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その十一
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「ばけもの」
そう義嗣を最初に呼んだのは誰なのか?
最初はバカバカしいと思っていたが、いつしか義嗣の中にバケモノと呼ばれるにふさわしい暴力的で血みどろなバケモノがいることに気づいてしまった。
義嗣の意識は眠りから急激に目覚める。覚醒して感じたのは暖かい空気と醤油と鍋のこぽこぽと沸く音だ。
ぼりぼり頭をかきながら義嗣はベッドから起き上がる。
「おはようございます。朝ごはん食べましょう」
エプロンをつけて台所に立っている忍の姿が見える。
「いいのか?」
「ぜひ!」
にっこり忍は微笑む。
けが人の義嗣に、忍はお粥を用意してくれた。
食事中忍はちらちら義嗣のほうを恥ずかしそうにみては俯いている。
「どうかしたのか?」
義嗣が忍のほうに目を向けると、忍は慌てた様子で「いえ」といってご飯に目を向ける。もしかして忍は男である義嗣に気があるのでは?と、予想する。義嗣は自分自身の性の対象を考えたことはない。突っ込める穴があれば正直セックスはできるだろうが。
「ごちそうさま」
義嗣は両手をあわせて食事を終える。
「あの、お口に合いませんでしたか?」
義嗣はずいぶん早く食事を終えてしまった。忍は不安になる。
「いや、うまかった」
「よかった」
嬉しそうに微笑む忍に、義嗣は内心むらっとくる。男を抱けないことはないだろうが、毛むくじゃらのむさい獣だと思っている。内心義嗣は自分自身にたいして眉をひそめる。
忍は女には見えない。万が一でも忍は恩人だ。堅気でもない義嗣が忍に手を出すわけにはいかなかった。
そう義嗣を最初に呼んだのは誰なのか?
最初はバカバカしいと思っていたが、いつしか義嗣の中にバケモノと呼ばれるにふさわしい暴力的で血みどろなバケモノがいることに気づいてしまった。
義嗣の意識は眠りから急激に目覚める。覚醒して感じたのは暖かい空気と醤油と鍋のこぽこぽと沸く音だ。
ぼりぼり頭をかきながら義嗣はベッドから起き上がる。
「おはようございます。朝ごはん食べましょう」
エプロンをつけて台所に立っている忍の姿が見える。
「いいのか?」
「ぜひ!」
にっこり忍は微笑む。
けが人の義嗣に、忍はお粥を用意してくれた。
食事中忍はちらちら義嗣のほうを恥ずかしそうにみては俯いている。
「どうかしたのか?」
義嗣が忍のほうに目を向けると、忍は慌てた様子で「いえ」といってご飯に目を向ける。もしかして忍は男である義嗣に気があるのでは?と、予想する。義嗣は自分自身の性の対象を考えたことはない。突っ込める穴があれば正直セックスはできるだろうが。
「ごちそうさま」
義嗣は両手をあわせて食事を終える。
「あの、お口に合いませんでしたか?」
義嗣はずいぶん早く食事を終えてしまった。忍は不安になる。
「いや、うまかった」
「よかった」
嬉しそうに微笑む忍に、義嗣は内心むらっとくる。男を抱けないことはないだろうが、毛むくじゃらのむさい獣だと思っている。内心義嗣は自分自身にたいして眉をひそめる。
忍は女には見えない。万が一でも忍は恩人だ。堅気でもない義嗣が忍に手を出すわけにはいかなかった。
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