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10.無自覚と計算。
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「はぁはぁ、只今到着しました。リオノーラ様」
息を切らしたマイロに近づき、手を翳し聖女の力を流す。
「かなり急いだでしょ。私の事がそんなに心配?」
「滅相もございません。ただ、リオノーラ様の次の選択を考えると早めに合流させて頂きたかっただけです」
マイロは私が解放日にはベルナール王国に戻ると思っている。
私の力を求めて集まった人を失望させる事など私にはできない。
「マイロ、貴方、私の事をよくわかってるのね。貴方が予想している通り、解放日にはベルナール王国に戻るつもりよ。ドラゴンを貸して貰えれば、1日足らずでベルナール王国に到着できるわ。ありがたい事に、光の魔力を持つ治療師たちも同行して頂けるらしいの」
私の言葉に、シリルとコンラッドが驚いたような顔をして顔を見合わせた。
(ものすごい仲が良いじゃない⋯⋯)
「それは、本当ですか? ありがとうございます。年に一度の解放日を待っている民衆の数は年々増えて大変だったんです」
目を輝かせて純粋にお礼を伝えるマイロは無敵。
(純粋で誠実、本当にこんな男を邪険にして私の妹は⋯⋯)
セリアの目的は自分が幸せになる事ではなく、私を苦しめることだけにあるように見える。
「シリル、お約束もあるので、今からバルテッロ村に向かうわ。マイロを連れて行くから安心して」
「待て! ドラゴンは苦手なんじゃないのか?」
「苦手ではないわ。あの時は偶々体調不良と重なっただけ。それに、貴方を近くに感じているから私は無敵よ」
私は自分の右耳についているイヤリングを人差し指で指し示す。
シリルは困惑しながらも頷いてくれた。
ドラゴンが何頭か繋いであった中央広場から見えた場所に向かいながら、今後の予定をマイロに話した。
ドラゴンの元まで到着し、飼育員に皇帝の許可を得ている旨を話す。親切にも彼はアントワーヌ帝国の簡単な地図をくれた。
いざ出発という時に、マイロが徐に口を開く。
「リオノーラ様、解放日にはベルナール王国に戻られる気持ちはお変わりないのですね。これから2週間旅に出るというのに、お体が心配です」
マイロは私が責任からは逃れられず、無理をしがちな性分を分かっている。彼は、セリアの生まれまで知っていた。何か私の知らない秘密も握ってそうだ。
(きっとタイミングが来れば、彼は自分から話すわね)
「そうよ。私の力を求めて待っている民衆がいるもの。私の体には聖女の力が巡っているから大丈夫。体力には自信があるの」
「リオノーラ様は責任感の強い方。エイブラハム国王も貴方様が解放日には戻る可能性は高いと考えています。きっと、貴方様はベルナール王国に戻ったら拘束されます」
「私がいなくなると、ベルナール王国は平和条約が破棄されると思ってる? その為にアントワーヌ帝国の友好国になったのよ」
アントワーヌ帝国は強国だ。
ベルナール王国の後ろにはアントワーヌ帝国がいると世界に知らしめれば安全。
「そうではありません。カルティス王子殿下がリオノーラ様を心から愛し執着しているからです。エイブラハム国王陛下はカルティス王子殿下の為に貴方様を手放しません!」
マイロの予想外の言葉に私は混乱した。
私とカルティスは絵に描いたような比翼連理の仲と見られている。
しかし、実情は私の愛は偽りで、カルティスは浮気男。
聡明なはずのエイブラハム国王が、カルティスだけに異常に甘いのは同感。
「私たち夫婦は円満に見えたかもしれないけれど、私は浮気されたのよ」
マイロは何か言おうとしては、戸惑ったように口を閉じた。
彼もセリアに浮気された側なはずなのに、私と異なり怒りを感じない。
レシャール侯爵がマイロにセリアを頼んだと聞いている。
マイロとセリアは婚約者同士なのに公式行事でしか一緒にいるのを見ない。
お互い情がない関係。
「私の怒りがカルティスへ愛があるからだと思ってる? 全く違うわ。政略的結婚でも、愛そうとする努力はするわ。でも、裏切られたから、私はもう彼とは終わり。浮気男の愛なんて不要。これが私の考え方」
「リオノーラ様らしい考え方です。ただ、セリアは今リオノーラ様としてベルナール王国で振る舞っています。リオノーラ様はそれを利用し、セリアとしてアントワーヌ帝国に残ったらいかがでしょうか?」
彼の斜め上の提案に私は目を白黒させた。
「ぷっ、ふふふ。マイロ、貴方って本当に面白いのね。発想が非凡というか、話していて飽きないわ。どうして貴方の周りに人が集まるのか分かった気がする」
マイロは赤面症かもしれない。
またトマトのように頬を染めている。
隣にいたドラゴンの飼育員が、突然、胸に手をあてお辞儀。
彼の視線の先には慌てたようなコンラッドが、髪を振り乱しながら走ってきていた。
「コンラッド様、領主のリストを持ってきてくれたのですか?」
「僕も行きます。自分がついて行くという、皇帝陛下を止めるのに大変だったんですよ」
コンラッドが私に資料を手渡しながら早口で捲し立てる。
領主のリストやアントワーヌ帝国の街区画が分かりやすい詳細地図。
ドラゴンに跨ると、マイロがそっと私の腰に自分が外したマントを巻き付けて来た。
「すみません。おみ足を見てしまいました」
「ううん。ありがとう。貴方って優しいのね」
コンラッドが溜息をつきながら私の後ろに跨る。
「本当に無自覚なんですか? 大概にしてくださいね」
息を切らしたマイロに近づき、手を翳し聖女の力を流す。
「かなり急いだでしょ。私の事がそんなに心配?」
「滅相もございません。ただ、リオノーラ様の次の選択を考えると早めに合流させて頂きたかっただけです」
マイロは私が解放日にはベルナール王国に戻ると思っている。
私の力を求めて集まった人を失望させる事など私にはできない。
「マイロ、貴方、私の事をよくわかってるのね。貴方が予想している通り、解放日にはベルナール王国に戻るつもりよ。ドラゴンを貸して貰えれば、1日足らずでベルナール王国に到着できるわ。ありがたい事に、光の魔力を持つ治療師たちも同行して頂けるらしいの」
私の言葉に、シリルとコンラッドが驚いたような顔をして顔を見合わせた。
(ものすごい仲が良いじゃない⋯⋯)
「それは、本当ですか? ありがとうございます。年に一度の解放日を待っている民衆の数は年々増えて大変だったんです」
目を輝かせて純粋にお礼を伝えるマイロは無敵。
(純粋で誠実、本当にこんな男を邪険にして私の妹は⋯⋯)
セリアの目的は自分が幸せになる事ではなく、私を苦しめることだけにあるように見える。
「シリル、お約束もあるので、今からバルテッロ村に向かうわ。マイロを連れて行くから安心して」
「待て! ドラゴンは苦手なんじゃないのか?」
「苦手ではないわ。あの時は偶々体調不良と重なっただけ。それに、貴方を近くに感じているから私は無敵よ」
私は自分の右耳についているイヤリングを人差し指で指し示す。
シリルは困惑しながらも頷いてくれた。
ドラゴンが何頭か繋いであった中央広場から見えた場所に向かいながら、今後の予定をマイロに話した。
ドラゴンの元まで到着し、飼育員に皇帝の許可を得ている旨を話す。親切にも彼はアントワーヌ帝国の簡単な地図をくれた。
いざ出発という時に、マイロが徐に口を開く。
「リオノーラ様、解放日にはベルナール王国に戻られる気持ちはお変わりないのですね。これから2週間旅に出るというのに、お体が心配です」
マイロは私が責任からは逃れられず、無理をしがちな性分を分かっている。彼は、セリアの生まれまで知っていた。何か私の知らない秘密も握ってそうだ。
(きっとタイミングが来れば、彼は自分から話すわね)
「そうよ。私の力を求めて待っている民衆がいるもの。私の体には聖女の力が巡っているから大丈夫。体力には自信があるの」
「リオノーラ様は責任感の強い方。エイブラハム国王も貴方様が解放日には戻る可能性は高いと考えています。きっと、貴方様はベルナール王国に戻ったら拘束されます」
「私がいなくなると、ベルナール王国は平和条約が破棄されると思ってる? その為にアントワーヌ帝国の友好国になったのよ」
アントワーヌ帝国は強国だ。
ベルナール王国の後ろにはアントワーヌ帝国がいると世界に知らしめれば安全。
「そうではありません。カルティス王子殿下がリオノーラ様を心から愛し執着しているからです。エイブラハム国王陛下はカルティス王子殿下の為に貴方様を手放しません!」
マイロの予想外の言葉に私は混乱した。
私とカルティスは絵に描いたような比翼連理の仲と見られている。
しかし、実情は私の愛は偽りで、カルティスは浮気男。
聡明なはずのエイブラハム国王が、カルティスだけに異常に甘いのは同感。
「私たち夫婦は円満に見えたかもしれないけれど、私は浮気されたのよ」
マイロは何か言おうとしては、戸惑ったように口を閉じた。
彼もセリアに浮気された側なはずなのに、私と異なり怒りを感じない。
レシャール侯爵がマイロにセリアを頼んだと聞いている。
マイロとセリアは婚約者同士なのに公式行事でしか一緒にいるのを見ない。
お互い情がない関係。
「私の怒りがカルティスへ愛があるからだと思ってる? 全く違うわ。政略的結婚でも、愛そうとする努力はするわ。でも、裏切られたから、私はもう彼とは終わり。浮気男の愛なんて不要。これが私の考え方」
「リオノーラ様らしい考え方です。ただ、セリアは今リオノーラ様としてベルナール王国で振る舞っています。リオノーラ様はそれを利用し、セリアとしてアントワーヌ帝国に残ったらいかがでしょうか?」
彼の斜め上の提案に私は目を白黒させた。
「ぷっ、ふふふ。マイロ、貴方って本当に面白いのね。発想が非凡というか、話していて飽きないわ。どうして貴方の周りに人が集まるのか分かった気がする」
マイロは赤面症かもしれない。
またトマトのように頬を染めている。
隣にいたドラゴンの飼育員が、突然、胸に手をあてお辞儀。
彼の視線の先には慌てたようなコンラッドが、髪を振り乱しながら走ってきていた。
「コンラッド様、領主のリストを持ってきてくれたのですか?」
「僕も行きます。自分がついて行くという、皇帝陛下を止めるのに大変だったんですよ」
コンラッドが私に資料を手渡しながら早口で捲し立てる。
領主のリストやアントワーヌ帝国の街区画が分かりやすい詳細地図。
ドラゴンに跨ると、マイロがそっと私の腰に自分が外したマントを巻き付けて来た。
「すみません。おみ足を見てしまいました」
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