身分を隠して逃亡中の公女ですが、他国で逆ハー築いてます。

専業プウタ

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46.野良猫の私が今この時だけはお姫様になっているのだ。

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「エレノア、邸宅に帰ったんじゃなかったのか?」
図書館に行くと、ハンスとフィリップ王子が2人きりで勉強していた。

おそらく、ハンスが試験前だから勉強を教えて欲しいと迫ったのだろう。
フィリップ王子だって試験前なのにハンスの面倒を見てあげるなんて優し過ぎる。

「試験勉強をしようと思って図書館に来たのです。フィリップ王子殿下、緊急の貴族会議があるそうですが参加をしなくても大丈夫なのですか?」

フィリップ王子は優し過ぎるし、ハンスは憎めない人懐こさがあるから心配になった。

フィリップ王子だって試験前だと言うことに変わりはない、でもハンスから勉強を教えて欲しいと言われて断れなかったのではないだろうか。

「僕は試験前だから出席はしなくて良いことになっているんだ。心配してくれてありがとう、エレノア」

彼の美しい海色の瞳を見て、泣きそうになった。
この時点でサム国が帝国領になることになっているのは平民だけだ。
貴族達は自分の爵位が奪われることを恐れて、サム国が帝国領になることを贖い難い恐怖が近づくまで拒否するだろう。

それは王族という地位にこだわる国王陛下やレイモンドも同じだ。
この時点で、サム国の9割を占める平民に心を寄せて帝国領になることを望むのはフィリップ王子殿下だけだ。

それが分かっているから、あえて国の方針を決める会議に彼を出席させないのだろう。

「王子殿下の誕生日にはプレゼントも贈らない失礼をしてしまい申し訳ございませんでした。何か私にプレゼントさせて頂けませんでしょうか」
1週間前がフィリップ王子の15歳の誕生日パーティーだった。

私が彼にプレゼントをすると要らない憶測を読む可能性があり、絶対にプレゼントをしないほうが良いと言われた。
プレゼントを持たずパーティーに出席する失礼よりも、婚約者の弟にプレゼントをすることによってあらぬ噂が広がるのを防ぐ方が良いと言うのがこの国の価値観なのだ。

私は手ぶらで彼の誕生日を祝う舞踏会に、レイモンド共に参加した。

「では、エレノア姫と踊る権利を頂けますか?」
フィリップ王子殿下のプラチナブロンドの髪がふわっとしたと思うと、彼は私にひざまづいていた。

彼の美しい海色の瞳に映る私は、見ていられない程赤面している。

彼の差し出した手に震える自分の手を重ねた。
踊るといっても図書館だ、確かに私達以外他に人はいないけれど曲もないここでどう踊れば良いのか。

「ハンス・リード、歌います。存分に踊ってくださいね!」
ハンスの声が耳に入ってきて、思わずフィリップ王子殿下を見つめる。

急にハンスがダンスの定番曲のメロディーに自分の謎の歌詞をつけて歌ってきた。
私は思わず笑いそうになるが、目の前にいるフィリップ王子の海色の瞳を見るとただ彼の瞳を見つめることしかできなくなる。

確かに今ここには私達3人しかいない。
図書館で歌を歌うハンスも、踊り出すフィリップ王子も私も常識を逸脱している。

見られていないからといってやって良いことではないかもしれないけれど、野良猫の私が今この時だけはお姫様になっているのだ。

目の前にいるフィリップ王子が帝国の要職試験を受ければ必ず合格する。
彼は優秀で完璧な人で、誰もが好きになってしまうような魅力がある。

貴族令嬢がみな好きになるという天界の王子様の次の候補は彼だろう。
きっと帝国に行ったら、みんな彼を好きになる。

彼はどのような女性が好きなのだろうか、どのような完璧な方でも女性によって一瞬で破滅する。
私はフィリップ王子が男が好きであれば良いと願った。

仲の良いハンスを好きであれば、彼は良質な人間だからフィリップ王子殿下が道を踏み外すこともない。

「私、王子殿下と踊れた今を一生忘れません。」

私は踊りが終わると、フィリップ王子に告げた。

「エレノア、今日は雨風が酷く帰宅するのが困難だから、王宮に泊まっていくように手配しますね。兄上にはあなたが帰宅したように伝えるのでゆっくり休んでください」

優しい彼の言葉に涙が溢れそうになるのを必死で耐えた。
私は本当に彼のことが好きで仕方がない、彼を好きにならないなら私は男だ。
それくらいフィリップ王子は素敵な方で、私は彼と接する度に自分が恋に夢中になるくだらない女になるのを感じていた。
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