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第126話 悲しい告白
しおりを挟む台所の様々な食材の置かれたテーブルには、大きな紫色のカエルが置いてある。これを食べるのだろうか?と、アルは戸惑う。
「このカエル食材は一体?」
アルは台所を出て、ジルの元へ行こうと、台所から出てみた。真っ暗な廊下が広がっている。
「じ、ジルさん」
アルは怖いものが苦手である。薄暗い廊下は先が見えない。どうしたもんかと二の足を踏んでいると、奥の部屋から人のうめき声が聞こえてくる。
「ジルさん?」
まさかジルが倒れているのかと、慌ててアルは部屋の中に入る。
そこには苦しんでうめき声をあげているジルの姿があった。
「な、なにしに来たんですか?」
上を向いたジルの顔には、黒い文字のような羅列の入れ墨が蛇のように這いずっているのが見える。
「どうしました?その顔に」
驚くアル。あまりにジルが苦しそうなので、心配してジルの肩に手を当てると、ジルに「触るな!」と言われ、アルの手は払われてしまう。
「ジルさん!」
アルはもう一度、ジルの背中に手を当てる。
「病気なら、私の魔法の花を食べると治せるかもしれません。だから」
アルは慌てて花をだして、ジルに見せる。
ジルは笑う。
「そんなもの効きませんよ。ハイエルフの父親の呪力は、強い。大丈夫すぐに治まりますよ。これは私に父親が苦しめようとしてかけた呪いなんです。死にはしませんよ」
「どうしてそんな呪いを?」
「エルフの体は女でも男でもない中性が多いからか、父親はどうやら自分の子供である私の体をお気に召したようで、何度も私のことを抱きましたよ。女のように、ね」
ジルは嘲るように、笑う。
アルは唖然とする。
「そんな」
実の父親が、子供に?
そんなひどいことがあるのかと、アルは愕然とする。
「いつからか何故なのか、思い出せませんが、父親は去り際に、私の体に呪印を刻み込みました。永劫苦しむように。そんなにこの醜い私が嫌だったのか。ならば、抱きなんてしなければいいものを」
「ジルさん」
アルは何を言えばいいのか、わからない。ひどすぎる。
ジルの手が、アルの頬に触れる。
「私が美しかったならば、母にも愛されていたものを。私は」
そのままジルは気を失ってしまった。
「ジルさん!」
ジルの胸に耳をつけると、ジルの心臓は動いている。
アルはほっとする。
アルは悲しい気持ちで、ジルの美しいプラチナブロンドの髪をなでた。
ジルも性被害者なのだと。
眠っているジルのためにも、何か食べられるものを作ろうと、アルは台所に向かった。
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