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22.幻を愛した(ライ視点)
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街の灯りが一本の川のように流れていく。
車は高速道路を走っていた。
真夏ちゃんはハンドルを握ったまま、静かに口を開いた。
「真夏ちゃん、お酒飲んでるから飲酒運転なんじゃ」
俺は真夏ちゃんの変貌ぶりに驚いていた。
(なんだか、二重人格みたいだ)
彼女が素早く車に乗り込んだので、慌てて自分も車に飛び乗った。
今、彼女を逃すと二度と彼女と会えない気がしていた。
「ふっ、貴方が無理やり飲ませたんでしょ、涼波ライ。まあ、私にとってはシャンパンなんてジンジャーエールよ」
「そんな訳ないよ。飲酒運転で捕まったらどうするの?」
「じゃあ、貴方は? 社長になりながらヤクザと繋がりを持って、涼波食品がどうなるか考えた事あるの?」
真夏ちゃんの言葉に胸がザワザワした。
危険だと分かっていても、彼女と繫りを持ちたくて冬城組と繋がりを持ってしまった。
「涼波ライ。双子の父親はあなたよ」
唐突に発せられた真夏ちゃんの言葉に血の気が引く。
「なんで、それを今?」
「貴方があまりに馬鹿だからよ。でも、一生、誰にも言わないで真実は胸の中にしまいなさい」
「そんなのって!」
双子に実際会ったこともないし、DNA鑑定をしたこともない。
でも、俺は本当に双子が自分と血が繋がっていると確信できた。
時期がぴったりなのもそうだが、真夏ちゃんが嘘がつけない正直過ぎる不器用な子だと知っていた。
「貴方のO型の珍しい血液型。ルイもサラも同じ。貴方ができるのは子供たちに何かあった時、血液を提供すること。それと、臓器提供だけ」
路面から反射する光が、真夏ちゃんの横顔を淡く照らした。
そこに自分の知っている優しい彼女の影はどこにもなかった。
淡々としていて、自分の知っている彼女ではない。
「本当の事を打ち明けてくれたのに、なんでそんな⋯⋯」
「ねえ、涼波ライ。貴方が好きだと言ってる女は、幻よ」
その声に、微かな震えがあった。
その震えに彼女の声色に何故か言葉とは違い優しさを感じた。
(いないと言ってるけど、彼女の中に俺の好きな真夏ちゃんがいる)
「私が作り出した人格なの。そして、もう消えた」
「でも、真夏ちゃんはここに!」
「この私が貴方みたいな頭の悪い男を好きな訳ないでしょ。貴方は自分の子を愛しなさい」
「双子が俺の子なんじゃないの?」
真夏ちゃんは俺の言葉に大きく溜息をつく。
「双子の父親はもういるの。貴方の子供は涼波食品でしょ」
気がつけばトロントのピアソン空港に到着していた。
真夏ちゃんは車を降りるなりガラス張りの空港の建物に入り、背の高い男に駆け寄る。
俺はそんな彼女をそっと追いかけた。
「京極清一郎。私にGPSつけてるのね。でも、おかげで合流できた」
「マナティー?」
戸惑う京極清一郎の頬に真夏ちゃんが軽くキスをする。
まるで、映画のワンシーンのような光景を俺はぼんやりと見つめていた。
車は高速道路を走っていた。
真夏ちゃんはハンドルを握ったまま、静かに口を開いた。
「真夏ちゃん、お酒飲んでるから飲酒運転なんじゃ」
俺は真夏ちゃんの変貌ぶりに驚いていた。
(なんだか、二重人格みたいだ)
彼女が素早く車に乗り込んだので、慌てて自分も車に飛び乗った。
今、彼女を逃すと二度と彼女と会えない気がしていた。
「ふっ、貴方が無理やり飲ませたんでしょ、涼波ライ。まあ、私にとってはシャンパンなんてジンジャーエールよ」
「そんな訳ないよ。飲酒運転で捕まったらどうするの?」
「じゃあ、貴方は? 社長になりながらヤクザと繋がりを持って、涼波食品がどうなるか考えた事あるの?」
真夏ちゃんの言葉に胸がザワザワした。
危険だと分かっていても、彼女と繫りを持ちたくて冬城組と繋がりを持ってしまった。
「涼波ライ。双子の父親はあなたよ」
唐突に発せられた真夏ちゃんの言葉に血の気が引く。
「なんで、それを今?」
「貴方があまりに馬鹿だからよ。でも、一生、誰にも言わないで真実は胸の中にしまいなさい」
「そんなのって!」
双子に実際会ったこともないし、DNA鑑定をしたこともない。
でも、俺は本当に双子が自分と血が繋がっていると確信できた。
時期がぴったりなのもそうだが、真夏ちゃんが嘘がつけない正直過ぎる不器用な子だと知っていた。
「貴方のO型の珍しい血液型。ルイもサラも同じ。貴方ができるのは子供たちに何かあった時、血液を提供すること。それと、臓器提供だけ」
路面から反射する光が、真夏ちゃんの横顔を淡く照らした。
そこに自分の知っている優しい彼女の影はどこにもなかった。
淡々としていて、自分の知っている彼女ではない。
「本当の事を打ち明けてくれたのに、なんでそんな⋯⋯」
「ねえ、涼波ライ。貴方が好きだと言ってる女は、幻よ」
その声に、微かな震えがあった。
その震えに彼女の声色に何故か言葉とは違い優しさを感じた。
(いないと言ってるけど、彼女の中に俺の好きな真夏ちゃんがいる)
「私が作り出した人格なの。そして、もう消えた」
「でも、真夏ちゃんはここに!」
「この私が貴方みたいな頭の悪い男を好きな訳ないでしょ。貴方は自分の子を愛しなさい」
「双子が俺の子なんじゃないの?」
真夏ちゃんは俺の言葉に大きく溜息をつく。
「双子の父親はもういるの。貴方の子供は涼波食品でしょ」
気がつけばトロントのピアソン空港に到着していた。
真夏ちゃんは車を降りるなりガラス張りの空港の建物に入り、背の高い男に駆け寄る。
俺はそんな彼女をそっと追いかけた。
「京極清一郎。私にGPSつけてるのね。でも、おかげで合流できた」
「マナティー?」
戸惑う京極清一郎の頬に真夏ちゃんが軽くキスをする。
まるで、映画のワンシーンのような光景を俺はぼんやりと見つめていた。
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