記憶喪失で美醜反転の世界にやってきて救おうと奮闘する話。(多分)

松井すき焼き

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第95話 シルベリアの騎士 2 (短いです)

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外から戸を叩く音がする。
「なんだ?」
ヴェルディはアルから身をはなす。

ヴェルディの部下のミンスが入ってくる。

「デルヘアの騎士様方が、ヴェルディ様にお話を聞きたいそうです」

デルヘアとはこの国の名前だ。その名前を冠する王直轄であるのが、デルヘアの騎士である。
王の騎士であり、この国の軍部を司っている。

おそらく火事のことを聞きに来たのかもしれないなと、ヴェルディは内心吐息をつく。ヴェルディは何もスラムの街に火をつけたいわけでもなかったが、アルたちをとらえるときと同時に、スラムは火に包まれた。
高い可能性で、ヴェルディの部下たちの仕業だろう。
ヴェルディの部下の中には、獣人を一掃するべしというもの達がいる。その者達の暴走だろう。
軍部はシルベリアを廃して、法と裁定も軍部に統括するべきだと考えるものが多い。
獣人を排除したいのは、デルヘアの軍部も同じだろうに。

「今行く」
ヴェルディは与えられた正義の剣に触れ、確認する。

「お前達はシルベリアであるロゼット様が来るまで、ここで待機し、この人間を見張っておいてくれ」
「ヨハルド様にお伝えしなくてよろしいのでしょうか?」
どこか不安そうなミンスの顔。

ヨハルドはヴェルディの父であり、ヴェルディの上司でもあるこの正義と裁定のシルベリアである最高責任者であり、罪びとを裁く管理書類を記録して、王に伝える仕事をしている。

「かまわない。ヨハルド様はどこにいようと、罪人を見ることができるはずだ。俺が報告しなくても、わかっているはずだ」
ヴェルディはそう言いおき、歩き出す。

一方そのころ、クマのぬいぐるみ姿のアルは、皆で話し合いに臨んでいた。
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