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イケメンだからって即ナンパするのは止めなさいって言ったよね
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その日、薬師リノは辺境のちょっと外れの村に薬を卸しに来ていた。
「ほい、頼まれてた分はこれで全部だね、他に必要なもんはないかい?」
「いや、大丈夫だ。いつもありがとうよ、ばあさん。…薬は大丈夫なんだが…ちょいと時間あるかい?この後ちょっと村長のとこに顔出してくれねぇかな。」
何やら訳ありのようだったので、リノはその足を村長宅に向けた。村長が病気なのかと思ったが、出迎えてくれたのはその村長だった。
「あぁ!ばあちゃん待ってたよ、入って入って。」
案内された先のベッドで横たわっていたのは息子のダニエルだった。何でも三日前から目が覚めないらしい。熱もないし、見た目には普通に寝ているだけなので、どうすればいいのか、と。
どれどれ?とリノはダニエルの様子を窺うと、キラリと光る蜘蛛の糸がその首に巻き付いているのが確認出来た。だが他の皆には見えていない。
「ほーん、なるほどなるほど。」
「何か分かったのか?ばあちゃん、ダニエルはどうなってるんだ?」
「大丈夫、これからちょいとお邪魔して起こしてくるよ。」
そう言うとダニエルの枕元に座り、そっと手をかざして何かを唱えると目を閉じた。
「いいじゃないの!ちょっと付き合うくらい、あなたもラッキーじゃないの!」
「いやいやいや、俺彼女いるし、結婚も控えてるって言ってんだろー!」
やはりと言うか何というか、リノの目の前では思った通りの場面が展開されていた。ので、女の方の後頭部を何も言わず、バシッと叩いた。
「いった!誰よ!って…あら、リノ久しぶり~。」
「ったく何やってんだい!さっさとダニエルを解放しな!」
「え~いいじゃない、人族って結婚したら遊べなくなるんでしょ?一夏の思いで作りしてあげようと思って~。…ちょっと味見するくらいだから、ね?ちゃんと返すから~。」
「糸でぐるぐる巻きしといて何言ってんだい!だいたいあんた、彼氏いたよね?どうしたのよ。」
「彼氏?とっくに別れたし、あんな奴知らない!リノ~聞いてよ~~~~~。」
自分をそっちのけで会話する美女二人。ダニエルは頭に?マークしか浮かばない。
え?聞き間違えでなければ、自分を拘束している女は後から来た美女に向かって『リノ』と言わなかったか?は?自分の知ってる『リノ』は薬師の老婆しかいない。別人かと思ったが「ダニエルを解放しろ」と言ったよな、自分を知る『リノ』?え、何?リノばあちゃんの孫?リノ三世とか?
「ふ~ん、じゃぁ振られたんだ。」
「違うわよ!ちゃんと話聞いてた?私が振ったのよ!」
「どうでもいいけど、なんで人間ナンパしてんのよ。すぐ老いるからってやめてたでしょ。」
「いや、ふと昔この辺にイケメンいたな~って思いだして?ちょっと覗きに来たらいたし!」
「いやいやいや彼、あんたの思ってる昔のイケメンの曾孫だから、本人は亡くなってるから。」
「はぁ?そんな訳………あるかしら……ちょっと違うかも?」
「…ったく、おとなしく人外で探しなさいよ、ダニエルも結婚するって言ってたでしょ?付き合う前から浮気してるようなもんでしょ?」
「なんですって!?浮気は許さないわ!坊や!浮気してるの?」
「いや、最初っから結婚控えてるって言ってたでしょ!」
つーか、坊やって言っちゃってるし。そこでダニエルの素朴な質問が。
「え、お姉さんって何歳…っっ!」
「…あら、女性に年聞くなんて礼儀がなってないわねぇ~坊や~。」
怖い怖い怖い!「すいません!何でもありません!」
「ほら、分かったらサッサと解放!」
「…………じゃあ、誰か紹介して……」
「は?」
「解放するから誰か紹介して!人外で!」
「……あんた、まさか最初っからそれが目当てじゃないでしょうねぇ?」
リノのジト目を避けるように、決して目を合わせようとしない様子に確信するも、
「は~、分かった分かった、とりあえず戻ろうか。」
「やった!リノ約束よ!」
ダニエルが目を覚ますと両親は揃って喜んだ。知らぬ間に三日も経っていたことにちょっとビックリしていた。
喜ぶ親の反対側で静かに座って微笑んでいるリノに、ダニエルが何か言いたそうにすると、
『な い し ょ 』
と口に指を立ててウィンクされる。どう見ても笑顔なのに恐怖を感じたダニエルはこくこく首を縦に振るのだった。
「うーん紹介かぁ、誰にしようかな~。嫉妬深い女だから同じく嫉妬深い方がうまくいくかな。お互い束縛するタイプ?……こわっ!でも周りには迷惑いかないよねぇ。そうだ、蛇系とかどうよ、うん、いいかも。幸い面食いだけど人外で不細工いないし、うまくいってもいかなくても紹介すれば文句ないでしょ。」
村から出る辻馬車に乗ったように思わせて、リノは街道から外れて森へと進路をとると転移を発動した。
「ほい、頼まれてた分はこれで全部だね、他に必要なもんはないかい?」
「いや、大丈夫だ。いつもありがとうよ、ばあさん。…薬は大丈夫なんだが…ちょいと時間あるかい?この後ちょっと村長のとこに顔出してくれねぇかな。」
何やら訳ありのようだったので、リノはその足を村長宅に向けた。村長が病気なのかと思ったが、出迎えてくれたのはその村長だった。
「あぁ!ばあちゃん待ってたよ、入って入って。」
案内された先のベッドで横たわっていたのは息子のダニエルだった。何でも三日前から目が覚めないらしい。熱もないし、見た目には普通に寝ているだけなので、どうすればいいのか、と。
どれどれ?とリノはダニエルの様子を窺うと、キラリと光る蜘蛛の糸がその首に巻き付いているのが確認出来た。だが他の皆には見えていない。
「ほーん、なるほどなるほど。」
「何か分かったのか?ばあちゃん、ダニエルはどうなってるんだ?」
「大丈夫、これからちょいとお邪魔して起こしてくるよ。」
そう言うとダニエルの枕元に座り、そっと手をかざして何かを唱えると目を閉じた。
「いいじゃないの!ちょっと付き合うくらい、あなたもラッキーじゃないの!」
「いやいやいや、俺彼女いるし、結婚も控えてるって言ってんだろー!」
やはりと言うか何というか、リノの目の前では思った通りの場面が展開されていた。ので、女の方の後頭部を何も言わず、バシッと叩いた。
「いった!誰よ!って…あら、リノ久しぶり~。」
「ったく何やってんだい!さっさとダニエルを解放しな!」
「え~いいじゃない、人族って結婚したら遊べなくなるんでしょ?一夏の思いで作りしてあげようと思って~。…ちょっと味見するくらいだから、ね?ちゃんと返すから~。」
「糸でぐるぐる巻きしといて何言ってんだい!だいたいあんた、彼氏いたよね?どうしたのよ。」
「彼氏?とっくに別れたし、あんな奴知らない!リノ~聞いてよ~~~~~。」
自分をそっちのけで会話する美女二人。ダニエルは頭に?マークしか浮かばない。
え?聞き間違えでなければ、自分を拘束している女は後から来た美女に向かって『リノ』と言わなかったか?は?自分の知ってる『リノ』は薬師の老婆しかいない。別人かと思ったが「ダニエルを解放しろ」と言ったよな、自分を知る『リノ』?え、何?リノばあちゃんの孫?リノ三世とか?
「ふ~ん、じゃぁ振られたんだ。」
「違うわよ!ちゃんと話聞いてた?私が振ったのよ!」
「どうでもいいけど、なんで人間ナンパしてんのよ。すぐ老いるからってやめてたでしょ。」
「いや、ふと昔この辺にイケメンいたな~って思いだして?ちょっと覗きに来たらいたし!」
「いやいやいや彼、あんたの思ってる昔のイケメンの曾孫だから、本人は亡くなってるから。」
「はぁ?そんな訳………あるかしら……ちょっと違うかも?」
「…ったく、おとなしく人外で探しなさいよ、ダニエルも結婚するって言ってたでしょ?付き合う前から浮気してるようなもんでしょ?」
「なんですって!?浮気は許さないわ!坊や!浮気してるの?」
「いや、最初っから結婚控えてるって言ってたでしょ!」
つーか、坊やって言っちゃってるし。そこでダニエルの素朴な質問が。
「え、お姉さんって何歳…っっ!」
「…あら、女性に年聞くなんて礼儀がなってないわねぇ~坊や~。」
怖い怖い怖い!「すいません!何でもありません!」
「ほら、分かったらサッサと解放!」
「…………じゃあ、誰か紹介して……」
「は?」
「解放するから誰か紹介して!人外で!」
「……あんた、まさか最初っからそれが目当てじゃないでしょうねぇ?」
リノのジト目を避けるように、決して目を合わせようとしない様子に確信するも、
「は~、分かった分かった、とりあえず戻ろうか。」
「やった!リノ約束よ!」
ダニエルが目を覚ますと両親は揃って喜んだ。知らぬ間に三日も経っていたことにちょっとビックリしていた。
喜ぶ親の反対側で静かに座って微笑んでいるリノに、ダニエルが何か言いたそうにすると、
『な い し ょ 』
と口に指を立ててウィンクされる。どう見ても笑顔なのに恐怖を感じたダニエルはこくこく首を縦に振るのだった。
「うーん紹介かぁ、誰にしようかな~。嫉妬深い女だから同じく嫉妬深い方がうまくいくかな。お互い束縛するタイプ?……こわっ!でも周りには迷惑いかないよねぇ。そうだ、蛇系とかどうよ、うん、いいかも。幸い面食いだけど人外で不細工いないし、うまくいってもいかなくても紹介すれば文句ないでしょ。」
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