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2.好意を持ってはいけない相手。
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「正体を暴露されても良いのですか? 私の婚約者にならないというのなら、あなたが帝国のエレノア・カルマン公女であることをバラしますよ」
王太子殿下の言葉に腹わたが煮えくりかえる。
何の憂いもなく育ってきて国のことも考えず女遊びに夢中な王太子に、この身を自由にされるほど私は落ちぶれていない。
力強く私を抱き込んでいて、私が押し返そうにもビクともしない。
私には彼を遠ざける命令を下せる魅了の力があるが、その力を持っていることまで万が一バレてはならないので使わない。
「どうぞ、ご勝手になさってくださいな。エレノア・カルマン公女は帝国に健在ですのに、彼女を偽物と言い目の前にいる孤児院出身の少女を本物とおっしゃるのですね。アゼンタイン侯爵家への侮辱だけではなく、帝国も敵に回したいのかしら。帝国の現皇后陛下もカルマン公爵家の出の人間だということをご存知ないのですか?」
私がサム国に逃げた後、私の実家であるカルマン公爵家はすぐに私の替え玉をたてた。
帝国の要塞とも呼ばれるカルマン公爵家から娘が誘拐されたなどと噂がたってはまずいからだ。
「私はエレノアを知った瞬間から、他の女性に興味がなくなりました。あなたの言う所の奉仕活動も今日でお終いに致します」
私の紫陽花色の髪に指を通しながら殿下が私を見据えて囁く。
これ以上私の髪にこの男が触れることを許したくはない。
「それは、私が可愛いからですか?」
私の恩人は何故私が帝国を脱出するのに手を貸したのか尋ねたときに、私が可愛いからだと言い放った。
そんな理由でたくさんのリスクを抱えながら助けてくれるわけない。
私の恩人はとっても心優しい人なのだ、平気で都合の良いことを囁いてくる目の前の殿下とは違う。
「その通りです。エレノア。本当に愛おしい⋯⋯」
殿下はこのように、女を落としてきたのだろう。
帝国唯一の公爵家であるカルマン公爵家の紫色の瞳の女は男を操れる力があるのではと疑われているが実際にその力は実在する。
私の育ったカルマン公爵家は女を皇帝に輿入れさせ、皇帝を意のままに操ると言う役目をになっていた。
帝国の皇帝に嫁ぎ皇族との関係を密にさせ、皇帝の横に寄り添い常に実家であるカルマン公爵家の思い通りの決定をさせるのが本来の役割だ。
公爵家の女の不思議な力の存在は事実で彼女たちは決して美貌や言葉で男を操っているのではない。
明確に超常現象のような力を持って男を操っている。
カルマン公爵家で紫色の瞳で生まれてきた私は、男を目の前にすると意のままにできることにすぐに気がついた。
それと同時に自分がその力を持っていることを知られてしまえば、皇族専属の娼婦にされてしまうと理解した。
私はレオハード帝国の唯一の公爵家であるカルマン公爵家の公女として生まれた。
父親は元皇子であり、女性を自分を気持ち良くしてくれる道具としてしか考えないクズだ。
母親はメイドだが、胎児を殺すのが趣味のカルマン公爵夫人の魔の手から逃れ私を出産した。
しかし、私を出産した直後に公爵夫人に殺されている。
これだけ女を道具のように扱う人間なら、私の魅了の力を使っても後遺症は残らないだろう。
私は自分の魅了の力を使って、彼を操り追い払うことにした。
カルマン公爵家の女はこの力を使って帝国の皇帝を意のままに操ってきた。
純粋すぎる相手に使ってしまうと精神を壊してしまうが、女を道具のように思っている殿下に対して使う分には大丈夫だろう。
「ここから、立ち去りなさい」
私が殿下に対して念じると、彼はふと操られたように背を向けて去って言った。
「できれば、この力は使いたくないのに⋯⋯」
私は雲ひとつない天を仰いだ。
この空は私が逃げてきた帝国と繋がっている。
私がこの力を持って生まれていたことが、実家であるカルマン公爵家に露見すれば血眼に私を探してくるだろう。
替え玉をたてて済ませたのは私がこの力を持っていないと思ったからだ。
「アゼンタイン侯爵令嬢ですか?初めまして、フィリップ・サムです。お一人でいかがしましたか?王宮で迷われましたか?」
プラチナブロンドの髪色にに海色の瞳をした11歳の王子が私を心底心配そうな瞳をして現れた。
明らかに一目でわかる純真さは、他の貴族に利用されそうな危うさがある。
「いえ、一人でお散歩していただけなので大丈夫です。王宮は迷路みたいで楽しいですね」
私は一瞬恐怖で震え上がり、失礼を承知でフィリップ王子の横を走って通り過ぎた。
私は自分が失ってしまった純真さを持つ彼に好感を持ってしまった。
王子なのに道案内をしてあげようと、私を心配してくる太陽の光を吸い込んだような海色の瞳。
私の恩人が言っていたことを思い出したのだ。
私が魅了の力を使いこなせるのは人に期待しないからで、好意を持った相手に期待しないことは不可能に近いから注意した方がよいということ。
フィリップ王子とは距離をとったほうが良い、好かれたいなどと一瞬でも思えば魅了の力が発動してしまい彼の心を壊してしまう。
王太子殿下の言葉に腹わたが煮えくりかえる。
何の憂いもなく育ってきて国のことも考えず女遊びに夢中な王太子に、この身を自由にされるほど私は落ちぶれていない。
力強く私を抱き込んでいて、私が押し返そうにもビクともしない。
私には彼を遠ざける命令を下せる魅了の力があるが、その力を持っていることまで万が一バレてはならないので使わない。
「どうぞ、ご勝手になさってくださいな。エレノア・カルマン公女は帝国に健在ですのに、彼女を偽物と言い目の前にいる孤児院出身の少女を本物とおっしゃるのですね。アゼンタイン侯爵家への侮辱だけではなく、帝国も敵に回したいのかしら。帝国の現皇后陛下もカルマン公爵家の出の人間だということをご存知ないのですか?」
私がサム国に逃げた後、私の実家であるカルマン公爵家はすぐに私の替え玉をたてた。
帝国の要塞とも呼ばれるカルマン公爵家から娘が誘拐されたなどと噂がたってはまずいからだ。
「私はエレノアを知った瞬間から、他の女性に興味がなくなりました。あなたの言う所の奉仕活動も今日でお終いに致します」
私の紫陽花色の髪に指を通しながら殿下が私を見据えて囁く。
これ以上私の髪にこの男が触れることを許したくはない。
「それは、私が可愛いからですか?」
私の恩人は何故私が帝国を脱出するのに手を貸したのか尋ねたときに、私が可愛いからだと言い放った。
そんな理由でたくさんのリスクを抱えながら助けてくれるわけない。
私の恩人はとっても心優しい人なのだ、平気で都合の良いことを囁いてくる目の前の殿下とは違う。
「その通りです。エレノア。本当に愛おしい⋯⋯」
殿下はこのように、女を落としてきたのだろう。
帝国唯一の公爵家であるカルマン公爵家の紫色の瞳の女は男を操れる力があるのではと疑われているが実際にその力は実在する。
私の育ったカルマン公爵家は女を皇帝に輿入れさせ、皇帝を意のままに操ると言う役目をになっていた。
帝国の皇帝に嫁ぎ皇族との関係を密にさせ、皇帝の横に寄り添い常に実家であるカルマン公爵家の思い通りの決定をさせるのが本来の役割だ。
公爵家の女の不思議な力の存在は事実で彼女たちは決して美貌や言葉で男を操っているのではない。
明確に超常現象のような力を持って男を操っている。
カルマン公爵家で紫色の瞳で生まれてきた私は、男を目の前にすると意のままにできることにすぐに気がついた。
それと同時に自分がその力を持っていることを知られてしまえば、皇族専属の娼婦にされてしまうと理解した。
私はレオハード帝国の唯一の公爵家であるカルマン公爵家の公女として生まれた。
父親は元皇子であり、女性を自分を気持ち良くしてくれる道具としてしか考えないクズだ。
母親はメイドだが、胎児を殺すのが趣味のカルマン公爵夫人の魔の手から逃れ私を出産した。
しかし、私を出産した直後に公爵夫人に殺されている。
これだけ女を道具のように扱う人間なら、私の魅了の力を使っても後遺症は残らないだろう。
私は自分の魅了の力を使って、彼を操り追い払うことにした。
カルマン公爵家の女はこの力を使って帝国の皇帝を意のままに操ってきた。
純粋すぎる相手に使ってしまうと精神を壊してしまうが、女を道具のように思っている殿下に対して使う分には大丈夫だろう。
「ここから、立ち去りなさい」
私が殿下に対して念じると、彼はふと操られたように背を向けて去って言った。
「できれば、この力は使いたくないのに⋯⋯」
私は雲ひとつない天を仰いだ。
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私がこの力を持って生まれていたことが、実家であるカルマン公爵家に露見すれば血眼に私を探してくるだろう。
替え玉をたてて済ませたのは私がこの力を持っていないと思ったからだ。
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明らかに一目でわかる純真さは、他の貴族に利用されそうな危うさがある。
「いえ、一人でお散歩していただけなので大丈夫です。王宮は迷路みたいで楽しいですね」
私は一瞬恐怖で震え上がり、失礼を承知でフィリップ王子の横を走って通り過ぎた。
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王子なのに道案内をしてあげようと、私を心配してくる太陽の光を吸い込んだような海色の瞳。
私の恩人が言っていたことを思い出したのだ。
私が魅了の力を使いこなせるのは人に期待しないからで、好意を持った相手に期待しないことは不可能に近いから注意した方がよいということ。
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