身分を隠して逃亡中の公女ですが、他国で逆ハー築いてます。

専業プウタ

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36.私の企みは成功しているようだ。

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なぜ、こんな簡単なことに気が付かなかったのだろう。
彼は王太子で、遊び相手は貞節を求められる貴族令嬢で娼婦ではない。

自分から攻めることには慣れているが、攻められることには慣れていない。
経験したことないことをすることに抵抗を持つ性格。

気持ちがないのに口づけをされるのが嫌なら、こちらが攻めまくって縮こまらせてやれば良いのだ。

口づけなど例え彼を好きになったとしても、結婚式まで絶対にしたくない。
私の価値観は気高く貞節を尽くす帝国の高位貴族令嬢のものなのだ。

「レイモンド、そういえば良く私の部屋に入ることをアゼンタイン侯爵夫妻がお許しになりましたね? 何か言ったのですか?」
私は彼の胸に寄りかかりながら、彼を見上げた。

顔を赤くして、私から目を逸らしている。
やはり、私の企みは成功しているようだ。

「特に何も言ってませんよ。入ることの許されない部屋などあるのですか?」

慣れないシチュエーションに緊張しだしたのか掠れた声で聞いてくる彼の言葉に、彼が知らずに王族の権力をたてに未婚の貴族令嬢の部屋に入っていることがわかった。

普通、貴族令嬢の部屋に男性を入れるなどということは許されない。
しかし、レイモンドは当然のように入ってしまうから、臣下である周りの人間は困りながらもどうにもできないのだろう。

「王族ではなくなったら、入ることの許されない部屋ができます。未婚の貴族令嬢の部屋に入るのはマナー違反です。知らずに権力を行使していましたね。領主になれたとしたら、皇帝陛下という上司ができますから好き勝手ばかりやっていては切られてしまいますよ」

私が彼の胸に顔を擦り付けながら話すと、完全に彼は硬直してしまった。
触れられるのが不快だったはずなのに、反応が面白すぎて不快感が飛んでしまっている。

「やはり、サム国が国の形を保つのは難しいのでしょうか?」
彼は小さい頃から国王になると信じてきたのだから、流石に他の道を受け入れ難いようだった。

「帝国は侵略に武力を使っていません。しかし、武力は所有しています。それを使われたら勝ち目はありません。帝国の侵略は明らかに世界征服を目的にしたスピード感があります。サム国が後回しにされているのは、この国の国民性のおかげだと思います。新帝国法によると帝国領になると、貴族は一度爵位も失います。その後、能力を認められれば爵位を授かるのです。貴族として富を謳歌してきた人間がそれに従うのは難しいです。特にサム国の国民は自分の国に満足しています。私はビアンカ様の様子を見るのと一緒に帝国領になったばかりのアツ国の爵位を失った貴族たちが不満を持っていないのかを調査しようと思っていました。周辺諸国を帝国領にされたら、おそらく能力のある人間からサム国を脱出します。サム国は不良債権のような人材だけを抱えて、貧しい国になってしまうでしょう。国の体裁を整えることよりも国民のことを考えるなら、帝国領になってしまった方が良いという決断になると思います」

今のサム国の国王陛下にもレイモンドにも国を帝国に明け渡す決断は難しい気がした。
2人とも国民より自分のことを考えるタイプなのだ。

王族であることに価値を見出している。

だから、自分のことよりも国民のことを考えているフィリップ王子が一番君主にふさわしいのは確かだ。

でも私の運命の人は残念ながら、病的自己中で王族の権力を使いまくりなレイモンドだ。

「帝国のアツ領に行くのはやめたのですか?」

レイモンドがちらっとだけ私を覗き見る。
彼のフィリップ王子と同じ海色の瞳は好きだからもう少し見たかった。

「ダンテ補佐官の出身のエスパルは元々知能が高い人間が多いのではないかと言われていました。旧アツ国はそんな話は聞いたことがありませんし、治安もサム国より良くないと言われています。ひったくり事件のようなものが発生した時に私が衝動的に魅了の力を使ってしまう可能性があります。知能がよほど高くないと確実にかかってしまって、場合によっては精神を破壊します。恐ろしくてとても行けません。アカデミーの長期期間中はレイモンドの側にいます」

私はレイモンドの頭を抱えて、自分の方に彼の顔を向かせた。

大好きな海色の瞳が見たかったし、どれだけ顔を赤くして動揺しているのか見てやろうと思ったのだ。
彼はあまりの私の急激な変化に対応できないのか、顔を赤くし固まって絶句していた。

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