真夏のリベリオン〜極道一家壊滅計画〜

専業プウタ

文字の大きさ
22 / 24

22.幻を愛した(ライ視点)

しおりを挟む
街の灯りが一本の川のように流れていく。
車は高速道路を走っていた。

真夏ちゃんはハンドルを握ったまま、静かに口を開いた。
「真夏ちゃん、お酒飲んでるから飲酒運転なんじゃ」
俺は真夏ちゃんの変貌ぶりに驚いていた。
(なんだか、二重人格みたいだ)

彼女が素早く車に乗り込んだので、慌てて自分も車に飛び乗った。
今、彼女を逃すと二度と彼女と会えない気がしていた。

「ふっ、貴方が無理やり飲ませたんでしょ、涼波ライ。まあ、私にとってはシャンパンなんてジンジャーエールよ」
「そんな訳ないよ。飲酒運転で捕まったらどうするの?」
「じゃあ、貴方は? 社長になりながらヤクザと繋がりを持って、涼波食品がどうなるか考えた事あるの?」

真夏ちゃんの言葉に胸がザワザワした。
危険だと分かっていても、彼女と繫りを持ちたくて冬城組と繋がりを持ってしまった。

「涼波ライ。双子の父親はあなたよ」
唐突に発せられた真夏ちゃんの言葉に血の気が引く。

「なんで、それを今?」
「貴方があまりに馬鹿だからよ。でも、一生、誰にも言わないで真実は胸の中にしまいなさい」
「そんなのって!」

双子に実際会ったこともないし、DNA鑑定をしたこともない。
でも、俺は本当に双子が自分と血が繋がっていると確信できた。
時期がぴったりなのもそうだが、真夏ちゃんが嘘がつけない正直過ぎる不器用な子だと知っていた。

「貴方のO型の珍しい血液型。ルイもサラも同じ。貴方ができるのは子供たちに何かあった時、血液を提供すること。それと、臓器提供だけ」

路面から反射する光が、真夏ちゃんの横顔を淡く照らした。
そこに自分の知っている優しい彼女の影はどこにもなかった。
淡々としていて、自分の知っている彼女ではない。

「本当の事を打ち明けてくれたのに、なんでそんな⋯⋯」
「ねえ、涼波ライ。貴方が好きだと言ってる女は、幻よ」
その声に、微かな震えがあった。

その震えに彼女の声色に何故か言葉とは違い優しさを感じた。
(いないと言ってるけど、彼女の中に俺の好きな真夏ちゃんがいる)

「私が作り出した人格なの。そして、もう消えた」
「でも、真夏ちゃんはここに!」
「この私が貴方みたいな頭の悪い男を好きな訳ないでしょ。貴方は自分の子を愛しなさい」
「双子が俺の子なんじゃないの?」

真夏ちゃんは俺の言葉に大きく溜息をつく。
「双子の父親はもういるの。貴方の子供は涼波食品でしょ」

気がつけばトロントのピアソン空港に到着していた。
真夏ちゃんは車を降りるなりガラス張りの空港の建物に入り、背の高い男に駆け寄る。
俺はそんな彼女をそっと追いかけた。

「京極清一郎。私にGPSつけてるのね。でも、おかげで合流できた」
「マナティー?」
戸惑う京極清一郎の頬に真夏ちゃんが軽くキスをする。

まるで、映画のワンシーンのような光景を俺はぼんやりと見つめていた。



しおりを挟む
感想 0

あなたにおすすめの小説

俺と結婚してくれ〜若き御曹司の真実の愛

ラヴ KAZU
恋愛
村藤潤一郎 潤一郎は村藤コーポレーションの社長を就任したばかりの二十五歳。 大学卒業後、海外に留学した。 過去の恋愛にトラウマを抱えていた。 そんな時、気になる女性社員と巡り会う。 八神あやか 村藤コーポレーション社員の四十歳。 過去の恋愛にトラウマを抱えて、男性の言葉を信じられない。 恋人に騙されて借金を払う生活を送っていた。 そんな時、バッグを取られ、怪我をして潤一郎のマンションでお世話になる羽目に...... 八神あやかは元恋人に騙されて借金を払う生活を送っていた。そんな矢先あやかの勤める村藤コーポレーション社長村藤潤一郎と巡り会う。ある日あやかはバッグを取られ、怪我をする。あやかを放っておけない潤一郎は自分のマンションへ誘った。あやかは優しい潤一郎に惹かれて行くが、会社が倒産の危機にあり、合併先のお嬢さんと婚約すると知る。潤一郎はあやかへの愛を貫こうとするが、あやかは潤一郎の前から姿を消すのであった。

あなたがいなくなった後 〜シングルマザーになった途端、義弟から愛され始めました〜

瀬崎由美
恋愛
石橋優香は夫大輝との子供を出産したばかりの二十七歳の専業主婦。三歳歳上の大輝とは大学時代のサークルの先輩後輩で、卒業後に再会したのがキッカケで付き合い始めて結婚した。 まだ生後一か月の息子を手探りで育てて、寝不足の日々。朝、いつもと同じように仕事へと送り出した夫は職場での事故で帰らぬ人となる。乳児を抱えシングルマザーとなってしまった優香のことを支えてくれたのは、夫の弟である宏樹だった。二歳年上で公認会計士である宏樹は優香に変わって葬儀やその他を取り仕切ってくれ、事あるごとに家の様子を見にきて、二人のことを気に掛けてくれていた。 息子の為にと自立を考えた優香は、働きに出ることを考える。それを知った宏樹は自分の経営する会計事務所に勤めることを勧めてくれる。陽太が保育園に入れることができる月齢になって義弟のオフィスで働き始めてしばらく、宏樹の不在時に彼の元カノだと名乗る女性が訪れて来、宏樹へと復縁を迫ってくる。宏樹から断られて逆切れした元カノによって、彼が優香のことをずっと想い続けていたことを暴露されてしまう。 あっさりと認めた宏樹は、「今は兄貴の代役でもいい」そういって、優香の傍にいたいと願った。 夫とは真逆のタイプの宏樹だったが、優しく支えてくれるところは同じで…… 夫のことを想い続けるも、義弟のことも完全には拒絶することができない優香。

人質王女の恋

小ろく
恋愛
先の戦争で傷を負った王女ミシェルは顔に大きな痣が残ってしまい、ベールで隠し人目から隠れて過ごしていた。 数年後、隣国の裏切りで亡国の危機が訪れる。 それを救ったのは、今まで国交のなかった強大国ヒューブレイン。 両国の国交正常化まで、ミシェルを人質としてヒューブレインで預かることになる。 聡明で清楚なミシェルに、国王アスランは惹かれていく。ミシェルも誠実で美しいアスランに惹かれていくが、顔の痣がアスランへの想いを止める。 傷を持つ王女と一途な国王の恋の話。

思い出のチョコレートエッグ

ライヒェル
恋愛
失恋傷心旅行に出た花音は、思い出の地、オランダでの出会いをきっかけに、ワーキングホリデー制度を利用し、ドイツの首都、ベルリンに1年限定で住むことを決意する。 慣れない海外生活に戸惑い、異国ならではの苦労もするが、やがて、日々の生活がリズムに乗り始めたころ、とてつもなく魅力的な男性と出会う。 秘密の多い彼との恋愛、彼を取り巻く複雑な人間関係、初めて経験するセレブの世界。 主人公、花音の人生パズルが、紆余曲折を経て、ついに最後のピースがぴったりはまり完成するまでを追う、胸キュン&溺愛系ラブストーリーです。 * ドイツ在住の作者がお届けする、ヨーロッパを舞台にした、喜怒哀楽満載のラブストーリー。 * 外国での生活や、外国人との恋愛の様子をリアルに感じて、主人公の日々を間近に見ているような気分になれる内容となっています。 * 実在する場所と人物を一部モデルにした、リアリティ感の溢れる長編小説です。

フローライト

藤谷 郁
恋愛
彩子(さいこ)は恋愛経験のない24歳。 ある日、友人の婚約話をきっかけに自分の未来を考えるようになる。 結婚するのか、それとも独身で過ごすのか? 「……そもそも私に、恋愛なんてできるのかな」 そんな時、伯母が見合い話を持ってきた。 写真を見れば、スーツを着た青年が、穏やかに微笑んでいる。 「趣味はこうぶつ?」 釣書を見ながら迷う彩子だが、不思議と、その青年には会いたいと思うのだった… ※他サイトにも掲載

お前が欲しくて堪らない〜年下御曹司との政略結婚

ラヴ KAZU
恋愛
忌まわしい過去から抜けられず、恋愛に臆病になっているアラフォー葉村美鈴。 五歳の時の初恋相手との結婚を願っている若き御曹司戸倉慶。 ある日美鈴の父親の会社の借金を支払う代わりに美鈴との政略結婚を申し出た慶。 年下御曹司との政略結婚に幸せを感じることが出来ず、諦めていたが、信じられない慶の愛情に困惑する美鈴。 慶に惹かれる気持ちと過去のトラウマから男性を拒否してしまう身体。 二人の恋の行方は……

幸せの見つけ方〜幼馴染は御曹司〜

葉月 まい
恋愛
近すぎて遠い存在 一緒にいるのに 言えない言葉 すれ違い、通り過ぎる二人の想いは いつか重なるのだろうか… 心に秘めた想いを いつか伝えてもいいのだろうか… 遠回りする幼馴染二人の恋の行方は? 幼い頃からいつも一緒にいた 幼馴染の朱里と瑛。 瑛は自分の辛い境遇に巻き込むまいと、 朱里を遠ざけようとする。 そうとは知らず、朱里は寂しさを抱えて… ・*:.。. ♡ 登場人物 ♡.。.:*・ 栗田 朱里(21歳)… 大学生 桐生 瑛(21歳)… 大学生 桐生ホールディングス 御曹司

噂の聖女と国王陛下 ―婚約破棄を願った令嬢は、溺愛される

柴田はつみ
恋愛
幼い頃から共に育った国王アランは、私にとって憧れであり、唯一の婚約者だった。 だが、最近になって「陛下は聖女殿と親しいらしい」という噂が宮廷中に広まる。 聖女は誰もが認める美しい女性で、陛下の隣に立つ姿は絵のようにお似合い――私など必要ないのではないか。 胸を締め付ける不安に耐えかねた私は、ついにアランへ婚約破棄を申し出る。 「……私では、陛下の隣に立つ資格がありません」 けれど、返ってきたのは予想外の言葉だった。 「お前は俺の妻になる。誰が何と言おうと、それは変わらない」 噂の裏に隠された真実、幼馴染が密かに抱き続けていた深い愛情―― 一度手放そうとした運命の絆は、より強く絡み合い、私を逃がさなくなる。

処理中です...