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二章
38 怪しいお店に入りました
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昨日のお誘いを受け、私は王都ラウレンツ=ミシャの繁華街、通称"商業地区"にエーデルトラウト様と共に訪れていました。
「ーーーーー貿易路の中継地ともなるラウグス王国は、多種多様な商品を扱う行商人が行き来し、それと同時に様々な品物がここに集まるのです。乙女様はあまり人の多い場所に足を運ばないとネモから聞きました。ですが今日はこのラウグス王国の素晴らしい一面を乙女様に拝見して欲しいのです」
「それは、、、お気を遣わせてしまい申し訳ありません」
「謝らないでいただきたい。これは私の賤しい思惑でもあるのです。貴女にこの街を好きになって欲しいという」
この街を好きにですか、、、考えた事も無かったですね。
私はこの街をどのように思っているのでしょうか。それは私にもよく分かりません。
ですのでよく思い返してみましょう。
リビット村を出て、リアーナの街より離れ、王城へと参ったあの日、私はヴェンデル様より魔法を放たれ、その翌日には平民ながらも貴族クラスに割り振られてクラスメイトより陰口を囁かれ、ハウリング様に魔法試験にて勝負を挑まれました。そして先日はまたしてもヴェンデル様に魔法を向けられ、、、、、。
ーーーーーいえ、敢えて嫌な事ばかり思い返してみましたが、それ以上にネモ様やクレナ様達に出会えた事が嬉しいのです。
「心配は不要ですよ。私はネモ様、クレナ様、そしてエーデルトラウト様が暮らすこの街が大好きなようですから」
「、、、私も?、、、いえ!?そのように言ってもらえて喜ばしい限りです!では今日は乙女様が大好きなこの街をより好きになるよう、誠心誠意込めてご案内致します!」
「はい!貴方様のお心遣いに感謝いたします。もしかしてですが、昨日の『お買い物』というのも私を連れ出すための口実だったのでしょうか?」
「いいえ、嘘ではありません。ただ時間に十分余裕がありますので、ゆっくりとこの辺りのお店を回って行きましょう。乙女様は行かれたい場所などはございますか?もしくは見たい商品などは?」
、、、行きたい場所、、、見たい商品ーーーーー
「そうですね、、、私は魔道具というものに興味があります。魔道具を取り扱っているお店はありますでしょうか?」
「はい、もちろんです!それではご案内致しましょう」
エーデルトラウト様はここの地区の出店事情を把握されているようで、少しも迷わずに魔道具を取り扱っているお店へと到着しました。
「ーーーーー"ようこそ、シルバーアッシュの店へ!心より歓迎いたします、殿下並びに乙女様"。なにやら触れてはいけないような看板がお店の前に置かれているのですが、ここが魔道具店なのでしょうか?」
「ええ。ここで間違いありません」
王太子であらせられるエーデルトラウト様が市井を闊歩すれば、それは酷く目立つ事でしょう。今だって多くの者の視線がこちらに集まっていますし、なにより警備隊と思われる方々がエーデルトラウト様の存在に気付き近辺を警戒しだしました。
しかし、そうだとしてもこのような看板を前もって用意出来るものでしょうか?まるで私たちがこの場へと来る事を予見していたような、、、、、。
「ーーーーーさぁ、中へ入りましょう」
そのようにエーデルトラウト様に促され、私はそのお店に足を踏み入れたのでした。
「ーーーーーやぁ、待っていたよ。お二人さん」
怪しさ満点のお店へと踏み入った私たちへ、このお店の店主と思しき黒ローブ姿の女性がフフフッと笑みを浮かべ、そう言うのでした。
「ーーーーー貿易路の中継地ともなるラウグス王国は、多種多様な商品を扱う行商人が行き来し、それと同時に様々な品物がここに集まるのです。乙女様はあまり人の多い場所に足を運ばないとネモから聞きました。ですが今日はこのラウグス王国の素晴らしい一面を乙女様に拝見して欲しいのです」
「それは、、、お気を遣わせてしまい申し訳ありません」
「謝らないでいただきたい。これは私の賤しい思惑でもあるのです。貴女にこの街を好きになって欲しいという」
この街を好きにですか、、、考えた事も無かったですね。
私はこの街をどのように思っているのでしょうか。それは私にもよく分かりません。
ですのでよく思い返してみましょう。
リビット村を出て、リアーナの街より離れ、王城へと参ったあの日、私はヴェンデル様より魔法を放たれ、その翌日には平民ながらも貴族クラスに割り振られてクラスメイトより陰口を囁かれ、ハウリング様に魔法試験にて勝負を挑まれました。そして先日はまたしてもヴェンデル様に魔法を向けられ、、、、、。
ーーーーーいえ、敢えて嫌な事ばかり思い返してみましたが、それ以上にネモ様やクレナ様達に出会えた事が嬉しいのです。
「心配は不要ですよ。私はネモ様、クレナ様、そしてエーデルトラウト様が暮らすこの街が大好きなようですから」
「、、、私も?、、、いえ!?そのように言ってもらえて喜ばしい限りです!では今日は乙女様が大好きなこの街をより好きになるよう、誠心誠意込めてご案内致します!」
「はい!貴方様のお心遣いに感謝いたします。もしかしてですが、昨日の『お買い物』というのも私を連れ出すための口実だったのでしょうか?」
「いいえ、嘘ではありません。ただ時間に十分余裕がありますので、ゆっくりとこの辺りのお店を回って行きましょう。乙女様は行かれたい場所などはございますか?もしくは見たい商品などは?」
、、、行きたい場所、、、見たい商品ーーーーー
「そうですね、、、私は魔道具というものに興味があります。魔道具を取り扱っているお店はありますでしょうか?」
「はい、もちろんです!それではご案内致しましょう」
エーデルトラウト様はここの地区の出店事情を把握されているようで、少しも迷わずに魔道具を取り扱っているお店へと到着しました。
「ーーーーー"ようこそ、シルバーアッシュの店へ!心より歓迎いたします、殿下並びに乙女様"。なにやら触れてはいけないような看板がお店の前に置かれているのですが、ここが魔道具店なのでしょうか?」
「ええ。ここで間違いありません」
王太子であらせられるエーデルトラウト様が市井を闊歩すれば、それは酷く目立つ事でしょう。今だって多くの者の視線がこちらに集まっていますし、なにより警備隊と思われる方々がエーデルトラウト様の存在に気付き近辺を警戒しだしました。
しかし、そうだとしてもこのような看板を前もって用意出来るものでしょうか?まるで私たちがこの場へと来る事を予見していたような、、、、、。
「ーーーーーさぁ、中へ入りましょう」
そのようにエーデルトラウト様に促され、私はそのお店に足を踏み入れたのでした。
「ーーーーーやぁ、待っていたよ。お二人さん」
怪しさ満点のお店へと踏み入った私たちへ、このお店の店主と思しき黒ローブ姿の女性がフフフッと笑みを浮かべ、そう言うのでした。
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