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一章:転生乙女
03 まだでしたから
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「お父様。薪割りはもうよろしいのでは?これだけあれば、冬を越すには十分に思いますが」
「おぉ、そうか。そうだな!楽しくてついつい忘れてた!ありがとう、助かったぞ!」
私が転生して、かれこれ6年が経ちました。
この世界の言葉もこのように流暢に話せるようになり、目標も無事に達成できました。
そして月日が経つのは早いなと、大人びたことを言ってみますが、まだ6歳です。
まだまだ若輩の身ではありますが、親に付き添い、色々とこの世界について知ることが出来ました。
その一つとして、【この世界は地球ではない】という事が分かりました。私からすれば、異世界《シン・スフィア》といったところでしょうか。
次に、【魔法が使える世界】ということ。科学の代わりに魔学というものが発展しているようです。その科学と魔学の根本的な違いは、エネルギーでしょうか。科学は電気やそれに置換することの可能なエネルギーを消費することで電気的に光や熱、音を生み出していましたが、魔学においては魔力と呼ばれるエネルギーが主体となるようです。電気が通っていなくても、手で触れ、魔力を流すだけで使えるのは一見便利なように思います。ただスイッチ一つでオンオフの切り替えが出来ないのは不便ですね。
電気、というのは違う気がするので魔力の光で魔光と呼びますが、例えば魔光を一旦付けると、中の魔力が無くなるまで魔光は消えません。
両親は慣れたように、注入する魔力量を調整していますが、私にその感覚がよく分かりません。夜中に魔光を付けて、一晩中部屋を明るくさせていたことも何度かあります。
優しい両親は笑ってくれていますが、その温かい目で見られるのがとても恥ずかしいのです。
ですから決めたのです。
「私、魔力をうまく使いこなせるようになりたいです!」
「、、、カヤにはまだ早いんじゃないか?」
「いえ、決めたのです!私の次の目標は完璧な魔力制御です!」
「し、しかしだな、、、」
「あなた、もう諦めましょう?この子の成長の速さは他の子とは違うのよ。いくらこの子の愛らしい姿を長く見ていたいからって、それじゃこの子のためにはならないわ!」
「だが、ケガをするかもしれないだろう!?」
ケガですか?
まさか渋る理由が私の失敗を見たいがためだけだなんて微塵も思っていませんでしたが、魔力制御の訓練ではケガをするかもしれないのですね。
「大丈夫よ、あなた。あなたがケガをしたって直ぐに治癒してあげるから」
、、、ケガをなさるのはお父様の方でしたか。
それでは私から無理を言うわけにもいきませんね。
「いや、ビビってるわけじゃないぞ!ただ、なんだ、、、俺の親父は俺の魔力制御の訓練で肋骨を折っているんだ、、、こんな冬場を目前に身体を壊すわけにもいかんだろ!?」
なんと、肋骨ですか、、、それはケガで済む話なのでしょうか?!
「それはそうかもしれませんが、きっと大丈夫でしょうね」
お母様が私を見て、にっこりと微笑みました。その意図は分かりませんが、私も微笑み返します。
「、、、あぁ、だろうな」
お父様が少し残念そうな表情で項垂れてしまいました。
場の流れを見るに私の魔力制御の訓練は実行する、ということになったのでしょう。
なんとも有難いことです。
ですので、お二人には感謝を述べませんとね。
「お父様、お母様。ありがとうございます。不肖、カヤ・エリュテイア。お二人の期待に添えるべく、精一杯努力いたします」
前世の記憶を持って生まれたその少女の名はーーーカヤ。
カヤ・エリュテイアです。
、、、『どうして2回も言ったのか』ですか?
それはもちろん、自己紹介がまだでしたから。
「おぉ、そうか。そうだな!楽しくてついつい忘れてた!ありがとう、助かったぞ!」
私が転生して、かれこれ6年が経ちました。
この世界の言葉もこのように流暢に話せるようになり、目標も無事に達成できました。
そして月日が経つのは早いなと、大人びたことを言ってみますが、まだ6歳です。
まだまだ若輩の身ではありますが、親に付き添い、色々とこの世界について知ることが出来ました。
その一つとして、【この世界は地球ではない】という事が分かりました。私からすれば、異世界《シン・スフィア》といったところでしょうか。
次に、【魔法が使える世界】ということ。科学の代わりに魔学というものが発展しているようです。その科学と魔学の根本的な違いは、エネルギーでしょうか。科学は電気やそれに置換することの可能なエネルギーを消費することで電気的に光や熱、音を生み出していましたが、魔学においては魔力と呼ばれるエネルギーが主体となるようです。電気が通っていなくても、手で触れ、魔力を流すだけで使えるのは一見便利なように思います。ただスイッチ一つでオンオフの切り替えが出来ないのは不便ですね。
電気、というのは違う気がするので魔力の光で魔光と呼びますが、例えば魔光を一旦付けると、中の魔力が無くなるまで魔光は消えません。
両親は慣れたように、注入する魔力量を調整していますが、私にその感覚がよく分かりません。夜中に魔光を付けて、一晩中部屋を明るくさせていたことも何度かあります。
優しい両親は笑ってくれていますが、その温かい目で見られるのがとても恥ずかしいのです。
ですから決めたのです。
「私、魔力をうまく使いこなせるようになりたいです!」
「、、、カヤにはまだ早いんじゃないか?」
「いえ、決めたのです!私の次の目標は完璧な魔力制御です!」
「し、しかしだな、、、」
「あなた、もう諦めましょう?この子の成長の速さは他の子とは違うのよ。いくらこの子の愛らしい姿を長く見ていたいからって、それじゃこの子のためにはならないわ!」
「だが、ケガをするかもしれないだろう!?」
ケガですか?
まさか渋る理由が私の失敗を見たいがためだけだなんて微塵も思っていませんでしたが、魔力制御の訓練ではケガをするかもしれないのですね。
「大丈夫よ、あなた。あなたがケガをしたって直ぐに治癒してあげるから」
、、、ケガをなさるのはお父様の方でしたか。
それでは私から無理を言うわけにもいきませんね。
「いや、ビビってるわけじゃないぞ!ただ、なんだ、、、俺の親父は俺の魔力制御の訓練で肋骨を折っているんだ、、、こんな冬場を目前に身体を壊すわけにもいかんだろ!?」
なんと、肋骨ですか、、、それはケガで済む話なのでしょうか?!
「それはそうかもしれませんが、きっと大丈夫でしょうね」
お母様が私を見て、にっこりと微笑みました。その意図は分かりませんが、私も微笑み返します。
「、、、あぁ、だろうな」
お父様が少し残念そうな表情で項垂れてしまいました。
場の流れを見るに私の魔力制御の訓練は実行する、ということになったのでしょう。
なんとも有難いことです。
ですので、お二人には感謝を述べませんとね。
「お父様、お母様。ありがとうございます。不肖、カヤ・エリュテイア。お二人の期待に添えるべく、精一杯努力いたします」
前世の記憶を持って生まれたその少女の名はーーーカヤ。
カヤ・エリュテイアです。
、、、『どうして2回も言ったのか』ですか?
それはもちろん、自己紹介がまだでしたから。
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