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30.あなた以外の男性が息絶えても好きになることはありません。
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「アゼンタイン侯爵令嬢と呼ぶのが長いからフィリップ王子殿下にはエレノアと呼んで頂いています。お祭りはハンスと行きました。レイモンド、あなたはライバルがいなくなれば自分が愛されると思うタイプの人間ですね。その考え方は、一夫一妻制のサム国の方が持つ特有の考え方な気がします。私は一夫多妻制の帝国の価値観が染み付いています。私の父は5人の妻がいて3人の情婦がいました。ちなみに私はその8人の子供ではなくメイドの子です。父は誰のことも好きではありません。妻や情婦の人数が増えたり、減ったりしても何とも思わないでしょう。私もそんなものだと思っているので、ライバルがいないなら自分が愛されるなどという価値観に違和感がありました。私は、たとえこの世界のあなた以外の男性が息絶えてもレイモンドを好きになることはありません。帝国では婚約は政略的なものばかりで婚約期間も長いです。アラン皇帝陛下など6歳でアーデン侯爵令嬢と婚約しているので12年の婚約期間です。当然、当人の気持ちなど関係なく婚約は成立しますし簡単に婚約破棄などできません。サム国では婚約期間は1年くらいが妥当だと聞きました。みんな成人してから婚約するそうで、一夫一妻制のためお互いの気持ちを通わせて結婚するケースが多いそうですね。アゼンタイン侯爵夫妻がレイモンドとの年齢差や幼くして私の結婚相手が決まってしまっていることを毎日のように心配してくれるのです。だから、婚約破棄させて頂けるならお願い致します」
私はレイモンドが無駄な期待をして、落胆しないように婚約破棄を申し出た。
そもそもなぜ彼が私との結婚にこだわるのかが理解できない。
私の実家のカルマン公爵家の名誉は失墜してるから、帝国との交渉に私の存在は役に立たない。
やはり、魅了の力を使うことを期待されているとしたら悲しい。
「エレノア、あなたの婚約破棄をしたい理由はあなたがサム国の価値観に寄り添おうとしただけですよね。私の1年間の変化を見て判断してくれると言ってませんでしたか? エレノアは初対面の印象をずっと引き摺る方ですよね。あなたはアラン皇帝陛下を語る時は、彼を悪魔皇帝のように語ります。初対面で老齢の貴族を跪かせていて、周りの全ての人が彼を好いているのが怖かったと言ってました。今、彼はとても良い君主だと周りから尊敬されていますよね。でも、あなたの彼に対する評価は全く覆りません。初対面でエレノアに失礼な態度をとったことは謝ります。でも、ちゃんと約束通り私の1年間の変化を見て審判してくれませんか?」
レイモンドが私の隣に来て、私の手を握りながら話してくる。
黒髪から覗く海色の瞳が悲しそうな彼の気持ちを表現している。
「申し訳ございません。レイモンドの言うとおりです。私にそんなことを指摘してくれたのはあなたが初めてです。レイモンドは人の本質を見る目がありますね。それは上に立つ人間に絶対持っていて欲しい能力だと私は思っています」
彼に言われたことは、まさに私の本質をついていた。
初対面で親切にしてくれたフィリップ王子に好意を抱き、私を服従させようとしたレイモンドには未だ彼の気持ちに対して疑惑の目を向けている。
私の言った通りにこの1年でレイモンドは政務に真剣に取り組み、周りの評価も驚くほど変わっている。
それなのに、私は初対面の彼の印象をまだ引き摺っていた。
1年という猶予期間を与えながら、1年前に結論を決めていたようなものだ。
「エレノア、そんな顔しないでください。そうだ、もうすぐアカデミーの長期休みですよね。どこか行きませんか?」
レイモンドが下を向く私の顔を覗き込みながら明るく話しかけてくる。
また、私は自分の基本顔の絶望顔をしていたのだろうか。
私はレイモンドが無駄な期待をして、落胆しないように婚約破棄を申し出た。
そもそもなぜ彼が私との結婚にこだわるのかが理解できない。
私の実家のカルマン公爵家の名誉は失墜してるから、帝国との交渉に私の存在は役に立たない。
やはり、魅了の力を使うことを期待されているとしたら悲しい。
「エレノア、あなたの婚約破棄をしたい理由はあなたがサム国の価値観に寄り添おうとしただけですよね。私の1年間の変化を見て判断してくれると言ってませんでしたか? エレノアは初対面の印象をずっと引き摺る方ですよね。あなたはアラン皇帝陛下を語る時は、彼を悪魔皇帝のように語ります。初対面で老齢の貴族を跪かせていて、周りの全ての人が彼を好いているのが怖かったと言ってました。今、彼はとても良い君主だと周りから尊敬されていますよね。でも、あなたの彼に対する評価は全く覆りません。初対面でエレノアに失礼な態度をとったことは謝ります。でも、ちゃんと約束通り私の1年間の変化を見て審判してくれませんか?」
レイモンドが私の隣に来て、私の手を握りながら話してくる。
黒髪から覗く海色の瞳が悲しそうな彼の気持ちを表現している。
「申し訳ございません。レイモンドの言うとおりです。私にそんなことを指摘してくれたのはあなたが初めてです。レイモンドは人の本質を見る目がありますね。それは上に立つ人間に絶対持っていて欲しい能力だと私は思っています」
彼に言われたことは、まさに私の本質をついていた。
初対面で親切にしてくれたフィリップ王子に好意を抱き、私を服従させようとしたレイモンドには未だ彼の気持ちに対して疑惑の目を向けている。
私の言った通りにこの1年でレイモンドは政務に真剣に取り組み、周りの評価も驚くほど変わっている。
それなのに、私は初対面の彼の印象をまだ引き摺っていた。
1年という猶予期間を与えながら、1年前に結論を決めていたようなものだ。
「エレノア、そんな顔しないでください。そうだ、もうすぐアカデミーの長期休みですよね。どこか行きませんか?」
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