君と1日夢の旅

宵月

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君と2人思い出話

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「ふあぁ~…着いたね!」


「その感動の声は誰からも聞いたことないな…」


気の抜ける感動の声を聞いて僕は抱いたまま歩き出した。


電車内のことは…もう気にしないことにした。


ぬいぐるみが動いてるし喋っているというのに誰も気にしないのだから。


つくねが座っている席を誰一人とる人はいなかった。


…僕の知っているぬいぐるみと全然違う。


「ちなみにユヤワヤに行ってどうする気?」


「えっと…布を見る?」


「…決まってないのはよくわかったよ。」


「さすがにボクと同じ布はないでしょ?」


「少なくとも15年は前だからね。」


「ボクって結構流生がちっちゃい時から一緒だったんだね!」


「貰ったの…確か4歳とか物心ついた時辺りからだもん。」


鮮明に覚えている。


車椅子の軋む音と、撫でられた手の温かさまで。


「…流生?」


「…ん、ああ、行こうか。」


歩き出そうとするつくねを抱き上げ歩き出した。


案外小さい頃の記憶だけでも歩けるものだ。


大きいビルや、新しい建物が建っても街の道筋や、風景が酷く変わってることはないからだ。


「よく母親とおばあちゃんに付き合わされたんだ。」


そう話し出すとつくねは少し驚いた顔をしているがそのまま話を聞いてくれる。


「ボタンとか、レースとか、布とか、なんにも分からなくてつまんない場所だと思ってた。」


「ボクのことよく連れてきてたもんね。暇になるとボクに話しかけてきてたでしょ。」


「2人とも布やボタンに夢中で楽しそうだったからね。早く公園に行きたいなんて言うのは子供なりに遠慮してたんだよ。」


その光景は、すぐに思い浮かんだ。


布を手に取ってどれが好き?と聞かれたのを覚えている。


「店の布を全部見たかと思う程見たのに飽きないおばあちゃんが、幸せそうだった。」


変わらないような布。


そういえばおばあちゃんはこの丸の大きさは違うんだと、怒って来た。


拗ねていれば美味しいおやつをくれていたが。


「忘れてたよ。すっかり。遊んだことも。」


「そっか。おばあちゃんは、ボクのお母さんは、やっぱり優しかったんだね。」


「ああ、優しかったよ。」


そこから、つくねと話すことはなかった。

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