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一章:転生乙女
13 乙女でしたから②
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乙女様が出現した事が国中に知れ渡り、1ヶ月後の事。
私は当初の目的地だったラウグス王国王都、ラウレンツ=ミシャに到着したのでした。
どうにか入学式の前日には間に合いましたね、、、
連日連夜開かれた乙女様の降臨祭、そしてガーナヴの死刑を阻止し、なんとかここまで平穏無事に辿り着けました。
「ーーーそれもこれも貴方のおかげですね。有難うございます。シェパード」
そう言って私は黒い毛並みが凛々しく輝く馬車引き馬のシェパードを撫でました。
お祭りが思いのほか長引いてしまい、二十日を切ってしまった時はもう間に合わないと思いましたが、シェパードのおかげで予定通りとはいかずも何とか間に合いましたね。本当にありがとうございます。
「今日はゆっくり休んでくださいね」
「ブルゥ、、、!」
「御者さんも本当にありがとうございます」
「いえいえ、乙女様をお乗せ出来るなんてまるで王様専属の御者になれたようで、夢のようでしたよ」
「そう言ってくださるのは有り難いのですが、、、私はただの平民ですので、その乙女様と呼ばれるのはやはり、、、」
「ーーー慣れないかもしれねーが、そりゃ無理ってもんだ」
そう声を発したのはこの立派なお馬さんと貴族御用達の箱馬車の所有者であるマルコ=リーフマンさんです。
そしてその方は何を隠そう、私がリアーナへと向かっている道中に乗り合わせていた御仁でした。
「そう言うリーフマンさんは変わらずに接してくれているではありませんか」
「俺は信用あってこその商人を生業にしてるからな。身分云々で態度を変えてちゃ信用なんねーだろ?嬢ちゃんに関して言や、初めにこういう出会い方をしちまってるから、余計にな。ただそれも正式な場じゃ無理な話だがな」
「そういうものですか、、、なんだか寂しいですね」
「それだけ乙女様という存在がこの国にとっちゃでっけぇって事だ、、、っと、お喋りもここまでだな。ほら、迎えが来たぞ」
リーフマンさんが指差す方から、騎士装束を身に纏った方が大勢で向かって来られました。
「安心しな、ここの騎士はリアーナの騎士とは違ってエリート揃いだ」
「エリート、ですか、、、」
リアーナでも耳にはしましたが、やはり王都ともなると騎士の重要性は格段に上がるのでしょうね。
しかし、リアーナの騎士の皆さんが彼らに劣っているかのような言い方はあまりにも酷のようにも思います。確かに人間性を疑われるような粗暴な方もいらっしゃるのでしょうが、鼻からそうだと決めつけられてしまうのは違うように思うのです。
肩書きとは、良くも悪くも枷になるものです。
それを引いて歩けるのか、それとも進む事を止めてしまうのか。それは当人の努力次第と、誰しもが言うのかもしれませんが、きっとその重さは人によって異なるのでしょう。
想いの分だけ、負い目の分だけ、人は過去に拘る生き物ですから。
それはーーーーー私も。
「ーーー貴女様が乙女様ですね。陛下が王城にてお待ちしております。どうぞ、こちらへ。私共が王城までお連れいたします」
騎士様が手を差し伸べました。
私はその手を取る前に、リーフマンさんに向き直り、お礼を言いました。
すると、リーフマンさんは優しく微笑むも、先程までとは違い、仰々しく別れの言葉を口にされました。
乙女様も、とても厄介ですね、、、
私は当初の目的地だったラウグス王国王都、ラウレンツ=ミシャに到着したのでした。
どうにか入学式の前日には間に合いましたね、、、
連日連夜開かれた乙女様の降臨祭、そしてガーナヴの死刑を阻止し、なんとかここまで平穏無事に辿り着けました。
「ーーーそれもこれも貴方のおかげですね。有難うございます。シェパード」
そう言って私は黒い毛並みが凛々しく輝く馬車引き馬のシェパードを撫でました。
お祭りが思いのほか長引いてしまい、二十日を切ってしまった時はもう間に合わないと思いましたが、シェパードのおかげで予定通りとはいかずも何とか間に合いましたね。本当にありがとうございます。
「今日はゆっくり休んでくださいね」
「ブルゥ、、、!」
「御者さんも本当にありがとうございます」
「いえいえ、乙女様をお乗せ出来るなんてまるで王様専属の御者になれたようで、夢のようでしたよ」
「そう言ってくださるのは有り難いのですが、、、私はただの平民ですので、その乙女様と呼ばれるのはやはり、、、」
「ーーー慣れないかもしれねーが、そりゃ無理ってもんだ」
そう声を発したのはこの立派なお馬さんと貴族御用達の箱馬車の所有者であるマルコ=リーフマンさんです。
そしてその方は何を隠そう、私がリアーナへと向かっている道中に乗り合わせていた御仁でした。
「そう言うリーフマンさんは変わらずに接してくれているではありませんか」
「俺は信用あってこその商人を生業にしてるからな。身分云々で態度を変えてちゃ信用なんねーだろ?嬢ちゃんに関して言や、初めにこういう出会い方をしちまってるから、余計にな。ただそれも正式な場じゃ無理な話だがな」
「そういうものですか、、、なんだか寂しいですね」
「それだけ乙女様という存在がこの国にとっちゃでっけぇって事だ、、、っと、お喋りもここまでだな。ほら、迎えが来たぞ」
リーフマンさんが指差す方から、騎士装束を身に纏った方が大勢で向かって来られました。
「安心しな、ここの騎士はリアーナの騎士とは違ってエリート揃いだ」
「エリート、ですか、、、」
リアーナでも耳にはしましたが、やはり王都ともなると騎士の重要性は格段に上がるのでしょうね。
しかし、リアーナの騎士の皆さんが彼らに劣っているかのような言い方はあまりにも酷のようにも思います。確かに人間性を疑われるような粗暴な方もいらっしゃるのでしょうが、鼻からそうだと決めつけられてしまうのは違うように思うのです。
肩書きとは、良くも悪くも枷になるものです。
それを引いて歩けるのか、それとも進む事を止めてしまうのか。それは当人の努力次第と、誰しもが言うのかもしれませんが、きっとその重さは人によって異なるのでしょう。
想いの分だけ、負い目の分だけ、人は過去に拘る生き物ですから。
それはーーーーー私も。
「ーーー貴女様が乙女様ですね。陛下が王城にてお待ちしております。どうぞ、こちらへ。私共が王城までお連れいたします」
騎士様が手を差し伸べました。
私はその手を取る前に、リーフマンさんに向き直り、お礼を言いました。
すると、リーフマンさんは優しく微笑むも、先程までとは違い、仰々しく別れの言葉を口にされました。
乙女様も、とても厄介ですね、、、
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