身分を隠して逃亡中の公女ですが、他国で逆ハー築いてます。

専業プウタ

文字の大きさ
24 / 56

24.私の紫陽花姫、帝国になど行かないで私の側に居てください。

しおりを挟む
「レイモンド・サム、アゼンタイン侯爵令嬢と婚約関係にありながら私と不道徳な関係を持ったことを公表します。そのことを公表されたくなければ、今すぐにアゼンタイン侯爵令嬢との婚約を解消しなさい!」

聞いたことのない強い口調でレイモンドに迫る、ビアンカ様に呆気にとられる。

「待ってください。そんなことを公表すればビアンカ様の名誉にも傷がつきます。私は半年後にはレイモンドと婚約を解消するので、ご自分のことだけを考えてください」
私はビアンカ様を必死にひきとめた。

「エレノア、本当にあなたには取り返しのつかないことをしたわ。私は帝国に移住して次の帝国の要職試験を受けるつもりよ。もう、男に頼るような生き方はしたくないの」

私の頬を撫でたビアンカ様の指に涙の滴がついていた。
信じられないことに私は人前で泣いていたらしい。
ビアンカ様が2年以上の時を経て、外に出てきてくれたのが嬉しかったのだ。

「美の探究にひきこもったことにしようとしたのに、ビアンカ様は新帝国法について学んでおられたのですね。私が浅はかにビアンカ様の門出を邪魔してしまいました」

私はビアンカ様が失恋のショックで引きこもっているものと思い込んでいた。
弱々しく守ってあげたくなるような彼女の見た目に惑わされていたのかもしれない。

「エレノア、私にとって貴方ほど大切な存在はいないわ。血の繋がりなんか関係ない。レイモンドを追い払いたい時はいつでも言うのよ、私は彼を失墜させるだけの武器を持っているから」

ビアンカ様が私のことを強く抱きしめてきた。
血の繋がりなんて関係ないと言ってくれたのが嬉しくて私はまた頬に熱いものが流れるのを感じた。

ビアンカ様が強風の如く去って、呆けていたらレイモンドが横から私をつついてきた。

「私の知っているリード公女とは別人でした。誰ですかあれは。大人しく扱いやすい女だと思っていたのに、別人のように激った目をしていて正直怖かったです」
レイモンドはなぜそんなことを私に言ってくるのだろう。
怖い思いをした自分を慰めてほしいとでもいいたげで意味が
わからない。
でも、私が泣いたのを知らないふりしてくれているのだけは嬉しい。

「レイモンド、あなたの方がずっと怖い人間ですよ。あなたが女性にしてきたことは虐待と変わらないです。自分が加害者だという意識を持って、これからは民のために残りの人生を費やし自分の罪を償っていくという気持ちでいてくださいね。ビアンカ様は帝国に移住するのですね。私もアカデミーを卒業して時間ができたら一度帝国に行きたいと思っています」

海を眺めながら私が語っていると、目の前に紫陽花の花束が差し出された。
「私の紫陽花姫、帝国になど行かないで私の側に居てください」
レイモンドが懇願するように言ってきた言葉に私はため息をついた。

「私、その紫陽花姫という通り名は気に入ってないです。私は自分をお姫様だと思ったことは一度もありません。孤児院の野良猫と言われる方が嬉しいです。私のこと正しく言うなら孤児院に紛れ込んだ野良猫ですね。でも、孤児院に行って正解だったかもしれません。アゼンタイン侯爵夫妻のような優しい両親に引き取られて、ルークのような可愛い弟もできて、私はとても幸せになれました。ちなみに私が帝国に行きたいと言っているのは魅了の力の研究がしたいからです。私のような悩みを持つ子供をこれ以上増やしたくないのです。今、海の匂いを嗅いでいて気がついたのですが、首都のカルマン公爵邸は珍しい赤い花に囲まれていてその花の匂いが充満していました。あの花に私は秘密があるのではないかと睨んでいます」

レイモンドは私に紫陽花の花束を毎度プレゼントしてくるようになった。
赤い薔薇の花束を嫌いと言ったことは覚えているようだ。

「帝国の首都のカルマン公爵邸は、今、刑務所になっているのですよね」
レイモンドの言葉に思わず私は苦笑いした。
しおりを挟む
感想 0

あなたにおすすめの小説

黒騎士団の娼婦

星森 永羽
恋愛
夫を亡くし、義弟に家から追い出された元男爵夫人・ヨシノ。 異邦から迷い込んだ彼女に残されたのは、幼い息子への想いと、泥にまみれた誇りだけだった。 頼るあてもなく辿り着いたのは──「気味が悪い」と忌まれる黒騎士団の屯所。 煤けた鎧、無骨な団長、そして人との距離を忘れた男たち。 誰も寄りつかぬ彼らに、ヨシノは微笑み、こう言った。 「部屋が汚すぎて眠れませんでした。私を雇ってください」 ※本作はAIとの共同制作作品です。 ※史実・実在団体・宗教などとは一切関係ありません。戦闘シーンがあります。

【完結】第一王子と侍従令嬢の将来の夢

かずえ
恋愛
第一王子は、常に毒を盛られ、すっかり生きることに疲れていた。子爵令嬢は目が悪く、日常生活にも支障が出るほどであったが、育児放棄され、とにかく日々を送ることに必死だった。 12歳で出会った二人は、大人になることを目標に、協力しあう契約を交わす。

せっかく傾国級の美人に生まれたのですから、ホントにやらなきゃ損ですよ?

志波 連
恋愛
病弱な父親とまだ学生の弟を抱えた没落寸前のオースティン伯爵家令嬢であるルシアに縁談が来た。相手は学生時代、一方的に憧れていた上級生であるエルランド伯爵家の嫡男ルイス。 父の看病と伯爵家業務で忙しく、結婚は諦めていたルシアだったが、結婚すれば多額の資金援助を受けられるという条件に、嫁ぐ決意を固める。 多忙を理由に顔合わせにも婚約式にも出てこないルイス。不信感を抱くが、弟のためには絶対に援助が必要だと考えるルシアは、黙って全てを受け入れた。 オースティン伯爵の健康状態を考慮して半年後に結婚式をあげることになり、ルイスが住んでいるエルランド伯爵家のタウンハウスに同居するためにやってきたルシア。 それでも帰ってこない夫に泣くことも怒ることも縋ることもせず、非道な夫を庇い続けるルシアの姿に深く同情した使用人たちは遂に立ち上がる。 この作品は小説家になろう及びpixivでも掲載しています ホットランキング1位!ありがとうございます!皆様のおかげです!感謝します!

お兄ちゃんは、ヒロイン様のモノ!!……だよね?

夕立悠理
恋愛
もうすぐ高校一年生になる朱里には、大好きな人がいる。義兄の小鳥遊優(たかなしゆう)だ。優くん、優くん、と呼んで、いつも後ろをついて回っていた。  けれど、楽しみにしていた高校に入学する日、思い出す。ここは、前世ではまっていた少女漫画の世界だと。ヒーローは、もちろん、かっこよくて、スポーツ万能な優。ヒロインは、朱里と同じく新入生だ。朱里は、二人の仲を邪魔する悪役だった。  思い出したのをきっかけに、朱里は優を好きでいるのをやめた。優くん呼びは、封印し、お兄ちゃんに。中学では一緒だった登下校も別々だ。だって、だって、愛しの「お兄ちゃん」は、ヒロイン様のものだから。  ──それなのに。お兄ちゃん、ちょっと、距離近くない……? ※お兄ちゃんは、彼氏様!!……だよね? は二人がいちゃついてるだけです。

偉物騎士様の裏の顔~告白を断ったらムカつく程に執着されたので、徹底的に拒絶した結果~

甘寧
恋愛
「結婚を前提にお付き合いを─」 「全力でお断りします」 主人公であるティナは、園遊会と言う公の場で色気と魅了が服を着ていると言われるユリウスに告白される。 だが、それは罰ゲームで言わされていると言うことを知っているティナは即答で断りを入れた。 …それがよくなかった。プライドを傷けられたユリウスはティナに執着するようになる。そうティナは解釈していたが、ユリウスの本心は違う様で… 一方、ユリウスに関心を持たれたティナの事を面白くないと思う令嬢がいるのも必然。 令嬢達からの嫌がらせと、ユリウスの病的までの執着から逃げる日々だったが……

せっかく転生したのにモブにすらなれない……はずが溺愛ルートなんて信じられません

嘉月
恋愛
隣国の貴族令嬢である主人公は交換留学生としてやってきた学園でイケメン達と恋に落ちていく。 人気の乙女ゲーム「秘密のエルドラド」のメイン攻略キャラは王立学園の生徒会長にして王弟、氷の殿下こと、クライブ・フォン・ガウンデール。 転生したのはそのゲームの世界なのに……私はモブですらないらしい。 せめて学園の生徒1くらいにはなりたかったけど、どうしようもないので地に足つけてしっかり生きていくつもりです。 少しだけ改題しました。ご迷惑をお掛けしますがよろしくお願いします。

ご褒美人生~転生した私の溺愛な?日常~

紅子
恋愛
魂の修行を終えた私は、ご褒美に神様から丈夫な身体をもらい最後の転生しました。公爵令嬢に生まれ落ち、素敵な仮婚約者もできました。家族や仮婚約者から溺愛されて、幸せです。ですけど、神様。私、お願いしましたよね?寿命をベッドの上で迎えるような普通の目立たない人生を送りたいと。やりすぎですよ💢神様。 毎週火・金曜日00:00に更新します。→完結済みです。毎日更新に変更します。 R15は、念のため。 自己満足の世界に付き、合わないと感じた方は読むのをお止めください。設定ゆるゆるの思い付き、ご都合主義で書いているため、深い内容ではありません。さらっと読みたい方向けです。矛盾点などあったらごめんなさい(>_<)

やけに居心地がいいと思ったら、私のための愛の巣でした。~いつの間にか約束された精霊婚~

小桜
恋愛
ルディエル・アレンフォードは森に住む麗しの精霊守。 そんな彼が、いよいよ伴侶を迎えようと準備を始めているらしい。 幼馴染という関係に甘んじていたネネリア・ソルシェは、密かにショックを受けていた。 そろそろ彼との関係も終わらせなければならないけれど、ルディエルも精霊達もネネリアだけに優しくて――? 「大丈夫。ずっと居たいと思えるような場所にしてみせるから」 鈍感なネネリアと、一途で奥手なルディエル。 精霊に導かれた恋は、本人だけが気づかない。

処理中です...