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一章:転生乙女
04 冷えましたから
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翌日の早朝。
上から下まで全身あったかモコモコデコレーションコーデの私と、それに反して薄着のお父様が家の前で並んでいました。
「寒くないのですか?お父様」
「へへっ!これしき問題ねー!だが、あれだな、、、カヤはあったかそうだな」
「はい!お母様がお外は寒いからと、色々用意してくれましたから!」
「そ、そうか、、、まぁ後で手袋だけは外そうな」
「はい!」
「そんじゃ始めるぞ!」
「おー!」
「、、、可愛い」
こうして私の魔力制御の訓練が幕を開けたのです。
「いいか、魔力ってのはな、常に自分の身体の中を流れているんだ。止まったりせず、常にだ」
「、、、血流のようですね」
「そう、その通りだ!魔力はそのイメージとして血を思い浮かべればいい。カヤもケガをしたとき、血が出ただろ?」
「はい、たくさん出ました!」
「、、、え?たくさん???それいつだ!!?」
あ、それは以前のお話でしたね。
どうにか誤魔化しませんと。
「た、たくさん、、、涙を流してしまいまして」
「あ、、、はは、、、痛かったもんな」
お父様は本当に私の事を大切に思っていてくれています。カヤはとても幸せですよ。
「あー、まぁなんだ、、、魔力は血のように身体全体をずっと駆け巡っているんだ。魔力制御ってのはつまりそこから欲しいだけ、必要な分だけの魔力を取り出すことを言う。今から始めるのはその訓練だ」
「はい!準備は出来ています!」
といっても手袋を外しただけなのですが。
と、私が両の掌をお父様に向けていると、その小さな掌にお父様の大きな掌が合わさりました。
「お父様?」
「じっ、とするんだ。そして掌に集中してみろ」
どうやら訓練が始まったようですね。
いつになく真剣な表情のお父様を見て、私も俄然やる気が出ました。
暖かいですね。
言葉はいただいておりませんが、応援されているようです。
私は目を瞑りました。
そしてお父様に言われた通りに、掌に意識を集中します。すると、お父様の体温とはまた違う、あえて言葉にするなら体温と全く同じ温度のお水に手を入れているような感覚がありました。
なんでしょうか?これは。
「どうだ?何か感じないか?」
お父様にそう聞かれました。
「どう例えてよいのか分かりませんが、確かにお父様の掌とは違った何かにカヤは触れています。もしかしてこれが魔力なのでしょうか?」
「あぁそうだ。その魔力は俺がカヤに向かって送っている魔力だ。その魔力を感じれたなら、今度はカヤ自身の中にある魔力を感じてみろ」
「私の中の魔力ですか、、、」
表現しづらく、普段違和感もないものを自身の中から見つけるというのはなかなかに難しいですね。
うーん。どうしたものでしょうか?
そういえばお父様は血液をイメージするといいと言っていましたね。
血液ですか、、、血液は心臓により身体全体に送られていますが、では魔力は何によって流れているのでしょう?
血液と同じ、とするなら心臓でしょうか?
心臓、、、心臓、、、
、、、、、、
あっ、、、、、、見つけました。
私の心臓にモヤがあります。
そのモヤ?モヤモヤっとしたものが魔力の源でしょう。
そしてそのモヤモヤが細くなって一本の線となり、意識してその線を追うと、身体をぐるりと回り、また心臓に戻っていきました。
魔力の束は意識することで太くも細くも出来るようです。
そして魔力制御はここから適切な量の魔力を取り出すことでしたね。
要領は掴めてきました。
これは魔力制御の訓練。お父様が今、僅かに私に向けて魔力を流しているということは、きっとそういうことなのでしょう。
まずは魔力の束を意識して太くしましょう。
そしてその線の太さを保ったまま今度は掌から魔力の線を分けて、それを体外へと流すように。
「、、、ん?」
お父様がなにかに反応しました。
まだ足りないようですね。徐々に魔力量を増やしてみましょう。
「んん!?」
どうやら気付いたようですね。
ではこの量でしばらく維持してみましょう。
「まだ10分と経っていないってのに、、、流石だな」
「お褒めいただきありがとうございます。お父様。訓練方法はこれでよろしかったでしょうか?」
「あぁ、、、まだ何も言っていなかったのにカヤから魔力が流れてきた時は本当に驚いたがな」
「勝手なことをしていしまい申し訳ありません。魔力を感じられたため、つい色々と試したくなってしまいまして」
「、、、そうか。まぁここまで綺麗に魔力を流せるなら次からは家ん中でやっても良いかもな」
そう言うお父様の掌がとても冷たくなっていました。
、、、まさかお父様が薄着だったのは、より魔力を正確に感じるため?肌と服との間にできる体温差を考慮してのことだったのでしょうか?そしてこの訓練では魔力の測定を行う者の魔力感知の精密さが必要不可欠なのでしょうね。
ですがしかし、このままでは風邪をひかれてしまうかもしれません。
そう思い、私はお父様のお手を強く握り、少しでも暖かくなるようにと、首に下げたマフラーをお父様の肩に掛けました。
「カヤ、、、?」
「お家に入りましょう。今日はとても冷えますから」
お父様に無理はして欲しくはありません。
大事な人ですから。
護られていることは分かります。大切に思われていることも分かります。
ですが、私もそう思っているのです。
これぐらい気にかけたいのです。
そんな私は、我が儘な子ですよ。
年相応にですが。
上から下まで全身あったかモコモコデコレーションコーデの私と、それに反して薄着のお父様が家の前で並んでいました。
「寒くないのですか?お父様」
「へへっ!これしき問題ねー!だが、あれだな、、、カヤはあったかそうだな」
「はい!お母様がお外は寒いからと、色々用意してくれましたから!」
「そ、そうか、、、まぁ後で手袋だけは外そうな」
「はい!」
「そんじゃ始めるぞ!」
「おー!」
「、、、可愛い」
こうして私の魔力制御の訓練が幕を開けたのです。
「いいか、魔力ってのはな、常に自分の身体の中を流れているんだ。止まったりせず、常にだ」
「、、、血流のようですね」
「そう、その通りだ!魔力はそのイメージとして血を思い浮かべればいい。カヤもケガをしたとき、血が出ただろ?」
「はい、たくさん出ました!」
「、、、え?たくさん???それいつだ!!?」
あ、それは以前のお話でしたね。
どうにか誤魔化しませんと。
「た、たくさん、、、涙を流してしまいまして」
「あ、、、はは、、、痛かったもんな」
お父様は本当に私の事を大切に思っていてくれています。カヤはとても幸せですよ。
「あー、まぁなんだ、、、魔力は血のように身体全体をずっと駆け巡っているんだ。魔力制御ってのはつまりそこから欲しいだけ、必要な分だけの魔力を取り出すことを言う。今から始めるのはその訓練だ」
「はい!準備は出来ています!」
といっても手袋を外しただけなのですが。
と、私が両の掌をお父様に向けていると、その小さな掌にお父様の大きな掌が合わさりました。
「お父様?」
「じっ、とするんだ。そして掌に集中してみろ」
どうやら訓練が始まったようですね。
いつになく真剣な表情のお父様を見て、私も俄然やる気が出ました。
暖かいですね。
言葉はいただいておりませんが、応援されているようです。
私は目を瞑りました。
そしてお父様に言われた通りに、掌に意識を集中します。すると、お父様の体温とはまた違う、あえて言葉にするなら体温と全く同じ温度のお水に手を入れているような感覚がありました。
なんでしょうか?これは。
「どうだ?何か感じないか?」
お父様にそう聞かれました。
「どう例えてよいのか分かりませんが、確かにお父様の掌とは違った何かにカヤは触れています。もしかしてこれが魔力なのでしょうか?」
「あぁそうだ。その魔力は俺がカヤに向かって送っている魔力だ。その魔力を感じれたなら、今度はカヤ自身の中にある魔力を感じてみろ」
「私の中の魔力ですか、、、」
表現しづらく、普段違和感もないものを自身の中から見つけるというのはなかなかに難しいですね。
うーん。どうしたものでしょうか?
そういえばお父様は血液をイメージするといいと言っていましたね。
血液ですか、、、血液は心臓により身体全体に送られていますが、では魔力は何によって流れているのでしょう?
血液と同じ、とするなら心臓でしょうか?
心臓、、、心臓、、、
、、、、、、
あっ、、、、、、見つけました。
私の心臓にモヤがあります。
そのモヤ?モヤモヤっとしたものが魔力の源でしょう。
そしてそのモヤモヤが細くなって一本の線となり、意識してその線を追うと、身体をぐるりと回り、また心臓に戻っていきました。
魔力の束は意識することで太くも細くも出来るようです。
そして魔力制御はここから適切な量の魔力を取り出すことでしたね。
要領は掴めてきました。
これは魔力制御の訓練。お父様が今、僅かに私に向けて魔力を流しているということは、きっとそういうことなのでしょう。
まずは魔力の束を意識して太くしましょう。
そしてその線の太さを保ったまま今度は掌から魔力の線を分けて、それを体外へと流すように。
「、、、ん?」
お父様がなにかに反応しました。
まだ足りないようですね。徐々に魔力量を増やしてみましょう。
「んん!?」
どうやら気付いたようですね。
ではこの量でしばらく維持してみましょう。
「まだ10分と経っていないってのに、、、流石だな」
「お褒めいただきありがとうございます。お父様。訓練方法はこれでよろしかったでしょうか?」
「あぁ、、、まだ何も言っていなかったのにカヤから魔力が流れてきた時は本当に驚いたがな」
「勝手なことをしていしまい申し訳ありません。魔力を感じられたため、つい色々と試したくなってしまいまして」
「、、、そうか。まぁここまで綺麗に魔力を流せるなら次からは家ん中でやっても良いかもな」
そう言うお父様の掌がとても冷たくなっていました。
、、、まさかお父様が薄着だったのは、より魔力を正確に感じるため?肌と服との間にできる体温差を考慮してのことだったのでしょうか?そしてこの訓練では魔力の測定を行う者の魔力感知の精密さが必要不可欠なのでしょうね。
ですがしかし、このままでは風邪をひかれてしまうかもしれません。
そう思い、私はお父様のお手を強く握り、少しでも暖かくなるようにと、首に下げたマフラーをお父様の肩に掛けました。
「カヤ、、、?」
「お家に入りましょう。今日はとても冷えますから」
お父様に無理はして欲しくはありません。
大事な人ですから。
護られていることは分かります。大切に思われていることも分かります。
ですが、私もそう思っているのです。
これぐらい気にかけたいのです。
そんな私は、我が儘な子ですよ。
年相応にですが。
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