透明な君が

にゅるにゅる

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親しい二人

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昨日の子食料次はどうするんだろう。そんな事を考えながら登校していると。
「おーい!あーおーいー!」
という元気な声とともに背中に衝撃があった。何故か不快に感じないこの感覚。
「もー!痛いじゃないかぁ…で、なんのよう?朝日さん」
「陽菜様と呼びなさい!!エッヘン」
「じゃあ陽菜さんでいい?それより嶺川さんは?」
「そろそろ来るよ。」
「もう陽菜ちゃん早いよ~!もう少しゆっくり歩いてよ。あっ蒼さん、おはようございます。」
「ところで二人とも知ってる?今日転校生が来るんだってぇー!」
「そうなの?知らなかった!」
「知ってるよ。知ってるし昨日その人と会った。」
「へぇ~、どんな人なんですか?」
僕はどんなふうに言うか少し悩んで
「大人しくて、優しい人だった。ぜひ二人にも仲良くなってもらいたいよ。」
「へぇ、そんな人なんだ。紫音と仲良くなれそうだね!」
「だといいです。やっぱり友だちが増えるっていいことですよね。」
二人があの子の姿が見えるといいなと思いつつ教室に向かった。
~教室にて~
ホームルームが始まるまで転校生の話題で湧いてる教室の隅で本を読んでいた。
「みんな座れ、ご存知のとおり、今日は転校生が来ている。よぉーし入れ。」
「これから皆さんのお世話になります。神無 色葉です。よろしくお願いします。」
「じゃあ席は…窓側の一番後ろの席な。蒼、しっかり面倒見てやるんだぞ。入ってきたばっかなんだから。」
「は、はい!」
クラスのほとんどの人がキョトンとしている。彼女の言うとおり、だれも気づいてない。
「あなたの隣になれてよかった。やっぱり知ってて気軽に話せる人がいたら落ち着きますね。」
「それは良かった。これからよろしくね!」
~昼休み屋上にて~
「神無さんってほんとに誰からも見つからないんだね。先生が見えるのは意外だったけど。」
今は陽菜さんと嶺川さんの誘いで四人で昼食を取っている。
「なんで色葉ちゃんが見えないんだろう?」
「私達は見えているというのに。」
「それについて考えたんですけど、よく考えたら私の親戚は全員見えてるみたいなんです。だけど明らかに親戚以外の人も見えてるんです。」
「そうなんだ。」
「ええ、だけど少し離れた親戚の人だと見失ってしまう時があるようなんですよ。」
「そんなこともあるのですね。」
「!…そろそろ午後の授業が始まっちゃうよ…この話はまた今度にして、教室に戻ろう!」
「うん。」
~午後の授業~
「おーい、蒼~!すまんが神無がいるか教えてくれ我々には見えんのだ。まったく、神山先生が羨ましいよ。一度は見てみたいなぁ」
「いますよー。これでいいですか?」
「ありがとう。君は正直者だからね、信用するよ。じゃあ始めるぞ~。」
大変だな~先生も。
「ごめんね蒼くん。私のせいで。まさか声も聞こえないなんて。」
「いいよいいよ、気にしないで。」
辛いよなぁ、故意じゃなくても完全に無視されるんだから、今の僕に少し近い感じがするなぁ。と思いつつ授業に挑むのでした。
~放課後~
僕は今四人で下校している。神無さん曰く、神無さんの家から僕の家まで徒歩一分の距離らしい。意外と近かった。
「いやー疲れたー!」
「そうですねぇ。疲れてしまいました」
「でも陽菜ちゃんは殆ど寝てたよ?それはもうぐっすりと。」
「えっ、色葉ちゃん見てたの?恥ずかし~!!」
「先生が起こしても起きないしね。そういえば話は変わるけど、食料はどうするの?せっかくだし一緒に買いに行く?」
「いえ、実は親戚が働いてるお店が近くにあるそうなので、そこらへんは問題ありません。」
「そうなんですね。安心しました。」
「じゃあね私達こっちだから。またね!ふたりとも。」
「そっか。また明日。嶺川さん陽菜さん」
「またね、陽菜ちゃん、紫音さん。」
「さようなら。色葉さん、蒼さん。」
二人と別れてしばらく歩いた。
「そういえばちゃん呼びだけど、いつの間に仲良くなったの?もとから?」
「実はちゃん呼びでいいと言われたのでこの呼び方なんです。流石に初対面ではできませんよ、あまり人と話したこと無いのに。でもふたりともいい人そうで良かったです。ここへ来てよかった。」
「そっかそれは良かった。じゃあ僕はこっちだから。また明日。」
「また明日。蒼くん。」
その割に僕とは初対面でくん呼びだったような…?まぁ気にすることじゃないし、今日はバイトもないし早く課題を終わらせてゲームでもしよう!そう思い、駆け足で帰った。
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