浮気三昧の夫を捨てたら、10歳年下の皇太子から求婚されました

専業プウタ

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15.僕はマレンマに何を求めてるのだ⋯⋯。(アラン視点)

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 マレンマは非常に賢い女性だ。

「アラン皇太子殿下、お忙しいところ申し訳ないのですが、レスター・ケンタス伯爵の尋問に同席願えないでしょうか?」
「尋問?」
「実は不審な金の動きと、虚偽報告があります」

 マレンマが、行政部のトップである宰相のキリアン・アーデン公爵ではなく、僕のところに来たのは揉み消されると思っているからだ。

 莫大な金がルトアニア王国に流れているのに、今まで表沙汰になってなかったのは行政部自体にこの件に絡んでいる人間がいると言うことだ。
 
 キリアン・アーデン公爵をはじめとするリオダール帝国の貴族の1部は、他国の王女だった母が皇帝である現状に不満を持っている。

 恐らく、アーデン公爵は娘を僕に嫁がせ子を産ませて、僕を殺害し自分の孫を皇帝にする事でリオダール帝国を乗っ取ろうとしているのではないかと考えていた。
 
 そのような反逆を可能にする為に、ルトアニア王国と手を組み僕を陥れようとしている可能性がある。
 
 リオダール帝国では違法とされる麻薬取引がされていると言う噂を調査するように依頼した時も、僕に上がってくる調査結果は噂レベルだと言う話で誤魔化された。
 しかし、ここ最近の犯罪者にも明らかに麻薬中毒者が多く、その麻薬はルトアニア王国では広く流通しているものだ。

 自ら街に出て調査をしようと、魔法で姿を変えたところでマレンマを助けられたのは人生最大の幸運だ。

 彼女が僕の知らないところで危ない目に遭っていたかと思うと気が狂いそうになる。

「人を形成するのは外見だけじゃありませんから」と言って彼女はあっさりと僕の正体を見破った。

 その言葉が僕にとってどれだけ嬉しかったか彼女には分からないだろう。
 
 様々な事態を予測していなければならなかったのに、マレンマを恐ろしい目に遭わせてしまった。
 レスター・ケンタス伯爵ごときが全てを計画したわけではないのは分かりきっていた。
 彼のような小者はあっさり自白してくると思っていたのに、まさか自害するとは考えても見なかった。

 震えるマレンマに思わずキスをしてしまった。
 驚くほど堂々としていて、4ヶ月で不正を見抜く程の洞察力を持つ完璧でスマートな彼女が怯えているのを見て堪らなくなった。

 震えながらも仕事に戻りそうな彼女を帰らせた。そして、レスター・ケンタス伯爵の遺体の処理を済ませ、今回の件について事情聴取をしようとキリアン・アーデン公爵を召喚した。

 ノックと共に入ってきた人物を見て僕はため息をついた。

 銀髪に青い瞳をした、キリアン・アーデン公爵の娘レオナ・アーデンだ。

「アラン皇太子殿下にレオナ・アーデンがお目にかかります」
「僕が呼んだのは、キリアン・アーデン公爵なのだが」

「父は体調が思わしくなく、代わりに私が来ました。婚約者指名を前に殿下と話しておきたいと思いまして」

 僕は彼女を婚約者として指名する気は、元々なかった。
 彼女の父親のきな臭い動きがなかったとしても、彼女のことが昔から苦手だ。
 僕と同じ年の高位貴族で、当然彼女は僕の婚約者候補として昔から挙がっていた。
 彼女は度々僕に擦り寄ってきたが、隠しきれない下心と野心が見え隠れしてパートナーにする気にはなれなかった。

「僕の婚約者指名はそなたには無関係な話題だぞ。今日、何が起こったか知らない訳でもあるまい。忙しいんだ。席を外してくれないか?」

 時間がある時は最低限のマナーとして、彼女の話に付き合った事もある。
 本当に死にそうな程に、退屈で、不快な時間だった。
 
「そのような冷たい事をおっしゃるなんて酷いです。殿下、私の気持ちを知っているでしょう? 私は昔からアラン皇太子殿下を想っているのです。殿下の心の中に他の女がいても構いません。私が1番殿下のお力になれます」

 彼女が僕に恋心を抱いていようと、そうでなかろうとどうでも良い。
 押し付けがましい彼女は僕の足枷にはなるが、力になる事はないだろう。

「まず、力になりたいのなら、僕の言う事を聞いて、帰ってくれないか?」

「分かりました。今日は帰ります。でも、私、本当に殿下の為に努力してきたのですよ。最近は紅茶を淹れるのが上手くなったんです。花嫁修行の成果を見て頂けませんか?」 

 彼女が呼び鈴を鳴らすと、メイドが紅茶の缶をいくつか持ってきた。
 それをブレンドして、彼女は紅茶を淹れる。
 
「さあ、殿下、隣に座って。私が心を込めて淹れた紅茶を飲んでくれたら、帰りますから」
 甘ったるい声を出し、体をくねらせながら僕に強請る彼女が心底目障りだ。
 腕を引いて僕をソファーの隣に座らせる。
 
(僕が喜ぶと思ってやっているのか? 気持ち悪いし、勝手に触れるとは無礼だ)
 
 彼女の振る舞いを注意してやりたいが、注意すると話が長くなりそうだ。
 さっさと立ち去って貰おうと思い、僕はソファーに座り紅茶のカップに口をつけた。


 瞬間、身体が異常に熱くなるのを感じた?
(なんだ、動悸が止まらない。毒か?)

「ねえ、殿下、もっと飲んでー」
 彼女に触れられた肌が快感で泡立つのを感じる。

 絶対に原因である飲み物をこれ以上飲むわけがない。
(なんだこれは? 媚薬? 異常に強い⋯⋯ルトアニア王国の麻薬か?)

 頭が回らなくなってきて、危険を感じた僕は部屋を飛び出し馬を走らせた。

 「はぁ、はぁ⋯⋯僕はマレンマに何を求めてるのだ⋯⋯」
 気がつけばマレンマが滞在してるホテルまで来ていた。

 この状態で馬にまで乗って彼女の元にまで来た自分の下心を反省しつつも、
僕は彼女の滞在する部屋をノックした。

「アラン皇太子殿下? このような場所までなぜ? もしかして、何か問題が発生しましたか?」

 僕の来訪に驚き目を丸くしているマレンマをその場で押し倒し深く口づけた。
 彼女からほのかにラベンダーの香りがしてクラクラする。
 問題があるのは僕自身だ。
 
 
 


 
 
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