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第2話 もう5回ガチャ引こう
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……いやいやいや。
「乱数調整」て……俺は一体、このスキルをどう生活に役立てたらいいんだ。
乱数調整といえばアレだろ?
運要素が強いゲームで常に好プレイができる、みたいなやつ。
例えば人生ゲームで、良いイベントが起こるマスばかりに止まれるサイコロの目ばかりでる、的な……。
これ、現実じゃ全くと言って良いほど役に立たないよな。
俺だってゲームは好きだし、乱数調整を自力でできるってのにワクワクしない訳ではないのだが……「これに1万円使った」ってことを考慮すると、全然価値に見合ってないような。
こんなのを引くくらいなら、まだ「空中浮遊」の方が役に立つと言えるかもしれない。
空中浮遊ならまだ、「ショッピグモールでエレベーターを待つ必要がなくなる」程度の使い道はありそうだからな。
……うん。
これに懲りて、もう二度とガチャは引かないことにしよう。
俺はそう決意して、ガチャマシーンの元を離れることにした。
◇
次の日。
俺は会社帰りにコンビニに寄り、おやつにアイスバーを一本買ったのだが……そこでちょっと、珍しいことが起こった。
なんと、俺が買ったアイスバーから「当たり」が出たのである。
「お、ラッキー。んじゃあこれでもう一本食うか」
俺は再びコンビニに入店し、レジにて当たりのバーを見せた。
店員はバーを受け取ると、笑顔でこう言った。
「おめでとうございます。じゃあ景品として、こちらの宝くじを差し上げますね」
……え?
追加のアイスバーを貰えるものとばかり思っていた俺は……そこで一瞬、思考停止に陥ってしまった。
……景品、宝くじだと?
なんでアイスバーじゃないんだ?
「あの……もう一本アイスバーを貰えるんじゃないんですか?」
「普段はそうなんですけど……ただ今キャンペーン中でして、アイスバーの代わりに宝くじを一枚差し上げることになってるんです」
「そ……そうなんですか」
質問すると、店員はそう事情を説明してくれた。
うわ、いらない。
超いらない。
普通の景品の方がよっぽど嬉しかったぞ。
予想外の事態に、俺のテンションはがっくりと下がってしまった。
いくらキャンペーン中とはいえ、景品は選択制にしてくれればいいものを……。
まあ手に入らないものについて愚痴ったって、仕方がないけどな。
俺は生まれてから、ただの一度も宝くじを引いたことはないのだが……せっかく手に入った券を捨てるのももったいないので、引くだけ引いてみることにした。
イートインスペースに座り、胸ポケットのボールペンで指定された個数の数字を塗りつぶしていく。
何度か手が滑って、思っていたのと違う数字を塗りつぶしてしまったりもしたが、特に気にはしなかった。
こういう系統のものには、ハナから1ミリも期待しない性格だからな。
選択する番号に、特にこだわりなど無いのだ。
とはいえ、どうせなら当たってくれた方が嬉しいのは確かだが。
あんまり大金が手に入ってもそれはそれで怖いし、高額当選にならない程度がいいな。
数字のマークを終えた申込カードを店員に渡し、番号が印刷された券を受け取った。
そして俺は、当選結果の発表を待つことにした。
◇
そして、当選発表の日。
「おめでとうございます! こちら当選金の5万円になります」
俺は宝くじ売り場で、番号券と引き換えに5万円を受け取ったのだった。
……マジで当たってしまったな。
しかも俺が望んでた通り、「高額当選扱いにならない上限」の5万円がだ。
全く、皮肉なものだ。
毎週のように宝くじを買い続けてもさっぱり当たらない人もいる中、宝くじなんかとは生涯無縁だとばかり思っていた俺が1発で当ててしまうんだからな。
こういうことをきっかけに、人はギャンブルの沼にはまってしまうもんなんだろうな。
もっとも、俺が今後自分の給料で宝くじを買うことはないがな。
おそらくこういうのは、ビギナーズラックだけで満足するのが一番正しいってもんだろう。
さて、肝心の5万円の使い道だが……どうするかな。
駐車場の中で何十分か考えた後。
俺は……この金を、「スキルガチャを引くのに使おう」と決意した。
……え、「スキルガチャは金輪際引かないと決めたんじゃないのか」って?
言っておくが、今回に限っては例外だ。
だってこの金、「働いて得た給料」じゃないからな。
「一切苦労せずに手に入れた金」となると、扱いが変わってくるというものだ。
俺は先日のガチャ結果に関して、完全に心の整理をつけたつもりでいたが……1万円を無駄に費やした心の傷がそう簡単に癒えるはずもなく。
実際のところ、俺はまだあの爆死結果を根に持っていたのだ。
これでちょっとでも役に立つスキルが手に入れば、少しは気分が良くなるかもしれない。
それが、俺が今回再びガチャに手を染めようと思った理由である。
「悪銭身につかず」ってことわざもあることだしな。
宝くじの当たりなんて大事に取っとかず、自ら溶かすくらいがちょうどいいってもんだろう。
住んでるアパートから少し離れた月極駐車場に車を駐め、ガチャマシーンの元まで歩いた。
そしてガチャを5回引くと……俺はこれらのスキルを手に入れることができた。
-------------------------------------------------------------------------------------------------------
【★6】異邦耐性
【★6】寝る子は育つ
【★6】名人級付与術
【★6】神癒の寵愛
【★6】第6のイーグルアイ
-------------------------------------------------------------------------------------------------------
……おいおい。
あの「乱数調整」でさえ★7だったというのに……5回も引いて全部それ以下って、ちょっと爆死が過ぎるんじゃないか。
「乱数調整」て……俺は一体、このスキルをどう生活に役立てたらいいんだ。
乱数調整といえばアレだろ?
運要素が強いゲームで常に好プレイができる、みたいなやつ。
例えば人生ゲームで、良いイベントが起こるマスばかりに止まれるサイコロの目ばかりでる、的な……。
これ、現実じゃ全くと言って良いほど役に立たないよな。
俺だってゲームは好きだし、乱数調整を自力でできるってのにワクワクしない訳ではないのだが……「これに1万円使った」ってことを考慮すると、全然価値に見合ってないような。
こんなのを引くくらいなら、まだ「空中浮遊」の方が役に立つと言えるかもしれない。
空中浮遊ならまだ、「ショッピグモールでエレベーターを待つ必要がなくなる」程度の使い道はありそうだからな。
……うん。
これに懲りて、もう二度とガチャは引かないことにしよう。
俺はそう決意して、ガチャマシーンの元を離れることにした。
◇
次の日。
俺は会社帰りにコンビニに寄り、おやつにアイスバーを一本買ったのだが……そこでちょっと、珍しいことが起こった。
なんと、俺が買ったアイスバーから「当たり」が出たのである。
「お、ラッキー。んじゃあこれでもう一本食うか」
俺は再びコンビニに入店し、レジにて当たりのバーを見せた。
店員はバーを受け取ると、笑顔でこう言った。
「おめでとうございます。じゃあ景品として、こちらの宝くじを差し上げますね」
……え?
追加のアイスバーを貰えるものとばかり思っていた俺は……そこで一瞬、思考停止に陥ってしまった。
……景品、宝くじだと?
なんでアイスバーじゃないんだ?
「あの……もう一本アイスバーを貰えるんじゃないんですか?」
「普段はそうなんですけど……ただ今キャンペーン中でして、アイスバーの代わりに宝くじを一枚差し上げることになってるんです」
「そ……そうなんですか」
質問すると、店員はそう事情を説明してくれた。
うわ、いらない。
超いらない。
普通の景品の方がよっぽど嬉しかったぞ。
予想外の事態に、俺のテンションはがっくりと下がってしまった。
いくらキャンペーン中とはいえ、景品は選択制にしてくれればいいものを……。
まあ手に入らないものについて愚痴ったって、仕方がないけどな。
俺は生まれてから、ただの一度も宝くじを引いたことはないのだが……せっかく手に入った券を捨てるのももったいないので、引くだけ引いてみることにした。
イートインスペースに座り、胸ポケットのボールペンで指定された個数の数字を塗りつぶしていく。
何度か手が滑って、思っていたのと違う数字を塗りつぶしてしまったりもしたが、特に気にはしなかった。
こういう系統のものには、ハナから1ミリも期待しない性格だからな。
選択する番号に、特にこだわりなど無いのだ。
とはいえ、どうせなら当たってくれた方が嬉しいのは確かだが。
あんまり大金が手に入ってもそれはそれで怖いし、高額当選にならない程度がいいな。
数字のマークを終えた申込カードを店員に渡し、番号が印刷された券を受け取った。
そして俺は、当選結果の発表を待つことにした。
◇
そして、当選発表の日。
「おめでとうございます! こちら当選金の5万円になります」
俺は宝くじ売り場で、番号券と引き換えに5万円を受け取ったのだった。
……マジで当たってしまったな。
しかも俺が望んでた通り、「高額当選扱いにならない上限」の5万円がだ。
全く、皮肉なものだ。
毎週のように宝くじを買い続けてもさっぱり当たらない人もいる中、宝くじなんかとは生涯無縁だとばかり思っていた俺が1発で当ててしまうんだからな。
こういうことをきっかけに、人はギャンブルの沼にはまってしまうもんなんだろうな。
もっとも、俺が今後自分の給料で宝くじを買うことはないがな。
おそらくこういうのは、ビギナーズラックだけで満足するのが一番正しいってもんだろう。
さて、肝心の5万円の使い道だが……どうするかな。
駐車場の中で何十分か考えた後。
俺は……この金を、「スキルガチャを引くのに使おう」と決意した。
……え、「スキルガチャは金輪際引かないと決めたんじゃないのか」って?
言っておくが、今回に限っては例外だ。
だってこの金、「働いて得た給料」じゃないからな。
「一切苦労せずに手に入れた金」となると、扱いが変わってくるというものだ。
俺は先日のガチャ結果に関して、完全に心の整理をつけたつもりでいたが……1万円を無駄に費やした心の傷がそう簡単に癒えるはずもなく。
実際のところ、俺はまだあの爆死結果を根に持っていたのだ。
これでちょっとでも役に立つスキルが手に入れば、少しは気分が良くなるかもしれない。
それが、俺が今回再びガチャに手を染めようと思った理由である。
「悪銭身につかず」ってことわざもあることだしな。
宝くじの当たりなんて大事に取っとかず、自ら溶かすくらいがちょうどいいってもんだろう。
住んでるアパートから少し離れた月極駐車場に車を駐め、ガチャマシーンの元まで歩いた。
そしてガチャを5回引くと……俺はこれらのスキルを手に入れることができた。
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【★6】異邦耐性
【★6】寝る子は育つ
【★6】名人級付与術
【★6】神癒の寵愛
【★6】第6のイーグルアイ
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……おいおい。
あの「乱数調整」でさえ★7だったというのに……5回も引いて全部それ以下って、ちょっと爆死が過ぎるんじゃないか。
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