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□海篇 The Pirates and Secret Treasure.
2.07.3 義兄妹の秘密
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夜明けの海──
この日は面白い天気で、雲も少なく風も弱いのに小雨が降っていた。
リンは一人コバルトの船首にいた。強行突破で使われた愛船はまた傷つき、今はテンペストに牽引してもらっていて、船員も少なく物寂しい。静かに降る雨に打たれながらじっと床板を見つめ、考える。
(「お前には一生わかんねぇよ」)
あの時のことを思い出す。
いつもと変わらぬ笑みを浮かべたオーウェンが放った言葉。解らない…ずっとずっと、幼い頃からお互いに考えや思いを打ち明けてきたはずなのに。あの時の彼の行動や言葉は何一つ理解出来なかった。そして、
「キャプテン!」
「待てって、おい!」
船縁を越え乗り込んで来たのはスタンとフランツで、真っ直ぐこちらへ向かってくるスタンをフランツが引っ張り止めていて…連日続く催促だと思い、一瞬眉を寄せてしまう。
「なぁ頼む、マジで!船貸してくれ」
「落ち着けよ、俺らも考えてんだ!」
スタンはリンの目の前まで来ると両膝を付き、甲板に頭まで付けて頼み込んだ。フランツはそんな彼の両肩を捕まえ止めさせようとするが、
「止めろよ…本当、止めてくれ。悪かった。俺…バカだ、ちゃんと受け入れねぇで」
「「!」」
まさかの発言に二人が揃って顔を上げる。今のは聞き間違いなんかではなく確かにリンの声で、彼は苦しそうな表情で話し続けた。
「…現実なんだよな、これが。仲間に裏切り者がいて、それが…オーウェンだった。なんでかなんて、わかんねぇし、解りたくもねぇ」
「「……」」
「ずっと、兄貴だと思ってた。本当の兄弟みてぇに色々教えてくれて、何度も助けてくれた…けどあいつは裏切った。皆を陥れて、傷つけて…血の繋がった親父までッ…あいつはもう仲間じゃない。俺の知ってるオーウェンじゃない…!」
たどたどしく、けれどしっかりとした声で話すリンは今にも泣きそうで、それでも真っ直ぐにスタンを見つめ、最後にすまんと呟いた。
甲板がまた静かになる。東側の空から太陽が姿を現し、雨はいつの間にか止んでいた。
「……ほらな?言った通りだ」
「…もっとかかると思ったんだが」
顔を見合わせたかと思えばスタンがニヤりと笑い、フランツが気まずそうに眉を寄せた。リンはわけがわからず呆けてしまうが、
「キャプテンがマトモになってるかで賭けてた。俺の勝ち!銀貨一枚」
「…は、」
「高ぇよクソっ」
「結果オーライってね、貸しにするか?」
「…待て、おい」
リンの表情が一気に不機嫌なものに変わり、二人はさらにニヤニヤ笑って隠し持っていた酒瓶を出した。
「とりあえず呑むぞ」
「はぁ?…気分じゃない」
「勿体ねぇ、いい酒なのに」
「え?」
「スタンがくすねた」
「…くすねた?」
「バレっとマジヤベぇから、消費すんの手伝ってキャプテン♪」
余計にわからずで眉を顰めると二人はチラチラとテンペストのほうを窺っていて…どうやら本当に盗んで来たらしい、それも、エルドレッドの酒を。本当に呆れてしまう。
「怒ってんじゃ、ねぇのか?」
「怒ってる。当たり前。俺新入りだけどさ…あれはマジでねぇぞ、クソキャプテン」
「一生忘れねぇからな、大バカが…キャプテン失格だドアホ」
「……」
「それでぇ?さっきのは腹決めたってことで、いいの?」
瓶を回し呑みする二人にリンは小さく頷いてみせる。迷いはもうないし、しない。皆の言う通りこのまま終わるわけにはいかなかった。
「このままにしておけねぇ。あいつらもだけど、まずは親父とキースだ。絶対助ける…また皆と話したい」
「…話す必要なんざねぇ。お前がやるって言ったら、皆付いてく」
「!…大雑把過ぎ。お前こそ、キャプテンとしてなんかねぇのか?」
「俺はとっくに腹決めてんだバぁカッ」
またバカ呼ばわりされるが顔が綻ぶ。酒を呷り飲むリンを見てフランツの表情も和らぐ。二人はいつものキャプテンコンビに戻っていた。
そんな二人を見てスタンは少しばかり安心するが、心配事を思い出しリンの様子を窺う。しかし予想していたものは見当たらず、それどころか…
「?…なん…っおい!ちょぉ、まッ、ッ!?」
視線を感じ目を向けるとスタンが襟首を掴んできて、彼は追い剥ぎでもするかのようにリンのシャツを捲り、思い切り眉を寄せた。
「……傷は?」
「!…あー、あぁ。その…」
途端リンが気まずそうに目を逸らし(というか面白いくらい目が泳いで)、何やら察したフランツが舌打ちをもらす。
スタンが言っているのはリンの胸──オーウェンに撃たれた傷で、致命傷に近い傷はまだ癒え切っていないはずが、包帯も縫合も無く。それどころか痕すら見当たらず。何度覗き込もうと瞬きしようと、何も無い綺麗な肌だった。
「手当てもあんましてねぇから、おかしいと思ったが……なんで??マジで、無ぇよな??撃たれたよな??違ぇとこ??でもなんも…??他にも斬り傷とか、あったはずじゃ……???」
「……」
「…こいつ、治りが早ぇから」
「いや…いやいやっ!早いって、」
「いいよ、フランツ。あれじゃバレてもおかしくねぇ…」
怪訝顔なスタンにフランツが口を挟むが、リンは首を振って遮り、周囲を窺うと事情を語った。
「俺の体質。怪我、治っちまうんだ」
「…へ?」
「だから、治んの。人よりも早く…どんな傷も大抵治る、すぐに。酷い傷はちょっと動けねぇ時もあるけど…痕も残んねぇ」
「………あ?ッ、ホあぁあ!?!」
つい大きな声を出してしまい、二人に口を押さえられる。
帆張りをしていた船員が振り返り見てきたが、内容は聞こえてはないようだった。
「ちょ…ちょちょちょいちょい、ッぅへ?待ってくれ、えと…まじ、マジで?」
息を整えられぬまま再び尋ねる。恥ずかしいくらい声が上擦った。
「マジ。ガキの頃からなんだと」
「おっ、お前、知って……マジか?!」
「しつけぇ。俺と大頭は知ってる、スコットも…知ってたし。ゼスも勘づいてんじゃねぇか」
「…はぁ?え、皆は…気づいてねぇ?」
「今まで誤魔化し続けてきてる…嫌で嫌で仕方ねぇんだと、こいつが。隠してぇなら包帯外すんじゃねぇ!」
フランツは落ち着き慣れた様子で、最後にまた舌打ちするとリンの頭を小突いた。当の本人はバツが悪いのか、煙草を吸い出したフランツに煙を吐きかけられても大人しいままだ。
対してスタンは開いた口が塞がらず、魚のようにパクパクさせていた。情報屋稼業を始めてン年そこら、リンのような者が存在するなんて初耳だし…そもそも人間の身体で有り得るのか?理解が追いつかない!
「たぶん、オーウェンにもバレてる…だから心臓撃ちやがった」
「…いや、でも、」
「でも死なない…死なねぇんだよ、俺は。腹斬られたり頭撃たれたことあるけど、死なない。心臓は初めてだったから、今度こそ死ぬかと思った…けど後で弾出てきたし、やっぱり…」
「……」
弾が出る?何処から…いや聞きたくねぇッ!
溜息混じりに言って不機嫌顔になるリン。しかし彼はナイフを取り出すと自身の掌を切ってみせた。血が滴った一線の傷は瞬く間に塞がり消え、実際に目の当たりにしたスタンは驚き、フランツに秘密だと耳打ちされ思わず頭を振った。
「待て待てッ、どういうこった??!まさかふろ、」
「不老不死ってのじゃない。歳は取るし、ちゃんと老いてる」
「ウソつけ、テメェのどこが三十路だよ」
「あ?歳か??リン、もっと若ぇんじゃ、」
「ウソじゃねぇ。これでも皺増えた!」
「えぇ…」
「指の一本や二本、斬ってみりゃいいんだ」
「ヤダ!さすがにくっ付かねぇよ!」
「あぁ、こいつ病気にも弱ぇぞ。冬の度に風邪ひいて死にかけるし」
「風邪は違ぇッ、重いやつだったんだ!」
「えぇぇえ…?」
「まぁこんなだけど、さすがに首だけになったら死ぬだろ」
「あー、そうだなクソッ!毎回弄りやがって…」
ちょいちょいフランツが口を挟み情報が一気に増える。現時点でキャパシティは限界なのだが、リンがバンダナを外しいつも隠していた赤い髪を見せる。美しい紅色は朝日を浴びてより鮮やかな色をしていた。
「情報屋なら聞いたことねぇか?<柘榴の一族>。'呪われた赤毛'とか」
「………諸島の、言い伝え?」
「ならよかったのにな…」
スタンの口がまた開きっ放しになる。リンの言う'呪われた赤毛'で全てが繋がった。
ネタの一つで聞いたことがある南方諸島の言い伝え。大昔何処かの島に、美しい赤毛の民族が居たそうで、彼らの血を口にすると悪魔になってしまうというお話だ。言い伝えやお伽話として語られているが出所はわからず、赤毛自体珍しくもないし、キースも赤毛の色素が強いほうだろう。そんなのは世界中にごまんといる。諸島出身者も眉唾ものにしか思っていない……のだが、
「実際にいる。こいつがそれ」
「こんなに濃い赤毛って、普通いねぇだろ?赤いっつか、ホントにザクロみてぇで……血を飲んだら悪魔になるんじゃない。一族が悪魔なんだ」
死ねないバケモノ──消え入りそうな声で呟き、リンは一人で酒を飲み干してしまった。
スタンは返す言葉が見つからず黙り込み、必死に頭を働かせていた。混乱が収まらず未だ信じられなかったが、これだけは伝えねばとリンの肩を掴む。と、
「ねぇ、今いい?」
声がかけられ振り返る。現れたのはビアンカで、彼女は何やら深刻そうな表情をしていた。
「「「……」」」
「……何か言ってよ」
「…そうだな、あー…言葉にならん」
じっと見つめてくるビアンカにスタンは辛うじて返事をするが、キャプテン二人は絶句したままだった。
三人が言葉を失い見つめているのはビアンカのペンダントで…開いたペンダントの内に彫られた文字に固まっていた。
蓋を開けた直後、ビアンカはニセモノかもと言ったが、もし正しければ妹は亡国のお姫様(王女様か?)なわけで。リンは今になって声を上げそうになり、引き攣る頬ごと手で押さえ堪えた。
「…お、まえッ、これ…ずっと開かねぇって、言ってたよな?」
「開いたんだよ…キースに手伝ってもらった」
「あいつも知ってんのか?」
「ううん。見せてないし気づいてない、と思う」
「これ、事実かどうか…わかるのか?大頭は、」
「知らない。親父にも聞けてない、けど…もし狙われてた理由がこれなら…」
三人で尋ねれば本人も困っているようで、そもそも本物かどうかわからない。彼女の願い通り形見違いなら良いのだが、オーウェンやソロウに狙われていたことを考えるとそうでもないのかもしれない。
スタンは髪をグシャグシャと掻き、記憶を辿り、大混乱の頭の中で情報屋引き出しを漁った。アルムガルド王家のベアトリス。覚えがない。これが本物でビアンカの年齢を考えると、ペンダントの贈り主は最後だった兄弟王のどっちか、いや待て、王家ってだけで分家かも。いやいや、分家なんかあったか??
「スタン…?」
ペンダントを凝視し固まるスタンをビアンカが心配そうに覗く。スタンはチラりと視線を返し、彼女の手に収まったままの物へ目を向けた。それはキースが託した地図と赤い石で、ビアンカは視線に気がつくとペンダントに手を伸ばし、
「あの時キースが渡してくれた…一緒にペンダントを開けた時、この石だけ気づいて持ってたんだと思う…これも狙われてるってわかったから、あたしに…」
入っていたかは記憶が曖昧だが、これまでのことを踏まえ言い、ペンダントの中に石を入れる。ビアンカの言う通りなのだろう、石はピッタリとペンダントに嵌って……スタンは盛大に溜息を吐いた。
オーウェンやソロウが騒いでいた地図はキースが持っていたもので間違いないはず。そしてこの石と一緒に託したということは──あいつは何かに気づき、ビアンカごと守った。ビンゴか相棒、おめでとさん。
「わかった。いいか…これ、絶対にもう、誰にも見せんな。あれだ…ニセモノかもしんねぇけど、皆びっくりするから」
「…うん」
「地図は、俺が持ってても?」
「うん。お願い」
落ち着いた口調で話すスタンにビアンカは頷いてみせる。この二週間彼女が不安そうにしていたのはこのせいだろう。今も表情は固く、心配になる。
リンも同じことを考えているのか、いつもの喧嘩腰は形を潜め、妹の様子を窺っているようで、
「親父なら、本物かわかんのか?」
「たぶんだけど…今思うと、何か知ってる気がして。付けてないとすごく怒られたし」
「…大事にしとけ。不安なのわかるけど、お前は…誰だろうと俺の妹だ」
「…お前が弟だろ」
結局いつものやり取りになるが二人共穏やかで、ビアンカの顔が少しだけ綻ぶ。
「狙われそうな理由はわかった。だがこれからもいつも通りだ…俺らにとっちゃ、お前はビアンカだからな」
「わかってる。こんなの…冗談だと思いたい。あたしは、ビアンカだ」
フランツの言葉にしっかりとした声で返し、ペンダントの蓋を閉じ、紐でグルグルと巻く。
ガッチリと閉じられたペンダントはビアンカの気持ちを現しているようで、思わず溜息がもれる。今日は秘密を打ち明ける記念日かなんかだっけか…
「兄妹揃って、まぁ」
「え…?」「…スタン」
ボソリと呟いたスタンに兄妹が揃って片眉を持ち上げる。彼はそれ以上何も言わずリンにだけ目配せし、ビアンカは何のことかわからずさらに眉を寄せるのだが、
「兎に角、さっさと戻って、やるぞ!これ以上時間ムダにできねぇ」
「!もしかして、ヤル気になった?」
「ダメな弟に言ってやれ」
フランツが上手く話を逸らすとビアンカはやっと笑顔になった。
ヘルブラウに戻るべく揃って小舟に向かうが、スタンがリンを呼び止め、
「言い忘れたけど…さっきの、バケモノは言い過ぎ。人より丈夫ってだけだろ」
先ほど言いかけたことを告げればリンは目を丸くして、一瞬間を置きフランツが吹き出した。
「確かに!しぶといってだけだな!」
「しぶとい?」
「俺の相棒も大概悪運強ぇから。同じようなもんだろ」
「なに?なんの話??」
「…お前らなぁ…」
また話がわからずビアンカは詮索するのだが、二人はニヤニヤするばかりで、リンもつられて笑ってしまう。楽観的だが初めて言われたそれはストンと胸に落ち、気持ちが楽になる。
「ビアンカちゃんも悩んでる暇ねぇぞ」
「またっ、ちゃん付けするな!」
「ギャーギャー喚いてるほうがお前らしいな、お姉ちゃん」
「俺が兄ちゃんだっての」
「姉ちゃんなら、ちゃん付けして良し」
「妹ちゃんは黙ってろよ!」
「お前が黙れッ」
スタンの揶揄いからいつもの調子が戻ってきて、笑いが起こる。空はすっかり明るくなり、朝と夜の狭間の紫が空を染めていた。
秘密を打ち明けたことでビアンカの心もスッキリし、澄んだ青い瞳は真っ直ぐに前を見ていた。未だ残る不安に負けないくらいの勇気が湧き起こる──本物かニセモノか、わからないなら聴けばいい。そのためにも、必ず助ける。
「……なぁ、昨夜の。バラしていい?」
「「?」」「ッおい!」
「だぁってよぉ、なんか曝露大会になってるし」
「なってねぇ!止めとけ!」
「?なに?」
「この面子なら大丈夫だろ。なぁって…」
「…今度は、なに??」
ヘルブラウからのロープを伝い小舟を動かしながら、唐突にスタンが口を開き、フランツは眉を寄せ兄妹は顔を見合わせた。
「………ゼスから、聞いたんだけど…よ」
だがフランツも気になっていたのか話し始め、四人以外誰もいない海原を窺い声を顰めた。
「オーウェンのことだ……」
「あ"ッ?」「え"っ!」
「だぁから……、……」
フランツが告げた内容に二人は目を見開き、さらにスタンがドヤ顔で言ってのけ──
直後上がった悲鳴は波に吸い込まれていった。
この日は面白い天気で、雲も少なく風も弱いのに小雨が降っていた。
リンは一人コバルトの船首にいた。強行突破で使われた愛船はまた傷つき、今はテンペストに牽引してもらっていて、船員も少なく物寂しい。静かに降る雨に打たれながらじっと床板を見つめ、考える。
(「お前には一生わかんねぇよ」)
あの時のことを思い出す。
いつもと変わらぬ笑みを浮かべたオーウェンが放った言葉。解らない…ずっとずっと、幼い頃からお互いに考えや思いを打ち明けてきたはずなのに。あの時の彼の行動や言葉は何一つ理解出来なかった。そして、
「キャプテン!」
「待てって、おい!」
船縁を越え乗り込んで来たのはスタンとフランツで、真っ直ぐこちらへ向かってくるスタンをフランツが引っ張り止めていて…連日続く催促だと思い、一瞬眉を寄せてしまう。
「なぁ頼む、マジで!船貸してくれ」
「落ち着けよ、俺らも考えてんだ!」
スタンはリンの目の前まで来ると両膝を付き、甲板に頭まで付けて頼み込んだ。フランツはそんな彼の両肩を捕まえ止めさせようとするが、
「止めろよ…本当、止めてくれ。悪かった。俺…バカだ、ちゃんと受け入れねぇで」
「「!」」
まさかの発言に二人が揃って顔を上げる。今のは聞き間違いなんかではなく確かにリンの声で、彼は苦しそうな表情で話し続けた。
「…現実なんだよな、これが。仲間に裏切り者がいて、それが…オーウェンだった。なんでかなんて、わかんねぇし、解りたくもねぇ」
「「……」」
「ずっと、兄貴だと思ってた。本当の兄弟みてぇに色々教えてくれて、何度も助けてくれた…けどあいつは裏切った。皆を陥れて、傷つけて…血の繋がった親父までッ…あいつはもう仲間じゃない。俺の知ってるオーウェンじゃない…!」
たどたどしく、けれどしっかりとした声で話すリンは今にも泣きそうで、それでも真っ直ぐにスタンを見つめ、最後にすまんと呟いた。
甲板がまた静かになる。東側の空から太陽が姿を現し、雨はいつの間にか止んでいた。
「……ほらな?言った通りだ」
「…もっとかかると思ったんだが」
顔を見合わせたかと思えばスタンがニヤりと笑い、フランツが気まずそうに眉を寄せた。リンはわけがわからず呆けてしまうが、
「キャプテンがマトモになってるかで賭けてた。俺の勝ち!銀貨一枚」
「…は、」
「高ぇよクソっ」
「結果オーライってね、貸しにするか?」
「…待て、おい」
リンの表情が一気に不機嫌なものに変わり、二人はさらにニヤニヤ笑って隠し持っていた酒瓶を出した。
「とりあえず呑むぞ」
「はぁ?…気分じゃない」
「勿体ねぇ、いい酒なのに」
「え?」
「スタンがくすねた」
「…くすねた?」
「バレっとマジヤベぇから、消費すんの手伝ってキャプテン♪」
余計にわからずで眉を顰めると二人はチラチラとテンペストのほうを窺っていて…どうやら本当に盗んで来たらしい、それも、エルドレッドの酒を。本当に呆れてしまう。
「怒ってんじゃ、ねぇのか?」
「怒ってる。当たり前。俺新入りだけどさ…あれはマジでねぇぞ、クソキャプテン」
「一生忘れねぇからな、大バカが…キャプテン失格だドアホ」
「……」
「それでぇ?さっきのは腹決めたってことで、いいの?」
瓶を回し呑みする二人にリンは小さく頷いてみせる。迷いはもうないし、しない。皆の言う通りこのまま終わるわけにはいかなかった。
「このままにしておけねぇ。あいつらもだけど、まずは親父とキースだ。絶対助ける…また皆と話したい」
「…話す必要なんざねぇ。お前がやるって言ったら、皆付いてく」
「!…大雑把過ぎ。お前こそ、キャプテンとしてなんかねぇのか?」
「俺はとっくに腹決めてんだバぁカッ」
またバカ呼ばわりされるが顔が綻ぶ。酒を呷り飲むリンを見てフランツの表情も和らぐ。二人はいつものキャプテンコンビに戻っていた。
そんな二人を見てスタンは少しばかり安心するが、心配事を思い出しリンの様子を窺う。しかし予想していたものは見当たらず、それどころか…
「?…なん…っおい!ちょぉ、まッ、ッ!?」
視線を感じ目を向けるとスタンが襟首を掴んできて、彼は追い剥ぎでもするかのようにリンのシャツを捲り、思い切り眉を寄せた。
「……傷は?」
「!…あー、あぁ。その…」
途端リンが気まずそうに目を逸らし(というか面白いくらい目が泳いで)、何やら察したフランツが舌打ちをもらす。
スタンが言っているのはリンの胸──オーウェンに撃たれた傷で、致命傷に近い傷はまだ癒え切っていないはずが、包帯も縫合も無く。それどころか痕すら見当たらず。何度覗き込もうと瞬きしようと、何も無い綺麗な肌だった。
「手当てもあんましてねぇから、おかしいと思ったが……なんで??マジで、無ぇよな??撃たれたよな??違ぇとこ??でもなんも…??他にも斬り傷とか、あったはずじゃ……???」
「……」
「…こいつ、治りが早ぇから」
「いや…いやいやっ!早いって、」
「いいよ、フランツ。あれじゃバレてもおかしくねぇ…」
怪訝顔なスタンにフランツが口を挟むが、リンは首を振って遮り、周囲を窺うと事情を語った。
「俺の体質。怪我、治っちまうんだ」
「…へ?」
「だから、治んの。人よりも早く…どんな傷も大抵治る、すぐに。酷い傷はちょっと動けねぇ時もあるけど…痕も残んねぇ」
「………あ?ッ、ホあぁあ!?!」
つい大きな声を出してしまい、二人に口を押さえられる。
帆張りをしていた船員が振り返り見てきたが、内容は聞こえてはないようだった。
「ちょ…ちょちょちょいちょい、ッぅへ?待ってくれ、えと…まじ、マジで?」
息を整えられぬまま再び尋ねる。恥ずかしいくらい声が上擦った。
「マジ。ガキの頃からなんだと」
「おっ、お前、知って……マジか?!」
「しつけぇ。俺と大頭は知ってる、スコットも…知ってたし。ゼスも勘づいてんじゃねぇか」
「…はぁ?え、皆は…気づいてねぇ?」
「今まで誤魔化し続けてきてる…嫌で嫌で仕方ねぇんだと、こいつが。隠してぇなら包帯外すんじゃねぇ!」
フランツは落ち着き慣れた様子で、最後にまた舌打ちするとリンの頭を小突いた。当の本人はバツが悪いのか、煙草を吸い出したフランツに煙を吐きかけられても大人しいままだ。
対してスタンは開いた口が塞がらず、魚のようにパクパクさせていた。情報屋稼業を始めてン年そこら、リンのような者が存在するなんて初耳だし…そもそも人間の身体で有り得るのか?理解が追いつかない!
「たぶん、オーウェンにもバレてる…だから心臓撃ちやがった」
「…いや、でも、」
「でも死なない…死なねぇんだよ、俺は。腹斬られたり頭撃たれたことあるけど、死なない。心臓は初めてだったから、今度こそ死ぬかと思った…けど後で弾出てきたし、やっぱり…」
「……」
弾が出る?何処から…いや聞きたくねぇッ!
溜息混じりに言って不機嫌顔になるリン。しかし彼はナイフを取り出すと自身の掌を切ってみせた。血が滴った一線の傷は瞬く間に塞がり消え、実際に目の当たりにしたスタンは驚き、フランツに秘密だと耳打ちされ思わず頭を振った。
「待て待てッ、どういうこった??!まさかふろ、」
「不老不死ってのじゃない。歳は取るし、ちゃんと老いてる」
「ウソつけ、テメェのどこが三十路だよ」
「あ?歳か??リン、もっと若ぇんじゃ、」
「ウソじゃねぇ。これでも皺増えた!」
「えぇ…」
「指の一本や二本、斬ってみりゃいいんだ」
「ヤダ!さすがにくっ付かねぇよ!」
「あぁ、こいつ病気にも弱ぇぞ。冬の度に風邪ひいて死にかけるし」
「風邪は違ぇッ、重いやつだったんだ!」
「えぇぇえ…?」
「まぁこんなだけど、さすがに首だけになったら死ぬだろ」
「あー、そうだなクソッ!毎回弄りやがって…」
ちょいちょいフランツが口を挟み情報が一気に増える。現時点でキャパシティは限界なのだが、リンがバンダナを外しいつも隠していた赤い髪を見せる。美しい紅色は朝日を浴びてより鮮やかな色をしていた。
「情報屋なら聞いたことねぇか?<柘榴の一族>。'呪われた赤毛'とか」
「………諸島の、言い伝え?」
「ならよかったのにな…」
スタンの口がまた開きっ放しになる。リンの言う'呪われた赤毛'で全てが繋がった。
ネタの一つで聞いたことがある南方諸島の言い伝え。大昔何処かの島に、美しい赤毛の民族が居たそうで、彼らの血を口にすると悪魔になってしまうというお話だ。言い伝えやお伽話として語られているが出所はわからず、赤毛自体珍しくもないし、キースも赤毛の色素が強いほうだろう。そんなのは世界中にごまんといる。諸島出身者も眉唾ものにしか思っていない……のだが、
「実際にいる。こいつがそれ」
「こんなに濃い赤毛って、普通いねぇだろ?赤いっつか、ホントにザクロみてぇで……血を飲んだら悪魔になるんじゃない。一族が悪魔なんだ」
死ねないバケモノ──消え入りそうな声で呟き、リンは一人で酒を飲み干してしまった。
スタンは返す言葉が見つからず黙り込み、必死に頭を働かせていた。混乱が収まらず未だ信じられなかったが、これだけは伝えねばとリンの肩を掴む。と、
「ねぇ、今いい?」
声がかけられ振り返る。現れたのはビアンカで、彼女は何やら深刻そうな表情をしていた。
「「「……」」」
「……何か言ってよ」
「…そうだな、あー…言葉にならん」
じっと見つめてくるビアンカにスタンは辛うじて返事をするが、キャプテン二人は絶句したままだった。
三人が言葉を失い見つめているのはビアンカのペンダントで…開いたペンダントの内に彫られた文字に固まっていた。
蓋を開けた直後、ビアンカはニセモノかもと言ったが、もし正しければ妹は亡国のお姫様(王女様か?)なわけで。リンは今になって声を上げそうになり、引き攣る頬ごと手で押さえ堪えた。
「…お、まえッ、これ…ずっと開かねぇって、言ってたよな?」
「開いたんだよ…キースに手伝ってもらった」
「あいつも知ってんのか?」
「ううん。見せてないし気づいてない、と思う」
「これ、事実かどうか…わかるのか?大頭は、」
「知らない。親父にも聞けてない、けど…もし狙われてた理由がこれなら…」
三人で尋ねれば本人も困っているようで、そもそも本物かどうかわからない。彼女の願い通り形見違いなら良いのだが、オーウェンやソロウに狙われていたことを考えるとそうでもないのかもしれない。
スタンは髪をグシャグシャと掻き、記憶を辿り、大混乱の頭の中で情報屋引き出しを漁った。アルムガルド王家のベアトリス。覚えがない。これが本物でビアンカの年齢を考えると、ペンダントの贈り主は最後だった兄弟王のどっちか、いや待て、王家ってだけで分家かも。いやいや、分家なんかあったか??
「スタン…?」
ペンダントを凝視し固まるスタンをビアンカが心配そうに覗く。スタンはチラりと視線を返し、彼女の手に収まったままの物へ目を向けた。それはキースが託した地図と赤い石で、ビアンカは視線に気がつくとペンダントに手を伸ばし、
「あの時キースが渡してくれた…一緒にペンダントを開けた時、この石だけ気づいて持ってたんだと思う…これも狙われてるってわかったから、あたしに…」
入っていたかは記憶が曖昧だが、これまでのことを踏まえ言い、ペンダントの中に石を入れる。ビアンカの言う通りなのだろう、石はピッタリとペンダントに嵌って……スタンは盛大に溜息を吐いた。
オーウェンやソロウが騒いでいた地図はキースが持っていたもので間違いないはず。そしてこの石と一緒に託したということは──あいつは何かに気づき、ビアンカごと守った。ビンゴか相棒、おめでとさん。
「わかった。いいか…これ、絶対にもう、誰にも見せんな。あれだ…ニセモノかもしんねぇけど、皆びっくりするから」
「…うん」
「地図は、俺が持ってても?」
「うん。お願い」
落ち着いた口調で話すスタンにビアンカは頷いてみせる。この二週間彼女が不安そうにしていたのはこのせいだろう。今も表情は固く、心配になる。
リンも同じことを考えているのか、いつもの喧嘩腰は形を潜め、妹の様子を窺っているようで、
「親父なら、本物かわかんのか?」
「たぶんだけど…今思うと、何か知ってる気がして。付けてないとすごく怒られたし」
「…大事にしとけ。不安なのわかるけど、お前は…誰だろうと俺の妹だ」
「…お前が弟だろ」
結局いつものやり取りになるが二人共穏やかで、ビアンカの顔が少しだけ綻ぶ。
「狙われそうな理由はわかった。だがこれからもいつも通りだ…俺らにとっちゃ、お前はビアンカだからな」
「わかってる。こんなの…冗談だと思いたい。あたしは、ビアンカだ」
フランツの言葉にしっかりとした声で返し、ペンダントの蓋を閉じ、紐でグルグルと巻く。
ガッチリと閉じられたペンダントはビアンカの気持ちを現しているようで、思わず溜息がもれる。今日は秘密を打ち明ける記念日かなんかだっけか…
「兄妹揃って、まぁ」
「え…?」「…スタン」
ボソリと呟いたスタンに兄妹が揃って片眉を持ち上げる。彼はそれ以上何も言わずリンにだけ目配せし、ビアンカは何のことかわからずさらに眉を寄せるのだが、
「兎に角、さっさと戻って、やるぞ!これ以上時間ムダにできねぇ」
「!もしかして、ヤル気になった?」
「ダメな弟に言ってやれ」
フランツが上手く話を逸らすとビアンカはやっと笑顔になった。
ヘルブラウに戻るべく揃って小舟に向かうが、スタンがリンを呼び止め、
「言い忘れたけど…さっきの、バケモノは言い過ぎ。人より丈夫ってだけだろ」
先ほど言いかけたことを告げればリンは目を丸くして、一瞬間を置きフランツが吹き出した。
「確かに!しぶといってだけだな!」
「しぶとい?」
「俺の相棒も大概悪運強ぇから。同じようなもんだろ」
「なに?なんの話??」
「…お前らなぁ…」
また話がわからずビアンカは詮索するのだが、二人はニヤニヤするばかりで、リンもつられて笑ってしまう。楽観的だが初めて言われたそれはストンと胸に落ち、気持ちが楽になる。
「ビアンカちゃんも悩んでる暇ねぇぞ」
「またっ、ちゃん付けするな!」
「ギャーギャー喚いてるほうがお前らしいな、お姉ちゃん」
「俺が兄ちゃんだっての」
「姉ちゃんなら、ちゃん付けして良し」
「妹ちゃんは黙ってろよ!」
「お前が黙れッ」
スタンの揶揄いからいつもの調子が戻ってきて、笑いが起こる。空はすっかり明るくなり、朝と夜の狭間の紫が空を染めていた。
秘密を打ち明けたことでビアンカの心もスッキリし、澄んだ青い瞳は真っ直ぐに前を見ていた。未だ残る不安に負けないくらいの勇気が湧き起こる──本物かニセモノか、わからないなら聴けばいい。そのためにも、必ず助ける。
「……なぁ、昨夜の。バラしていい?」
「「?」」「ッおい!」
「だぁってよぉ、なんか曝露大会になってるし」
「なってねぇ!止めとけ!」
「?なに?」
「この面子なら大丈夫だろ。なぁって…」
「…今度は、なに??」
ヘルブラウからのロープを伝い小舟を動かしながら、唐突にスタンが口を開き、フランツは眉を寄せ兄妹は顔を見合わせた。
「………ゼスから、聞いたんだけど…よ」
だがフランツも気になっていたのか話し始め、四人以外誰もいない海原を窺い声を顰めた。
「オーウェンのことだ……」
「あ"ッ?」「え"っ!」
「だぁから……、……」
フランツが告げた内容に二人は目を見開き、さらにスタンがドヤ顔で言ってのけ──
直後上がった悲鳴は波に吸い込まれていった。
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