44 / 109
第二章
第44話 授業にて
しおりを挟む
歴史の授業
先程まで転校生で賑わっていた教室が静まり返るとスヴェンソン先生は授業を開始する。
転校生が新しく加わったことで前半は一年生の復習で始まった、ざっくりとこの国の成り立ちを説明し、それを終えると。
「――というわけで、現在、我が国は長い間の異種族間の戦争が終わり、エルフ族の人権回復、ゴブリン族との友好関係に至りました。
エルフ族は魔王が存在した時代には魔王軍に加担した陣営なのは皆さんご存じですね。
勇者様に魔王が倒された後は長く奴隷のような生活だったとされます。
皆さんは街でも良くエルフの方々を見かけることもありますね?
彼らは今では自治区を設けられており森で生活する者。あるいは人と共に都市に暮らすもの様々です。
自治区の一つとしてアールさんの出身地の魔法都市ミスリルが有名ですね。私は訪れたことはありませんが一度は行ってみたいと思います。
さて、2年生の歴史の授業は、各種族について個別に学ぶことになります。まずは前半はエルフの歴史について。
後半はゴブリンやその他の魔物についてですね。
魔王討伐後の歴史において、エルフには大きく分けて2つの派閥があったとされますが。
一つは魔王を支持し続けるもの。もう一つは人間に早くから溶け込み共に暮らしたものの二つです。
皆さんもご存じだと思いますが。魔王支持派であったと思われる氷結の魔女の反乱が有名ですね。
彼女は歴代の魔王軍幹部を務めたエルフの血族だったとされますが、親族を皆殺しにしたあとエルフの国で内乱を起こした後、消息不明になったとされます。
なぜ、そうなったのか、そうせざるを得なかったのか考えながら、恐怖の存在だった氷結の魔女がどんな存在だったかを考えていきましょう」
「マダム・ヒストリー、質問いいですか?」
「あら、なにかしら、モガミさん、でもその言い方は照れちゃうから、先生と呼んでくださいね」
そりゃそうだ、なにがマダムだよ。しかし先生もまんざらでもない顔して、ち、イケメンは何しても許されるのか。
「おっと失礼、では先生、氷結の魔女ってエルフですよね? エルフが氷の魔法を使ってたんですか?」
「いい質問ですね。そうです、エルフは本来なら氷の魔法は不得意なはずです。水と風の魔法を使うのが通常だといわれています。
ですが、彼女の一族はどうやら氷の魔法を使えたようなのです。研究によれば風と水の二重魔法ではないかと推測はありますが定かではありませんね。
我々も風の魔法の応用で水を氷に変えることはできますね。しかし氷の攻撃魔法を我々はまだ見たことがないのです」
確かに、氷は風の魔法で作れる、気圧の変化を利用して冷却させる高等魔法だ、氷が作れるだけで貴族の屋敷で引く手あまただろう。氷菓子は高級品だ。
しかし、氷で攻撃という発想はこの世界にはない。なぜなら氷をぶつけるなら、石でも投げた方が早いからだ。
空間ごと、急速冷却させれば効果はあるだろうけど。生き物はだいたいは寒さに耐性がある。相手が凍るのを待ってる間に反撃されるだろう。
つまり氷結の魔女は、やばいくらいの氷の魔法が使えるということだ。一瞬で相手が凍り付くというのは人のレベルを超えているだろう。
「へぇ、そうなんですね。ありがとうございました。……そうか、あれの部下にそういうやつがいたっけ、なるほど魔王ね」
「モガミさん、なにか気になることでも?」
「いいえ、なるほど僕も氷結の魔女に興味が湧いてきました」
いちいち、引っかかる言い方だ、だが氷結の魔女ね。現魔王の奥さんだったって言ったらみんなびっくりするだろう。
(そうですね。彼女の冷凍庫はとても高性能でした。お肉や野菜の長期保存が可能でしたのでとても便利でしたよ)
うむ、氷の魔法は便利な魔法なんだよ。攻撃だなんてとんでもない。
「せんせー、私も氷結されたいですー」
周りが笑いに包まれる。デュラハンよ無理にキャラを立てなくてもいいのだぞ。
魔法学の授業。魔法の発動から、詠唱省略までを学ぶ学科である。
「魔法か、初めての授業でわくわくするね」
ユーギめ、すっかりクラスに溶け込んでいる。こういうやつはコミュニケーション能力が高いのですぐに友達ができるのだ。
前世でもこういうやつはいた。うらやましい限りだ。
さて、この授業はバンデル先生が担当だった。突然の退職で今までは人員調整ができずに各学科の先生が持ち回りで担当していたが、今日、正式な後任の先生が赴任ということだ。
「今日から、魔法学科の担当となるアンドレ・ベルナドットだ、皆よろしく」
「お兄様!」
シルビアさんが、驚いて席をたった。
どうやらシルビアさんのお兄さんのようだ。
「シルビアか、そういえばこのクラスだったな、安心するがいい。決して贔屓はしないからな、むしろ厳しくいくぞ。それに……」
げ、俺を睨んでいる。どうやらお兄様には俺たちの関係は認められていないようだ。
まあ、家族の問題でもあるし。とはいえこの手の問題は急に良くなるわけでもない。時間だ、時間の問題だろう。
「はいはい! 先生! 先生は今年から入ったと聞いています。以前はどちらにいらしたんですか?」
またユーギだ、しかし今回はお前に感謝だ。なんでも気後れせずに質問するこいつに感謝だな。
「私は、以前は国の機関で研究職をしていた。機密故に何がとはいえないな。そういえば君も今年から編入だったな。
では、今日は一年で学んだことの復習からはじめようか。私も皆の学習レベルを知りたいしな」
そこで俺を睨まないでくれ。先生に嫌われるのは最悪だぞ。まあ理不尽ないじめでもないし。誠実に対応しよう。それにつきる。
「せんせー私も編入生ですー」
周りが笑いに包まれる、先生の鋭い視線がデュラハンに向くと何ともいえない緩んだ表情になった。今回は君に感謝だ。
先程まで転校生で賑わっていた教室が静まり返るとスヴェンソン先生は授業を開始する。
転校生が新しく加わったことで前半は一年生の復習で始まった、ざっくりとこの国の成り立ちを説明し、それを終えると。
「――というわけで、現在、我が国は長い間の異種族間の戦争が終わり、エルフ族の人権回復、ゴブリン族との友好関係に至りました。
エルフ族は魔王が存在した時代には魔王軍に加担した陣営なのは皆さんご存じですね。
勇者様に魔王が倒された後は長く奴隷のような生活だったとされます。
皆さんは街でも良くエルフの方々を見かけることもありますね?
彼らは今では自治区を設けられており森で生活する者。あるいは人と共に都市に暮らすもの様々です。
自治区の一つとしてアールさんの出身地の魔法都市ミスリルが有名ですね。私は訪れたことはありませんが一度は行ってみたいと思います。
さて、2年生の歴史の授業は、各種族について個別に学ぶことになります。まずは前半はエルフの歴史について。
後半はゴブリンやその他の魔物についてですね。
魔王討伐後の歴史において、エルフには大きく分けて2つの派閥があったとされますが。
一つは魔王を支持し続けるもの。もう一つは人間に早くから溶け込み共に暮らしたものの二つです。
皆さんもご存じだと思いますが。魔王支持派であったと思われる氷結の魔女の反乱が有名ですね。
彼女は歴代の魔王軍幹部を務めたエルフの血族だったとされますが、親族を皆殺しにしたあとエルフの国で内乱を起こした後、消息不明になったとされます。
なぜ、そうなったのか、そうせざるを得なかったのか考えながら、恐怖の存在だった氷結の魔女がどんな存在だったかを考えていきましょう」
「マダム・ヒストリー、質問いいですか?」
「あら、なにかしら、モガミさん、でもその言い方は照れちゃうから、先生と呼んでくださいね」
そりゃそうだ、なにがマダムだよ。しかし先生もまんざらでもない顔して、ち、イケメンは何しても許されるのか。
「おっと失礼、では先生、氷結の魔女ってエルフですよね? エルフが氷の魔法を使ってたんですか?」
「いい質問ですね。そうです、エルフは本来なら氷の魔法は不得意なはずです。水と風の魔法を使うのが通常だといわれています。
ですが、彼女の一族はどうやら氷の魔法を使えたようなのです。研究によれば風と水の二重魔法ではないかと推測はありますが定かではありませんね。
我々も風の魔法の応用で水を氷に変えることはできますね。しかし氷の攻撃魔法を我々はまだ見たことがないのです」
確かに、氷は風の魔法で作れる、気圧の変化を利用して冷却させる高等魔法だ、氷が作れるだけで貴族の屋敷で引く手あまただろう。氷菓子は高級品だ。
しかし、氷で攻撃という発想はこの世界にはない。なぜなら氷をぶつけるなら、石でも投げた方が早いからだ。
空間ごと、急速冷却させれば効果はあるだろうけど。生き物はだいたいは寒さに耐性がある。相手が凍るのを待ってる間に反撃されるだろう。
つまり氷結の魔女は、やばいくらいの氷の魔法が使えるということだ。一瞬で相手が凍り付くというのは人のレベルを超えているだろう。
「へぇ、そうなんですね。ありがとうございました。……そうか、あれの部下にそういうやつがいたっけ、なるほど魔王ね」
「モガミさん、なにか気になることでも?」
「いいえ、なるほど僕も氷結の魔女に興味が湧いてきました」
いちいち、引っかかる言い方だ、だが氷結の魔女ね。現魔王の奥さんだったって言ったらみんなびっくりするだろう。
(そうですね。彼女の冷凍庫はとても高性能でした。お肉や野菜の長期保存が可能でしたのでとても便利でしたよ)
うむ、氷の魔法は便利な魔法なんだよ。攻撃だなんてとんでもない。
「せんせー、私も氷結されたいですー」
周りが笑いに包まれる。デュラハンよ無理にキャラを立てなくてもいいのだぞ。
魔法学の授業。魔法の発動から、詠唱省略までを学ぶ学科である。
「魔法か、初めての授業でわくわくするね」
ユーギめ、すっかりクラスに溶け込んでいる。こういうやつはコミュニケーション能力が高いのですぐに友達ができるのだ。
前世でもこういうやつはいた。うらやましい限りだ。
さて、この授業はバンデル先生が担当だった。突然の退職で今までは人員調整ができずに各学科の先生が持ち回りで担当していたが、今日、正式な後任の先生が赴任ということだ。
「今日から、魔法学科の担当となるアンドレ・ベルナドットだ、皆よろしく」
「お兄様!」
シルビアさんが、驚いて席をたった。
どうやらシルビアさんのお兄さんのようだ。
「シルビアか、そういえばこのクラスだったな、安心するがいい。決して贔屓はしないからな、むしろ厳しくいくぞ。それに……」
げ、俺を睨んでいる。どうやらお兄様には俺たちの関係は認められていないようだ。
まあ、家族の問題でもあるし。とはいえこの手の問題は急に良くなるわけでもない。時間だ、時間の問題だろう。
「はいはい! 先生! 先生は今年から入ったと聞いています。以前はどちらにいらしたんですか?」
またユーギだ、しかし今回はお前に感謝だ。なんでも気後れせずに質問するこいつに感謝だな。
「私は、以前は国の機関で研究職をしていた。機密故に何がとはいえないな。そういえば君も今年から編入だったな。
では、今日は一年で学んだことの復習からはじめようか。私も皆の学習レベルを知りたいしな」
そこで俺を睨まないでくれ。先生に嫌われるのは最悪だぞ。まあ理不尽ないじめでもないし。誠実に対応しよう。それにつきる。
「せんせー私も編入生ですー」
周りが笑いに包まれる、先生の鋭い視線がデュラハンに向くと何ともいえない緩んだ表情になった。今回は君に感謝だ。
1
あなたにおすすめの小説
貧民街の元娼婦に育てられた孤児は前世の記憶が蘇り底辺から成り上がり世界の救世主になる。
黒ハット
ファンタジー
【完結しました】捨て子だった主人公は、元貴族の側室で騙せれて娼婦だった女性に拾われて最下層階級の貧民街で育てられるが、13歳の時に崖から川に突き落とされて意識が無くなり。気が付くと前世の日本で物理学の研究生だった記憶が蘇り、周りの人たちの善意で底辺から抜け出し成り上がって世界の救世主と呼ばれる様になる。
この作品は小説書き始めた初期の作品で内容と書き方をリメイクして再投稿を始めました。感想、応援よろしくお願いいたします。
どうしよう私、弟にお腹を大きくさせられちゃった!~弟大好きお姉ちゃんの秘密の悩み~
さいとう みさき
恋愛
「ま、まさか!?」
あたし三鷹優美(みたかゆうみ)高校一年生。
弟の晴仁(はると)が大好きな普通のお姉ちゃん。
弟とは凄く仲が良いの!
それはそれはものすごく‥‥‥
「あん、晴仁いきなりそんなのお口に入らないよぉ~♡」
そんな関係のあたしたち。
でもある日トイレであたしはアレが来そうなのになかなか来ないのも気にもせずスカートのファスナーを上げると‥‥‥
「うそっ! お腹が出て来てる!?」
お姉ちゃんの秘密の悩みです。
五年後、元夫の後悔が遅すぎる。~娘が「パパ」と呼びそうで困ってます~
放浪人
恋愛
「君との婚姻は無効だ。実家へ帰るがいい」
大聖堂の冷たい石畳の上で、辺境伯ロルフから突然「婚姻は最初から無かった」と宣告された子爵家次女のエリシア。実家にも見放され、身重の体で王都の旧市街へ追放された彼女は、絶望のどん底で愛娘クララを出産する。
生き抜くために針と糸を握ったエリシアは、持ち前の技術で不思議な力を持つ「祝布(しゅくふ)」を織り上げる職人として立ち上がる。施しではなく「仕事」として正当な対価を払い、決して土足で踏み込んでこない救恤院の監督官リュシアンの温かい優しさに触れエリシアは少しずつ人間らしい心と笑顔を取り戻していった。
しかし五年後。辺境を襲った疫病を救うための緊急要請を通じ、エリシアは冷酷だった元夫ロルフと再会してしまう。しかも隣にいる娘の青い瞳は彼と瓜二つだった。
「すまない。私は父としての責任を果たす」
かつての合理主義の塊だった元夫は、自らの過ちを深く悔い、家の権益を捨ててでも母子を守る「強固な盾」になろうとする。娘のクララもまた、危機から救ってくれた彼を「パパ」と呼び始めてしまい……。
だが、どんなに後悔されても、どんなに身を挺して守られても、一度完全に壊された関係が元に戻ることは絶対にない。エリシアが真の伴侶として選ぶのは、凍えた心を溶かし、温かい日常を共に歩んでくれたリュシアンただ一人だった。
これは、全てを奪われた一人の女性が母として力強く成長し誰にも脅かされることのない「本物の家族」と「静かで確かな幸福」を自分の手で選び取るまでの物語。
ボクが追放されたら飢餓に陥るけど良いですか?
音爽(ネソウ)
ファンタジー
美味しい果実より食えない石ころが欲しいなんて、人間て変わってますね。
役に立たないから出ていけ?
わかりました、緑の加護はゴッソリ持っていきます!
さようなら!
5月4日、ファンタジー1位!HOTランキング1位獲得!!ありがとうございました!
バーンズ伯爵家の内政改革 ~10歳で目覚めた長男、前世知識で領地を最適化します
namisan
ファンタジー
バーンズ伯爵家の長男マイルズは、完璧な容姿と神童と噂される知性を持っていた。だが彼には、誰にも言えない秘密があった。――前世が日本の「医師」だったという記憶だ。
マイルズが10歳となった「洗礼式」の日。
その儀式の最中、領地で謎の疫病が発生したとの凶報が届く。
「呪いだ」「悪霊の仕業だ」と混乱する大人たち。
しかしマイルズだけは、元医師の知識から即座に「病」の正体と、放置すれば領地を崩壊させる「災害」であることを看破していた。
「父上、お待ちください。それは呪いではありませぬ。……対処法がわかります」
公衆衛生の確立を皮切りに、マイルズは領地に潜む様々な「病巣」――非効率な農業、停滞する経済、旧態依然としたインフラ――に気づいていく。
前世の知識を総動員し、10歳の少年が領地を豊かに変えていく。
これは、一人の転生貴族が挑む、本格・異世界領地改革(内政)ファンタジー。
悪役顔のモブに転生しました。特に影響が無いようなので好きに生きます
竹桜
ファンタジー
ある部屋の中で男が画面に向かいながら、ゲームをしていた。
そのゲームは主人公の勇者が魔王を倒し、ヒロインと結ばれるというものだ。
そして、ヒロインは4人いる。
ヒロイン達は聖女、剣士、武闘家、魔法使いだ。
エンドのルートしては六種類ある。
バットエンドを抜かすと、ハッピーエンドが五種類あり、ハッピーエンドの四種類、ヒロインの中の誰か1人と結ばれる。
残りのハッピーエンドはハーレムエンドである。
大好きなゲームの十回目のエンディングを迎えた主人公はお腹が空いたので、ご飯を食べようと思い、台所に行こうとして、足を滑らせ、頭を強く打ってしまった。
そして、主人公は不幸にも死んでしまった。
次に、主人公が目覚めると大好きなゲームの中に転生していた。
だが、主人公はゲームの中で名前しか出てこない悪役顔のモブに転生してしまった。
主人公は大好きなゲームの中に転生したことを心の底から喜んだ。
そして、折角転生したから、この世界を好きに生きようと考えた。
少し冷めた村人少年の冒険記
mizuno sei
ファンタジー
辺境の村に生まれた少年トーマ。実は日本でシステムエンジニアとして働き、過労死した三十前の男の生まれ変わりだった。
トーマの家は貧しい農家で、神から授かった能力も、村の人たちからは「はずれギフト」とさげすまれるわけの分からないものだった。
優しい家族のために、自分の食い扶持を減らそうと家を出る決心をしたトーマは、唯一無二の相棒、「心の声」である〈ナビ〉とともに、未知の世界へと旅立つのであった。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる