記憶喪失で美醜反転の世界にやってきて救おうと奮闘する話。(多分)

松井すき焼き

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第78話 子供会議

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部屋の中には子供が六人走り回っている。あまり広くない部屋なので、引っ越したらもう少し広い部屋がいいなと、アルはしみじみ思う。

子供大勢で話し合い決めることと、子供一人ずつに話を聞くのもやったほうがいいなと、思う。みんなに聞かれたくないこともあるし。そんなことを考える。
できたら子供一人ひとりのカウンセリングもできたらベストかもしれないなと、アルはまた考えた。

「はい、みんな、今日はみんなにお話があります!」
アルは子供たちの前でそういうが、子供たちは相変わらずアルの方を見ないで走り回って、泣いては笑い声をあげている。

クワイエットたちの助けをかりて、子供たちは座ってアルの方を見る。
「今から子供会議を開こうと思います!」

「子供会議って何ぃー?」
不思議そうに蝙蝠の獣人の男の子のポアルが、アルの方を見る。

「日頃思っていることとか、気になっていることとか、嫌なこととか、好きなこととか、こうしてほしいなとか、何でもいいから私に教えてください」

「アル先生好き!」
にこにこピーノがアルの前まで走ってやってくる。

「ありがとう。ピーノちゃん」
にこにこアルはピーノの頭をなでる。

「馬鹿ピーノ!座っておけよ!」と、最近ここにやってくるようになった、ピーノの兄のジャンが言う。

「ジャン君、座っているように言うのはありがたいけれど、人に、いやみんなにたいして、馬鹿っていってはいけません」
アルはそう言ってジャンの頭をなでなでなでる。

「うるせぇな!」
ぺちんとアルの頭を叩いて、顔を赤くしてジャンはすたすた歩いて行ってしまう。ピーノはにこにこ笑いながら、ジャンの後をついていく。

「はい!」
ソルが元気よく手を上げる。その隣には最近飼い始めた大型の犬?いや、オオカミが座っている。

「ソル君、この部屋には狼、いや、犬?さんを、連れてきてはいけません。怖がる人もいるし、その子のしつけもまだでしょう?」

「こいつの名前はガル!アルは最近全然俺と話してくんねぇし、どうやったら俺と話してくれる?」
真剣なソルの目が、アルを射抜く。

どうやらアルはソルにさみしい想いをさせていたらしい。

「ソル君ごめんね、最近なんか忙しいし、けっこう私ひどい目にあったりしていて、あまりソル君と話せてないよね。またゆっくり話そうね」

アルはソルの頭をなでなでなでなでた。
ソルは嬉しそうに、尻尾を振っていた。よかった。

「先生、僕、お父さんに会いたい!!」
次の瞬間、黒狐の獣人のレオン君が大声で叫んで、泣き出した。
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