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140話 みんなの女神
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原初の森のエルフの森が滅ぶ前、ハイエルフとエルフは共存していた。なかでもハイエルフは神にも近い古代のエルフの先祖返り種族とされ、崇拝畏怖されていた。
ジルはハイエルフとエルフのハーフだ。しかも村一番の不細工として、ジルは虐められた。
石を投げられ頭にあたり、血が出たこともある。
中でもジルに執着し、執拗に虐める存在がいた。クロイツをリーダーとする年若いエルフ達だ。
クロイツたちはジルに対して性的な虐待を含む、陰惨ないじめをした。
ジルは裸にされ、口で得ないことを強要されたこともある。不細工だとジルのことを言っていたというのに。
魔力の弱いジルには抵抗できなかった。
あのクロイツというエルフが、ジルの方を見ている。
顔色が悪いジルに気づいたアルは、ジルの前に出ようとするが、その時、アルの胸元にいる赤ん坊の大きな泣き声が辺りに鳴り響いた。
不思議なほどそれまで赤ん坊は泣かないで、眠っていたというのに・・。
「アルちゃんをいじめるな!!」
飛び出してきたのは、なぜか額に布を巻いた年若いエルフ達だった。
「アルちゃんは俺たちの女神だ!!下手なことすると、罰が当たるぞ!!」
『そーだ!そーだ!』
大勢のエルフが賛同の声をあげる。
アルにからんでいたクロイツたちエルフがたじろぐ。
「人間なんぞ女神の訳がないだろう。お前たちいい加減にしろ!」
次期当主のゼノムが声を上げる。
「ゼノム様、だんが、アル様は我々を救ってくださった。我々の女神に違いねぇ」
壮年の顔役のエルフのエルミネまでしみじみ言っている。
そこで、ゼノムは危機感を募らせた。人間なんぞが神に祭あげられたら、ゼノムの地位や立場を脅かすことになるかもしれない。それに人間なんぞに、エルフを支配されてはならない。ゼノムは焦る。
「この者は人間だ!エルフと相いれない。神への生贄だぞ」
ゼノムは大きな声でそう告げた。そういえば、アルにたいして若いエルフは幻滅するだろうと、予測して。
しかしゼノムの目論見は外れ、年若いエルフ達は、皆非難の声を上げて、アルの前に殺到する。
「アルちゃんを生贄なんぞにさせるわけにはいかね」
アルファンクラブ会長エルフ・セシェルが、ゼノムの前に立ちはだかる。
「なんの騒ぎだね?」
静かな威厳のある声が辺りに響き渡る。
一人の眼鏡をかけた威厳ある壮年のエルフが、杖を持って立っていた。
エルフの皆は「宰相様!!」と声を上げて、頭を下げた。
「初めまして、私の名前はアルベルム。このエルフの村で、宰相をしているものです」
「遅いぞ!アルベルム!!こいつらをどうにかしろ!こんな人間に、若いエルフどもは誑かされおって!この人間を閉じ込めておけ!」
ゼノムはアルベルムのもとに駆け付け、横柄に怒鳴る。
アルベルムはため息ひとつつくと、手を挙げた。
すると見ず知らずのローブを着たエルフ達に、アルと赤ん坊は囲まれた。
「ゼノム村長、この方はこの村を救いに来てくれた救世主に違いない」
そういい、アルの前に、エルフが複数人前にかばうように前に出てくれる。
「そうだべ!アルちゃんは俺らの女神だ」
年若いエルフの複数人が、一斉に声を上げる。
「お前ら、誑かされおって!」
ぎりぎり歯ぎしりするゼノム。
「アルは私の妻です。婚姻の契約者である、私にまずは話を通してもらわなければ困ります」
静かなジルのその言葉は、その場になぜか不自然なほど響き渡り、空気が凍り付いた。
ジルはハイエルフとエルフのハーフだ。しかも村一番の不細工として、ジルは虐められた。
石を投げられ頭にあたり、血が出たこともある。
中でもジルに執着し、執拗に虐める存在がいた。クロイツをリーダーとする年若いエルフ達だ。
クロイツたちはジルに対して性的な虐待を含む、陰惨ないじめをした。
ジルは裸にされ、口で得ないことを強要されたこともある。不細工だとジルのことを言っていたというのに。
魔力の弱いジルには抵抗できなかった。
あのクロイツというエルフが、ジルの方を見ている。
顔色が悪いジルに気づいたアルは、ジルの前に出ようとするが、その時、アルの胸元にいる赤ん坊の大きな泣き声が辺りに鳴り響いた。
不思議なほどそれまで赤ん坊は泣かないで、眠っていたというのに・・。
「アルちゃんをいじめるな!!」
飛び出してきたのは、なぜか額に布を巻いた年若いエルフ達だった。
「アルちゃんは俺たちの女神だ!!下手なことすると、罰が当たるぞ!!」
『そーだ!そーだ!』
大勢のエルフが賛同の声をあげる。
アルにからんでいたクロイツたちエルフがたじろぐ。
「人間なんぞ女神の訳がないだろう。お前たちいい加減にしろ!」
次期当主のゼノムが声を上げる。
「ゼノム様、だんが、アル様は我々を救ってくださった。我々の女神に違いねぇ」
壮年の顔役のエルフのエルミネまでしみじみ言っている。
そこで、ゼノムは危機感を募らせた。人間なんぞが神に祭あげられたら、ゼノムの地位や立場を脅かすことになるかもしれない。それに人間なんぞに、エルフを支配されてはならない。ゼノムは焦る。
「この者は人間だ!エルフと相いれない。神への生贄だぞ」
ゼノムは大きな声でそう告げた。そういえば、アルにたいして若いエルフは幻滅するだろうと、予測して。
しかしゼノムの目論見は外れ、年若いエルフ達は、皆非難の声を上げて、アルの前に殺到する。
「アルちゃんを生贄なんぞにさせるわけにはいかね」
アルファンクラブ会長エルフ・セシェルが、ゼノムの前に立ちはだかる。
「なんの騒ぎだね?」
静かな威厳のある声が辺りに響き渡る。
一人の眼鏡をかけた威厳ある壮年のエルフが、杖を持って立っていた。
エルフの皆は「宰相様!!」と声を上げて、頭を下げた。
「初めまして、私の名前はアルベルム。このエルフの村で、宰相をしているものです」
「遅いぞ!アルベルム!!こいつらをどうにかしろ!こんな人間に、若いエルフどもは誑かされおって!この人間を閉じ込めておけ!」
ゼノムはアルベルムのもとに駆け付け、横柄に怒鳴る。
アルベルムはため息ひとつつくと、手を挙げた。
すると見ず知らずのローブを着たエルフ達に、アルと赤ん坊は囲まれた。
「ゼノム村長、この方はこの村を救いに来てくれた救世主に違いない」
そういい、アルの前に、エルフが複数人前にかばうように前に出てくれる。
「そうだべ!アルちゃんは俺らの女神だ」
年若いエルフの複数人が、一斉に声を上げる。
「お前ら、誑かされおって!」
ぎりぎり歯ぎしりするゼノム。
「アルは私の妻です。婚姻の契約者である、私にまずは話を通してもらわなければ困ります」
静かなジルのその言葉は、その場になぜか不自然なほど響き渡り、空気が凍り付いた。
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