転生オトメ恋世界

一章：転生乙女

02 転生しましたから

　死を知覚することは不可能だと思っていました。死んだら全て終わりですから。

　ですがもし、唐突にこのような声が聞こえたとしたら、どうでしょうか。

「ーーーカァイラァーラ！ネフィ、レイリャア！！！」

　日本語ではありませんね。
　英語でもないようですし、、、それに、どなたでしょうか？

　はっきりとは見えませんが、薄ぼんやりと映るシルエットと、その声色から二人の男女がいるのだと分かります。
　そして彼らはしきりに私に顔を近づけては何か言葉を掛けてきます。

　これが最近の医療法なのでしょうか？

　いえ、そんなはずはありませんね。
　どうやらまだ寝ぼけていたようです。
　ですが、そろそろこの事実を受け止めるべきでしょう。

　私は日本ではないどこかに、転生したようですね。



　そう思えばこの現状に何の違和感もありません。私が生まれたことに両親が喜んでいるのでしょう。

　なにせ少しずつ取り戻した？いえ、はっきりとしてきた視界には泣きながら奇妙な踊りを踊る父親らしき姿があるのですから。
　、、、伝統芸とかではないですよね？私、そのような恥ずかしい踊りはしたくありませんし、後世に残したくもありませんよ。



　と、それはさておきこの状況、、、どうしたものでしょうか？
　まさか転生をするとは思ってもいませんでしから、老後の事は考えていても死後のことまでは頭にありませんでしたね。それをいえば20代で刺されて死んでしまうというオチも予想していませんでしたが、、、『事実は小説よりも奇なり』ですか。まぁいいでしょう。
　起こってしまった事をとやかくいうのは時間の無駄です。人生は有限ですから、まずはこれからの目標を決めましょう。

　さて、それでは生まれて最初の目標は、、、

「カヤ！ハイアラホカサ、カヤ！」

　まぁ言葉でしょうね。



　では、頑張りましょう。
　今度こそ、彼らを泣かせないためにも。



　パパ、ママ、、、私、転生しましたから。
　ですから生きていますよ。

　また、頑張りますから。
　だからまだ、泣いているようなら、

　笑ってください。



　その方が私は頑張れますし、



　嬉しいですから。