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一章:転生乙女
14 乙女でしたから③
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王都ラウレンツ=ミシャに到着して早々に、王直属のエリート騎士こと、聖騎士様に連れられて、私は王城へと訪れました。
まるで要塞のような堅固な作りの城壁は王様の威厳を表すかのように聳え立っていました。しかし、それは純白のドレスのように美しくもあり、御伽噺のお城に憧れる少女のように年甲斐もなく見惚れてしまいました。
「、、、とても綺麗ですね」
王城を前にして、そう言葉を溢した私に、とあるお方が声を掛けてきました。
「ーーー乙女様にそう仰ってもらえるなら、私ども、感激の極みにございます」
その人物は黒いローブを身に着け、その手に煌びやかな装飾が施された杖を持っておられました。
、、、、、、まだまだお若いように見えますのに、色々と苦労されているのでしょうね。杖を突かなければ歩けないだなんて、、、王宮勤とはそれほどまでに大変なのですね。
「申し遅れました。私、王宮魔導士のテオドール=ファラーと申します。以後、お見知り置きを」
「初めましてファラー王宮魔導士様。私はリビット村出身のカヤ=エリュテイアと申します」
「リビット村、、、ですか?」
「はい。それがどうかいたしましたか?」
「あ、いえ、、、!何でもありませんよ!ここから王城内へは私ども王宮魔導士が乙女様をご案内致しますので、聖騎士の皆さんはお戻りください」
ファラー王宮魔導士様のその一言で聖騎士様達は元の持ち場へと戻って行かれました。
、、、なんとなくですが、彼らの上下関係というものが見えた気がしましたね。ラウグス王国が魔法大国と呼ばれている事は知っていましたが、騎士様より魔導士様が優遇されているのでしょうね、、、それぞれの役割というものは比較し難く、どちらも重要である事に相違無いはずなのですが、、、、、、
もし、聖騎士が正当な評価を受けていないというのなら、それはあまりにも不憫というものですが、、、、、、真実を知らない私は、そうでなければ良いなと願うばかりです。
「それでは乙女様。行きましょうか」
「、、、はい」
王宮魔導士様に連れられて王宮内を歩いて行くと、大きな扉の前で立ち止まりました。
「こちらが"謁見の間"になります。乙女様にはこの先においでになられている陛下にお会いしてもらうのですが、その前にお隣の部屋に侍女を控えさせておりますので、そちらでドレスに着替えていただきます」
そう言われ、私は改めて自分の服装を確認しました。
、、、今の服装はリーフマンさんの計らいで良い物を仕立ててもらいとても気に入っているのですが、、、まぁドレスではありませんし、仕方ありませんね。リーフマンさんにはいつかこの御恩をお返ししませんと。
「分かりました」
私はそう答えて、隣のお部屋に入りました。
中には王宮魔導士様が仰ったとおり、侍女が沢山おられました。
ドレスは一人で着られるような物でもありませんが、流石に10人も不要では?
などと、侍女の多さに驚いている私の目に、その"ドレス"という物が目に入りました。
「、、、あの、それってもしやーーーーー」
◇
「ーーー噂だと今代の乙女は平民出だそうだな!エーデルトラウト兄様」
「それがどうかされたのですか?ヴェンデル」
「あ?察しの悪い奴だな!平民の血が王族に混じるなんて王家の恥なんだよ!だが、乙女という存在もこの国にとっちゃ大き過ぎる!つまり、だ!贄が必要になるだよ!生贄になる王族が!それがアンタだ、分かってんだろ?なぁ!!!ぎゃはははははは!!!全くもって、いい気味だぜ!!!アンタは平民落ち、、、いいや国外にでも追放にして、この国は第二王子であるこのヴェンデル様のもの!!!最高で完璧な筋書きだ!!!」
「短絡的な考え方ですね。それとその品のない笑い方、どうにかならないのですか」
「、、、あぁ?すましてんじゃねーぞ!」
「平民平民と言いますが、貴方も見たのでしょう。彼女の姿を」
「あぁ見たぜ!あの見窄らしい姿をな!確かに平民にしちゃ良い面してたが、そんだけだ」
「、、、、、、」
「、、、んだよその顔はよぉ!!!」
「ーーーーーいい加減に黙らぬか!!!?」
第二王子様が叫ばれたのに対して、ラウグス王国現国王、ルードルフ=ラウグスが叱責し、場内は一瞬にして静まり返りました。
「乙女様の入場じゃ!決して粗相のないようにするのじゃぞ!分かっておるな!」
「はい、もちろんですとも」
「、、、んだよ、たかが平民にヘコヘコしろってのかよ、、、!」
その発言に対し王様が第二王子様を睨め付けると、第二王子様は渋々頷きました。
そこでコンコンコンコンと、扉を叩く音が鳴り響き、王様が「入れ!」と言うと、すかさず大きな扉が開かれました。
そしてその扉から現れたのは乙女様こと、私、カヤ=エリュテイアです。
カツンカツン、と履き慣れないヒールの高い履き物を履き、顔を薄いベールで覆い、純白の長いドレスの裾を侍女に持ってもらいながら、赤いカーペットの上を歩いて行きます。
どうしてこんな事になってしまったのでしょうか、、、、、、もちろん【神縁の儀】の運命の相手というものが結婚相手だと言う事は一般的ですし、それに乙女様の役割もそれに一致しています。なので自然といえば自然ではあるのかもしれませんが、しかしーーー
ーーーーーウエディングドレスは早くないですか!!?
まるで要塞のような堅固な作りの城壁は王様の威厳を表すかのように聳え立っていました。しかし、それは純白のドレスのように美しくもあり、御伽噺のお城に憧れる少女のように年甲斐もなく見惚れてしまいました。
「、、、とても綺麗ですね」
王城を前にして、そう言葉を溢した私に、とあるお方が声を掛けてきました。
「ーーー乙女様にそう仰ってもらえるなら、私ども、感激の極みにございます」
その人物は黒いローブを身に着け、その手に煌びやかな装飾が施された杖を持っておられました。
、、、、、、まだまだお若いように見えますのに、色々と苦労されているのでしょうね。杖を突かなければ歩けないだなんて、、、王宮勤とはそれほどまでに大変なのですね。
「申し遅れました。私、王宮魔導士のテオドール=ファラーと申します。以後、お見知り置きを」
「初めましてファラー王宮魔導士様。私はリビット村出身のカヤ=エリュテイアと申します」
「リビット村、、、ですか?」
「はい。それがどうかいたしましたか?」
「あ、いえ、、、!何でもありませんよ!ここから王城内へは私ども王宮魔導士が乙女様をご案内致しますので、聖騎士の皆さんはお戻りください」
ファラー王宮魔導士様のその一言で聖騎士様達は元の持ち場へと戻って行かれました。
、、、なんとなくですが、彼らの上下関係というものが見えた気がしましたね。ラウグス王国が魔法大国と呼ばれている事は知っていましたが、騎士様より魔導士様が優遇されているのでしょうね、、、それぞれの役割というものは比較し難く、どちらも重要である事に相違無いはずなのですが、、、、、、
もし、聖騎士が正当な評価を受けていないというのなら、それはあまりにも不憫というものですが、、、、、、真実を知らない私は、そうでなければ良いなと願うばかりです。
「それでは乙女様。行きましょうか」
「、、、はい」
王宮魔導士様に連れられて王宮内を歩いて行くと、大きな扉の前で立ち止まりました。
「こちらが"謁見の間"になります。乙女様にはこの先においでになられている陛下にお会いしてもらうのですが、その前にお隣の部屋に侍女を控えさせておりますので、そちらでドレスに着替えていただきます」
そう言われ、私は改めて自分の服装を確認しました。
、、、今の服装はリーフマンさんの計らいで良い物を仕立ててもらいとても気に入っているのですが、、、まぁドレスではありませんし、仕方ありませんね。リーフマンさんにはいつかこの御恩をお返ししませんと。
「分かりました」
私はそう答えて、隣のお部屋に入りました。
中には王宮魔導士様が仰ったとおり、侍女が沢山おられました。
ドレスは一人で着られるような物でもありませんが、流石に10人も不要では?
などと、侍女の多さに驚いている私の目に、その"ドレス"という物が目に入りました。
「、、、あの、それってもしやーーーーー」
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「ーーー噂だと今代の乙女は平民出だそうだな!エーデルトラウト兄様」
「それがどうかされたのですか?ヴェンデル」
「あ?察しの悪い奴だな!平民の血が王族に混じるなんて王家の恥なんだよ!だが、乙女という存在もこの国にとっちゃ大き過ぎる!つまり、だ!贄が必要になるだよ!生贄になる王族が!それがアンタだ、分かってんだろ?なぁ!!!ぎゃはははははは!!!全くもって、いい気味だぜ!!!アンタは平民落ち、、、いいや国外にでも追放にして、この国は第二王子であるこのヴェンデル様のもの!!!最高で完璧な筋書きだ!!!」
「短絡的な考え方ですね。それとその品のない笑い方、どうにかならないのですか」
「、、、あぁ?すましてんじゃねーぞ!」
「平民平民と言いますが、貴方も見たのでしょう。彼女の姿を」
「あぁ見たぜ!あの見窄らしい姿をな!確かに平民にしちゃ良い面してたが、そんだけだ」
「、、、、、、」
「、、、んだよその顔はよぉ!!!」
「ーーーーーいい加減に黙らぬか!!!?」
第二王子様が叫ばれたのに対して、ラウグス王国現国王、ルードルフ=ラウグスが叱責し、場内は一瞬にして静まり返りました。
「乙女様の入場じゃ!決して粗相のないようにするのじゃぞ!分かっておるな!」
「はい、もちろんですとも」
「、、、んだよ、たかが平民にヘコヘコしろってのかよ、、、!」
その発言に対し王様が第二王子様を睨め付けると、第二王子様は渋々頷きました。
そこでコンコンコンコンと、扉を叩く音が鳴り響き、王様が「入れ!」と言うと、すかさず大きな扉が開かれました。
そしてその扉から現れたのは乙女様こと、私、カヤ=エリュテイアです。
カツンカツン、と履き慣れないヒールの高い履き物を履き、顔を薄いベールで覆い、純白の長いドレスの裾を侍女に持ってもらいながら、赤いカーペットの上を歩いて行きます。
どうしてこんな事になってしまったのでしょうか、、、、、、もちろん【神縁の儀】の運命の相手というものが結婚相手だと言う事は一般的ですし、それに乙女様の役割もそれに一致しています。なので自然といえば自然ではあるのかもしれませんが、しかしーーー
ーーーーーウエディングドレスは早くないですか!!?
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