107 / 458
第一巻
★神宮のお祭りに樹里と一緒に行こう~宣言以降初の二人で夜遊び~
しおりを挟む
そして樹里は今日はずっと横にいる。
授業の時は別々だが、それ以外はほぼ一緒。休憩時間も来るし(毎度は来ないけど)お昼は樹里のクラスに呼び出し、帰りも一緒だった。
いつもならどっかで遊んでくるのだが、今日は僕と二人で自転車を押しながら帰ってくれた。
自転車の調子も少し悪そうだった。あいつ酷使しすぎやからなあ。
いつもメンテナンスしてくれる自転車屋兼自動車屋さんのところに、帰りに二人で寄った。
別にそれだけいても僕は嫌じゃないし、話題にも事欠かない。
なんてことはない日常なんだけど、樹里といるだけでホント楽しい。
あいつも多分そう思ってくれている気がする。そのお互いの思いが、時間を豊かなものにするのかな?と、手探りながらに感じている。
けど、他の生徒から近所のおっさんまで羨望のまなざしが痛いほど刺さった。
きっと激しい銃撃シーンなら、これでもかというぐらいの滅多撃ちだろう。
でもひょっとして……監視してる、僕のこと?
当然、樹里と晩飯を食べた。
もう祭りに行く気がなかったので、駅前のショッピングモールの中にあるスーパーで、一緒に買い物をしてモダン焼きを僕が作った。
山芋たっぷり擦って、豚肉と海老をたっぷり。鰹節と青のりもたっぷり入れて作ったんだ。
お互い歯に青のりがついていて笑いあった。
どうしても材料が多くなり作りすぎたが、樹里はとても喜んで食べてくれた。
普通に風呂に入り、部屋に戻るタイミングだったが、今日は樹里は戻らない。
髪はわざわざこちらのダイニングまでドライヤーを持ってきて乾かした。
Tシャツにホットパンツ。足を思いきり出していて、椅子にちゃんと座らず、椅子の上で片方の足を三角に折っている。
もうこないだのすごい青タンは引いているようだ。治りもトカゲ並みに早い。
スマホを見てダイニングでニタニタしている風だが、時折僕と目が合う。
日頃はほぼ合わないのに。
★辻本の視界
「ごめん、ちょっと……こないだまで来ていた子が今日突然無理ってなって……本当にすみません、ちょっとそっち一人不足で夜回りを行うことになります。はい。はい。もしあかんかったらシフトが被らない程度で、俺、そっちも出ますよ?……ああ、はい。大丈夫ですか? はい、はい、本当にすみませんでした。以後このようなことがないように気をつけます。はい、すみません、どうも」
電話を切った。会館の裏、神宮の木々が生い茂るところで謝罪の電話をしていた。
溜息が出る。
あの女、とんだ食わせ物だった。今日の開始一時間前に突然〈やっぱり無理ですごめんなさい〉だと。
「ふざけんな」
最初、樹里ちゃんが割とかわいがっているように見えたから、良かれと思って色々フォロー入れたり、今回の祭りの役割者も誘ってあげて交流の場を広げていけたらいいなあと思ったのに。
ただちょっと前に大成君から、「樹里ちゃん、田中さんとはもう関係ないからそっちで適当にやって」と言われたと報告は入ってた。
まあ何かあったんやろうなあ。というか、
「こんな女なら、そらあちこちでなんかヤラかすわ」
いじめも今のところ消えたし、俺も田中さんにはもう関わらないでおこう。
★辻本の視界 終了
僕は食洗器に洗い物を並べていって、専用洗剤を入れていた。あとはフライパンの汚れをしっかりと洗い落とすだけだ。
「……へえー、あにぃ」
樹里はまだずっと部屋に戻らず、ダイニングにいたまま。
そのまま僕の後片付けを手伝うでもなく、けどチラチラ僕を監視している様子だった。
「どうしたん?」
「らんと亜子が神宮におるねんて」
「へえ、らんちゃん出れたんやね」
「うん、そうみたい。で、あにぃのクラスの男子とおるみたいよ」
心当たりあるか?という笑顔で俺を見る。
「あ、それって僕繋がり?」
「まあそうやろうなあ、あにぃしか繋げるもんおらんしなあ」
「そっかそっか」
「……ちょっと行こか」
「ええ?でももう遅いで。今からやったら何分発の電車か分からんし、最悪四十分ぐらい待たなあかんくなるで」
「あれあるやん」
「……ああ、あれで行く?」
「うん、行こ行こ。私たちの初夜遊びしよ」
ニンマリと満足げに樹里が笑う。
「ああ(笑)」
初ではないが、樹里の宣言後「初」である。
こういうところ、可愛くて、格好良いんだよな……
「うんうん。ちょっと顔出すだけやから、パッとあれでいって、パッと帰ってこよう」
「……そうやな、ちょっとモヤモヤするし、行こか」
「モヤモヤ?」
「うん、ひょっとしたら、樹里から渡されていた宿題が、できたかもしれん」
「……ああー後で聞こうか。よっしゃ、着替えてくるわ長ズボンに。あ、あとロンTの方がええなあ」
「フライパンだけしっかり洗わせてくれ~」
授業の時は別々だが、それ以外はほぼ一緒。休憩時間も来るし(毎度は来ないけど)お昼は樹里のクラスに呼び出し、帰りも一緒だった。
いつもならどっかで遊んでくるのだが、今日は僕と二人で自転車を押しながら帰ってくれた。
自転車の調子も少し悪そうだった。あいつ酷使しすぎやからなあ。
いつもメンテナンスしてくれる自転車屋兼自動車屋さんのところに、帰りに二人で寄った。
別にそれだけいても僕は嫌じゃないし、話題にも事欠かない。
なんてことはない日常なんだけど、樹里といるだけでホント楽しい。
あいつも多分そう思ってくれている気がする。そのお互いの思いが、時間を豊かなものにするのかな?と、手探りながらに感じている。
けど、他の生徒から近所のおっさんまで羨望のまなざしが痛いほど刺さった。
きっと激しい銃撃シーンなら、これでもかというぐらいの滅多撃ちだろう。
でもひょっとして……監視してる、僕のこと?
当然、樹里と晩飯を食べた。
もう祭りに行く気がなかったので、駅前のショッピングモールの中にあるスーパーで、一緒に買い物をしてモダン焼きを僕が作った。
山芋たっぷり擦って、豚肉と海老をたっぷり。鰹節と青のりもたっぷり入れて作ったんだ。
お互い歯に青のりがついていて笑いあった。
どうしても材料が多くなり作りすぎたが、樹里はとても喜んで食べてくれた。
普通に風呂に入り、部屋に戻るタイミングだったが、今日は樹里は戻らない。
髪はわざわざこちらのダイニングまでドライヤーを持ってきて乾かした。
Tシャツにホットパンツ。足を思いきり出していて、椅子にちゃんと座らず、椅子の上で片方の足を三角に折っている。
もうこないだのすごい青タンは引いているようだ。治りもトカゲ並みに早い。
スマホを見てダイニングでニタニタしている風だが、時折僕と目が合う。
日頃はほぼ合わないのに。
★辻本の視界
「ごめん、ちょっと……こないだまで来ていた子が今日突然無理ってなって……本当にすみません、ちょっとそっち一人不足で夜回りを行うことになります。はい。はい。もしあかんかったらシフトが被らない程度で、俺、そっちも出ますよ?……ああ、はい。大丈夫ですか? はい、はい、本当にすみませんでした。以後このようなことがないように気をつけます。はい、すみません、どうも」
電話を切った。会館の裏、神宮の木々が生い茂るところで謝罪の電話をしていた。
溜息が出る。
あの女、とんだ食わせ物だった。今日の開始一時間前に突然〈やっぱり無理ですごめんなさい〉だと。
「ふざけんな」
最初、樹里ちゃんが割とかわいがっているように見えたから、良かれと思って色々フォロー入れたり、今回の祭りの役割者も誘ってあげて交流の場を広げていけたらいいなあと思ったのに。
ただちょっと前に大成君から、「樹里ちゃん、田中さんとはもう関係ないからそっちで適当にやって」と言われたと報告は入ってた。
まあ何かあったんやろうなあ。というか、
「こんな女なら、そらあちこちでなんかヤラかすわ」
いじめも今のところ消えたし、俺も田中さんにはもう関わらないでおこう。
★辻本の視界 終了
僕は食洗器に洗い物を並べていって、専用洗剤を入れていた。あとはフライパンの汚れをしっかりと洗い落とすだけだ。
「……へえー、あにぃ」
樹里はまだずっと部屋に戻らず、ダイニングにいたまま。
そのまま僕の後片付けを手伝うでもなく、けどチラチラ僕を監視している様子だった。
「どうしたん?」
「らんと亜子が神宮におるねんて」
「へえ、らんちゃん出れたんやね」
「うん、そうみたい。で、あにぃのクラスの男子とおるみたいよ」
心当たりあるか?という笑顔で俺を見る。
「あ、それって僕繋がり?」
「まあそうやろうなあ、あにぃしか繋げるもんおらんしなあ」
「そっかそっか」
「……ちょっと行こか」
「ええ?でももう遅いで。今からやったら何分発の電車か分からんし、最悪四十分ぐらい待たなあかんくなるで」
「あれあるやん」
「……ああ、あれで行く?」
「うん、行こ行こ。私たちの初夜遊びしよ」
ニンマリと満足げに樹里が笑う。
「ああ(笑)」
初ではないが、樹里の宣言後「初」である。
こういうところ、可愛くて、格好良いんだよな……
「うんうん。ちょっと顔出すだけやから、パッとあれでいって、パッと帰ってこよう」
「……そうやな、ちょっとモヤモヤするし、行こか」
「モヤモヤ?」
「うん、ひょっとしたら、樹里から渡されていた宿題が、できたかもしれん」
「……ああー後で聞こうか。よっしゃ、着替えてくるわ長ズボンに。あ、あとロンTの方がええなあ」
「フライパンだけしっかり洗わせてくれ~」
2
あなたにおすすめの小説
クラスメイトの王子様系女子をナンパから助けたら。
桜庭かなめ
恋愛
高校2年生の白石洋平のクラスには、藤原千弦という女子生徒がいる。千弦は美人でスタイルが良く、凛々しく落ち着いた雰囲気もあるため「王子様」と言われて人気が高い。千弦とは教室で挨拶したり、バイト先で接客したりする程度の関わりだった。
とある日の放課後。バイトから帰る洋平は、駅前で男2人にナンパされている千弦を見つける。普段は落ち着いている千弦が脚を震わせていることに気付き、洋平は千弦をナンパから助けた。そのときに洋平に見せた笑顔は普段みんなに見せる美しいものではなく、とても可愛らしいものだった。
ナンパから助けたことをきっかけに、洋平は千弦との関わりが増えていく。
お礼にと放課後にアイスを食べたり、昼休みに一緒にお昼ご飯を食べたり、お互いの家に遊びに行ったり。クラスメイトの王子様系女子との温かくて甘い青春ラブコメディ!
※特別編4がスタートしました! 既に完成しており、全8話でお送りします(2026.2.15)
※1日1話ずつ公開していく予定です。
※小説家になろうとカクヨムでも公開しています。
※お気に入り登録、いいね、感想などお待ちしております。
百合ランジェリーカフェにようこそ!
楠富 つかさ
青春
主人公、下条藍はバイトを探すちょっと胸が大きい普通の女子大生。ある日、同じサークルの先輩からバイト先を紹介してもらうのだが、そこは男子禁制のカフェ併設ランジェリーショップで!?
ちょっとハレンチなお仕事カフェライフ、始まります!!
※この物語はフィクションであり実在の人物・団体・法律とは一切関係ありません。
表紙画像はAIイラストです。下着が生成できないのでビキニで代用しています。
どうしよう私、弟にお腹を大きくさせられちゃった!~弟大好きお姉ちゃんの秘密の悩み~
さいとう みさき
恋愛
「ま、まさか!?」
あたし三鷹優美(みたかゆうみ)高校一年生。
弟の晴仁(はると)が大好きな普通のお姉ちゃん。
弟とは凄く仲が良いの!
それはそれはものすごく‥‥‥
「あん、晴仁いきなりそんなのお口に入らないよぉ~♡」
そんな関係のあたしたち。
でもある日トイレであたしはアレが来そうなのになかなか来ないのも気にもせずスカートのファスナーを上げると‥‥‥
「うそっ! お腹が出て来てる!?」
お姉ちゃんの秘密の悩みです。
ヤンデレ美少女転校生と共に体育倉庫に閉じ込められ、大問題になりましたが『結婚しています!』で乗り切った嘘のような本当の話
桜井正宗
青春
――結婚しています!
それは二人だけの秘密。
高校二年の遙と遥は結婚した。
近年法律が変わり、高校生(十六歳)からでも結婚できるようになっていた。だから、問題はなかった。
キッカケは、体育倉庫に閉じ込められた事件から始まった。校長先生に問い詰められ、とっさに誤魔化した。二人は退学の危機を乗り越える為に本当に結婚することにした。
ワケありヤンデレ美少女転校生の『小桜 遥』と”新婚生活”を開始する――。
*結婚要素あり
*ヤンデレ要素あり
同じアパートに住む年上未亡人美女は甘すぎる。
ピコサイクス
青春
大学生の翔太は、一人暮らしを始めたばかり。
真下の階に住むのは、落ち着いた色気と優しさを併せ持つ大人の女性・水無瀬紗夜。
引っ越しの挨拶で出会った瞬間、翔太は心を奪われてしまう。
偶然にもアルバイト先のスーパーで再会した彼女は、翔太をすぐに採用し、温かく仕事を教えてくれる存在だった。
ある日の仕事帰り、ふたりで過ごす時間が増えていき――そして気づけば紗夜の部屋でご飯をご馳走になるほど親密に。
優しくて穏やかで――その色気に触れるたび、翔太の心は揺れていく。
大人の女性と大学生、甘くちょっぴり刺激的な同居生活(?)がはじまる。
わたしの下着 母の私をBBA~と呼ぶことのある息子がまさか...
MisakiNonagase
青春
39才の母・真知子は息子が私の下着を持ち出していることに気づいた。
ネットで同様の事象がないか調べると、案外多いようだ。
さて、真知子は息子を問い詰める? それとも気づかないふりを続けてあげるか?
そのほかに外伝も綴りました。
【完結】イケメンが邪魔して本命に告白できません
竹柏凪紗
青春
高校の入学式、芸能コースに通うアイドルでイケメンの如月風磨が普通科で目立たない最上碧衣の教室にやってきた。女子たちがキャーキャー騒ぐなか、風磨は碧衣の肩を抱き寄せ「お前、今日から俺の女な」と宣言する。その真意とウソつきたちによって複雑になっていく2人の結末とは──
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる