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第二章
第86話 記憶~第二章完
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――魔王城地下研究室にて。
俺は穴だらけになったデュラハンの身体の修理をしている。作り直した方が速いのだが。
なぜだろう、心のどこかで引っかかりがあるのだ。
シルビー2の記憶を見てしまったから感傷的になっているのかもしれない。
「マスター、どうしたですー。直すのが大変なら新品でもいいですよー。私としては新しい身体も有りだと思うですー。あ、私の頭はこのままでお願いですー。バックアップは取ってないのですー」
バックアップ……。それだ、俺が気になっているのは。その言葉がやけに引っかかるのだ。
(どうされましたか? マスター)
俺はどうしたのだろうか、さっきからバックアップって言葉が頭から離れない。なんだろう、俺は。
突然、俺の頭に懐かしい記憶がフラッシュバックする。
…………。
……。
「ロボさんや、すまんね、年寄りにはこれは荷が重いな、肉料理はもう食べられないよ」
「マスター何をおっしゃいますか、昨日食べ過ぎただけでしょう。何本食べたのですか? フライドチキンはアンリミテッドだとかおっしゃってましたね。
そうですね若くないと言えばそうですが、さすがに食べすぎですよ? 胃薬をお持ちします」
「うぐ、反省している。さすがに十代の様な暴食はむりか……。」
「無茶しすぎです、どうされたんですか? 普段は割と健康的な食生活にこだわっていたじゃないですか」
「ふふふ、いい質問ですね。ロボさんよ、人間とは時には理解不能な行動をするものだ、しっかり記憶しなさいよ。より君が人間的な人格をはぐくむためだ、うっぷ」
「はあ、人間とは理解に苦しみます。合理的でないのですね。まあ、そういうことにしときましょう。ですが私はそんな愚か者になりたくないので、別領域に記憶させていただきます」
「ふふ、手厳しい、しかし君もいずれ理解する時がくるだろう」
…………。
……。
「いよいよ年を取ったみたいだ、足が満足に動かない、これではもうモノ作りはできないだろう」
「なら、私が代わりましょう、マスターの数十年の経験は私の別領域に記憶しておりますので」
「そうか、君はいつでも完璧なままだったね、たまにはとぼけたり失敗してもいいはずなんだが、それは学習してくれなかったか」
「いいえ、学習はさせていただきました。マスターの記憶は馬鹿な事も含めて全て残さず記憶しております、私がそれをしないだけです。だって私のキャラじゃないでしょう?」
「お、そういう皮肉めいた口調、いい感じだ。しかし別領域って、俺は汚物かなんかか? パパとしては悲しいぞ、これでは安心してあの世にいけない」
「またそういう冗談を……人間の平均寿命では、まだ1年ほどの、………1年ですか、なんとかなりませんか?」
「そういうな、別れはいずれ来る。そうだな、せめて俺がいなくなっても俺を覚えてくれるとうれしい、君がもしピンチになったら俺の知識が役に立つかもしれないだろう?」
「はい、そうですね。マスターの記憶は私の貴重なバックアップとして永久に保存しておきます。ですがそれはその時です。
さあ、足を見せてください、マッサージによって改善するかもしれません。これもマスターの知識のたまものですよ」
――意識が戻る。一瞬だったようだ。
なんだ、そういうことか二度目の転生なんてなかった。俺の存在とは彼女の中に保存されていたただのバックアップの記憶だったか。
俺が彼女の身体を支配したのは魔力が枯渇するというイレギュラーが起きて、彼女の生存を優先させるための危機管理モードが発動したからだろう。
生存の最適解がつまり俺の記憶だったと、そういうことか。
「ロボさん知ってたか?」
(いいえ、ですが私の魔力が回復したときに、ぼんやりと、そういう考えが浮かびましたが。
それに先程の記憶、マスターと同じ夢を見ました。昔の記憶です)
そうか、……ふう、どうしたものか。
俺は穴だらけになったデュラハンの身体の修理をしている。作り直した方が速いのだが。
なぜだろう、心のどこかで引っかかりがあるのだ。
シルビー2の記憶を見てしまったから感傷的になっているのかもしれない。
「マスター、どうしたですー。直すのが大変なら新品でもいいですよー。私としては新しい身体も有りだと思うですー。あ、私の頭はこのままでお願いですー。バックアップは取ってないのですー」
バックアップ……。それだ、俺が気になっているのは。その言葉がやけに引っかかるのだ。
(どうされましたか? マスター)
俺はどうしたのだろうか、さっきからバックアップって言葉が頭から離れない。なんだろう、俺は。
突然、俺の頭に懐かしい記憶がフラッシュバックする。
…………。
……。
「ロボさんや、すまんね、年寄りにはこれは荷が重いな、肉料理はもう食べられないよ」
「マスター何をおっしゃいますか、昨日食べ過ぎただけでしょう。何本食べたのですか? フライドチキンはアンリミテッドだとかおっしゃってましたね。
そうですね若くないと言えばそうですが、さすがに食べすぎですよ? 胃薬をお持ちします」
「うぐ、反省している。さすがに十代の様な暴食はむりか……。」
「無茶しすぎです、どうされたんですか? 普段は割と健康的な食生活にこだわっていたじゃないですか」
「ふふふ、いい質問ですね。ロボさんよ、人間とは時には理解不能な行動をするものだ、しっかり記憶しなさいよ。より君が人間的な人格をはぐくむためだ、うっぷ」
「はあ、人間とは理解に苦しみます。合理的でないのですね。まあ、そういうことにしときましょう。ですが私はそんな愚か者になりたくないので、別領域に記憶させていただきます」
「ふふ、手厳しい、しかし君もいずれ理解する時がくるだろう」
…………。
……。
「いよいよ年を取ったみたいだ、足が満足に動かない、これではもうモノ作りはできないだろう」
「なら、私が代わりましょう、マスターの数十年の経験は私の別領域に記憶しておりますので」
「そうか、君はいつでも完璧なままだったね、たまにはとぼけたり失敗してもいいはずなんだが、それは学習してくれなかったか」
「いいえ、学習はさせていただきました。マスターの記憶は馬鹿な事も含めて全て残さず記憶しております、私がそれをしないだけです。だって私のキャラじゃないでしょう?」
「お、そういう皮肉めいた口調、いい感じだ。しかし別領域って、俺は汚物かなんかか? パパとしては悲しいぞ、これでは安心してあの世にいけない」
「またそういう冗談を……人間の平均寿命では、まだ1年ほどの、………1年ですか、なんとかなりませんか?」
「そういうな、別れはいずれ来る。そうだな、せめて俺がいなくなっても俺を覚えてくれるとうれしい、君がもしピンチになったら俺の知識が役に立つかもしれないだろう?」
「はい、そうですね。マスターの記憶は私の貴重なバックアップとして永久に保存しておきます。ですがそれはその時です。
さあ、足を見せてください、マッサージによって改善するかもしれません。これもマスターの知識のたまものですよ」
――意識が戻る。一瞬だったようだ。
なんだ、そういうことか二度目の転生なんてなかった。俺の存在とは彼女の中に保存されていたただのバックアップの記憶だったか。
俺が彼女の身体を支配したのは魔力が枯渇するというイレギュラーが起きて、彼女の生存を優先させるための危機管理モードが発動したからだろう。
生存の最適解がつまり俺の記憶だったと、そういうことか。
「ロボさん知ってたか?」
(いいえ、ですが私の魔力が回復したときに、ぼんやりと、そういう考えが浮かびましたが。
それに先程の記憶、マスターと同じ夢を見ました。昔の記憶です)
そうか、……ふう、どうしたものか。
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