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桜と幽霊の話
5.
しおりを挟む学生服もさすがに3ヶ月ほど毎日見ていると見慣れるもので必ず学校終わりに来るのかそのままで来ていた。
そんなある日に。
「はい。これ、どうやって育てればいいの。」
持っていたのは、桜の枝だった。
まだ若い。
「…どっから持ってきたのよ少年。」
「学校。挿木出来るって聞いたからお姉さんに友達増やしてあげようと。」
もちろんその桜の枝はまだ細く樹皮も緑だ。
「その無駄な知識はどこから?」
「学校ってそういうの勉強する場所でしょ。」
「…いいか少年。」
私は軽く息を吸って言葉を発した。
「桜は挿木だろうがなんだろうが折ったらだめなんだよ!その折れたところから出てくる樹液でもやられるしそこから根元まで腐ることだってあるんだからな?!普通なら癒合剤とかつけた方がいいのよ?!」
私はそれを一息で言った。
「…まぁ、別にこの枝成長自体はいいから親も死ぬことはないだろうけどさぁ…無駄なことはしない。いいわね。」
少年は少し視線を落としていて落ち込んでいるのが分かる。
言いすぎたか。
さすがにこれでは罪悪感ばかり生まれる。
「とりあえず…挿木なんて久しぶりだからあれだけど…やろうか。」
そういうとわかりやすく笑顔になり「ありがとう」と言われた。
まぁ…親株に悪いし。
「鋏、持ってくるからそこに置いときなさい。」
私は社から花の水揚げ用の鋏でささくれた所を軽く切る。
そして斜めに切って水につける。
枝は置いといて私は自分の所から離れて植える場所を探す。
「…あの桜の下には植えないの?」
「そんな事したら勿体ないじゃない。こればっかりは。」
芽も出ていて、まだ若いこれを枯らす訳にはいかないじゃないの。
…親株に悪いし。
本当は鉢でちゃんと育てた方がいいのだけどそんなものはもちろんない。
だってさっきの鋏も錆びてるくらいなのに。
2人で植えた枝を見て眉をひそめる。
「…これ本当に芽が出るの?」
「少年、あんたが持ってきたんでしょ。」
「…そうだけどさ。」
「半年もたてば育つわよ。きっと。」
その枝の成長を見ながら、秋まで過ごした。
眠る前にはその枝は地面に根付いていた。
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