転生オトメ恋世界

夢見月まひわ

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一章:転生乙女

20 合同授業をいたしましょう③

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「ーーーと、魔導の申し子、ヴィオーラ家の才女と呼ばれるに相応しい実力をたった今見せたわけだが、、、とんでもないな。はっきり言って噂以上だ。ありゃ歴代魔導王にさえ見劣りしない威力だ。ハーマン、結界を張り直しておけ、わずかにヒビが入った」
「ヒビで済んで良かったですよ。学園内とはいえ王都の中ですから、もし浄化結界にまで干渉していたら一大事でしたよ」
「全くだ、、、あの歳であれだけの魔力を一度に操れるとか、、、流石は様だ」

 ネモ様の渾身の一撃に周囲はどよめき、教師陣も動揺を隠せずにいました。

 ネモ様の放たれた魔法は火属性魔法なのでしょうね。的を溶かし跡形も無くすほどの火力に、あの範囲の広さと正確に的へと誘導する魔力制御、どれをとっても見事な物でした。

 しかし勝負とあらば負けるわけには参りません。
 ですが、、、どの様な魔法を用いれば勝てるのでしょう?

「ーーーまぁ一応はこれも試験だからな。致し方なく、ハーマン教師との協議の上で先の魔法に点数を付けた。結果は100点中86点だ」

「嘘だろっ、、、あれで80点代なのか!?」

 生徒達の中で80点という壁が大きくなり、必然的に高得点を狙うのが困難だと、多くの方達が悟りました。

「なにも意地悪で満点にしなかったわけじゃない。この試験における評価は大きく分けて三つある。まず一つに遠くの的に当てる放射精度。これは魔力制御に関わってくる為、評価基準の中でも特に重要視されている。そして次に魔法発動に掛かる時間だが、これに関しては一律ではなく、初級、中級、上級と発動する魔法の難度に応じて評価する。で、残る三つ目だが、当然魔法の威力だ。しかし先の二つに比べれば現段階では然程重要ではない。先の魔法に対し、欠点を挙げるなら術の発動直後、魔法の放射の反動を受け数秒コントロールが雑になってしまっていた点が悪かった。ただ難度の高い魔法に挑み、かつ成功させた事自体は素直に称えよう。それに魔力制御以外に関しては素晴らしいの一言に尽きる程だった。だがそれでも魔法制御は基礎中の基礎、誤って味方に魔法をぶつける事などあってはならないからな」
「、、、うん。そだね。気をつけるよ」

 ネモ様はそう答えて、列に戻りました。

「では続いて、セリーヌ=ポピー様」

 ネモ様の魔法を目の当たりにし、興奮冷めやらぬ中、続々と的に向かい各自得意とする魔法を放っていくも、10名中誰一人として的にさえ当てられず、貴族平民に関わらず、皆様20点から40点台の点数を言い渡されるのでした。

「ま、普通はこんなもんだろね」

 と、イルミナ教師が呟きました。



「ーーーアインス=バウリング様」

 ハーマン教師に呼ばれてバウリング様が前へと出ます。

「どいつもこいつも情けねーな!おい!それでも貴族か、てめぇーら!!?俺はこんな紛い物どもとは違う!本物の貴族ってやつをカスどもに見せてやる!!!」

 そのように息巻くバウリング様に、イルミナ教師が呆れた顔をしていました。

「バウリング家の三男。実力はそこそこのはずなのに何故か長男次男を差し置いてバウリング家の跡取りとして選ばれた問題児だろ、あれ」
「今は育てるべき生徒ですよ」
「、、、、、、新芽を枯らす様な雑草は摘むべきじゃないか」

 ぼそりとイルミナ教師が仰いました。



「ーーーいくぜぇええええ!!!」

 バウリング様が魔法を発動する為に叫びます。

 、、、いえ、これは叫ぶというよりーーーーー

「ワオオーーーーーーーーー!!!!!」

 遠吠えですね。

「ワオーーーーーーーン!!!」

 そのように遠吠えを続けていると、いつの間にかその遠吠えに呼応するかのように何処からとなく遠吠えが返ってきました。
 そして気が付けば、ゆらりゆらりと毛を靡かせる3匹の白狼がバウリング様の横にいます。



「ーーーーー固有魔法、、、そういうことか。ありゃバウリング家の初代当主と同様の魔法【精霊狼シルフ・ルプス】で間違い無いだろうな。実力はそこそこでも、それが当主の証となる、か」

 バウリング様が3匹の狼に命令を下すと、狼達は真っ直ぐと的に向かい駆けていき、次々と的を破壊していきます。
 狼達は的を全て破壊し尽くすと、霧の様に姿を消しました。
 そして教師からの評価は72点と、ネモ様に続く高得点を叩き出したのでした。

「どうだ!見たか!!!これが貴族の、いやーーーーー俺の力だ!!!」

 そう吠える、、、いえ、そう仰るバウリング様がこちらに勝ち誇った顔を見せます。

 、、、少しイラッとしますね、、、しかし、あのふわふわな毛並み、、、撫で心地がとても良さそうでしたね。
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