55 / 56
55.私の初恋はあなたです。
しおりを挟む
「エレノア、本当に美しいです。やっと今日に辿り着きました。夜が楽しみです」
レイモンドが私の頬を撫でながらうっとりとした目で見つめてくる。
レイモンドと私は今日結婚する。
サム国の豪華絢爛な王宮はそのまま残されて、私は今日から邸宅を出てそこに住むことになる。
王宮にあるチャペルでこれから結婚式を挙げるのに、彼の気持ちは初夜へと向かっていた。
「レイモンド、今日という日の様子は領民だけでなく、世界中に発信されます。節度を持った行動を心がけてください。一瞬たりとも気を抜いてはなりません。今度、初夜のことを考えたら初夜もなしにします」
サム国は帝国領になった最後の国だ。
レイモンドの父親である先の国王が王位にこだわったため、帝国の領地化が遅れたと世界では認識された。
民の利益を一番に考え玉座に居座り続ける父親から、王位を奪い取ったレイモンドの行動は世界中から賞賛の的となった。
だから、そんな彼の結婚式は当然、世界から注目されている。
「エレノアはそれで良いのですか?」
彼は相変わらず、自分は初夜が楽しみだから私も初夜が一番楽しみだろうと同意を求めてくる。
「良いに決まってますよね。昼間に行われる結婚式がメインイベントだということが理解できないのであれば、初夜はなしです」
私の大好きな彼の海色の瞳をみると先ほどまであった情欲のかげが消えていた。
私が厳しく言った言葉に私の本気が伝わったことが分かりホッとする。
「それにしても、新婚旅行で帝国の首都まで行くのはどうなのでしょう。王宮の部屋で2人でゆっくりした方がずっと有意義な時間が過ごせるとは思いませんか?」
帝国の首都までは片道で馬車に乗りっぱなしで1ヶ月はかかる。
私はいまだに12年前、自分がどのように帝国からここまでエレナ・アーデンによって連れて来られたのかわからない。
私にとっては寝ている間に、ここにワープしてきたように感じていたのだ。
「新婚旅行というのは名目です。アラン皇帝陛下とエレナ皇后にご挨拶に伺うのが一番の目的だということが分かりませんか? 首都には私が恩義に報いるべきか方々がいらっしゃいます。まずは、その方達に改めてお礼とご挨拶に伺うのが筋というものです。2ヶ月以上もの間、フィリップ様がご厚意で領主代行の仕事をして頂けるというのです。それなのに部屋でゆっくり過ごしたいなどと、あなたの目的が丸分かりですね。領主としての自覚が全く足りておりません」
彼は初夜の1回という約束も反故にしそうだ。
15キロ太って小太りになるという約束も守らなかった前科がある。
「はっきり言って、エレノアが初恋のエレナ皇后に会うのが嫌です」
彼が子供のようなことを言いながら、私の頬を撫でてくる。
「私の初恋はレイモンドあなたです。エレナ皇后は私の憧れでヒーローだったと気が付きました。婚約者指名の後、庭園であなたと話した時、私は自分にはない強い自信を持つあなたに惹かれました」
私は彼と最初にあった日に彼の海色の瞳に映った自分が、今まで見たどの自分よりも可愛く見えたことを思い出した。
私はあの時にすでに恋に落ちて彼にときめいていたのだ。
「それは本当ですか? でも、エレノアは冷たく婚約破棄をするように言ってきましたよね」
明らかに驚きを隠せいないレイモンドが私に矢継ぎ早に問いかけてくる。
帝国の首都に行くまでに、優雅な話し方と表情管理を叩き込まなければいけなそうだ。
彼にも帝国の首都に来訪する際の顔をつくってもらわなければならない。
「カルマン公爵家には『周囲はみんな詐欺師、人は駒だと思え』と言う家訓があります。明らかに詐欺師の顔で、私を利用しようとしているあなたを見たら、とてもじゃないけれど自分の気持ちを認められませんでした。詐欺を働いても詐欺られるな、人を駒にすることがあっても駒にされるなという教えが私には染み付いていたからです」
レイモンドが私の頬を撫でながらうっとりとした目で見つめてくる。
レイモンドと私は今日結婚する。
サム国の豪華絢爛な王宮はそのまま残されて、私は今日から邸宅を出てそこに住むことになる。
王宮にあるチャペルでこれから結婚式を挙げるのに、彼の気持ちは初夜へと向かっていた。
「レイモンド、今日という日の様子は領民だけでなく、世界中に発信されます。節度を持った行動を心がけてください。一瞬たりとも気を抜いてはなりません。今度、初夜のことを考えたら初夜もなしにします」
サム国は帝国領になった最後の国だ。
レイモンドの父親である先の国王が王位にこだわったため、帝国の領地化が遅れたと世界では認識された。
民の利益を一番に考え玉座に居座り続ける父親から、王位を奪い取ったレイモンドの行動は世界中から賞賛の的となった。
だから、そんな彼の結婚式は当然、世界から注目されている。
「エレノアはそれで良いのですか?」
彼は相変わらず、自分は初夜が楽しみだから私も初夜が一番楽しみだろうと同意を求めてくる。
「良いに決まってますよね。昼間に行われる結婚式がメインイベントだということが理解できないのであれば、初夜はなしです」
私の大好きな彼の海色の瞳をみると先ほどまであった情欲のかげが消えていた。
私が厳しく言った言葉に私の本気が伝わったことが分かりホッとする。
「それにしても、新婚旅行で帝国の首都まで行くのはどうなのでしょう。王宮の部屋で2人でゆっくりした方がずっと有意義な時間が過ごせるとは思いませんか?」
帝国の首都までは片道で馬車に乗りっぱなしで1ヶ月はかかる。
私はいまだに12年前、自分がどのように帝国からここまでエレナ・アーデンによって連れて来られたのかわからない。
私にとっては寝ている間に、ここにワープしてきたように感じていたのだ。
「新婚旅行というのは名目です。アラン皇帝陛下とエレナ皇后にご挨拶に伺うのが一番の目的だということが分かりませんか? 首都には私が恩義に報いるべきか方々がいらっしゃいます。まずは、その方達に改めてお礼とご挨拶に伺うのが筋というものです。2ヶ月以上もの間、フィリップ様がご厚意で領主代行の仕事をして頂けるというのです。それなのに部屋でゆっくり過ごしたいなどと、あなたの目的が丸分かりですね。領主としての自覚が全く足りておりません」
彼は初夜の1回という約束も反故にしそうだ。
15キロ太って小太りになるという約束も守らなかった前科がある。
「はっきり言って、エレノアが初恋のエレナ皇后に会うのが嫌です」
彼が子供のようなことを言いながら、私の頬を撫でてくる。
「私の初恋はレイモンドあなたです。エレナ皇后は私の憧れでヒーローだったと気が付きました。婚約者指名の後、庭園であなたと話した時、私は自分にはない強い自信を持つあなたに惹かれました」
私は彼と最初にあった日に彼の海色の瞳に映った自分が、今まで見たどの自分よりも可愛く見えたことを思い出した。
私はあの時にすでに恋に落ちて彼にときめいていたのだ。
「それは本当ですか? でも、エレノアは冷たく婚約破棄をするように言ってきましたよね」
明らかに驚きを隠せいないレイモンドが私に矢継ぎ早に問いかけてくる。
帝国の首都に行くまでに、優雅な話し方と表情管理を叩き込まなければいけなそうだ。
彼にも帝国の首都に来訪する際の顔をつくってもらわなければならない。
「カルマン公爵家には『周囲はみんな詐欺師、人は駒だと思え』と言う家訓があります。明らかに詐欺師の顔で、私を利用しようとしているあなたを見たら、とてもじゃないけれど自分の気持ちを認められませんでした。詐欺を働いても詐欺られるな、人を駒にすることがあっても駒にされるなという教えが私には染み付いていたからです」
10
あなたにおすすめの小説
黒騎士団の娼婦
星森 永羽
恋愛
夫を亡くし、義弟に家から追い出された元男爵夫人・ヨシノ。
異邦から迷い込んだ彼女に残されたのは、幼い息子への想いと、泥にまみれた誇りだけだった。
頼るあてもなく辿り着いたのは──「気味が悪い」と忌まれる黒騎士団の屯所。
煤けた鎧、無骨な団長、そして人との距離を忘れた男たち。
誰も寄りつかぬ彼らに、ヨシノは微笑み、こう言った。
「部屋が汚すぎて眠れませんでした。私を雇ってください」
※本作はAIとの共同制作作品です。
※史実・実在団体・宗教などとは一切関係ありません。戦闘シーンがあります。
【完結】第一王子と侍従令嬢の将来の夢
かずえ
恋愛
第一王子は、常に毒を盛られ、すっかり生きることに疲れていた。子爵令嬢は目が悪く、日常生活にも支障が出るほどであったが、育児放棄され、とにかく日々を送ることに必死だった。
12歳で出会った二人は、大人になることを目標に、協力しあう契約を交わす。
せっかく傾国級の美人に生まれたのですから、ホントにやらなきゃ損ですよ?
志波 連
恋愛
病弱な父親とまだ学生の弟を抱えた没落寸前のオースティン伯爵家令嬢であるルシアに縁談が来た。相手は学生時代、一方的に憧れていた上級生であるエルランド伯爵家の嫡男ルイス。
父の看病と伯爵家業務で忙しく、結婚は諦めていたルシアだったが、結婚すれば多額の資金援助を受けられるという条件に、嫁ぐ決意を固める。
多忙を理由に顔合わせにも婚約式にも出てこないルイス。不信感を抱くが、弟のためには絶対に援助が必要だと考えるルシアは、黙って全てを受け入れた。
オースティン伯爵の健康状態を考慮して半年後に結婚式をあげることになり、ルイスが住んでいるエルランド伯爵家のタウンハウスに同居するためにやってきたルシア。
それでも帰ってこない夫に泣くことも怒ることも縋ることもせず、非道な夫を庇い続けるルシアの姿に深く同情した使用人たちは遂に立ち上がる。
この作品は小説家になろう及びpixivでも掲載しています
ホットランキング1位!ありがとうございます!皆様のおかげです!感謝します!
お兄ちゃんは、ヒロイン様のモノ!!……だよね?
夕立悠理
恋愛
もうすぐ高校一年生になる朱里には、大好きな人がいる。義兄の小鳥遊優(たかなしゆう)だ。優くん、優くん、と呼んで、いつも後ろをついて回っていた。
けれど、楽しみにしていた高校に入学する日、思い出す。ここは、前世ではまっていた少女漫画の世界だと。ヒーローは、もちろん、かっこよくて、スポーツ万能な優。ヒロインは、朱里と同じく新入生だ。朱里は、二人の仲を邪魔する悪役だった。
思い出したのをきっかけに、朱里は優を好きでいるのをやめた。優くん呼びは、封印し、お兄ちゃんに。中学では一緒だった登下校も別々だ。だって、だって、愛しの「お兄ちゃん」は、ヒロイン様のものだから。
──それなのに。お兄ちゃん、ちょっと、距離近くない……?
※お兄ちゃんは、彼氏様!!……だよね? は二人がいちゃついてるだけです。
偉物騎士様の裏の顔~告白を断ったらムカつく程に執着されたので、徹底的に拒絶した結果~
甘寧
恋愛
「結婚を前提にお付き合いを─」
「全力でお断りします」
主人公であるティナは、園遊会と言う公の場で色気と魅了が服を着ていると言われるユリウスに告白される。
だが、それは罰ゲームで言わされていると言うことを知っているティナは即答で断りを入れた。
…それがよくなかった。プライドを傷けられたユリウスはティナに執着するようになる。そうティナは解釈していたが、ユリウスの本心は違う様で…
一方、ユリウスに関心を持たれたティナの事を面白くないと思う令嬢がいるのも必然。
令嬢達からの嫌がらせと、ユリウスの病的までの執着から逃げる日々だったが……
せっかく転生したのにモブにすらなれない……はずが溺愛ルートなんて信じられません
嘉月
恋愛
隣国の貴族令嬢である主人公は交換留学生としてやってきた学園でイケメン達と恋に落ちていく。
人気の乙女ゲーム「秘密のエルドラド」のメイン攻略キャラは王立学園の生徒会長にして王弟、氷の殿下こと、クライブ・フォン・ガウンデール。
転生したのはそのゲームの世界なのに……私はモブですらないらしい。
せめて学園の生徒1くらいにはなりたかったけど、どうしようもないので地に足つけてしっかり生きていくつもりです。
少しだけ改題しました。ご迷惑をお掛けしますがよろしくお願いします。
ご褒美人生~転生した私の溺愛な?日常~
紅子
恋愛
魂の修行を終えた私は、ご褒美に神様から丈夫な身体をもらい最後の転生しました。公爵令嬢に生まれ落ち、素敵な仮婚約者もできました。家族や仮婚約者から溺愛されて、幸せです。ですけど、神様。私、お願いしましたよね?寿命をベッドの上で迎えるような普通の目立たない人生を送りたいと。やりすぎですよ💢神様。
毎週火・金曜日00:00に更新します。→完結済みです。毎日更新に変更します。
R15は、念のため。
自己満足の世界に付き、合わないと感じた方は読むのをお止めください。設定ゆるゆるの思い付き、ご都合主義で書いているため、深い内容ではありません。さらっと読みたい方向けです。矛盾点などあったらごめんなさい(>_<)
やけに居心地がいいと思ったら、私のための愛の巣でした。~いつの間にか約束された精霊婚~
小桜
恋愛
ルディエル・アレンフォードは森に住む麗しの精霊守。
そんな彼が、いよいよ伴侶を迎えようと準備を始めているらしい。
幼馴染という関係に甘んじていたネネリア・ソルシェは、密かにショックを受けていた。
そろそろ彼との関係も終わらせなければならないけれど、ルディエルも精霊達もネネリアだけに優しくて――?
「大丈夫。ずっと居たいと思えるような場所にしてみせるから」
鈍感なネネリアと、一途で奥手なルディエル。
精霊に導かれた恋は、本人だけが気づかない。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる