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愛してくれる人と結ばれる事
しおりを挟む私は寂しい女。
家に帰れば、熊五郎と2人きり。
そんな生活に終止符を打つべく、私は瑠二君の写真を撮る事にしたの。そして部屋中に飾るの。全身で瑠二君を感じながら生活するのよ。その為に……
撮って、撮って撮って撮りまくるのよッッ!!
■■■■
早速いつもの如く、電柱の陰に隠れながら瑠二を尾行する。そして、彼が動く度にスマホの無音カメラのシャッターを切った。
一緒に歩いている友達らしき奴が邪魔くさいが、そのお陰で彼の笑顔も撮ることができた。
こら脇役A、瑠二君に被ってるのよ!邪魔だからどこか行って頂戴! ちょ、おい! 脇役B、お前は求めて無いわ! しかもなんでカメラ目線なの? ま、まさかこの私に気づいてるの!?
どんどん近づいてくる脇役B。呼びづらいので、B助と呼ぼう。B助は一直線に私に向かって歩いてくる。それに気づいたA助と瑠二君もこちらを見ている。
尾行が完全にバレてしまった……
そしてB助が私の目の前まで来ると、私を指さした。
「え? な、なにかしら?」
「もしかして俺のファン? それならそうと言ってください。俺なら逃げも隠れもしませんよ。さぁ、思う存分に撮ってください!」
ふざけんな、お前なんて眼中に無いのよ! 気安く話しかけないで頂戴! この脳内童貞畑がッッ!
心の中ではそう思いながらも、瑠二君の前では口が裂けてもそんな事は言えない。
腐っても彼は瑠二君の友人なのだ。
「いえ、違うんです。その、私は瑠二君に用がありまして……」
「え? そうなの? ちぇー、おい瑠二! 美女がお呼びだぞー、羨ましいヤツめ」
傍観者になっていた瑠二君は、B助に呼ばれた為こちらに近寄ってきた。
どんどん近づくその距離に思わず小さく胸元で手を振ってしまった。が、そんな私の想いとは裏腹に、彼の口から出た言葉は冷たい。
「菜抽子さん。また来たんですか? 本当、いい加減にしてくださいよ」
「あら、今日は冷たいのね瑠二君。もしかしてお友達の前だから照れてるのかしら?」
「いい加減に迷惑なんですよ。もう金輪際、俺の前に現れないで下さい。お願いします……」
友人達がオイオイと宥める素振りを見せるも、今日は今までで一番冷たくあしらわれた。
私はその言葉にガクッと肩を落とし、ショックのあまりトボトボと家に帰る事しか出来なかった。
■■■■
家に帰り布団に潜り込むと、いつもの様に涙が溢れてきた。
最も心に響いたのが『迷惑』という単語だった。その言葉が何度も何度も頭を過ぎり離れてくれない。
なんで? なんでなんで、なんで分かってくれないの……
私は迷惑なの? こんなに瑠二君を愛しているというのに……
世界で一番、私が瑠二君を愛している。その気持ちだけは誰にも負けない自信があるわ。
そうよ。世界で一番愛してくれる人と結ばれる事が、不幸な筈がないじゃない。そのための行いが迷惑な筈がないじゃない!
私の気持ちがまだ届いていないだけ。もっと頑張らなきゃ。たかが15回振られただけ。昔聞いたことがあるわ。101回プロポーズした人がいたって。私は瑠二君の幸せの為にも、絶対に諦めちゃ駄目だよね!
これはあなたの為なの、あなたの為なのよ。瑠二君……
私は気持ちの整理をつけ、布団の中でスマホに写る瑠二君の写真を眺めた。
あぁ……私の瑠二君……
───。
──。
─。
「あぁッ……ダメよ瑠二君……そんなにがっつかないで……」
「あっ……そ、そこは……んんっ……」
「わ、私……初めてなの……ゆっくり、お願い……」
気づけば私は、布団の中で自慰行為にふけっていた。
勿論、セックスは初めてなどでは無い。
何人かとの性経験位はある。
妄想する上で、こういうシチュエーションに憧れているだけだ。
ただ、愛のあるセックスはした事がない。
今まで付き合った男達は、ただの興味本意、流されただけ、若さ故の過ち。瑠二君に会ってそう気づかされた。
私の心は今尚、処女なのだ。
ビクッビクッと体が痙攣し、行為が終わる。そして再び舐めるように携帯の画面に目を落とす。
「あぁ……愛しい瑠二君……」
瑠二君といずれこうなる日が来るのね。でもどうなんだろう。瑠二君は私の裸を見て興奮してくれるのかな?勿論プロポーションには自信があるわ。でも性癖や感性は人それぞれ違うって言うし……
それは……………………とっても気になるわ。
──知りたいは罪ですか?──
■■■■
目的が見つかってからの行動は早い。 あれこれ考えた末に、私は探偵事務所に来ていた。
そして私はそこで瑠二君の携帯番号を入手したいと伝えたのだ。
電話番号とメールアドレスは3時間ほどで手に入った。多少お金はかかったが、驚く程簡単に入手できた。
世の中便利になったものだわ。
■■■■
そして次の日の朝。
私は瑠二君の家の前で身を潜め、彼が学校に出かけて家を空けるのを待った。
瑠二君が家を出たのを確認した後、前回侵入した窓に向かい手をかける。
するといとも容易く窓は開いた。
不用心ね瑠二君。私がお留守番をしてあげるわ。本当に世話のかかる子だこと。うふふ……
思わず上がる口角を抑えきれぬまま、慣れたように窓から部屋に忍び込む。
「ただいま、瑠二君。帰ってきたわよ」
あなたの彼女が──、
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