虐められ抜いた私が悪役令嬢に転生し援軍を得て、婚約破棄してきた王子をざまぁし最高の男と結ばれるまで。

専業プウタ

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2.冷たい王子と優しい王子。

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「髪は巻かなくて結構です。メイさん、いつもありがとうございます」
イザベラの専属メイドはメイという名前だった。
彼女は私がお礼を言うと少し驚いたような顔をした。

彼女が縦巻きロールに髪を仕上げようとするのを断ったのは、流石に準備が大変そうだからだ。
彼女には朝から入浴の手伝いをしてもらい、メイクを施して頂きたくさん彼女のお世話になっている。

今日はライト公爵と王宮に出向かなければならない。
婚約者になったルブリス王子殿下に会うと思うと気が重い。
私は、同年代の男の子と会話が成立したことがない。

「イザベラお嬢様、では髪をそのまま下ろしましょうか?お纏め致しますか?」

「いいえ、このままで結構です。お気遣いありがとうございます」
髪の毛が邪魔に感じたが、纏め髪というのをしたことがなく大変そうだと思い断った。


王宮でルブリス王子と顔合わせが行われることになった。
薔薇に囲まれたガーデンテーブルに向かう。
今日は国王陛下、ライト公爵、ルブリス王子と私で婚約者の顔合わせをする予定だ。

黒髪に翡翠色の瞳の美少年、彼がこの小説の男主人公でありヒロインの運命の相手ルブリス王子殿下だ。
「ルブリス・ライ王子殿下にイザベラ・ライトがお目に掛かります」
私は声が震えるのを抑えながら挨拶した。

黒髪の少年を見るだけで小学校から、ずっと虐められた記憶が蘇る。

国王陛下とライト公爵が談笑している声が聞こえる。
ルブリス王子殿下をちらりと見ると、彼が睨んでいる気がして体が震えた。

「では、あとは婚約した2人で話でもして仲良くなると良い」
金髪に翡翠色の瞳をした国王陛下が優しく声をかけてくる。

国王陛下は金髪なので外国の人のように見えて、私は彼を怖いと思わずに済んだ。
彼が黒髪であったなら、教師までも結託して私を虐めて来た中学時代の記憶が蘇っただろう。

「噂はあてにならないな。そなたは聞いていたのとは違う女に見える」
ルブリス王子はそう言うと黙ってしまった。

何か気の利いたことを言わなければならないのに、舌が震えてしまい声にならない。

「自己アピールなどしなくても、自分は私の婚約者だとでも言いたそうだな。確かに、そなたは私と結婚して次期王妃になる。ライト公爵家の一人娘になって良かったな」
私が想像していたルブリス王子の声とは、全く違う冷たく鋭い声に震え上がる。

「あの、私は人前で話すのが苦手なので王妃にはなれません。婚約を破棄してください」
私がなんとか声を絞り出して自分の願望を伝えた。

そもそも、小説のあらすじ通りなら私は婚約を破棄される。
しかし、虐めをしなくても婚約破棄がされるかは分からない。

もしかしたら物語の強制力で虐めをさせられると思うとゾッとする。
虐めをする側にだけはなりたくないから、ヒロインの相手役であるルブリス王子とは縁を切っておきたい。

「そなたは伝統あるライト公爵家の一人娘であることに価値があるんだ。物言わぬ人形のようにしていて構わない。退屈でつまらない女だな、失礼する」
彼はそう言い残して去って言った。

私は彼との婚約が破棄されなかったことに絶望しながらも、これ以上彼と会話しなくて良いことにホッとする。
脱力してテーブルに顔を突っ伏していると、頭の上からそよ風のように優しい声が聞こえて来た。


「イザベラ・ライト公爵令嬢、代わりに僕がお相手しますよ」
顔を上げると眩い金髪に翡翠色の瞳をして微笑む少年がいた。

王家の紋章が刺繍してある白い礼服を着た彼は8歳のエドワード王子だ。
小説において彼は名前しか登場しなかったけれど、状況からして彼がルブリス王子の弟のエドワード・ライ王子であることは確かだ。

「エドワード・ライ王子殿下にイザベラ・ライトがお目にかかります」
金髪で外国人に見えるからか、ルブリス王子と違い高圧的な雰囲気がないからか私は彼が怖くなかった。

前世で私も2歳年下の弟がいたが、彼もまた私と共に虐められ不登校になった。
両親共働きだったので、家で2人過ごすことが多く私が唯一仲良くできた存在だ。


「何度かお見かけして、ずっと話したいと思っていたのですよ。いつもの巻き髪も素敵ですが、今日のストレートヘアーも可愛らしいですね」
私は可愛いなどと言われたことがないので、彼の言葉にどう反応して良いか分からない。

「可愛いなどと滅相もございません。お気遣い頂きありがとうございます。巻き髪は大変そうですし、華美に見えるのでやめようと思います。長い髪も乾かすのが大変そうなので、近々切ろうかと思っている次第でございます」
私はなんだか緊張してきてしまい、思わず自分の髪をぎゅっと握りしめた。

この世界はドライヤーがなく、必死にメイが私の髪をタオルドライしてくれているのだ。
腰まで届く髪を乾かすのが、とても大変そうだった。

「綺麗な髪だから、切ってはいけませんよ。今から僕と街にでかけませんか?イザベラ様と仲良くなりたいのです」
彼が私の髪に触れてきて、思わず緊張で体が硬直してしまう。

私がテーブルに突っ伏していたから、ルブリス王子とうまく話せず落ち込んだと思ったのだろう。
エドワード王子殿下の優しい言葉に、思わず私は何度もうなずいていた。


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