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第6話 あり得ないものを目撃した
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[side:北野 悠人の先輩社員]
私は平林 夏音。
今ちょうど終業時間になり、これから帰宅しようとしている入社3年目の社員だ。
社用パソコンをシャットダウンしようとしたところ、私のパソコンだけ「更新してシャットダウン」が始まってしまったため……今日は退社するのが全社員で最後になってしまった。
「……戸締まりよし!」
オフィスの部屋のオートロックがちゃんと作動しているか、ドアをガチャっとやって確認する。
それから私は……モンスターが出現して以来日課となっているアレをやった。
「危険度感知」
私はスキル名を唱え、万が一会社の近くに危険な魔物が湧いてないかをチェックした。
危険度感知は、私の自慢のスキルの一つだ。
何と言っても、このスキル、排出確率5%程度とも言われている★4のスキルなのだから。
モンスター探知系のスキルはいくつかのレアリティのものがあるが、その中でもこの「危険度感知」は射程が長く、魔物の強さまで測れる優れもの。
私はこれを用いて、密かに会社が安泰かどうかを毎日チェックしているのである。
まあ、今日もいつも通り、危険なモンスターなんて現れはしないだろう。
私は探知結果が分かるまで、そう楽観視していた。
けど……今日「危険度感知」から帰ってきた反応は、悪夢のような絶望的なものだった。
「え……う……嘘、でしょ?」
あまりに恐ろしい魔物の反応に、私は腰が抜けそうになった。
いや、まだ希望はある。
もしかしたら、これは私のスキルのバグかもしれない。
そんな淡い期待を持ちつつ、私は階段の窓から反応のあった方向を見た。
だが、私が見たものは。
マンティコア──ちょっと前に「自衛隊が戦車10台を犠牲にようやく討伐した」とニュースで報じられていたのと同種の、正真正銘最凶最悪のモンスターだった。
「あ、あり得ない……なんであんなのがここに……」
思わず震える声でそんな独り言を呟きつつ、私は状況を確認した。
今あそこにいるのは、飯塚部長、梨山先輩そして吉田君、と。
そして……あっ、北野君が、一階の自動ドアから出てきた。
誰一人として、マンティコアに手を出そうとはしていない。
そりゃそうか、あんなのに攻撃しようって気になれる人いる訳ないか……。
そう思いかけた時だった。
私の目の前で……信じられないことが起こった。
北野君が何かを詠唱したかと思うと……突然あり得ない眩しさの稲妻が走って、マンティコアに直撃したのである。
しかも……マンティコアは、たったその一撃で消滅してしまった。
「……え、どゆこと?」
思わず、そんな言葉が口をついて出てきてしまった。
今のは、明らかに1人の人間が放っていい攻撃スキルの範疇を超えている。
私は目をゴシゴシこすり、今のは恐怖から来る幻覚だったんじゃないかと二度見したが……やはりそこには、絶命したマンティコアが落としたドロップ素材を拾う北野君の姿があった。
同じくこの光景を見ていた3人の同僚たちも、北野君に対して驚いてる様子だし……今のは彼の仕業に他ならなかったんだろう。
北野君は何事もなかったかのようにその場を去り……そのまま、向かいのスーパーに行ってしまった。
まさか……あれほどのスキルの発動が、彼にとっては日常茶飯事だとでもいうのか?
信じられない、というか、私の脳が今の出来事を受け入れるのを拒否しようとしているような気がする。
「あんな人が、身近にいただなんて……」
その夜……私の脳裏にはマンティコアが巨大な雷撃で瞬殺される光景が何度も蘇り、碌に睡眠を取ることができなかったのだった。
私は平林 夏音。
今ちょうど終業時間になり、これから帰宅しようとしている入社3年目の社員だ。
社用パソコンをシャットダウンしようとしたところ、私のパソコンだけ「更新してシャットダウン」が始まってしまったため……今日は退社するのが全社員で最後になってしまった。
「……戸締まりよし!」
オフィスの部屋のオートロックがちゃんと作動しているか、ドアをガチャっとやって確認する。
それから私は……モンスターが出現して以来日課となっているアレをやった。
「危険度感知」
私はスキル名を唱え、万が一会社の近くに危険な魔物が湧いてないかをチェックした。
危険度感知は、私の自慢のスキルの一つだ。
何と言っても、このスキル、排出確率5%程度とも言われている★4のスキルなのだから。
モンスター探知系のスキルはいくつかのレアリティのものがあるが、その中でもこの「危険度感知」は射程が長く、魔物の強さまで測れる優れもの。
私はこれを用いて、密かに会社が安泰かどうかを毎日チェックしているのである。
まあ、今日もいつも通り、危険なモンスターなんて現れはしないだろう。
私は探知結果が分かるまで、そう楽観視していた。
けど……今日「危険度感知」から帰ってきた反応は、悪夢のような絶望的なものだった。
「え……う……嘘、でしょ?」
あまりに恐ろしい魔物の反応に、私は腰が抜けそうになった。
いや、まだ希望はある。
もしかしたら、これは私のスキルのバグかもしれない。
そんな淡い期待を持ちつつ、私は階段の窓から反応のあった方向を見た。
だが、私が見たものは。
マンティコア──ちょっと前に「自衛隊が戦車10台を犠牲にようやく討伐した」とニュースで報じられていたのと同種の、正真正銘最凶最悪のモンスターだった。
「あ、あり得ない……なんであんなのがここに……」
思わず震える声でそんな独り言を呟きつつ、私は状況を確認した。
今あそこにいるのは、飯塚部長、梨山先輩そして吉田君、と。
そして……あっ、北野君が、一階の自動ドアから出てきた。
誰一人として、マンティコアに手を出そうとはしていない。
そりゃそうか、あんなのに攻撃しようって気になれる人いる訳ないか……。
そう思いかけた時だった。
私の目の前で……信じられないことが起こった。
北野君が何かを詠唱したかと思うと……突然あり得ない眩しさの稲妻が走って、マンティコアに直撃したのである。
しかも……マンティコアは、たったその一撃で消滅してしまった。
「……え、どゆこと?」
思わず、そんな言葉が口をついて出てきてしまった。
今のは、明らかに1人の人間が放っていい攻撃スキルの範疇を超えている。
私は目をゴシゴシこすり、今のは恐怖から来る幻覚だったんじゃないかと二度見したが……やはりそこには、絶命したマンティコアが落としたドロップ素材を拾う北野君の姿があった。
同じくこの光景を見ていた3人の同僚たちも、北野君に対して驚いてる様子だし……今のは彼の仕業に他ならなかったんだろう。
北野君は何事もなかったかのようにその場を去り……そのまま、向かいのスーパーに行ってしまった。
まさか……あれほどのスキルの発動が、彼にとっては日常茶飯事だとでもいうのか?
信じられない、というか、私の脳が今の出来事を受け入れるのを拒否しようとしているような気がする。
「あんな人が、身近にいただなんて……」
その夜……私の脳裏にはマンティコアが巨大な雷撃で瞬殺される光景が何度も蘇り、碌に睡眠を取ることができなかったのだった。
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