26 / 34
その二十五
しおりを挟む
「初めまして、僕、後藤高里といいます!後藤義嗣の父親だよ。よろしく、ね☆君は佐々木忍君だよね?うちの息子ちゃんがお世話になっているから、あいさつしたかったんだぁー。こんな夜遅くにごめんね。今日はうちで泊っていっていいからさ。うち高級ホテルもあるから、あ、温泉もあるよ!ぜひ入っていってほしいな」
にこにこ片目に眼帯をした小太りのスーツを着た男が、忍にまくしたてる。
あれから忍は馬鹿でかいビルのホテルのロビーに連れてこられて、目の前の小太りの眼帯を付けた男に挨拶と同時にまくしたてられた。
どうやら目の前の男は義嗣のお父さんらしい。ホテルのどでかいシャンデリアがまぶしい。
「は、初めまして。佐々木忍です」
戸惑いつつ忍はあいさつする。
「まま、座って」
でかい黒い革張りのソファーに座るように勧められる。
「本当にごめんね。こんな急に。うちの義嗣が君にお世話になったって聞いてね。ぜひ挨拶したいと思って。それに聞きたいこともあって。
あ、僕と義嗣似てないって思ってる?昔はこれでももてもてだったんだよ?」
「は、はぁ」
「僕としては義嗣にはヤクザをやめてもらって、女の人と結婚して、家庭持って幸せになってもらいたいんだよね。それでお見合いを進めているんだけど、あの子お転婆だから絶対言うこと聞かないでしょ?」
高里は折った手の甲を頬にあて、ソファーに寄り掛かる。その恰好はなんだか迫力ある獰猛そうに見えて、やはり義嗣の父親なんだなと忍は内心思う。
義嗣にお見合いと聞いて、忍の胸はずきりと痛む。
「君からも義嗣に言ってくれない?お見合い相手の子はいい子なんだよ?」
「言えません」
言えるわけがない。義嗣にお見合いしろなんて。
「なんで?」
「それは義嗣さんが決めることだからです」
「ふぅーん。確かにそうだよね。じゃぁ、そうだ。君さ、僕の養子にならない?」
「え!?」
奇想天外の高里の発言に、忍は度肝を抜かれる。
なんで義嗣のお見合い話から、忍の養子縁組になるのだろう?
「だって君、義嗣と仲いいんだろう?あの子が友達作るなんて珍しいからさ。君がいてくれたら、義嗣も言うこと聞いてくれるかなぁーって。ね、どうだろう?君には悪い話じゃないよ。ただ会社の利権とかは辞退してくれることになるけど。どう、かな?」
「わ、わかりません」
忍の頭は混乱していた。
「ま、じっくり考えてみてね!今日はありがとう、ゆっ」
「高里様、大変です!!義嗣坊ちゃまが」
義嗣のストーカー執事の岩倉上治が走ってやってくる。
その岩倉の後ろから頭から血を大量に流す、義嗣がやってきた。
「よお」
「よ、義嗣さん」
慌てて忍は、義嗣に駆け寄る。
「早く救急車を」
「いい。どうせこの傷だと助かるかどうかわかんねぇからな」
あの後義嗣は頭やら腹を何発も拳銃で撃たれながら、襲ってきた刺客を容赦なくぶちのめした。手加減できなかったので、死んでいるかもしれない。
「そんなことを言わないでください」
忍の目に涙があふれてくる。
忍の手をつかんで義嗣は歩き出す。
「いつ言えるかわからなくなるから言っておく」
義嗣は父親の目を気にしながらも、意識が遠くなってくる。もう時間がないので、泣きそうな忍の腕をつかんで引き寄せた。
「俺は忍のことが好きだ」
「僕も義嗣さんのことが好きです?」
半信半疑の忍の襟首をつかんで引き寄せ、そのまま口づけた。
それから義嗣はキスしていいか?と、聞くので、忍はもう口づけていると笑って近づいてきた義嗣の背中に手を回した。
にこにこ片目に眼帯をした小太りのスーツを着た男が、忍にまくしたてる。
あれから忍は馬鹿でかいビルのホテルのロビーに連れてこられて、目の前の小太りの眼帯を付けた男に挨拶と同時にまくしたてられた。
どうやら目の前の男は義嗣のお父さんらしい。ホテルのどでかいシャンデリアがまぶしい。
「は、初めまして。佐々木忍です」
戸惑いつつ忍はあいさつする。
「まま、座って」
でかい黒い革張りのソファーに座るように勧められる。
「本当にごめんね。こんな急に。うちの義嗣が君にお世話になったって聞いてね。ぜひ挨拶したいと思って。それに聞きたいこともあって。
あ、僕と義嗣似てないって思ってる?昔はこれでももてもてだったんだよ?」
「は、はぁ」
「僕としては義嗣にはヤクザをやめてもらって、女の人と結婚して、家庭持って幸せになってもらいたいんだよね。それでお見合いを進めているんだけど、あの子お転婆だから絶対言うこと聞かないでしょ?」
高里は折った手の甲を頬にあて、ソファーに寄り掛かる。その恰好はなんだか迫力ある獰猛そうに見えて、やはり義嗣の父親なんだなと忍は内心思う。
義嗣にお見合いと聞いて、忍の胸はずきりと痛む。
「君からも義嗣に言ってくれない?お見合い相手の子はいい子なんだよ?」
「言えません」
言えるわけがない。義嗣にお見合いしろなんて。
「なんで?」
「それは義嗣さんが決めることだからです」
「ふぅーん。確かにそうだよね。じゃぁ、そうだ。君さ、僕の養子にならない?」
「え!?」
奇想天外の高里の発言に、忍は度肝を抜かれる。
なんで義嗣のお見合い話から、忍の養子縁組になるのだろう?
「だって君、義嗣と仲いいんだろう?あの子が友達作るなんて珍しいからさ。君がいてくれたら、義嗣も言うこと聞いてくれるかなぁーって。ね、どうだろう?君には悪い話じゃないよ。ただ会社の利権とかは辞退してくれることになるけど。どう、かな?」
「わ、わかりません」
忍の頭は混乱していた。
「ま、じっくり考えてみてね!今日はありがとう、ゆっ」
「高里様、大変です!!義嗣坊ちゃまが」
義嗣のストーカー執事の岩倉上治が走ってやってくる。
その岩倉の後ろから頭から血を大量に流す、義嗣がやってきた。
「よお」
「よ、義嗣さん」
慌てて忍は、義嗣に駆け寄る。
「早く救急車を」
「いい。どうせこの傷だと助かるかどうかわかんねぇからな」
あの後義嗣は頭やら腹を何発も拳銃で撃たれながら、襲ってきた刺客を容赦なくぶちのめした。手加減できなかったので、死んでいるかもしれない。
「そんなことを言わないでください」
忍の目に涙があふれてくる。
忍の手をつかんで義嗣は歩き出す。
「いつ言えるかわからなくなるから言っておく」
義嗣は父親の目を気にしながらも、意識が遠くなってくる。もう時間がないので、泣きそうな忍の腕をつかんで引き寄せた。
「俺は忍のことが好きだ」
「僕も義嗣さんのことが好きです?」
半信半疑の忍の襟首をつかんで引き寄せ、そのまま口づけた。
それから義嗣はキスしていいか?と、聞くので、忍はもう口づけていると笑って近づいてきた義嗣の背中に手を回した。
応援ありがとうございます!
0
お気に入りに追加
37
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる