1 / 5
桜と幽霊の話
1.
しおりを挟む
何も、ここに縛り付けることはないじゃないか。
私は、そう神様を呪った。
桜にもたれ掛かるとどこかからかひょこっと子供が出てくる。
子供はキョロキョロと辺りを見回して私の所へと走ってくる。
「ねぇねぇ、お姉さん。」
少年は私に向かって話しかけてくる。
「今日は一段と元気だよね。どうしたのかな。少年。」
頬を紅潮させてソワソワとする素振りに私は嬉しいことがあったんだと察する。
男の子は私に向けて根っこごと引き抜いてきたであろうなずなを見せた。
「お姉さんにあげる。」
どこから連れてきたのかは分からないが…花が泣いていた。
「はぁ…いつも言っているでしょ?どこかから花を連れてくるのはよしてって。」
「でも、狭い道路の隙間にいたから。」
「そういうことじゃないの。ほら、花が泣いてる。」
渡された花を自分の根元に植えた。
「少年、ここは御神木がいる場所だって知っているのかい?」
「知ってる。その桜。」
「だったら。街の人達は来るなと言われてるでしょう。」
軽く怒るけど少年は泣くことも困ることもなく首を傾げる。
春になってからずっとこの調子だ。
私が居ることに気づいてからずっとここに来る。
他の花を連れて。
この前はオオイヌノフグリだっただろうか。
その前は…ホトケノザ。
沢山の花を連れてきては私に渡して帰っていくのだ。
「このナズナにも…」
「ぺんぺん草。」
「…ぺんぺん草にも生活しやすい場所があるんだからそこで静かに過ごさせてあげなさいな。」
「でも、1輪しか咲いてなくて寂しそうだったから。」
「それでも。わかった?」
「お姉さんも一緒でしょ?」
「うるさいわ。独り身で悪かったわね。」
少年は時にストレートに言葉を投げてくるから少し腹が立つ。
でも嫌いにはなれなかった。
拒む気にもなれなくてそのままにしていた。
「ほら、いつも通りそこに置いておいて。ちゃんと埋めるから。」
それは秋の半ばまで続いて。
結局花はすぐに朽ちてしまったけど、少年が懲りずに別の花を連れてくるから寂しくはなかった。
次に目を覚ます頃にはきっと、また春だろうと目を閉じた。
私は、そう神様を呪った。
桜にもたれ掛かるとどこかからかひょこっと子供が出てくる。
子供はキョロキョロと辺りを見回して私の所へと走ってくる。
「ねぇねぇ、お姉さん。」
少年は私に向かって話しかけてくる。
「今日は一段と元気だよね。どうしたのかな。少年。」
頬を紅潮させてソワソワとする素振りに私は嬉しいことがあったんだと察する。
男の子は私に向けて根っこごと引き抜いてきたであろうなずなを見せた。
「お姉さんにあげる。」
どこから連れてきたのかは分からないが…花が泣いていた。
「はぁ…いつも言っているでしょ?どこかから花を連れてくるのはよしてって。」
「でも、狭い道路の隙間にいたから。」
「そういうことじゃないの。ほら、花が泣いてる。」
渡された花を自分の根元に植えた。
「少年、ここは御神木がいる場所だって知っているのかい?」
「知ってる。その桜。」
「だったら。街の人達は来るなと言われてるでしょう。」
軽く怒るけど少年は泣くことも困ることもなく首を傾げる。
春になってからずっとこの調子だ。
私が居ることに気づいてからずっとここに来る。
他の花を連れて。
この前はオオイヌノフグリだっただろうか。
その前は…ホトケノザ。
沢山の花を連れてきては私に渡して帰っていくのだ。
「このナズナにも…」
「ぺんぺん草。」
「…ぺんぺん草にも生活しやすい場所があるんだからそこで静かに過ごさせてあげなさいな。」
「でも、1輪しか咲いてなくて寂しそうだったから。」
「それでも。わかった?」
「お姉さんも一緒でしょ?」
「うるさいわ。独り身で悪かったわね。」
少年は時にストレートに言葉を投げてくるから少し腹が立つ。
でも嫌いにはなれなかった。
拒む気にもなれなくてそのままにしていた。
「ほら、いつも通りそこに置いておいて。ちゃんと埋めるから。」
それは秋の半ばまで続いて。
結局花はすぐに朽ちてしまったけど、少年が懲りずに別の花を連れてくるから寂しくはなかった。
次に目を覚ます頃にはきっと、また春だろうと目を閉じた。
0
あなたにおすすめの小説
どうしよう私、弟にお腹を大きくさせられちゃった!~弟大好きお姉ちゃんの秘密の悩み~
さいとう みさき
恋愛
「ま、まさか!?」
あたし三鷹優美(みたかゆうみ)高校一年生。
弟の晴仁(はると)が大好きな普通のお姉ちゃん。
弟とは凄く仲が良いの!
それはそれはものすごく‥‥‥
「あん、晴仁いきなりそんなのお口に入らないよぉ~♡」
そんな関係のあたしたち。
でもある日トイレであたしはアレが来そうなのになかなか来ないのも気にもせずスカートのファスナーを上げると‥‥‥
「うそっ! お腹が出て来てる!?」
お姉ちゃんの秘密の悩みです。
大丈夫のその先は…
水姫
恋愛
実来はシングルマザーの母が再婚すると聞いた。母が嬉しそうにしているのを見るとこれまで苦労かけた分幸せになって欲しいと思う。
新しくできた父はよりにもよって医者だった。新しくできた兄たちも同様で…。
バレないように、バレないように。
「大丈夫だよ」
すいません。ゆっくりお待ち下さい。m(_ _)m
断罪された薔薇の話
倉真朔
恋愛
悪名高きロザリンドの断罪後、奇妙な病気にかかってしまった第二王子のルカ。そんなこと知るよしもなく、皇太子カイルと彼の婚約者のマーガレットはルカに元気になってもらおうと奮闘する。
ルカの切ない想いを誰が受け止めてくれるだろうか。
とても切ない物語です。
この作品は、カクヨム、小説家になろうにも掲載中。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる