【完結】二度目の転生は一度目の転生で俺が作ったメイドロボットでしかも人妻だった件

神谷モロ

文字の大きさ
31 / 109
第一章

第31話 ローゼ・ヨハンソン

しおりを挟む
 私の家は貴族の中でも上でもなく、かといって下でもない、子爵家といえばそこそこの身分なのだろうか。

 別に生活も何不自由なく過ごしてきた。だから世間からしたら何が不満なのかと思うかもしれない。

 それでも身分相応に悩みはあるのだ。


 その一つに、我が一族の汚点である。

 私の先祖はかつての邪悪な魔導士であるネクロマンサーの一派であった。この国を内側から支配したとされている歴史上の大罪人である。


 このことは門外不出で、だれにも知られてはいけない。でも私は16才になったころにそれを両親から聞いたのだ。

 私の父方の家系、つまり子爵家はネクロマンサーを祖先に持つと父は私に言ったのだ。

 今さらなんで? と問うたが。お前も大人になったのだからといった軽い調子で話した。


 お父様もおじい様から16才になった頃に同じように聞かされたそうだ。同じようにお父様もびっくりしたと笑いながら話していた。

 その程度の話なら聞き流したが。問題は先祖はこの国の英雄であるツインズ様に反逆して敗北した一族の末裔だといったのだ。


 笑えないわよ、お父様。

 私はお母様に聞いた。お母様とお父様が婚約したのは16才だと聞いていたからだ。


 そんな家系を持つお父様をなんで好きになったの? と聞いた。

 お母様は懐かしそうに話した。

 そんな秘密を隠すことなく話してくれて、それでも真剣に付き合ってくださいって言われたらことわれないでしょ? とのことだった。


 それから母は思い出したのか恋愛話をこれでもかと聞かされてうんざりしたが。おかげで一族の歴史については気にならなくなった。

 両親は貴族には珍しく恋愛結婚だったそうだ。……そうね。私もいつか、そんな素敵な旦那様に出会えるかもと少し明るい気持ちになった。


 私も16才だし。魔法学院でも問題なく過ごしている。お友達もできた。シルビアさんにアンネさんそして遠くの国からきたアールさん。

 アールさんとはまだ距離感があるけど。シルビアさんとは仲良しみたいだし私も頑張らないと。


 あ、でも女の子同士で仲良くしたら素敵な旦那様とは出会えないのかしら。でもそれはそれ、次のキャンプでなにか出会いがあるはずよ。


 お父様は初めてキャンプでお母様と知り合ったといってたし。きっといけるはず。


 カールは……、そうね、あの人は変わってしまった。忘れましょう。シルビアさんと婚約しているんだし。もうただの幼馴染よ。


 でも、あんなに仲良しだったのに。私を嫁にするって言ってたくせに……。 まあ、私も子供の頃の口約束を真に受けちゃって馬鹿みたい。

 それでもシルビアさんと婚約の話があったって、私に言うのは酷過ぎよ。でも馬鹿なりに誠意をつくしたつもりなのかしら。


 それに相変わらずの馬鹿なんだから。学院2位なんてあなたに勤まるわけないじゃない。ほんと馬鹿なんだから。

 そう、私は知ってるのよ。あなたは馬鹿なんだから。……シルビアさんを不幸にしたら許さない。

 それになに? 馬鹿の癖に、いや馬鹿なのねハーレムなんて作ろうとして。あろうことか、アールさんみたいな子にもちょっかいをだすなんて。

 死ねばいい。カール、あなたは何がしたいの? 死ねばいいの? いけない、私はいったい何を考えているのか。


 さっきお父様からネクロマンサーについて聞いたからだろうか。こんな不謹慎なことを考えるなんて。


 夏休みが終わったらまた皆で仲良く過ごしたい。シルビアさんには同情しかない。けど、私は少し焼いてる。でもアンネやアールさんには関係ないこと。

 それにカールはシルビアさんを16才の誕生日にデートに誘ったという。そうね、私の感情はただの嫉妬だ。二人の幸せを願わなくては。

 でなければ私の幸せもこないのだわ。泣いているのか。いろんなことを考えてしまって今日は少し感情的になりすぎてしまった。


 子供の頃の初恋が叶うなんてありえない。お母様にはそんなこと言われたっけ。割り切りなさいって。

 それに初恋が叶ってしまったら、私は料理人の娘になっていたそうだ。


 たしかに母は料理が得意だ。貴族の娘だった母は子供の頃に誕生日で高級レストランに行ったことがあるそうで。

 そこで食べたシチューがあまりにもおいしかったから。料理人の嫁になるといって必死で料理を勉強したそうだ。

 それにコックさんがイケメンだったと……。お父様には内緒だといってたっけ。

 なるほど、だから母は子爵夫人なのに今でも厨房に入って料理を作るのだ。私も母の影響で料理は好きだ。特に香辛料の調合は魔法に似ていて好きだった。

 
 初恋はかなわなかったけどお母様は今が一番幸せだといった。ならきっと私だって幸せになれる。カール、シルビアさんが幸せになってくれれば。

 私は次にいける気がするの。


 そうね、今度のキャンプで香辛料を持っていくものいいかと思う。実際、私の調合した香辛料は家族はおろか使用人にも大変好評だった。

 お父様なんかは、これは商品になるといってた。ふふ、これで未来の素敵な旦那様に出会えるかも。

 お母様も応援してくれた。この味が分かる確かな舌を持った婿殿を見つけなさいって。目安は皿に残ったスープをパンで拭きとってくれるくらいのことをした殿方がベストだと。


 なぜそんなマナーのなってない、というか、婿探しの基準に具体的な動作を限定したかというと。お母様は実際にやったのだ。

 皿に残ったシチューをパンでふき取って綺麗なお皿にしたという。

 母方のおじい様はそんな無作法をとても叱ったそうだ。その時、店のコックが出てきて、お母様にお礼を言ったそうだ。料理人としてこれ以上の名誉はないと。

 イケメンのコックが10才の母に帽子を脱いで跪いたそうだ。それは惚れてしまう。素敵な話だった。


 なら私も次のキャンプでは。素敵な出会いを求めて。そうねこの香辛料ならきっとキャンプに最適だと思う。

 さすがに皿をパンで拭くは無理だと思うけど頑張らないと。

 カールはカールで、私は私で幸せになる。こうして二学期に向けて決意を新たにした。
 


 …………。


 なのに、カール……あなたはなんてことをしてくれたのよ。

 私は応援してた、なのに裏切った。最低な男、強姦魔。最低、最低よ。


 私は寮に戻ると。アンネから夏休みの出来事の一部始終を聞いたのだった。
しおりを挟む
感想 0

あなたにおすすめの小説

貧民街の元娼婦に育てられた孤児は前世の記憶が蘇り底辺から成り上がり世界の救世主になる。

黒ハット
ファンタジー
【完結しました】捨て子だった主人公は、元貴族の側室で騙せれて娼婦だった女性に拾われて最下層階級の貧民街で育てられるが、13歳の時に崖から川に突き落とされて意識が無くなり。気が付くと前世の日本で物理学の研究生だった記憶が蘇り、周りの人たちの善意で底辺から抜け出し成り上がって世界の救世主と呼ばれる様になる。 この作品は小説書き始めた初期の作品で内容と書き方をリメイクして再投稿を始めました。感想、応援よろしくお願いいたします。

どうしよう私、弟にお腹を大きくさせられちゃった!~弟大好きお姉ちゃんの秘密の悩み~

さいとう みさき
恋愛
「ま、まさか!?」 あたし三鷹優美(みたかゆうみ)高校一年生。 弟の晴仁(はると)が大好きな普通のお姉ちゃん。 弟とは凄く仲が良いの! それはそれはものすごく‥‥‥ 「あん、晴仁いきなりそんなのお口に入らないよぉ~♡」 そんな関係のあたしたち。 でもある日トイレであたしはアレが来そうなのになかなか来ないのも気にもせずスカートのファスナーを上げると‥‥‥ 「うそっ! お腹が出て来てる!?」 お姉ちゃんの秘密の悩みです。

五年後、元夫の後悔が遅すぎる。~娘が「パパ」と呼びそうで困ってます~

放浪人
恋愛
「君との婚姻は無効だ。実家へ帰るがいい」 大聖堂の冷たい石畳の上で、辺境伯ロルフから突然「婚姻は最初から無かった」と宣告された子爵家次女のエリシア。実家にも見放され、身重の体で王都の旧市街へ追放された彼女は、絶望のどん底で愛娘クララを出産する。 生き抜くために針と糸を握ったエリシアは、持ち前の技術で不思議な力を持つ「祝布(しゅくふ)」を織り上げる職人として立ち上がる。施しではなく「仕事」として正当な対価を払い、決して土足で踏み込んでこない救恤院の監督官リュシアンの温かい優しさに触れエリシアは少しずつ人間らしい心と笑顔を取り戻していった。 しかし五年後。辺境を襲った疫病を救うための緊急要請を通じ、エリシアは冷酷だった元夫ロルフと再会してしまう。しかも隣にいる娘の青い瞳は彼と瓜二つだった。 「すまない。私は父としての責任を果たす」 かつての合理主義の塊だった元夫は、自らの過ちを深く悔い、家の権益を捨ててでも母子を守る「強固な盾」になろうとする。娘のクララもまた、危機から救ってくれた彼を「パパ」と呼び始めてしまい……。 だが、どんなに後悔されても、どんなに身を挺して守られても、一度完全に壊された関係が元に戻ることは絶対にない。エリシアが真の伴侶として選ぶのは、凍えた心を溶かし、温かい日常を共に歩んでくれたリュシアンただ一人だった。 これは、全てを奪われた一人の女性が母として力強く成長し誰にも脅かされることのない「本物の家族」と「静かで確かな幸福」を自分の手で選び取るまでの物語。

第5皇子に転生した俺は前世の医学と知識や魔法を使い世界を変える。

黒ハット
ファンタジー
 前世は予防医学の専門の医者が飛行機事故で結婚したばかりの妻と亡くなり異世界の帝国の皇帝の5番目の子供に転生する。子供の生存率50%という文明の遅れた世界に転生した主人公が前世の知識と魔法を使い乱世の世界を戦いながら前世の奥さんと巡り合い世界を変えて行く。  

解呪の魔法しか使えないからとSランクパーティーから追放された俺は、呪いをかけられていた美少女ドラゴンを拾って最強へと至る

早見羽流@3/19書籍発売!
ファンタジー
「ロイ・クノール。お前はもう用無しだ」 解呪の魔法しか使えない初心者冒険者の俺は、呪いの宝箱を解呪した途端にSランクパーティーから追放され、ダンジョンの最深部へと蹴り落とされてしまう。 そこで出会ったのは封印された邪龍。解呪の能力を使って邪龍の封印を解くと、なんとそいつは美少女の姿になり、契約を結んで欲しいと頼んできた。 彼女は元は世界を守護する守護龍で、英雄や女神の陰謀によって邪龍に堕とされ封印されていたという。契約を結んだ俺は彼女を救うため、守護龍を封印し世界を牛耳っている女神や英雄の血を引く王家に立ち向かうことを誓ったのだった。 (1話2500字程度、1章まで完結保証です)

悪役顔のモブに転生しました。特に影響が無いようなので好きに生きます

竹桜
ファンタジー
 ある部屋の中で男が画面に向かいながら、ゲームをしていた。  そのゲームは主人公の勇者が魔王を倒し、ヒロインと結ばれるというものだ。  そして、ヒロインは4人いる。  ヒロイン達は聖女、剣士、武闘家、魔法使いだ。  エンドのルートしては六種類ある。  バットエンドを抜かすと、ハッピーエンドが五種類あり、ハッピーエンドの四種類、ヒロインの中の誰か1人と結ばれる。  残りのハッピーエンドはハーレムエンドである。  大好きなゲームの十回目のエンディングを迎えた主人公はお腹が空いたので、ご飯を食べようと思い、台所に行こうとして、足を滑らせ、頭を強く打ってしまった。  そして、主人公は不幸にも死んでしまった。    次に、主人公が目覚めると大好きなゲームの中に転生していた。  だが、主人公はゲームの中で名前しか出てこない悪役顔のモブに転生してしまった。  主人公は大好きなゲームの中に転生したことを心の底から喜んだ。  そして、折角転生したから、この世界を好きに生きようと考えた。  

少し冷めた村人少年の冒険記

mizuno sei
ファンタジー
 辺境の村に生まれた少年トーマ。実は日本でシステムエンジニアとして働き、過労死した三十前の男の生まれ変わりだった。  トーマの家は貧しい農家で、神から授かった能力も、村の人たちからは「はずれギフト」とさげすまれるわけの分からないものだった。  優しい家族のために、自分の食い扶持を減らそうと家を出る決心をしたトーマは、唯一無二の相棒、「心の声」である〈ナビ〉とともに、未知の世界へと旅立つのであった。

完結 辺境伯様に嫁いで半年、完全に忘れられているようです   

ヴァンドール
恋愛
実家でも忘れられた存在で 嫁いだ辺境伯様にも離れに追いやられ、それすら 忘れ去られて早、半年が過ぎました。

処理中です...