう荷物持ちだけではないのだと。
見捨てられたパーティがどうなろうと知ったこっちゃない。
むしろもう自分を卑下する必要もない。
我慢しなくていいのだ。
ケイドは自分の幸せを探すために旅へと出る。
※小説家になろう様でも連載中
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる