君の香りを信じてる

千歳

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第5章

第5章

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 深夜、陽希はふと目を覚ました。薄く瞼を開き、ぼんやりとした意識の中で眠りに落ちる前の出来事が脳内に蘇ってくる。
 暁斗と初めてセックスをしてしまった。
 その快感は余りにも強すぎ、最後のほうは意識も朦朧としてあまり覚えていなかったが、暁斗と身体を繋げたことは事実だ。思い返して自分の痴態にカーッと顔が熱くなってしまう。
 そんなことを考えたせいか、ぼんやりとしていた意識は徐々に覚醒していき、視界もクリアになっていった。目の前には暁斗の逞しい胸があり、彼に抱き締められるようにして眠っていたようだ。今は二人ともしっかりとパジャマを着ており、きっと陽希が意識を飛ばしてしまったあとに暁斗が後片付け等をやってくれたのだろう。身体にはべたつき等もなく、まさか後ろの処理も…とそこまで考えて羞恥で首を小さく振った。
 暁斗は陽希のことをとても大事に、愛してくれている。もちろん、陽希も暁斗のことを愛している。なかなかはっきりと言葉にはできていないが、暁斗との時間をこれからも大事にしていきたいと強く思った。二人でいろんな所に行って、いろんなものを二人で見て、こうして抱き合って、キスをして…。ずっとずっと一緒にいられるように。そのために彼に対してもっと素直になれるようにならなければ。どうしても恥じらいが勝ってしまう部分が多かったが、少しずつでも、もっと暁斗に甘えてみよう。
 陽希はそんなことを思いながら暁斗の胸へと顔を埋め、大好きな彼の香りを吸い込んだ。その時―
「え……」
 目を見開き、呼吸が止まる。
 ありえない、嘘だ。そんなわけがない。
 ドキドキと心臓が鼓動を速め、身体にじわっと冷や汗が浮かぶ。顔を上げれば、そこにはまだ静かに眠っている暁斗の顔がある。それは非常に穏やかなもので、呼吸の乱れもない。
 きっと、気のせい。そうだ、昼間も気のせいだったから、気にしすぎなんだ。陽希は無意識に止めていた息を吐き出し、これは気のせいだと自分に言い聞かせながら息を吸いこんだ。
「う、そ……」
 確かにしている。あの匂いが、暁斗の身体から。
 昼間のように気のせいなんかじゃなかった。その匂いは確実にそこに、まるで物体としてあるかのように存在を主張している。嘘だ、信じられない、そんな言葉が頭の中をぐるぐると駆け巡り、陽希の瞳には涙が浮かんできてしまう。
 どうして、暁斗からあの匂いが?俺がずっと一緒にいたいと願ったから?俺のせいで暁斗が死ぬ…?
「ぅ…っ…うっ…」
 溢れ出る涙と嗚咽。それは堪えようとしても次から次へと溢れ出てしまい、陽希は自身の口を両手で必死に押さえた。身体がひくっひくっと小さく震え、恐ろしい現実から目を背けるようにぎゅっと瞼を閉じる。
 夢であってくれ、こんなの現実じゃないと誰か言ってくれ。
「陽希…?」
「ッ…!」
 頭上から聞こえた声にパッと目を見開いて顔を上げる。涙で歪んだ視界の中に見えた暁斗はどうして陽希が泣いているのかわからずに驚きの表情を浮かべている。だが、その表情もほんの一瞬だけで、すぐに陽希のことを優しく抱き締め、落ち着かせるように背中をゆっくりと撫で始めた。
「大丈夫、陽希、大丈夫だから」
 陽希が泣いている理由はきっと暁斗にはわからない。しかし、彼は優しい声で大丈夫だと繰り返した。その声と温もりはあの匂いがする中でも安心感を与えてくれる。パニックになりかけていた思考も徐々に落ち着きを取り戻し、嗚咽で乱れていた呼吸が落ち着いた頃、暁斗が問いかけた。
「怖い夢でも見たか?」
「……違う…」
 一瞬、言おうかどうか迷った。こんなことを言ったら暁斗を困惑させてしまうかもしれない。しかし、ここで嘘をついたところできっと暁斗のことだからすぐに陽希が何かを隠していることに気付くはずだ。それに、隠し通すことなんてできるはずがない。彼の死が目の前に迫っている状況をただ黙って大人しく待っていることなんてできない。
 陽希は息をごくりと飲み込み、涙交じりの声で彼に伝えた。
「あの匂いが、暁斗から…してる…」
 その言葉に背中を撫でていた暁斗の手が一瞬止まった。しかし、それはまたすぐに動き始め、上下に撫でていた動きからぽんぽんと優しく叩く動きへと変わる。そして、彼は静かでありながらも力強い言葉で言った。
「俺は死なないよ」
「……うん」
「ほら、そんな不安そうな顔するなって。お前が寝るまでこうやってしっかり抱き締めてるから、安心しろ」
 そう言って暁斗はちゅっと陽希の額へ口付けを落とし、陽希のことをしっかりと胸に抱き込んだ。
 少しだけ息苦しい気もしたが、今はその密着度が陽希の心の安心感を広げていき、あの匂いに負けないくらいに暁斗の香りが彼のことを覆いつくす。
「陽希、おやすみ」
「んっ…おやすみ、暁斗」

 ◆

「陽希!」
 大声で名前を呼ばれ、びくっと身体が跳ね上がる。声のしたほうへ振り返った瞬間、目の前の光景に目を見開いた。
「あ、きと…?」
 陽希の名前を呼んだ彼の後ろにはもう一人、見知らぬ人がいた。その人物の手には刀が握られており、刃には今付いたばかりの真っ赤な鮮血が流れている。
 陽希の理解が追い付く前に、目の前の暁斗が振り返ってその相手の首を刀で切りつけた。
 その光景を見て陽希はハッと気付く。これはいつも見る夢だ。しかし、いつもとは場面が違う。いつもなら暁斗が切りつけられた後から夢が始まっていた。だが、今日は切りつけられる瞬間だ。
 瞬きすら忘れ、暁斗の背中越しに彼が切りつけた相手がどさっと倒れ込むのが目に映る。相手は大量の血を流してその場で絶命したようだ。呆然としながらその男から視線を上へとずらすと暁斗の傷だらけの背中が目に飛び込む。切られた服の間から真っ赤な血がどくどくと流れており、早く手当をしなければいけないと思いながらも身体は全くといっていいほど動けなくなっていた。すると、背中を向けていた暁斗が陽希のほうへと振り向いた。
 このシーンは今までの夢でも何回も見たことがある。このあと彼は陽希を抱き締め、そして、視界を覆い隠してキスをする。いつもと同じ。何も変えられない。
「あ、きと…」
 掠れた声で彼の名前を呼ぶ。すると彼の手が顔に近付いてきた。
 やっぱり、彼は最後のキスは俺に見せないように、その手で隠そうとする。
「い、やだ…」
「え…?」
 彼の手が顔に触れようとした瞬間、陽希の口からは今までの夢の中ではなかった言葉が出ていた。それはまるで運命に抗うかのように。
 驚きで止まった暁斗の手を掴み、それを下げさせる。そして、陽希は自ら暁斗の唇へと自分の唇を重ね合わせた。それは陽希の熱を彼に分け与えるかのように。
 熱い吐息を零してから唇を離し、彼の瞳をしっかりと見つめる。
「暁斗、俺が守るから」
 その瞬間、周囲は真っ白な霧のようなものに覆われ、次に訪れたのは真っ暗な闇だ。突然ひとりぼっちにされたような空虚感の中、トクン、トクンと静かな鼓動の音が聞こえてくる。その落ち着く音に耳を傾けながら瞼を閉じ、次に目を開けると、それは夢ではなく現実の世界に戻ってきていた。
 寝る前と同じ、暁斗に抱き締められた状態で彼の心臓の鼓動が陽希に伝わってきており、夢から覚める直前に聞こえてきた音はこの音だったのだと理解する。陽希を抱き締めている暁斗はまだ眠っているようで、その穏やかな寝顔に小さく笑みを零した。
「んっ…陽希?」
 陽希が僅かに身じろぎしたことで目が覚めたのか、暁斗は眠け眼で陽希の名前を呼んだ。そして、陽希のことをぎゅっと抱き締め、髪をくしゃくしゃと撫でながら暁斗自身も安心したように力強く言った。
「ほら、ちゃんと生きてるだろ?」
 陽希は抱きしめられたままコクッと頷く。正直、あの匂いはまだ残っていた。むしろ昨夜よりも匂いは強くなっているような気がして、それは暁斗の匂いが負けてしまうのではないかと思うほどだ。彼の力強い言葉に励まされはしたものの、やはり不安は隠せない。
 その不安が伝わってしまったのか、暁斗は陽希の頬に手を添えてしっかりと瞳を見つめてきた。
「陽希、俺は運命を変えられる男だって言っただろ?だから心配するな」
「…うん」
「顔が暗いぞー?そんなに心配なら今日の仕事はずっと俺の隣にいるか?この機会に俺たちが付き合ってるってみんなに言ってもいいかもな」
「なっ…!」
 暁斗の言葉に陽希はわかりやすいほどに焦りを見せた。暁斗と付き合っていること自体を恥ずかしいことだとは思っていないが、それを会社の人たちに知られるとなると話は別だ。特に仲の良い佐々塚あたりに知られてしまったらきっと根掘り葉掘り聞いてくる。その内容には夜の営みに関することも入ってくるはずだ。
 そんなことが頭に浮かんできてしまったのと同時に昨夜暁斗とセックスしたことも思い出し、顔が熱くなっていく。
「陽希、今、何考えたんだ?」
「な、なんでもないっ!」
「ふーん…てっきり昨日のこと思い出したのかと思った」
「ッ…暁斗のばか!」
「はははっ、ごめんて。どうだ、元気出たか?」
 揶揄われたことに少し不貞腐れたものの、確かに彼の軽口によって気持ちは幾分楽になった。未だに頬の熱は引かなかったが、陽希はこくりと頷いてから仕返しのように暁斗の唇へとキスをし、すぐに布団から抜け出した。
「元気出たよ、ありがとう、暁斗」

 あの匂いが消えていないことに不安はあったが、二人揃って会社を休むわけにもいかず、陽希は一度自宅に戻って着替えてから出社した。
 朝、暁斗が今日一日ずっと隣にいれば良いと言ったのは冗談かと思っていたのだが、本当に今日は暁斗と一緒に商談に行く日だった。大事な商談のことをすっかり忘れてしまっていたことに苦笑いを浮かべ、相手方の企業に向かう前にトイレに行ってこようと廊下を歩いていたところ、突然誰かに腕を引っ張られた。
「え!?」
 あまりにも突然のことに転びそうになったが、引っ張られたその先で彼の身体は馴染み深い逞しい身体にしっかりと抱き止められていた。引きずり込まれた先は給湯室だ。いきなりどうしたんだと、引きずり込んだ相手、暁斗のことを見つめる。
 彼は給湯室に入ってすぐに陽希のことを力強く抱き締め、首筋に顔を埋めて匂いを嗅いでいるかのようだった。彼の息が首にかかるとなんともくすぐったく、変な気分になってきてしまう。誰が来るかもわからない給湯室、そのことに陽希は若干の焦りを覚えながら暁斗に問いかけた。
「どうしたの?」
「んー、陽希補充」
「え?」
 暁斗の言っている意味がわからずに脳内に疑問符が大量に浮かぶ。今まで会社で突然こんなことをしてきたことはなかったのだが、一体どうしたというのだろうか。
 陽希はとりあえず抱き締めてきている暁斗の背中へと手を回し、その逞しい背中をぽんぽんと叩いた。すると、首筋に顔を埋めた暁斗がくすくすと笑い出し、顔を上げて疑問の表情を浮かべている陽希の瞳を見つめた。
「本当にどうしたの?何かあった?」
「いや、さっきちょっと思い出してさ」
「何を?」
「昨日のお前」
 その言葉にぽんぽんと優しく叩いていた手を止め、ドンッと強くその背中を叩く。
「痛っ!いきなり叩くなよ」
「変なこと考えた暁斗が悪いんでしょ」
「ぷっ、あははっ、悪かったって。けど、お前のこと補充したかったのは本当。今日の商談、お前にとっても会社にとってもかなり重要なやつだろ。俺も同席するから、商談で上手く喋れるように陽希のこと補充しとこうと思ってさ」
 暁斗はこんなことを言っているが、彼が商談で上手く喋られなかったことなど一度もないことを陽希は知っていた。少なくとも、陽希が同席したことがある商談ではいつも完璧に話し、陽希が困ったときにはさり気なく助け舟を出してくれる。
 きっと今こうして抱き締めているのは自分のためというより陽希のためなのだろう。確かに今日の商談は陽希にとっても会社にとってもかなり重要だ。だが、陽希はその商談を忘れてしまっていたくらいにはあの匂いに意識を持っていかれてしまっており、実は朝から小さなミスを立て続けにしてしまっていた。陽希は自分の不甲斐なさに小さく溜め息を吐き、今度は陽希が暁斗の胸に顔を埋めた。
「俺も、暁斗補充させて」
「ああ、いくらでもどうぞ」
 抱き締められながらいつものように頭をくしゃくしゃと撫でられ、それだけでも元気が出てくる気がした。少しの間、暁斗の体温を感じながら精神を落ち着け、顔を上げる。そして、どちらともなく唇を重ね合わせてお互いに笑みを浮かべた。
「行くか」
「うん。よろしくお願いします、先輩」
「ははっ、任せておけ」

 ◆

「いやー、良かったな、陽希。俺が助けてやらなくても全然いけたじゃん」
 晴れ晴れとした表情で二人は商談からの帰り道を歩いていた。重要な商談ということで少なからずの緊迫感はあったものの、先方がかなり陽希のことを気に入ってくれたようで想像していたよりもかなりスムーズに進めることができた。
 陽希自身も会社を出る前に暁斗に元気付けられたおかげか、商談中はあの匂いに惑わされることなく、自分でも納得のいくものになったと思った。
「それにしても、お前成長したよな」
「これでももう七年働いてるからね」
「ははっ、そうだった。けど、これからのお前の活躍も楽しみだ。俺も頑張らないと陽希に先越されちまうかもな」
 二人でそんなことを言い合っていると、ふと陽希はあることに気付き、その場で足を止めた。
「陽希?どうした?」
「あ、いや…なんでもない」
 少し先に進んでいた暁斗に小走りで追いつく。
 彼の隣に立ち、やはり感じた。あの匂いが朝よりも薄くなっている。まだ完全に消え去ったわけではないが、暁斗から漂っていたあの死を招く匂いは気のせいではなく確実に薄くなっている。
 もしや、回避したのか…?
 何が引き金になったのかはわからないが、回避できたのならそれに越したことはない。早く完全に消え去ってくれればそれだけで安心できる。
「本当にどうしたんだ?なんか嬉しそうだな?」
「ふふっ、暁斗は本当よく気が付くね」
 あの匂いが薄くなっている、そう言葉にしようとした瞬間、別の場所からあの匂いがしてきた。
 喜びが、一瞬にして影を落としていく。陽希は急いで辺りを見渡し、その匂いの元を探そうとした。
 そして見つけた。その匂いの元は――

 陽希自身だ。
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