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19.初恋(清一郎視点)
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冬城真夏と会ってから俺は狂ってしまった。
碌に勉強などしてこなかったとに、机に齧り付く欲に勉強するようになった。「頭の悪い男が嫌い」と言った彼女の言葉が俺を突き動かしていた。
彼女の理想の男になりたいと、気がつけば考えていた。医師? 弁護士? 頭が良さそうな職業に就いてみようか。
アホな俺はそんな事を考え、刑法の話をしていた彼女を思い出し日本の最高学府の法学部を無謀にも目指し猛勉強していた。
そんな俺を親父は訝しげに見ていたが、資金繰りの為には武闘派ヤクザだけでは上手くいかないと考えている彼の思想を利用した。
「シノギの為には法律の知識があった方が良いだろ」
「清一郎、お前が京極組の将来の事を真剣に考える日が来るとはな」
父は嬉しそうだった。俺が本当に東帝大の法学部に合格した時には、怖いヤクザの顔を忘れ親バカになったように喜んだ。俺はそんな父も騙し捨てられるくらい初めての恋をくれた「マナティー」の為に生きた。
俺は彼女の事を徹底的に調べた。冬城源次郎の妻は自ら極道に入った変わり者のお嬢様とは知っていたが、その正体は驚きだった。
冬城真夏の母親、冬城渚は徳永栄太郎と宝生寺瑠璃子の三女として生まれた。徳永栄太郎は官房長官も務めた大物政治家で、宝生寺瑠璃子は宝生寺財閥のご令嬢だ。
徳永家は代々政治家を輩出する名家でああり、街一個分くらいの豪邸を一等地に構えている。
それにもかかわらず、私生活はファストファッションを着るような庶民派だ。
実際は、とんでもない大金持ちなのだが質素倹約で堅実な政治家として人気を博している。
栄太郎と瑠璃子は三人の娘をもうけているが、上二人の娘は日本人が好む控えめさと堅実さを持ったお嬢様。養護施設や児童福祉施設への慈善活動をライフワークにするノブレス・オブリージュのお手本のような姉妹のようだった。
問題は三女の渚。渚は異性関係の奔放さも去ることながら、ハイブランドで身を固め毎晩のように夜遊びする問題児だった。挙げ句の果てには十八歳の時に自ら極道の世界に入っている。徳永家は当然、彼女を勘当した。
冬城渚は徳永家に突然変異のように生まれてしまったサイコパスなのだろうか。
冬城真夏の行動を追うほど、極道の女というより名家のお嬢様のような性格をしている。そして、いくら調べても彼女が「マナティー」のように暴れたという話は出てこなかった。
虫も殺せないような優しい子だけれど、極道の家の子だから避けられる。彼女はそんな可哀想な子だった。
冬城真夏は敢えて遠くの大学に進学し、極道の子だという事を隠して生活を始める。
彼女は馬術サークルに入っていたが、やりたい事は馬の世話だったらしい。動物が好きで、自然が好き。俺はどんどん彼女の情報を集めていった。
やがて、俺は極道の娘である事に苦しむ彼女を逃してあげたいと思うようになった。もう、この頃には俺も狂っていたのかもしれない。
彼女を幸せにする事だけを考え、父を欺くのに慣れていった。冬城真夏を逃す為には日本を出るしかない。
俺は東帝大在学中に司法試験に受かった。そして、真夏を逃す為に他国の永住権を取ることを考える。
東帝大在学後はボストンのロースクールに留学し、裁判員制度と陪審員制度の比較についての論文を書き国際的に認められた。高校三年生の時点で英語とローマ字の違いも分からなかった俺はどこかでスイッチが入っていた。
───やる気スイッチ? 恋のスイッチ?
そのスイッチが入っただけでナイトヘッドがフル稼働し始めたように、頭が働く。きっと長生きはできないだろう。
国際的に認められると、日本の法律事務所への就職は簡単だった。「反社チェック」も難なくクリアーだ。そして、俺はニューヨークで働く機会を得て、国際弁護士としての資格も取得した。
父は俺を使って新たな資金繰りを考え始めていた。語学力も法律の知識もシノギにはあった方が良い。ヤクザは武闘派だけでは成り立たない。
俺には弟がいるが父の関心が俺だけに集中し始めてしまった。俺が失踪しても弟がいれば良いとならなそうな現実に俺は危機感を募らせた。
真夏と逃げる時に俺自身がしつこく探されるのを恐れて、アメリカ以外の移住の地を考え始める。父は俺が消えれば日本中を探した後、居住歴のあるアメリカを探すだろう。
だから、ニューヨークにいる間に他国を調べ検討した結果、将来的にカナダのトロントに移住する事にした。
同じカナダの都市バンクーバに比べ日本人が少ないから、見つかる確率は減る。大きなチャイナタウン、コリアンタウンがありアジア系の移民が多いせいか、人種差別も少ない。
下見にいった時に、街中に普通にリスがいた。差別で嫌な思いもしないで、動物好きの真夏が楽しそうに暮らせそうだ。
日本で冬城真夏は涼波食品に就職して楽しそうにしていた。彼女が自分で幸せな道を歩めている間は俺の出番はない。
そんな風に思っていたある冬の日。俺と真夏のお見合い話が持ち上がった。正直、対立する二つの暴力団の縁を結ぶような意外な動きに俺は警戒した。
冬城源次郎からの申し出を訝しく思っていた父が二つ返事でお見合い話を受けたのには訳があった。
「真夏は私の娘じゃありません。アレがいる限り日本の警察もうちには手が出せないんですよ。うちの守り神と京極組の頭脳を合わせてデカいことやりませんか?」
───冬城源次郎の話は常識を超えていた。徳永渚は妊娠中に極道の世界に入ってきていた想像以上のクレイジーな女だった。
『このお腹の中に、爆弾がいます。退屈な毎日を面白おかしくしてみませんか?』
冬城源次郎は徳永渚の狂気に惚れ、そして腹の中の種の持ち主に歓喜した。
「渚さん自体が爆弾のような面白い方なのに、その渚さんが爆弾扱いする真夏さんの父親。それは気になりますなあ?」
父は嬉しそうに探りを入れていた。彼女の出自を考えれば、内閣総理大臣、警視総監、検事総長とだって繋がりを持てる。
ただでさえ、政財界で力を持つ徳永家の弱みを握っているような爆弾である女。
そして、やはり真夏は極道の娘ではなかった。育った環境以上に、生まれ持った性質が彼女を極道の世界に馴染めなくしている。
「それは身内になってから、お話しします」
手持ちのカードを簡単には見せない冬城源次郎に父は期待の目を向ける。
突然、舞い込んだ真夏とのお見合い話。俺は真夏の本当の父親を探して助けを求める事も考えた。
そんな甘い考えを一瞬でもした自分を反省する。力があるのにヤクザの脅しに屈する男だ。
娘の安全より、極道との繋がりが露見する事で社会的地位が脅かされる事を恐れているのは明らか。もしかしたら、真夏に消えて欲しいとさえ考えてるかもしれない。
そんな人間に真夏は託せない。彼女は俺が守り幸せにする。俺は彼女の婚約者という立場も利用した逃亡計画を新たに練り始めていた。
しかし、彼女はお見合いの席を「好きな人」がいると言い残して出て行ってしまう。俺はしばらく呆然としていた。「好きな人」とは恋愛感情のある相手という事だろうか。
───俺が「マナティー」に抱いている感情を真夏は他の男に持っている。
俺は「マナティー」と冬城真夏を別の人間のように考えてしまっていたが、実際は同一人物だ。彼女が他の男を好きなのは、あまり気分が良い話ではない。
「好き」か「嫌い」で聞かれれば、間違いなく俺は冬城真夏が「好き」だ。でも、それは彼女を抱きたい好きではない。夢の中で強気な「マナティー」と激しく愛し合った事があるが、純粋過ぎる子供のような冬城真夏をそのような対象として見たことはなかった。
それでも、流石に彼女が他の男の子を妊娠していると知った時には、嫉妬なのか非常に気分が悪くなった。彼女のことだから、生まれた命を捨てることはしない。
───ならば、俺は彼女と生まれる子を守るしかない。
十年以上も彼女の為に生きて来たせいか、見捨てる気などなれなかった。
父親であろう涼波(早瀬)ライに対して、何故か殺したいくらいの憎しみを感じた。でも、双子に何かあった時に彼の臓器や血液を使えると言い聞かせ気持ちを落ち着かせた。
カナダのトロントに来てからも追っ手に気を払わなければならなかった。緊張の解けない日々でも、真夏が幸せなら俺は満たされた。
彼女を喜ばすのが楽しい。子供なんて好きではなかったのに、血の繋がらないサラとルイが可愛くて仕方ない。一緒に暮らすと、どんどん思考が優しい真夏色に染まっていく。
外のベンチで座りながら食べていたエビとアボカドのブリトーをリスに横取りされても、微笑ましく思ってしまう。昔の自分が見たら恥ずかしいと思うくらい俺は腑抜けた優男になっていた。
その日もいつのもように出勤し、十五分おきで真夏の動きをGPSでチェックしていた。
真夏はナーサリーに双子を預け、学校に行き、帰りにスーパーに寄った。
(やっぱり、スーパーに行ったか⋯⋯)
乳製品の特売日には必ずスーパーに寄る彼女。なんだか動きを追っているだけで堪らなく愛おしく感じる。
その十五分後、確認すると真夏に持たせているGPSの位置は高速道路上を示していた。
恐らく車で移動している。双子のお迎え時間を考えると、いつもの彼女なら一旦荷物を置きにコンドミニアムに戻っている時間だ。
俺はついに恐れていた事態が起きたことを察した。弁護士事務所のボスに断りをいれると、急ぎ双子を保護しにナーサリーに向かう。
冬城組が守り神である真夏に手を出すことはない。しかしながら、サラとルイは別だ。冬城源次郎は自分を騙した俺を決して許さない。当然、俺の子だと思われている双子も抹殺対象だろう。
碌に勉強などしてこなかったとに、机に齧り付く欲に勉強するようになった。「頭の悪い男が嫌い」と言った彼女の言葉が俺を突き動かしていた。
彼女の理想の男になりたいと、気がつけば考えていた。医師? 弁護士? 頭が良さそうな職業に就いてみようか。
アホな俺はそんな事を考え、刑法の話をしていた彼女を思い出し日本の最高学府の法学部を無謀にも目指し猛勉強していた。
そんな俺を親父は訝しげに見ていたが、資金繰りの為には武闘派ヤクザだけでは上手くいかないと考えている彼の思想を利用した。
「シノギの為には法律の知識があった方が良いだろ」
「清一郎、お前が京極組の将来の事を真剣に考える日が来るとはな」
父は嬉しそうだった。俺が本当に東帝大の法学部に合格した時には、怖いヤクザの顔を忘れ親バカになったように喜んだ。俺はそんな父も騙し捨てられるくらい初めての恋をくれた「マナティー」の為に生きた。
俺は彼女の事を徹底的に調べた。冬城源次郎の妻は自ら極道に入った変わり者のお嬢様とは知っていたが、その正体は驚きだった。
冬城真夏の母親、冬城渚は徳永栄太郎と宝生寺瑠璃子の三女として生まれた。徳永栄太郎は官房長官も務めた大物政治家で、宝生寺瑠璃子は宝生寺財閥のご令嬢だ。
徳永家は代々政治家を輩出する名家でああり、街一個分くらいの豪邸を一等地に構えている。
それにもかかわらず、私生活はファストファッションを着るような庶民派だ。
実際は、とんでもない大金持ちなのだが質素倹約で堅実な政治家として人気を博している。
栄太郎と瑠璃子は三人の娘をもうけているが、上二人の娘は日本人が好む控えめさと堅実さを持ったお嬢様。養護施設や児童福祉施設への慈善活動をライフワークにするノブレス・オブリージュのお手本のような姉妹のようだった。
問題は三女の渚。渚は異性関係の奔放さも去ることながら、ハイブランドで身を固め毎晩のように夜遊びする問題児だった。挙げ句の果てには十八歳の時に自ら極道の世界に入っている。徳永家は当然、彼女を勘当した。
冬城渚は徳永家に突然変異のように生まれてしまったサイコパスなのだろうか。
冬城真夏の行動を追うほど、極道の女というより名家のお嬢様のような性格をしている。そして、いくら調べても彼女が「マナティー」のように暴れたという話は出てこなかった。
虫も殺せないような優しい子だけれど、極道の家の子だから避けられる。彼女はそんな可哀想な子だった。
冬城真夏は敢えて遠くの大学に進学し、極道の子だという事を隠して生活を始める。
彼女は馬術サークルに入っていたが、やりたい事は馬の世話だったらしい。動物が好きで、自然が好き。俺はどんどん彼女の情報を集めていった。
やがて、俺は極道の娘である事に苦しむ彼女を逃してあげたいと思うようになった。もう、この頃には俺も狂っていたのかもしれない。
彼女を幸せにする事だけを考え、父を欺くのに慣れていった。冬城真夏を逃す為には日本を出るしかない。
俺は東帝大在学中に司法試験に受かった。そして、真夏を逃す為に他国の永住権を取ることを考える。
東帝大在学後はボストンのロースクールに留学し、裁判員制度と陪審員制度の比較についての論文を書き国際的に認められた。高校三年生の時点で英語とローマ字の違いも分からなかった俺はどこかでスイッチが入っていた。
───やる気スイッチ? 恋のスイッチ?
そのスイッチが入っただけでナイトヘッドがフル稼働し始めたように、頭が働く。きっと長生きはできないだろう。
国際的に認められると、日本の法律事務所への就職は簡単だった。「反社チェック」も難なくクリアーだ。そして、俺はニューヨークで働く機会を得て、国際弁護士としての資格も取得した。
父は俺を使って新たな資金繰りを考え始めていた。語学力も法律の知識もシノギにはあった方が良い。ヤクザは武闘派だけでは成り立たない。
俺には弟がいるが父の関心が俺だけに集中し始めてしまった。俺が失踪しても弟がいれば良いとならなそうな現実に俺は危機感を募らせた。
真夏と逃げる時に俺自身がしつこく探されるのを恐れて、アメリカ以外の移住の地を考え始める。父は俺が消えれば日本中を探した後、居住歴のあるアメリカを探すだろう。
だから、ニューヨークにいる間に他国を調べ検討した結果、将来的にカナダのトロントに移住する事にした。
同じカナダの都市バンクーバに比べ日本人が少ないから、見つかる確率は減る。大きなチャイナタウン、コリアンタウンがありアジア系の移民が多いせいか、人種差別も少ない。
下見にいった時に、街中に普通にリスがいた。差別で嫌な思いもしないで、動物好きの真夏が楽しそうに暮らせそうだ。
日本で冬城真夏は涼波食品に就職して楽しそうにしていた。彼女が自分で幸せな道を歩めている間は俺の出番はない。
そんな風に思っていたある冬の日。俺と真夏のお見合い話が持ち上がった。正直、対立する二つの暴力団の縁を結ぶような意外な動きに俺は警戒した。
冬城源次郎からの申し出を訝しく思っていた父が二つ返事でお見合い話を受けたのには訳があった。
「真夏は私の娘じゃありません。アレがいる限り日本の警察もうちには手が出せないんですよ。うちの守り神と京極組の頭脳を合わせてデカいことやりませんか?」
───冬城源次郎の話は常識を超えていた。徳永渚は妊娠中に極道の世界に入ってきていた想像以上のクレイジーな女だった。
『このお腹の中に、爆弾がいます。退屈な毎日を面白おかしくしてみませんか?』
冬城源次郎は徳永渚の狂気に惚れ、そして腹の中の種の持ち主に歓喜した。
「渚さん自体が爆弾のような面白い方なのに、その渚さんが爆弾扱いする真夏さんの父親。それは気になりますなあ?」
父は嬉しそうに探りを入れていた。彼女の出自を考えれば、内閣総理大臣、警視総監、検事総長とだって繋がりを持てる。
ただでさえ、政財界で力を持つ徳永家の弱みを握っているような爆弾である女。
そして、やはり真夏は極道の娘ではなかった。育った環境以上に、生まれ持った性質が彼女を極道の世界に馴染めなくしている。
「それは身内になってから、お話しします」
手持ちのカードを簡単には見せない冬城源次郎に父は期待の目を向ける。
突然、舞い込んだ真夏とのお見合い話。俺は真夏の本当の父親を探して助けを求める事も考えた。
そんな甘い考えを一瞬でもした自分を反省する。力があるのにヤクザの脅しに屈する男だ。
娘の安全より、極道との繋がりが露見する事で社会的地位が脅かされる事を恐れているのは明らか。もしかしたら、真夏に消えて欲しいとさえ考えてるかもしれない。
そんな人間に真夏は託せない。彼女は俺が守り幸せにする。俺は彼女の婚約者という立場も利用した逃亡計画を新たに練り始めていた。
しかし、彼女はお見合いの席を「好きな人」がいると言い残して出て行ってしまう。俺はしばらく呆然としていた。「好きな人」とは恋愛感情のある相手という事だろうか。
───俺が「マナティー」に抱いている感情を真夏は他の男に持っている。
俺は「マナティー」と冬城真夏を別の人間のように考えてしまっていたが、実際は同一人物だ。彼女が他の男を好きなのは、あまり気分が良い話ではない。
「好き」か「嫌い」で聞かれれば、間違いなく俺は冬城真夏が「好き」だ。でも、それは彼女を抱きたい好きではない。夢の中で強気な「マナティー」と激しく愛し合った事があるが、純粋過ぎる子供のような冬城真夏をそのような対象として見たことはなかった。
それでも、流石に彼女が他の男の子を妊娠していると知った時には、嫉妬なのか非常に気分が悪くなった。彼女のことだから、生まれた命を捨てることはしない。
───ならば、俺は彼女と生まれる子を守るしかない。
十年以上も彼女の為に生きて来たせいか、見捨てる気などなれなかった。
父親であろう涼波(早瀬)ライに対して、何故か殺したいくらいの憎しみを感じた。でも、双子に何かあった時に彼の臓器や血液を使えると言い聞かせ気持ちを落ち着かせた。
カナダのトロントに来てからも追っ手に気を払わなければならなかった。緊張の解けない日々でも、真夏が幸せなら俺は満たされた。
彼女を喜ばすのが楽しい。子供なんて好きではなかったのに、血の繋がらないサラとルイが可愛くて仕方ない。一緒に暮らすと、どんどん思考が優しい真夏色に染まっていく。
外のベンチで座りながら食べていたエビとアボカドのブリトーをリスに横取りされても、微笑ましく思ってしまう。昔の自分が見たら恥ずかしいと思うくらい俺は腑抜けた優男になっていた。
その日もいつのもように出勤し、十五分おきで真夏の動きをGPSでチェックしていた。
真夏はナーサリーに双子を預け、学校に行き、帰りにスーパーに寄った。
(やっぱり、スーパーに行ったか⋯⋯)
乳製品の特売日には必ずスーパーに寄る彼女。なんだか動きを追っているだけで堪らなく愛おしく感じる。
その十五分後、確認すると真夏に持たせているGPSの位置は高速道路上を示していた。
恐らく車で移動している。双子のお迎え時間を考えると、いつもの彼女なら一旦荷物を置きにコンドミニアムに戻っている時間だ。
俺はついに恐れていた事態が起きたことを察した。弁護士事務所のボスに断りをいれると、急ぎ双子を保護しにナーサリーに向かう。
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