12 / 22
12.不遜な夫。
しおりを挟む
魔法力があるのは主に貴族で、貴族は皇宮を中心とした首都に居住。
皇族は複数の種類の魔法が使え、強い魔力を保持。
マイロに擦り傷を治せる程度の光の魔力が発現。
それらの情報を繋ぎ導き出される答え。
「コンラッド様。貴方が近くにいた事で、マイロが光魔法を微力ながら使えるようになっている可能性があります」
「確かに、先程、ブラウン卿から光の魔力を感じました」
私とコンラッドのやりとりに、マイロ・ブラウンは動揺しているようだ。
皇宮からシリルの近くに控えていた緑髪の補佐官が走ってくるのが見える。
そういえば、毎日のようにイヤリングの通信機を通してシリルが話し掛けて来たのに今日は音沙汰がない。
「はぁ、はぁ、リオノーラ様、実は皇帝陛下は今朝早くよりベルナール王国よりいらしたカルティス王子殿下と会談なさっています」
「何ですって? ねえ、コンラッド様、この通信機から今日はシリルの声が聞こえないのだけど、どういう事なのですか?」
コンラッドは私の右耳のイヤリングに手を伸ばしてきた。
「皇帝陛下がイヤリングの通信機能を遮断しています。しかし、皇帝陛下の近くにイヤリングがあれば音声の記録は録れているはずです」
コンラッドは私に丁寧にイヤリングの使い方を教えてくれた。
「カルティスが来るなんて予想外だった」
私は頭を抑えた。
カルティスは殆ど王宮から出たことがない。
他国の行事の招待は第2王子に丸投げした。
面倒臭がりで内弁慶。
それが私の知るカルティス・ベルナール。
「リオノーラ様がアントワーヌ帝国に滞在していることは、当然漏れていると思います」
マイロが眉を下げながら、私を気遣ってくる。
正直、カルティスがシリルに何を話しているのか考えるだけで気が気じゃない。
それ以上に、シリルの胸に秘めた怒りを、愚かな夫が刺激して爆発させてしまう可能性がある。
私は2度目のやり直しで、シリルが真っ先にカルティスを魔法の矢で殺害した事を思い出し身震いした。
「会談はどこでしてるの? 私も参加するわ」
「⋯⋯はい、ご案内します」
補佐官は少し迷った顔をしつつも、シリルとカルティスがいる会議室に案内してくれた。
重い朱色の扉をノックし開けると、濃紺の礼服に身を包んだシリルと白い礼服のカルティスが広い議場に2人きりで向かいあっていた。
歴代皇帝の肖像画が飾ってあるこの場所は、恐らく貴族会議などで使用される。
忙しいシリルを無作法にも約束もなしにカルティスが訪ねてきたのだろう。
自国で傍若無人に振る舞うカルティスが、自分の不敬に気がついているかは疑問。
相変わらず私を失望させ続ける夫カルティス・ベルナール。
(カルティスは使者も連れて来ないで1人で来たの!?)
「リオノーラ! 会いたかった。毎朝、起きると当たり前にいる君が隣にいないだけで、絶望していたんだよ」
カルティスが私に抱きついてこようとするので、私はするりと彼をかわした。
「カルティス、離婚届を持って来てくれたのなら、貴方と会話しても良いわよ」
冷ややかに言い放つと、カルティスは目を丸くした。
「もしかして、セリアと寝た事をまだ怒っているの? もう、1ヶ月近く前の事じゃないか」
私はシリルの顔を覗き見た。
無表情を決め込んでいるが、怒りと悲しみを必死に抑え込んでいるようにも見える。
「皇帝陛下、我が国の王子が急な訪問でご迷惑お掛け致しました。少し2人で話をしたいので、席を外して頂けますでしょうか」
「⋯⋯分かった」
シリルの憂いを帯びた後ろ姿を見て、胸が痛んだ。
重い扉が閉まる音がする。
これ以上、シリルを失望させたくない。
「カルティス・ベルナール! いい加減にして! 私は貴方ともう話すつもりはないわ」
カルティスは私の言葉を聞くなり、急に私の前に跪いて左手に頬擦りしてきた。
私は自分がまだ結婚指輪をしていたことに気が付き、彼を振り払い指輪を外し床に投げつける。指輪が床に転がるのを、彼は不思議そうに傍観。
「僕は本当にリオノーラを傷つけたんだね。君がそんなに深く僕を想ってくれていたなんて嬉しいよ。あの日、君に寝室に来るなって言われて、僕は不安になっていたんだ」
自分を不安にさせた私が悪い。
それが、カルティスの思考回路の導き出す結果。
驚愕すべき他責思考。
「カルティス、私たちは政略結婚だったけれど、夫婦になる以上、私は貴方の良いところを探して好きになろうとしたわ。でも、もう無理よ」
「何それ?! 僕は出会った瞬間からリオノーラ一筋だったのに酷いよ。君は僕の事を好きなフリをしていたの? 僕を夢中にさせといて捨てるなんて、恐ろしい聖女様だ」
私は婚約期間もいれると10年もの間、彼と多くの時を過ごした。
よく、こんなクズ男を愛そうと無駄な努力をしたものだ
「セリアと浮気したでしょ。よりによって、私の双子の妹。本当に節操がないのね。ベルナール王国も貴方が王位を継いだら終わりよ」
「大丈夫だよ。僕のことは聡明な聖女リオノーラが支えてくれるじゃないか。アントワーヌ帝国と友好条約まで結ぶなんて君は相変わらず凄い女性だ」
シリルは私の願った通り、国家間の条約を締結。
一方、私の夫は私を頼りにし、楽をする事しか考えない。
カルティスが私が投げた指輪を拾い、私の左手の薬指に嵌めようとしてくる。
私は再びその指輪を取り上げ、放り投げて彼を睨みつけた。
「カルティス、支える価値のない男に尽くす程、私は慈悲深くもないの。私を裏切ってまで、セリアが欲しかったんじゃないの?」
カルティスは転がった指輪を見ながら、静かに語り始めた。
「床に転がった指輪なんて嫌だよね。新しいものを用意するよ。リオノーラ、セリアは床に落ちている埃と同じ。君が気にする必要はないんだ」
「ど、どういうこと?」
「セリアは聖女でもなければ、血筋正しき大貴族の令嬢でもない。どこの種とも分からないまま娼婦が産んだゴミ。彼女の価値はパン一個と同じだって、エイブラハム国王陛下もおっしゃっていた。愛しいリオノーラ、これで、気が楽になったでしょ」
カルティスが得意げに微笑み伝えて来た言葉。
(聞くに耐えないわ!)
私が2度目のやり直しで知ったセリアの出生は、王家では暗黙で知られた事実。
私は慌てて自分の左耳のイヤリングの通信機能を遮断した。
シリルにクズ夫の身勝手で卑劣な言葉の数々をこれ以上聞かせたくない。
こんな男に身を捧げた自分が恥ずかしい。
「僕はあの日君に空けられた穴をパンで埋めようと愚かな真似をした。でも、貧民街のパンが高貴な僕の口に合うわけがない。リオノーラ、僕には君じゃなっきゃダメなんだ。拗ねてないで僕と一緒にベルナール王国に戻ろう」
「カルティス、私は貴方の元に戻るつもりはないの。私は噂レベルではなく、本当に不妊なの。不妊になる毒を飲んでるわ」
「不妊になる毒? なんで、そんな⋯⋯。ああ、君に対抗意識を燃やしてるあのパン女が毒を盛ったのか。可哀想なリオノーラ。別に子供なんかいらないよ、君さえいれば」
私を抱きしめようとするカルティスを押し返す。
王位を継ぐ人間とは思えない無責任な発言。
カルティスはその場しのぎで調子の良いことばかり口にする。
(もう、うんざりよ)
瞬間、彼の足元に大きな黒い穴が出現。
カルティス・ベルナールは私の前から姿を消した。
皇族は複数の種類の魔法が使え、強い魔力を保持。
マイロに擦り傷を治せる程度の光の魔力が発現。
それらの情報を繋ぎ導き出される答え。
「コンラッド様。貴方が近くにいた事で、マイロが光魔法を微力ながら使えるようになっている可能性があります」
「確かに、先程、ブラウン卿から光の魔力を感じました」
私とコンラッドのやりとりに、マイロ・ブラウンは動揺しているようだ。
皇宮からシリルの近くに控えていた緑髪の補佐官が走ってくるのが見える。
そういえば、毎日のようにイヤリングの通信機を通してシリルが話し掛けて来たのに今日は音沙汰がない。
「はぁ、はぁ、リオノーラ様、実は皇帝陛下は今朝早くよりベルナール王国よりいらしたカルティス王子殿下と会談なさっています」
「何ですって? ねえ、コンラッド様、この通信機から今日はシリルの声が聞こえないのだけど、どういう事なのですか?」
コンラッドは私の右耳のイヤリングに手を伸ばしてきた。
「皇帝陛下がイヤリングの通信機能を遮断しています。しかし、皇帝陛下の近くにイヤリングがあれば音声の記録は録れているはずです」
コンラッドは私に丁寧にイヤリングの使い方を教えてくれた。
「カルティスが来るなんて予想外だった」
私は頭を抑えた。
カルティスは殆ど王宮から出たことがない。
他国の行事の招待は第2王子に丸投げした。
面倒臭がりで内弁慶。
それが私の知るカルティス・ベルナール。
「リオノーラ様がアントワーヌ帝国に滞在していることは、当然漏れていると思います」
マイロが眉を下げながら、私を気遣ってくる。
正直、カルティスがシリルに何を話しているのか考えるだけで気が気じゃない。
それ以上に、シリルの胸に秘めた怒りを、愚かな夫が刺激して爆発させてしまう可能性がある。
私は2度目のやり直しで、シリルが真っ先にカルティスを魔法の矢で殺害した事を思い出し身震いした。
「会談はどこでしてるの? 私も参加するわ」
「⋯⋯はい、ご案内します」
補佐官は少し迷った顔をしつつも、シリルとカルティスがいる会議室に案内してくれた。
重い朱色の扉をノックし開けると、濃紺の礼服に身を包んだシリルと白い礼服のカルティスが広い議場に2人きりで向かいあっていた。
歴代皇帝の肖像画が飾ってあるこの場所は、恐らく貴族会議などで使用される。
忙しいシリルを無作法にも約束もなしにカルティスが訪ねてきたのだろう。
自国で傍若無人に振る舞うカルティスが、自分の不敬に気がついているかは疑問。
相変わらず私を失望させ続ける夫カルティス・ベルナール。
(カルティスは使者も連れて来ないで1人で来たの!?)
「リオノーラ! 会いたかった。毎朝、起きると当たり前にいる君が隣にいないだけで、絶望していたんだよ」
カルティスが私に抱きついてこようとするので、私はするりと彼をかわした。
「カルティス、離婚届を持って来てくれたのなら、貴方と会話しても良いわよ」
冷ややかに言い放つと、カルティスは目を丸くした。
「もしかして、セリアと寝た事をまだ怒っているの? もう、1ヶ月近く前の事じゃないか」
私はシリルの顔を覗き見た。
無表情を決め込んでいるが、怒りと悲しみを必死に抑え込んでいるようにも見える。
「皇帝陛下、我が国の王子が急な訪問でご迷惑お掛け致しました。少し2人で話をしたいので、席を外して頂けますでしょうか」
「⋯⋯分かった」
シリルの憂いを帯びた後ろ姿を見て、胸が痛んだ。
重い扉が閉まる音がする。
これ以上、シリルを失望させたくない。
「カルティス・ベルナール! いい加減にして! 私は貴方ともう話すつもりはないわ」
カルティスは私の言葉を聞くなり、急に私の前に跪いて左手に頬擦りしてきた。
私は自分がまだ結婚指輪をしていたことに気が付き、彼を振り払い指輪を外し床に投げつける。指輪が床に転がるのを、彼は不思議そうに傍観。
「僕は本当にリオノーラを傷つけたんだね。君がそんなに深く僕を想ってくれていたなんて嬉しいよ。あの日、君に寝室に来るなって言われて、僕は不安になっていたんだ」
自分を不安にさせた私が悪い。
それが、カルティスの思考回路の導き出す結果。
驚愕すべき他責思考。
「カルティス、私たちは政略結婚だったけれど、夫婦になる以上、私は貴方の良いところを探して好きになろうとしたわ。でも、もう無理よ」
「何それ?! 僕は出会った瞬間からリオノーラ一筋だったのに酷いよ。君は僕の事を好きなフリをしていたの? 僕を夢中にさせといて捨てるなんて、恐ろしい聖女様だ」
私は婚約期間もいれると10年もの間、彼と多くの時を過ごした。
よく、こんなクズ男を愛そうと無駄な努力をしたものだ
「セリアと浮気したでしょ。よりによって、私の双子の妹。本当に節操がないのね。ベルナール王国も貴方が王位を継いだら終わりよ」
「大丈夫だよ。僕のことは聡明な聖女リオノーラが支えてくれるじゃないか。アントワーヌ帝国と友好条約まで結ぶなんて君は相変わらず凄い女性だ」
シリルは私の願った通り、国家間の条約を締結。
一方、私の夫は私を頼りにし、楽をする事しか考えない。
カルティスが私が投げた指輪を拾い、私の左手の薬指に嵌めようとしてくる。
私は再びその指輪を取り上げ、放り投げて彼を睨みつけた。
「カルティス、支える価値のない男に尽くす程、私は慈悲深くもないの。私を裏切ってまで、セリアが欲しかったんじゃないの?」
カルティスは転がった指輪を見ながら、静かに語り始めた。
「床に転がった指輪なんて嫌だよね。新しいものを用意するよ。リオノーラ、セリアは床に落ちている埃と同じ。君が気にする必要はないんだ」
「ど、どういうこと?」
「セリアは聖女でもなければ、血筋正しき大貴族の令嬢でもない。どこの種とも分からないまま娼婦が産んだゴミ。彼女の価値はパン一個と同じだって、エイブラハム国王陛下もおっしゃっていた。愛しいリオノーラ、これで、気が楽になったでしょ」
カルティスが得意げに微笑み伝えて来た言葉。
(聞くに耐えないわ!)
私が2度目のやり直しで知ったセリアの出生は、王家では暗黙で知られた事実。
私は慌てて自分の左耳のイヤリングの通信機能を遮断した。
シリルにクズ夫の身勝手で卑劣な言葉の数々をこれ以上聞かせたくない。
こんな男に身を捧げた自分が恥ずかしい。
「僕はあの日君に空けられた穴をパンで埋めようと愚かな真似をした。でも、貧民街のパンが高貴な僕の口に合うわけがない。リオノーラ、僕には君じゃなっきゃダメなんだ。拗ねてないで僕と一緒にベルナール王国に戻ろう」
「カルティス、私は貴方の元に戻るつもりはないの。私は噂レベルではなく、本当に不妊なの。不妊になる毒を飲んでるわ」
「不妊になる毒? なんで、そんな⋯⋯。ああ、君に対抗意識を燃やしてるあのパン女が毒を盛ったのか。可哀想なリオノーラ。別に子供なんかいらないよ、君さえいれば」
私を抱きしめようとするカルティスを押し返す。
王位を継ぐ人間とは思えない無責任な発言。
カルティスはその場しのぎで調子の良いことばかり口にする。
(もう、うんざりよ)
瞬間、彼の足元に大きな黒い穴が出現。
カルティス・ベルナールは私の前から姿を消した。
10
あなたにおすすめの小説
妻が通う邸の中に
月山 歩
恋愛
最近妻の様子がおかしい。昼間一人で出掛けているようだ。二人に子供はできなかったけれども、妻と愛し合っていると思っている。僕は妻を誰にも奪われたくない。だから僕は、妻の向かう先を調べることににした。
寡黙な貴方は今も彼女を想う
MOMO-tank
恋愛
婚約者以外の女性に夢中になり、婚約者を蔑ろにしたうえ婚約破棄した。
ーーそんな過去を持つ私の旦那様は、今もなお後悔し続け、元婚約者を想っている。
シドニーは王宮で側妃付きの侍女として働く18歳の子爵令嬢。見た目が色っぽいシドニーは文官にしつこくされているところを眼光鋭い年上の騎士に助けられる。その男性とは辺境で騎士として12年、数々の武勲をあげ一代限りの男爵位を授かったクライブ・ノックスだった。二人はこの時を境に会えば挨拶を交わすようになり、いつしか婚約話が持ち上がり結婚する。
言葉少ないながらも彼の優しさに幸せを感じていたある日、クライブの元婚約者で現在は未亡人となった美しく儚げなステラ・コンウォール前伯爵夫人と夜会で再会する。
※設定はゆるいです。
※溺愛タグ追加しました。
【完】私の初恋の人に屈辱と絶望を与えたのは、大好きなお姉様でした
迦陵 れん
恋愛
「俺は君を愛さない。この結婚は政略結婚という名の契約結婚だ」
結婚式後の初夜のベッドで、私の夫となった彼は、開口一番そう告げた。
彼は元々の婚約者であった私の姉、アンジェラを誰よりも愛していたのに、私の姉はそうではなかった……。
見た目、性格、頭脳、運動神経とすべてが完璧なヘマタイト公爵令息に、グラディスは一目惚れをする。
けれど彼は大好きな姉の婚約者であり、容姿からなにから全て姉に敵わないグラディスは、瞬時に恋心を封印した。
筈だったのに、姉がいなくなったせいで彼の新しい婚約者になってしまい──。
人生イージーモードで生きてきた公爵令息が、初めての挫折を経験し、動く人形のようになってしまう。
彼のことが大好きな主人公は、冷たくされても彼一筋で思い続ける。
たとえ彼に好かれなくてもいい。
私は彼が好きだから!
大好きな人と幸せになるべく、メイドと二人三脚で頑張る健気令嬢のお話です。
ざまあされるような悪人は出ないので、ざまあはないです。
と思ったら、微ざまぁありになりました(汗)
王家の血を引いていないと判明した私は、何故か変わらず愛されています。
木山楽斗
恋愛
第二王女であるスレリアは、自身が王家の血筋ではないことを知った。
それによって彼女は、家族との関係が終わると思っていた。父や母、兄弟の面々に事実をどう受け止められるのか、彼女は不安だったのだ。
しかしそれは、杞憂に終わった。
スレリアの家族は、彼女を家族として愛しており、排斥するつもりなどはなかったのだ。
ただその愛し方は、それぞれであった。
今まで通りの距離を保つ者、溺愛してくる者、さらには求婚してくる者、そんな家族の様々な対応に、スレリアは少々困惑するのだった。
亡き姉を演じ初恋の人の妻となった私は、その日、“私”を捨てた
榛乃
恋愛
伯爵家の令嬢・リシェルは、侯爵家のアルベルトに密かに想いを寄せていた。
けれど彼が選んだのはリシェルではなく、双子の姉・オリヴィアだった。
二人は夫婦となり、誰もが羨むような幸福な日々を過ごしていたが――それは五年ももたず、儚く終わりを迎えてしまう。
オリヴィアが心臓の病でこの世を去ったのだ。
その日を堺にアルベルトの心は壊れ、最愛の妻の幻を追い続けるようになる。
そんな彼を守るために。
そして侯爵家の未来と、両親の願いのために。
リシェルは自分を捨て、“姉のふり”をして生きる道を選ぶ。
けれど、どれほど傍にいても、どれほど尽くしても、彼の瞳に映るのはいつだって“オリヴィア”だった。
その現実が、彼女の心を静かに蝕んでゆく。
遂に限界を越えたリシェルは、自ら命を絶つことに決める。
短剣を手に、過去を振り返るリシェル。
そしていよいよ切っ先を突き刺そうとした、その瞬間――。
将来を誓い合った王子様は聖女と結ばれるそうです
きぬがやあきら
恋愛
「聖女になれなかったなりそこない。こんなところまで追って来るとはな。そんなに俺を忘れられないなら、一度くらい抱いてやろうか?」
5歳のオリヴィエは、神殿で出会ったアルディアの皇太子、ルーカスと恋に落ちた。アルディア王国では、皇太子が代々聖女を妻に迎える慣わしだ。しかし、13歳の選別式を迎えたオリヴィエは、聖女を落選してしまった。
その上盲目の知恵者オルガノに、若くして命を落とすと予言されたオリヴィエは、せめてルーカスの傍にいたいと、ルーカスが団長を務める聖騎士への道へと足を踏み入れる。しかし、やっとの思いで再開したルーカスは、昔の約束を忘れてしまったのではと錯覚するほど冷たい対応で――?
あの素晴らしい愛をもう一度
仏白目
恋愛
伯爵夫人セレス・クリスティアーノは
33歳、愛する夫ジャレッド・クリスティアーノ伯爵との間には、可愛い子供が2人いる。
家同士のつながりで婚約した2人だが
婚約期間にはお互いに惹かれあい
好きだ!
私も大好き〜!
僕はもっと大好きだ!
私だって〜!
と人前でいちゃつく姿は有名であった
そんな情熱をもち結婚した2人は子宝にもめぐまれ爵位も継承し順風満帆であった
はず・・・
このお話は、作者の自分勝手な世界観でのフィクションです。
あしからず!
【完結】愛したあなたは本当に愛する人と幸せになって下さい
高瀬船
恋愛
伯爵家のティアーリア・クランディアは公爵家嫡男、クライヴ・ディー・アウサンドラと婚約秒読みの段階であった。
だが、ティアーリアはある日クライヴと彼の従者二人が話している所に出くわし、聞いてしまう。
クライヴが本当に婚約したかったのはティアーリアの妹のラティリナであったと。
ショックを受けるティアーリアだったが、愛する彼の為自分は身を引く事を決意した。
【誤字脱字のご報告ありがとうございます!小っ恥ずかしい誤字のご報告ありがとうございます!個別にご返信出来ておらず申し訳ございません( •́ •̀ )】
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる