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第二章
第73話 師匠氷結される
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エルフの森で一番大きな木がある。
そこには魔王の配偶者であったエルフの墓がある。
その側の湖のほとりにてワンドとシルビアは魔法の修行をしていた。
「さてと、シルビアちゃん、来週には学院に戻るのだしそろそろ結果を見せてもらおうなのかしら」
「はい、師匠、行きます! テレポート!」
シルビアはワンドの目の前から消え、ワンドの背後に出現した。
「うん、いい感じかしら、でもそうね、詠唱省略はいい感じだけど、それも、無詠唱でできたら完璧ね、いちいち、魔法名を叫ぶのは弱点だし、それにダサいわ」
「ダサいですか……、でも私に無詠唱魔法はまだ早いかと思います……」
「早いなんてない、頭を使いなさいな、口で言ってるってことを思考でこなすのよ、そう、呪文なんて口に出さなくてもいいでしょ? なんていうのかしら、そう、こうバーッとパパっとやっちゃうのよ」
「師匠、すいません、師匠が天才なのは理解していますが……私には無理ですよ、ここにきて私の学院首席が恥ずかしくなってしまうくらい師匠は凄いです」
「何言ってのかしら、この子は、私があなたくらいの歳にはそれくらいできたわよ、そうね、感じなさい? 首席なんでしょ? こうバーってパパってやっちゃうのよ」
ワンドは天才ゆえに教え方が下手だった、直感的であって教師としては失格である。しかし、シルビアも凡人ではない、学院では天才と呼ばれているし努力家である。
「パパっとですか、バーッと、頑張ってみます」
「違うって、バーッとパパっとよ、まあ、テレポートは別に無詠唱にこだわる必要はないかしら、でも攻撃魔法はぜひともそうしなさい。
いちいち敵に魔法名をばらすのはバカのすることよ、仮に私ならその魔法名を知った瞬間に反転させて自爆させてあげるから」
…………。
突然周りの空気が冷たくなった。気のせいではない、ダイヤモンドダストのようにキラキラとした氷の結晶が宙を漂っている。
「ほう、ならば、これを反転させることはできるかしら、エターナルブリザード」
「え!」
瞬間、ワンドはその場で氷に包まれて、まるで彫刻のようにその場で固まってしまった。
「師匠!」
「ふふ、他愛無い、天才というから警戒したが、その程度の抵抗力とは、しょせんは人間か、脆弱なものだ」
声の先には耳のとがった女性が立っていた、エルフだ。
「これって氷の魔法。 …………! エルフで氷の魔法ってもしかして!」
「感がいいな、人間の小娘、我が名はフリージア、お前達には氷結の魔女といえばわかるだろうか」
「うそ……、氷結の魔女って、死んだはずではなかったの?」
「ふ、それは否定しない。確かに私は死んだ。そうだな、正確に言えば、私を閉じ込めたあの女は生意気にも天寿を全うしたのだろうが」
シルビアは目の前で氷漬けにされたワンドを見ながら、どうすべきか考える。間違いなく強者である師を一撃で氷漬けにしたエルフはさらに強者ということだ。
できるだけ時間を稼ぎながら最善策を導かなくてはならない。
幸いにも氷結の魔女と名乗るエルフは再び魔法を使うことはなかった。誰に話すわけでもなく、やや戸惑いを感じさせるような口調で独白を始める。
「そうだった、私は死んだのだった。あの女が死んだのなら私も死んだはずだった。私はあの女の別人格だったのだから。ではなぜだろうか、私はここにいる。それに、この身体はなんだ。
……私は、いったい……」
「あなたは、この場所で魔王と結ばれて幸せに暮らしていたのではないのですか? それなのにいきなり攻撃をしてくるなんてひどいです」
その瞬間、空気が凍るような感覚がシルビアを襲う、明らかに殺意を抱いているかのような態度に変わったのだ。
「ははは、そうか、あいつは私を閉じ込めておいて、自分だけ幸せに暮らしていただと、はははは、馬鹿らしい! 許せない。小娘、教えてくれて感謝する。お礼といってはなんだが、死んでもらおう」
そこには魔王の配偶者であったエルフの墓がある。
その側の湖のほとりにてワンドとシルビアは魔法の修行をしていた。
「さてと、シルビアちゃん、来週には学院に戻るのだしそろそろ結果を見せてもらおうなのかしら」
「はい、師匠、行きます! テレポート!」
シルビアはワンドの目の前から消え、ワンドの背後に出現した。
「うん、いい感じかしら、でもそうね、詠唱省略はいい感じだけど、それも、無詠唱でできたら完璧ね、いちいち、魔法名を叫ぶのは弱点だし、それにダサいわ」
「ダサいですか……、でも私に無詠唱魔法はまだ早いかと思います……」
「早いなんてない、頭を使いなさいな、口で言ってるってことを思考でこなすのよ、そう、呪文なんて口に出さなくてもいいでしょ? なんていうのかしら、そう、こうバーッとパパっとやっちゃうのよ」
「師匠、すいません、師匠が天才なのは理解していますが……私には無理ですよ、ここにきて私の学院首席が恥ずかしくなってしまうくらい師匠は凄いです」
「何言ってのかしら、この子は、私があなたくらいの歳にはそれくらいできたわよ、そうね、感じなさい? 首席なんでしょ? こうバーってパパってやっちゃうのよ」
ワンドは天才ゆえに教え方が下手だった、直感的であって教師としては失格である。しかし、シルビアも凡人ではない、学院では天才と呼ばれているし努力家である。
「パパっとですか、バーッと、頑張ってみます」
「違うって、バーッとパパっとよ、まあ、テレポートは別に無詠唱にこだわる必要はないかしら、でも攻撃魔法はぜひともそうしなさい。
いちいち敵に魔法名をばらすのはバカのすることよ、仮に私ならその魔法名を知った瞬間に反転させて自爆させてあげるから」
…………。
突然周りの空気が冷たくなった。気のせいではない、ダイヤモンドダストのようにキラキラとした氷の結晶が宙を漂っている。
「ほう、ならば、これを反転させることはできるかしら、エターナルブリザード」
「え!」
瞬間、ワンドはその場で氷に包まれて、まるで彫刻のようにその場で固まってしまった。
「師匠!」
「ふふ、他愛無い、天才というから警戒したが、その程度の抵抗力とは、しょせんは人間か、脆弱なものだ」
声の先には耳のとがった女性が立っていた、エルフだ。
「これって氷の魔法。 …………! エルフで氷の魔法ってもしかして!」
「感がいいな、人間の小娘、我が名はフリージア、お前達には氷結の魔女といえばわかるだろうか」
「うそ……、氷結の魔女って、死んだはずではなかったの?」
「ふ、それは否定しない。確かに私は死んだ。そうだな、正確に言えば、私を閉じ込めたあの女は生意気にも天寿を全うしたのだろうが」
シルビアは目の前で氷漬けにされたワンドを見ながら、どうすべきか考える。間違いなく強者である師を一撃で氷漬けにしたエルフはさらに強者ということだ。
できるだけ時間を稼ぎながら最善策を導かなくてはならない。
幸いにも氷結の魔女と名乗るエルフは再び魔法を使うことはなかった。誰に話すわけでもなく、やや戸惑いを感じさせるような口調で独白を始める。
「そうだった、私は死んだのだった。あの女が死んだのなら私も死んだはずだった。私はあの女の別人格だったのだから。ではなぜだろうか、私はここにいる。それに、この身体はなんだ。
……私は、いったい……」
「あなたは、この場所で魔王と結ばれて幸せに暮らしていたのではないのですか? それなのにいきなり攻撃をしてくるなんてひどいです」
その瞬間、空気が凍るような感覚がシルビアを襲う、明らかに殺意を抱いているかのような態度に変わったのだ。
「ははは、そうか、あいつは私を閉じ込めておいて、自分だけ幸せに暮らしていただと、はははは、馬鹿らしい! 許せない。小娘、教えてくれて感謝する。お礼といってはなんだが、死んでもらおう」
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