【R15】【第一作目完結】最強の妹・樹里の愛が僕に凄すぎる件【第二作目連載中】

木村 サイダー

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第二巻

★愛は冷めないうちに

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 深い瑠璃色の目でずいっと顔を寄せてきて、僕を見つめると……クスッと笑った。

「まあ、色々」
「なんだそりゃ……」

 今度はドンと音がするぐらい体を開いて僕の横に仰向けにひっくり返った。

「時間が過ぎ去ったんだよ。そこはもう取り戻せないからさ……過ぎ去ったんよ、きっと」
「そっかあ」
「うん」
「それで踏ん切りがついたんやな」
「うん……もう迷わない」
「よかったやん……そういうの、多喜恵さんにもさせてあげようぜ」
「そうやなあ、明日うまく行ったらええねんけど……あ! そうや? あにぃ?」
「うん?」

 また一瞬ガバッと来そうでおもいっきり構えてしまうが……違ったようだ。

「さっき、何もされへんだって言ったけど、それは多喜恵からは、されたとか、そういうんじゃないよね?」
「なんだその……一人の中に二人いるからどっちかが的なやつ……」

 そういえば多喜恵さん、よく僕をからかうのが好きなのか一晩限りのどうのこうの、時々言ってたっけ。あと魂のイケメン日本代表だ! みたいな。これは一度っきりでもお相手したいわ、みたいなやつな。あれも冷やかしのようなもんでしょうに。

 言うだけで実際にそうなりかけたことすらないし……ないよなあ……うん、ない。なんか記憶のどこかで引っかかりがあるような気もするけど、これぐらいの年頃はエッチな夢もたくさん見るしね。まあそういうことよ。

「なんもなかったよ」
「そうか……確かにどこからも臭わなかったから……じゃあ、多喜恵も堪忍してくれてたんかな……なんだかんだ言ってもやっぱあいつら良い奴らやなあ」

「だから、そうだってば」
「ああ……安心したらお腹空いてきたわ」

 また体を僕から離して楽に寝返りを楽しんでいるようだ。

「下りてご飯食べるか?」
「そうしようか」

「ちなみに樹里の刺身盛り合わせはもう皆で食ったからな」
「うっ!……うん」

 幸せそうな顔で寝転がっていたが、一瞬衝撃が走ったように固まったぞ。

「………………」
「………………」
「………………」
「……大丈夫か?」
「あいつ、そこは実行に移したんやな……」

 ボソッと呟く。

「あとビールも全部皆で飲んだからな」
「……やっぱり結衣は甘くはないなあ」

 やっぱり怖いなあ……最後の砦だけは置いといてくれるタイプの仕打ちするんやなあ……それって逆に怖いなあ……

 仰向けで一点集中で呟いている樹里を横目に転がっていたスマホを取ってみると、

 ≪メッセージを受信しました≫

 誰かから入っている。3通入ってる。
 開いてみれば、すべてらんちゃんだ。

 〈大丈夫ですか? ねーたま、なにかヤバいことになってますか?〉が30分前。
 〈大丈夫ですか?〉が10分前。
 〈そっちに行きましょか?〉が5分前だ。

 〈特に問題なし。今から降りるわ〉と入力……「ガチャ」

 下からドアが開けられた音がした。そして、

「にんたま? ねーたま? 大丈夫?」

 あ……来てしまった。

 慌てて僕らは二人離れる。樹里は布団の上で正座。
 僕は階段のところまで行ってらんちゃんを迎える。

「ああ、ごめんなあ、連絡遅くなって」

 下からこーちゃんと結衣さんと、階段を登ろうとしていたところだ。やはり不安そうな顔をしている。

「ううん、ねーたまは……?」
「うん、ちょっと再会と、そこでまたお別れしたらしいねん、それで気持ちの整理してて……途中、感極まったとこもあったみたいで……」

「ああ……そういうのですね……」

 多喜恵さんには通用しないが、凡人にはこれでいいと思う。

 一人ずつ階段を上がってきた。まずらんちゃんが見えたあたりで、樹里が正座のまま、頭を下げた。ただし布団の上だというところが樹里らしいというか、まだちょっと完全に反省しきってないというか……。

「このたびはごめんなさい! 勝手いたしました」
「おお?? そこまでしなくてよ、樹里さん」
「ねーたま、もう大丈夫だから、顔上げて」
「……気持ちは整いましたか?」

 多喜恵さん……いや、結衣さんか、だけは疑問形だった。表情はそんなに怖い顔はしていない。むしろ柔和な顔だ。

「はい……」

 顔を上げながら神妙な面持ちで返事を返す。しかし結衣さんとは目を合わせない。

「もうお兄さんにも、謝りましたか? お兄さんは樹里さんの代わりに、私たちの前で頭を下げました」
「ええ……? あにぃ、そんなこと……」

「たき……いや、結衣さん、別にそれは僕の役割だから」

「樹里さんが思う以上に、樹里さんのことを影で支えたり気を配ったり、たくさんの配慮をお兄さんはしています。そんな方に、不安を煽ったり、虚勢を張ったりするのはおやめなさい」

「………………」

 樹里は両手を膝の上で突っ張り、また口がへの字になって、俯き、下唇が少し突き出ている……。

 また来たらどうしよう……?

 きっと僕のことを真に思って結衣さんは言ってくれている……けど今、樹里は不安定だから……。

「あにぃ……ごめんな」

 ここからはちゃんと見えはしないが、また目が赤く潤んできているように思う。
 来る? 来る? 大丈夫?

「愛は冷めないうちに……ですよ。あとご飯も。さあ……紗良さんがレンチンごはん温めてくれてますから、早く食べに下に降りましょう! シラス丼が待ってます!」

 おお、樹里にとったらナイスタイミングやん。シラス丼は樹里も好きやな。

「じゃあ降りるね」

 らんちゃんとこーちゃんが、階段を降りてゆく。それに従って結衣さんも降りていく。
 僕は樹里の肩に触れる。樹里はすぐに僕の手を握る。

「ごめんな、私が強引にやらかしたことで、詫び入れてくれて……」
「気にすんなよ。さあ、下でご飯食べよう」

「うん、きっとあいつらそんなに怒ってないのんて、それがあると思うわ……私は、浅はかだ」

「これも言うとくべき事柄やったか……?」
「……いや、これは私が気を付けて、自ら気が付かなあかんことや」
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