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第二章
第43話 謎の転校生現る
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数週間後、デュラハンが学院に慣れたころ。というかクラスメイトがこの謎のキャラクターに慣れたころ。
歴史の授業が始まる前に先生は一人の見慣れない男子生徒を連れて来た。
「こほん、皆さんに新しいお友達を紹介します。モガミさん、自己紹介をお願いできますか?」
「今日から編入してきました。ユーギ・モガミといいます。えっとそうですね、趣味は乗馬と歴史の研究です。皆さんよろしく!」
ウィンクをする転校生、なかなかしょっぱなから大胆なことをしやがる。だが、うちのデュラハンに比べればインパクトが足りない。
しかし、ユーギ・モガミか、名前からして日本人っぽい? 転生者かもしれない。しかしそんなことできるやつは神くらいだ。
やつは確かに俺の手で殺したはずだが。まさか別の神がいるという事か。神が一人だなんて保障はないしな。
……いや、それも考えすぎで、黒髪で名前が日本人っぽいだけでやつが転生者とは限らない。
それに顔は日本人っぽくない、中性的なイケメンでアイドルみたいだ。男の癖に長髪なのがいけ好かない、ネクタイはピシッとつけなさい、ワイシャツはズボンに入れなさい。
それに全体的に着こなしが、だぼだぼでみっともない。俺はこういうファッションは好みでない。だいたい不良で陽キャなやつが好むファッションだ。
しかし、イケメンならそれもカッコよく見えてしまうから不思議だ。Aクラスの女子達の大半は、この転校生を好意的にみている。イケメン許すまじ。
しかも、デュラハンと違って、貴族のコネをフル活用しての編入でないのなら、実力は本物だろう。
実際にこの学院は基本的に編入試験はあるが、Aクラスに編入できる実力者は今までいなかったらしい。
ユーギは空いてる席に向かうが。途中歩みを止め、俺達をじろじろ見たかと思ったら。ローゼさんに目が留まる。
「おや、僕と同じ美しい黒髪の君、仲良くしようよ、それにその魔力、禍々しくて実に僕ごのみだよ、よろしくね」
「え? あ、はい、こちらこそよろしくお願いします」
ユーギ・モガミという転校生はいきなりローゼさんの手の甲にキスをする。
「おい、転校生、いきなりなれなれしいぞ」
いきなりの出来事に呆然としながら自分の手の甲と転校生を交互に見ているローゼさんに対し、カール氏は今にも噴火寸前の表情をして二人に割って入った。
「おや、僕は君に話したつもりはないんだけど、そういう君は、グスタフソン伯爵のご長男だったね。廃嫡されたんだっけ、ぶふっ」
「な、なぜそれを」
「結構有名人だよ? 君、あはは、悪い悪い、気にしないでおくれ。それに僕も似たようなもんだよ、仲良くしようじゃないか」
カール氏のライバル登場か。しかし、こいつの態度、むかつくな、俺たちがカール氏をいじるのは自由だが他人にそれをされるとむかつく。
うん? なんか俺って嫌なやつだな。そうだ、カール氏を許そう、あの時、シルビアさんをかばったと聞いたし。本人はそれを特別自慢することはなかった。
「ねえ、アール、私はあの転校生はちょっと苦手かな、もちろん初対面で判断するのは失礼だけど。なんか、態度が昔のカールにそっくりなのよ」
シルビアさんの意見に同感だ、なにか既視感があると思ったら、あれは俺が初めて会った時のカール氏と態度が全く同じだ。いいやつな訳がない。
うむ、共通の敵ができたのだ。俺はカール氏の味方になろうじゃないか。
「おい、転校生、初対面なのに酷い言い方じゃないか。カール氏だっていいところはあるんだ。その……いいところはあるんだ」
「おっとそちらの美少女は……ん? そうだね君も僕好みかな」
ぞくっとした。なんだこいつ、イケメンでさらにぐいぐいくるキャラか。俺はときめいたわけではない、なにか嫌悪感を感じただけだ。
(マスター、ユーギ・モガミという個体に関しては警戒レベルを上げた方がよろしいかと、スキャンを受け付けません)
違和感を感じたのか、ユーギ・モガミは俺にだけ聞こえるように耳元に近づき、ささやく。
「おっと、そちらのAIさん、のぞき見はよくないな、はしたないですよ」
なに! こいつ、ロボさんを認識している? ……何者だ。俺はとっさに席を立つ。周りは何が起きたのかといった不穏な空気に包まれたが。
「ぶーぶー、謎の転校生のポジションを奪われてしまったですー」
クラス全体に笑いが起こる。デュラハンの一言で元通りの緩い空気に戻った。
まあ、今なにができるかというと、何もできないないし。ユーギ・モガミに敵意があるわけでもない、一応警戒はする程度にとどめておくか。
「こほん、モガミさん、挨拶はほどほどに、授業を始めますよ」
「あ、はーい、マダム、ヒストリー、あなたの歴史の授業に大変興味があります。今からわくわくしますね」
先生にウィンクで返事をする。歴史の先生、えっと名前はクラス担当になったスヴェンソン先生、俺はついに名前を憶えた。
ユーギ・モガミか……。
こいつ、本当に何者だ? 先生もうっとりしない。少年好きだと知りたくなかったぞ。マダムよ。
歴史の授業が始まる前に先生は一人の見慣れない男子生徒を連れて来た。
「こほん、皆さんに新しいお友達を紹介します。モガミさん、自己紹介をお願いできますか?」
「今日から編入してきました。ユーギ・モガミといいます。えっとそうですね、趣味は乗馬と歴史の研究です。皆さんよろしく!」
ウィンクをする転校生、なかなかしょっぱなから大胆なことをしやがる。だが、うちのデュラハンに比べればインパクトが足りない。
しかし、ユーギ・モガミか、名前からして日本人っぽい? 転生者かもしれない。しかしそんなことできるやつは神くらいだ。
やつは確かに俺の手で殺したはずだが。まさか別の神がいるという事か。神が一人だなんて保障はないしな。
……いや、それも考えすぎで、黒髪で名前が日本人っぽいだけでやつが転生者とは限らない。
それに顔は日本人っぽくない、中性的なイケメンでアイドルみたいだ。男の癖に長髪なのがいけ好かない、ネクタイはピシッとつけなさい、ワイシャツはズボンに入れなさい。
それに全体的に着こなしが、だぼだぼでみっともない。俺はこういうファッションは好みでない。だいたい不良で陽キャなやつが好むファッションだ。
しかし、イケメンならそれもカッコよく見えてしまうから不思議だ。Aクラスの女子達の大半は、この転校生を好意的にみている。イケメン許すまじ。
しかも、デュラハンと違って、貴族のコネをフル活用しての編入でないのなら、実力は本物だろう。
実際にこの学院は基本的に編入試験はあるが、Aクラスに編入できる実力者は今までいなかったらしい。
ユーギは空いてる席に向かうが。途中歩みを止め、俺達をじろじろ見たかと思ったら。ローゼさんに目が留まる。
「おや、僕と同じ美しい黒髪の君、仲良くしようよ、それにその魔力、禍々しくて実に僕ごのみだよ、よろしくね」
「え? あ、はい、こちらこそよろしくお願いします」
ユーギ・モガミという転校生はいきなりローゼさんの手の甲にキスをする。
「おい、転校生、いきなりなれなれしいぞ」
いきなりの出来事に呆然としながら自分の手の甲と転校生を交互に見ているローゼさんに対し、カール氏は今にも噴火寸前の表情をして二人に割って入った。
「おや、僕は君に話したつもりはないんだけど、そういう君は、グスタフソン伯爵のご長男だったね。廃嫡されたんだっけ、ぶふっ」
「な、なぜそれを」
「結構有名人だよ? 君、あはは、悪い悪い、気にしないでおくれ。それに僕も似たようなもんだよ、仲良くしようじゃないか」
カール氏のライバル登場か。しかし、こいつの態度、むかつくな、俺たちがカール氏をいじるのは自由だが他人にそれをされるとむかつく。
うん? なんか俺って嫌なやつだな。そうだ、カール氏を許そう、あの時、シルビアさんをかばったと聞いたし。本人はそれを特別自慢することはなかった。
「ねえ、アール、私はあの転校生はちょっと苦手かな、もちろん初対面で判断するのは失礼だけど。なんか、態度が昔のカールにそっくりなのよ」
シルビアさんの意見に同感だ、なにか既視感があると思ったら、あれは俺が初めて会った時のカール氏と態度が全く同じだ。いいやつな訳がない。
うむ、共通の敵ができたのだ。俺はカール氏の味方になろうじゃないか。
「おい、転校生、初対面なのに酷い言い方じゃないか。カール氏だっていいところはあるんだ。その……いいところはあるんだ」
「おっとそちらの美少女は……ん? そうだね君も僕好みかな」
ぞくっとした。なんだこいつ、イケメンでさらにぐいぐいくるキャラか。俺はときめいたわけではない、なにか嫌悪感を感じただけだ。
(マスター、ユーギ・モガミという個体に関しては警戒レベルを上げた方がよろしいかと、スキャンを受け付けません)
違和感を感じたのか、ユーギ・モガミは俺にだけ聞こえるように耳元に近づき、ささやく。
「おっと、そちらのAIさん、のぞき見はよくないな、はしたないですよ」
なに! こいつ、ロボさんを認識している? ……何者だ。俺はとっさに席を立つ。周りは何が起きたのかといった不穏な空気に包まれたが。
「ぶーぶー、謎の転校生のポジションを奪われてしまったですー」
クラス全体に笑いが起こる。デュラハンの一言で元通りの緩い空気に戻った。
まあ、今なにができるかというと、何もできないないし。ユーギ・モガミに敵意があるわけでもない、一応警戒はする程度にとどめておくか。
「こほん、モガミさん、挨拶はほどほどに、授業を始めますよ」
「あ、はーい、マダム、ヒストリー、あなたの歴史の授業に大変興味があります。今からわくわくしますね」
先生にウィンクで返事をする。歴史の先生、えっと名前はクラス担当になったスヴェンソン先生、俺はついに名前を憶えた。
ユーギ・モガミか……。
こいつ、本当に何者だ? 先生もうっとりしない。少年好きだと知りたくなかったぞ。マダムよ。
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