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21.どうして、そのルックスを武器に彼を誘惑しなかったのですか?
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「王族の暗殺など反逆罪に問われますよ。それに、暗殺すると宣言している時点で暗殺になってません。エレノア、考え直してください。私はあなたを愛していますし、妻にするのはあなたしかいないと考えています」
触るなといっているのに私を抱き寄せてくるレイモンドを突き放し私は立ち上がった。
「レイモンド、私は今後あなたがどう変わってもあなたを愛することはありません。あなたは地位とルックスを頼りに適当に女を口説いていますが初動が一番大事なのです。出会った初日に私はあなたの存在を不快なものとして受け止めています。それが覆ることは絶対にありません。最低の出会いからはじまる恋は小説の中にしか存在しないのですよ。そして、あなたは一夫多妻制に憧れていますね。その憧れは捨ててください。あなたが妻にするのは私しかいないなどと白々しい嘘をついたせいで室内温度が急低下しました。これから世界が帝国のものとなっていく中、皆が注目するのはアラン皇帝陛下の動向です。彼は絶対にエレナ・アーデン以外の妻を取らないと断言できます。温和で優しい雰囲気で誰からも好かれる彼が、唯一3ヶ月無視し続け冷たい態度をとったと言われるのがエレナ・アーデンなのです。彼を溺愛していると有名な実の母親を皇宮から追い出すような男です。優しい男な訳がありません。他者をコントロールして遊ぶ中で、唯一人間として扱い冷たい自分を見せた彼女以外を妻として娶ることはありません。そのような皇帝陛下を見て、たった1人の女を妻とし愛することこそが美徳だと世界の価値観は変わるでしょう。そんな時、ただでさえ不利な状況にあるサム国の王族であるレイモンドが女をたくさん囲っていては軽蔑の視線を向けられるだけです。とにかく婚約を破棄してくれれば暗殺はしません。手をつけた貴族令嬢の誰かと結婚してください」
私は自分で初動が大事だと言っていて、フィリップ王子の私の初対面の印象が最低だということに気がついた。
そのことに落ち込むということは、私はやはり彼に恋をしていたのだろう。
しかし、今は騎士の誓いをした唯一の君主として彼を見られるようになっている。
フィリップ王子を思うおかしな気持ちも薄れていってくれるに違いない。
「エレノア、私が間違っていました。お願いします、チャンスをください。私はあなたにどうしようもなく惹かれているのです。2年間だけでも私にあなたの時間を頂けませんか?別人に変わることを約束致します」
彼の黒髪から覗く海色の瞳は、私の好きなフィリップ王子のものに似ていた。
8歳も年上の王族であるレイモンドを侮辱したのだから、不敬だと怒り狂ってくれれば切り捨てられるものを猶予を懇願してくるとは思わなかった。
「フィリップ王子に王太子の地位を譲る気もないのですか? 私は自分の幸せより国民の幸せを考えてくれる君主が理想なのです。フィリップ王子は私の理想の君主だと思いました。レイモンドは自分のことばかりですね。先程、ダンテ様が愛する皇帝陛下と言ったのを覚えていますか? 彼は男色の気があると自白していたのです。どうして、そのルックスを武器に彼を誘惑しなかったのですか? 彼は帝国にとって敵国だった国の出身でありながら、外交を任されている優秀な人材です。こちらに取り込めればサム国にとって強い武器になりましたよ」
私はダンテ様をサム国に取り込みたい一心でプライドを捨てて彼を誘惑しようとした。
12歳の子供の私が彼を誘惑したところで、成功しないと分かっていたが特攻した。
それなのに挨拶をされないことに拗ねて、サム国の王太子であるレイモンドは何もしなかったのだ。
「エレノア、私に男色の気はありません。男を誘惑などしたこともありません」
レイモンドの返答を聞いて、私はやはり心を鬼にして彼を切り捨てるべきかもしれないと考え直した。
でも本当にそれで良いのだろうか、彼と同じ生まれならば彼のような価値観の人間になってしまう確率は非常に高い。
彼には同情の余地があるのは確かだ。
「あなたの趣味や好みなど関係ないのですよ。必ず自国民のことを第一に考えると誓ってください。それから経験のないことをできないという人間は、別人に変わることはできません。確かにレイモンドは不幸な境遇に生まれています。生まれた時から国王になる未来が決まっていて、恵まれたルックスを持っていたのです。そのどちらか一方が欠けていれば、もっと内面の魅力で人を惹きつける人間になれていたかもしれません。あなたに1年の猶予を与えることにします。次の3つから選んでください。1、フィリップ王子に王太子の地位を譲る。2、顔に消えない十字傷をつくる。3、15キロ太って小太りになる。20年間染みついた価値観を変えるのは難しいことです。この3つのいずれかを実行すれば、周りのあなたを見る目が変わり、レイモンド自身が生まれ変わりやすくなります」
触るなといっているのに私を抱き寄せてくるレイモンドを突き放し私は立ち上がった。
「レイモンド、私は今後あなたがどう変わってもあなたを愛することはありません。あなたは地位とルックスを頼りに適当に女を口説いていますが初動が一番大事なのです。出会った初日に私はあなたの存在を不快なものとして受け止めています。それが覆ることは絶対にありません。最低の出会いからはじまる恋は小説の中にしか存在しないのですよ。そして、あなたは一夫多妻制に憧れていますね。その憧れは捨ててください。あなたが妻にするのは私しかいないなどと白々しい嘘をついたせいで室内温度が急低下しました。これから世界が帝国のものとなっていく中、皆が注目するのはアラン皇帝陛下の動向です。彼は絶対にエレナ・アーデン以外の妻を取らないと断言できます。温和で優しい雰囲気で誰からも好かれる彼が、唯一3ヶ月無視し続け冷たい態度をとったと言われるのがエレナ・アーデンなのです。彼を溺愛していると有名な実の母親を皇宮から追い出すような男です。優しい男な訳がありません。他者をコントロールして遊ぶ中で、唯一人間として扱い冷たい自分を見せた彼女以外を妻として娶ることはありません。そのような皇帝陛下を見て、たった1人の女を妻とし愛することこそが美徳だと世界の価値観は変わるでしょう。そんな時、ただでさえ不利な状況にあるサム国の王族であるレイモンドが女をたくさん囲っていては軽蔑の視線を向けられるだけです。とにかく婚約を破棄してくれれば暗殺はしません。手をつけた貴族令嬢の誰かと結婚してください」
私は自分で初動が大事だと言っていて、フィリップ王子の私の初対面の印象が最低だということに気がついた。
そのことに落ち込むということは、私はやはり彼に恋をしていたのだろう。
しかし、今は騎士の誓いをした唯一の君主として彼を見られるようになっている。
フィリップ王子を思うおかしな気持ちも薄れていってくれるに違いない。
「エレノア、私が間違っていました。お願いします、チャンスをください。私はあなたにどうしようもなく惹かれているのです。2年間だけでも私にあなたの時間を頂けませんか?別人に変わることを約束致します」
彼の黒髪から覗く海色の瞳は、私の好きなフィリップ王子のものに似ていた。
8歳も年上の王族であるレイモンドを侮辱したのだから、不敬だと怒り狂ってくれれば切り捨てられるものを猶予を懇願してくるとは思わなかった。
「フィリップ王子に王太子の地位を譲る気もないのですか? 私は自分の幸せより国民の幸せを考えてくれる君主が理想なのです。フィリップ王子は私の理想の君主だと思いました。レイモンドは自分のことばかりですね。先程、ダンテ様が愛する皇帝陛下と言ったのを覚えていますか? 彼は男色の気があると自白していたのです。どうして、そのルックスを武器に彼を誘惑しなかったのですか? 彼は帝国にとって敵国だった国の出身でありながら、外交を任されている優秀な人材です。こちらに取り込めればサム国にとって強い武器になりましたよ」
私はダンテ様をサム国に取り込みたい一心でプライドを捨てて彼を誘惑しようとした。
12歳の子供の私が彼を誘惑したところで、成功しないと分かっていたが特攻した。
それなのに挨拶をされないことに拗ねて、サム国の王太子であるレイモンドは何もしなかったのだ。
「エレノア、私に男色の気はありません。男を誘惑などしたこともありません」
レイモンドの返答を聞いて、私はやはり心を鬼にして彼を切り捨てるべきかもしれないと考え直した。
でも本当にそれで良いのだろうか、彼と同じ生まれならば彼のような価値観の人間になってしまう確率は非常に高い。
彼には同情の余地があるのは確かだ。
「あなたの趣味や好みなど関係ないのですよ。必ず自国民のことを第一に考えると誓ってください。それから経験のないことをできないという人間は、別人に変わることはできません。確かにレイモンドは不幸な境遇に生まれています。生まれた時から国王になる未来が決まっていて、恵まれたルックスを持っていたのです。そのどちらか一方が欠けていれば、もっと内面の魅力で人を惹きつける人間になれていたかもしれません。あなたに1年の猶予を与えることにします。次の3つから選んでください。1、フィリップ王子に王太子の地位を譲る。2、顔に消えない十字傷をつくる。3、15キロ太って小太りになる。20年間染みついた価値観を変えるのは難しいことです。この3つのいずれかを実行すれば、周りのあなたを見る目が変わり、レイモンド自身が生まれ変わりやすくなります」
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