転生オトメ恋世界

夢見月まひわ

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一章:転生乙女

12 乙女でしたから①

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 乙女様ーーーそれはかつてラウグス王国の危機に際し、【神縁の儀】にて王様と婚姻することとなった一人の女性の異名だそうです。

 彼女は清らかで、美しく、誰もが見惚れる美貌の持ち主だったそうです。
 それだけでも一国の主人たる王様へ嫁ぐには十分のようにも思いましたが、それ以上に彼女の行った数多くの施策により、この国は豊かになっていったとのことでした。

 それ以降、この国では【神縁の儀】にて王たりえる資格を持つ者と運命を結ぶ女性は乙女様と崇められるようになった、、、、、、という経緯でした。

 ですが、これは、、、

「乙女様バンザーイ!乙女様バンザーイ!乙女様バンザーイ!」

 勝手に人を神輿に乗せて担ぎ上げるのは止めてもらえませんか、、、?

「号外!号外!なんとこの街、リアーナから新たな乙女様が現れました!」
「なんと!?そりゃ良い報せだ!皆んなぁ!この街から乙女様が現れたって!」
「乙女様!?しかもこの街から?!」
「都市リアーナの乙女様だ!てめぇら、今日はお祭りじゃーーー!!!!!」

 そのように街の人々まで盛り上がってしまっていました。

「あの、、、私、この街の出身じゃありませんよ?リビット村から来ましたよ?」

 という私の声は空に消え、街は更に盛り上がりを見せていきました。

 どうしましょうか、、、これ、、、

 と、私が頭を悩ませていると、民衆の間から囁かれたとある言葉が気に掛かりました。

「ーーーなぁ、聞いたか?今朝、乙女様を無理矢理部屋に連れ込んで、暴行しようとした奴がいたらしいぜ!しかもそいつ騎士なんだってよ!」
「は?それマジか!?つーか俺は鼻からあいつら騎士ってのが嫌いだったんだよなぁ。そもそも柄が悪いんだよ、この街の騎士は」
「騎士もどき共が調子乗ってっからこうなんだよ!」
「あぁそりゃ最高の呼び方だな!ほんと、ここにいる奴らは王都にいる聖騎士とは雲泥の差だって話だしな!」

 今朝の一件の事ですね、、、そういえば外に待たせていた騎士様とは結局お会いせず、そのまま神輿に乗せられて教会を出てしまいましたね。
 、、、『法院まで来い』、、、あの騎士様は確かそう仰っていましたね。
 こちらの都合で約束を反故にする訳にも行きませんし。

 私はそう思い、神輿を担いでいる一人のお方に声を掛けました。

「私、法院まで行きたいのですが、下ろしてもらえませんか?」
「法院まで?了解致しました!皆さん!乙女様は法院に行かれたいそうです!!!」
「畏まりました!でしたら我ら一同、乙女様のおみ足となりましょう!」
「「「おぉおおおおおおおおお!!!」」」



「、、、いえ、そういう意味ではないのですが、、、」

 お父様、お母様、、、大変な事になってしまいました。

「ーーーは?そいつの罪状?いやいや、そんなの聞くまでもないだろ?当然ーーーーー死刑だよ」

 、、、本当に色々と大変な事になってしまってるみたいです、、、急ぎませんと、、、!



 ◇


「、、、、、、この方が、、、いえ、彼女が乙女様なのですね」

 ラウグス王国第一王子、エーデルトラウト=ラウグスは寝室の鏡に映る女性を前にして、密かに微笑んだのでした。
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